お台場を歩いて十数分。私達の目の前には大きなタワーマンションが……。
「お、大きい……」
「こ、こんな大きなタワーマンションに天王寺さんは住んでいるんですか?」
「名義をちょろっと借りてるだけだよ。多分半年もしない内に私はいなくなるけどね」
またさらっととんでもない事を……。天王寺さんの目的が一考に見えてこないよ。
「私の部屋は最上階だからねー」
「さ、最上階って……」
私は詳しく知らないけど、タワマンの最上階に住むには膨大なお金が掛かるんでしょ?しかも半年でいなくなるんでしょ?大金を雑に扱い過ぎでは?天王寺さんって一体何者なの……!?
最上階にある天王寺さんの住んでる部屋に到着。
「さぁ入った入った!」
「「お、お邪魔します……」」
「お邪魔します」
緊張している私と清本を他所に、二宮はいつも通りの無表情で天王寺さんの部屋に入る。その物怖じしない性格を少しでも私と清本に分けてほしい……。
「お帰り。お姉ちゃん」
「おー!ただいま私の可愛い妹(分)よー!」
なんか今日は驚く部分多くない?また驚愕の事実を知ったんだけど?妹って……。
(姉妹にしては似ていない。多分訳ありなんだろうね。この妹さんは……)
「3人に紹介したいのはこの子……私の妹(分)の璃奈だ!」
「天王寺璃奈……です。よろしくお願い……します」
表情がコロコロ変わる天王寺さんに対して、妹さんは二宮のような無表情……。腹の内が読めない厄介な子だ。
「それじゃあ私はご飯を作ってるから、3人は璃奈と親睦を深めててよ」
そう言って天王寺さんはキッチンに入って行った。
『…………』
無言の空気が流れる。気まずいな……。
「…………」
「…………」
二宮は正座で待機しており、妹さんは何かを弄っている。2人共無言の空間でも問題ないタイプの人間だね……。
(あ、朱里ちゃん。気まずいよ……)
(大丈夫。私も清本と同じ気持ちだから……)
清本はこの空気に耐えられなくなったのか、私に耳打ちをした。正直清本が来なかったら、私が清本に助けを求めようとしてたよ……。
「ご飯が出来たぞーってなんだなんだ?誰も言葉を発してないじゃないか」
だって気まずいんだもの!この時は天王寺さんが神に見えるくらいだよ!
「今日のご飯はカレーだよー!」
「お姉ちゃんの作るカレー好き」
「嬉しい事を言ってくれるねぇ……。3人の分もあるから、たんと召し上がれ!」
私達は天王寺さんの作るカレーを食す事に……。
「お、美味しい……」
「口に合って良かったよ。まぁこれでも?一時期はカレー屋で働いた事もあったりするんだぜ?不味い物を出す訳がないさ」
天王寺さんの新事実。カレー屋で働いた事があるらしい。何歳だよこの人……。
「まぁとりあえず話を戻そうか。璃奈は3人の1個下……つまり中1な訳だ。あと何度かは会ってほしいんだよ。無理にとは言わないけどね」
「何故ですか?」
「私はあっちこっちをフラフラする風来坊気質でね。最近ようやく璃奈に安定した住居を与えられたから、璃奈にはここで暮らしてもらう……その一方で私には私の使命があるんだよ。その為には全国津々浦々を回る必要がある」
なんかスケールの大きい話を聞いちゃったよ……。
「あ、あの……」
「どしたの和奈?」
「て、天王寺さんは来週に行われる紅白戦についてはどう思ってるんですか?」
清本が私の1番気になっている事を天王寺さんに尋ねた。すると……。
「んー。さっきも言ったけど、私は紅白戦の後にこの東京に引っ越す。理由としては潮時だと思ったからだね」
「潮時……?」
「私は野球の楽しさを広める為に全国各地を回っていて、川越シニアもその例外ではない……。でも今日の対立を見て、駄目だと思ったんだ」
対立……。橘が爆発して紅白戦の原因になったやつの事?
「まぁ人それぞれの練習メニューがあるから、私の指導に頼らない事は良いんだよ。でも揉め事を起こすのは違う……」
「そんな姿を見ていられなくなったから……天王寺さんは川越シニアを辞めるんですか」
「それが関係ないと言えば嘘になるけど、1番の理由はもう私なしでも彼等彼女等はやっていけると判断したからなんだよ。まぁメインの女子選手は3人みたいに私に頼らず、自力で成長した逸材達だけどね……」
天王寺さんの哀愁漂う雰囲気……。もしかしたらこの紅白戦は天王寺さんの望むものじゃなかったのかな?
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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