後輩達が入団してから1週間が経過した。
今日は監督が席を外しているから、自主トレになる。1年の選手達は上級生に教えを乞う為にマンツーマンだったり、複数で見たりしている。
7人の女子選手達もそれぞれ自分の役割を果たそうとしているみたいだね。
「選手データを頭に入れておいて、相手の得意不得意をハッキリさせてから打者を打ち取りに行く……。私にとっては基本行動ですが、それをどういう風に活かすかは当人次第です」
「成程……」
「勉強になります!」
「あと大切なのは打者との読み合いです。読み合いには最低限3割勝てれば、段々とパターンが見えてきます」
「読み合いかぁ……」
「捕手にとってリード並に大切な事ですね。レベルの高いシニアなので、高度な読み合いが発生しそうです」
メインポジションが捕手である木虎さんと百瀬さんは二宮にリードの極意を聞いている。まずは当たり前の事を復習してから、どういう捕手になろうとしているかを見定めているらしい。あの2人が二宮みたいになったらちょっと嫌だなぁ……。
「センターは外野の中でもかなり重要視されるポジションだからねー。最も必要となる範囲と足は持ってる事がわかっているから、あとはしっかりと捕球する事!これさえ覚えていけば、やっていけるよ☆」
「あ、ありがとうございます……」
「んー……。守備面でアタシが言える事は正直このくらいかなー?多分紅葉の方がアタシよりも上手いと思うし、あんまりアドバイス出来なくてごめんねー?」
「そ、そんな事ないです!金原先輩には守備の他にも打撃方面とか、参考にしたい部分も沢山あります!」
「嬉しい事言ってくれるねぇ~!それならまだアタシの面子も保てるかな」
向こうでは金原が外野手の有望株である雪村さんにセンターの心得みたいなのを語っていた。私が見るに、捕球方面は金原よりも雪村さんの方が上だと思ってる。金原自身もそう思ってるみたいだし……。だから金原にとっては危ういんじゃないかなって思ってるんだけど……。
「ショートを守るコツは広く、速く、確実に……だ。これはセカンドにも言える二遊間の共通の課題だと思ってくれて良い。尤も志田レベルの選手なら、それも当たり前のように把握していると思うが、基本に忠実にするのは野球に限らず全ての競技で大切な事だ」
「成程……!」
「あと志田は二刀流を目指すと言っていたな?」
「はいっ!」
「二刀流を極めるにしても、まずは投手か野手かで確実な実力を身に付けるのが優先だ」
「は、はい!友沢先輩はショートと同時に投手の練習もしているので、その配分なんかを聞けたら……と」
「先程も言ったが、まずはメインポジションを確実にする事だ。絶対的な自信が付くまではサブポジションの事は考える必要はない」
志田さんにはシニア一のストイック選手こと友沢に師事しているようだ。友沢が投手をやってた事を知ってる人間ってシニア内でも結構少なかったような……。まぁ私が気にする事じゃないか。
「え、えっと……。私の場合は背が小さいから、より手首に力を入れる必要があって……うぅ……!」
「参考にさせていただきます」
赤松さんは清本に飛距離を出すコツを聞き出していて、清本はアドバイスしていると、何故か凹んでいる。どんな説明をしてるんだろ……?そもそも赤松さんがスラッガーだった事に驚きを隠せなかったよ……。
「沖田さんが見るに、貴女が理想の変化球を投げると判断しました!是非この沖田さんに師事をば!!」
「な、何このコミュ力お化け……。ぜ、絶対私なんかよりも他の人が良いって……」
沖田さんは一ノ瀬さんに変化球を教えてもらおうとしているようだ。一ノ瀬さんの変化球ってかなり独特で唯一無二性を感じるんだけど、大丈夫なのかな……?
このように同じポジションだったり、同じ選手タイプだったりする上級生から1年は何かを得ようとしているようだ。
「いやー、皆さん自分の長所を伸ばそうとしてたり、足りないものを求めるのに張り切ってますねぇ!」
「そんな初野は何故私の所に……?」
何故か私の所にはポジションも違えば、選手タイプも掠ってない初野がいるようだ本当に何故?
「自分の成長も大切ですけど、リトル時代にお世話になった先輩に見てもらいたいんですよ!」
「……あとで二宮や清本にも見てもらいなね?」
「もちろんですよっ!」
まぁ私を慕ってくれる後輩だし、可愛いものだけどね。
「……それよりこのシニア、なんか不穏な空気が流れてる気がするんですよねー」
「そうだね……」
初野はこのシニアの異常さにいち早く気付いている。天王寺さんの所にいる選手の数の異常性に……。
他の後輩女子6人は自分を高めようとそれどころじゃないし、夏までにはなんとかした方が良いのかなぁ?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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