沖縄にある喫茶店。私、二宮、清本は試合が終わってから、フロイスさんに呼び出されて赴いている。
「まずは試合お疲れ様。朱里ちゃんも和奈ちゃんも良かったよ。田中さんも褒めてた」
「あ、ありがとうございます……?」
なんか褒められると恥ずかしい気分になるな……。清本なんか顔を赤くしてるし。というか清本はともかく、私は何もしてないと思うんだけど?
「瑞希ちゃんは……あの9人の監督みたいなものだったから、試合には出なかったのかな?もし瑞希ちゃんが出てたら、こんな苦戦しなかったと思うんだよね」
「私はそんな大それた人間ではありませんが……。それにそれを言うのなら、フロイスさんも似たようなものなのでは?」
二宮の言う事も一理ある。もしもフロイスさんが最初から出てたなら、私達はもっと苦戦を強いられていたかも知れないし……。
「んー。それはないかな。今日の試合で私達が取られた点は全部和奈ちゃんのホームランだし、仮に私が頭から出てたとしても、結果は変わらなかったと思うよ?」
「ですが過程……試合内容は大きく変わっていたと思いますよ?そしてチームはフロイスさん色に染め上げていくのではないですか?」
「まぁそれはそれで面白そうだったんだけど、そこまでする価値はないね。田中さんにも止められてるし……。本当、あの人お婆ちゃんとは思えない強者のオーラがプンプンするよ」
まぁ名物監督とか呼ばれる手腕を持ってるらしいからね。田中監督は……。もしもあの人がシニアの監督をしてたら、そのチームの一強になる事は間違いないだろう。
「……まぁ今となっては、そんな事どうでも良いね。それよりも最近何か面白い事はあった?」
「特に何もないと思いますが……。そういうフロイスさんの所属シニアは、最近地区優勝をしたそうですね」
「まぁ私は球を捕ってただけに過ぎないけどね。彼方の投げる球を打てる中学生がアメリカ内にいなかっただけだよ」
だけだよって……。あっけらかんに言いのけるフロイスさんは本当に恐ろしい。風薙さんはアメリカでは『完全無欠の最強投手』と評判らしい。それでいて、打者としての打率も高い。あの人に弱点とかないの?
「風薙さんが凄いのは当然として、フロイスさんの用いる配球が加われば、プロ選手でも手の付けられないものに仕上がるのではないですか?」
「それこそ買い被り過ぎだよ。私が出来る事は瑞希ちゃんも出来る筈だからね」
「…………」
フロイスさんの言葉に二宮は何も返さない。まぁ二宮ならそれが出来ても不思議じゃないよね。
「それにしても朱里ちゃん達の混合チーム……。あれは中々面白い子達が集まってるね。全員川越シニアの女子達でしょ?」
「……本来なら後輩達との親睦を深める交流会的な目的だったんですけどね」
「そこに私達との試合が入った訳だ」
「まぁ……」
なんかこの沖縄旅行もフロイスさんが仕組んでいたものなんじゃないかと考えてしまう。むしろその方がしっくり来るって思う私もどうかと思うけど……。
「……聞きたい事は聞けたし、私は帰るね。ここはおねーさんが出すから、ゆっくりしててね」
それと……と、フロイスさんは付け加える。
「崩壊には気を付けてね」
謎の一言を残して、去って行った。私達の分まで奢ってくれるのは良いんだけど、なんか別の思惑があるようでやりにくいなぁ……。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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