「…………」
今日は色々な事があった。橘が選手と言い合いの喧嘩を始めたのを皮切りに紅白戦の決定(圧倒的な人数差)、天王寺さんが今住んでいる東京へと外泊、天王寺さんの妹(分)の紹介、そして天王寺さんの内心の一部分を垣間見た一時……。
(紅白戦をやるのは絶対、天王寺さん達に付いた選手達の天王寺さん依存をなんとかする目的もあった……。でも蓋を開けてみれば、天王寺さん自身に依存させるつもりはなかったんだ)
無論そう思わせるようにしている可能性も捨て切れないと思う私は人を信じ切れないのかも知れない。付き合いの長い二宮や清本達を下の名前で呼ばない事がそれに拍車を掛けている。
「朱里さん、眠れないのですか?」
「二宮……」
眠る事が出来ずにぼんやりと天井を見つめていると、二宮が話し掛けてきた。
「……今回の紅白戦、朱里さん的にも色々と思うところがあるでしょう。ですが朱里さんは余計な事を考えずに私のミットに向かって、いつも通りに投げてください」
「…………」
「色々考えるのは試合が終わった後にしてくださいね?」
「……そうだね」
二宮と喋って少しだけスッキリした。まだモヤモヤが完全に晴れた訳じゃないけど、少なくとも投げる分には何も問題はない。
(まぁ正直川越シニアがどうなろうと、野球が出来れば何も問題はないよね)
そして多分それは二宮も同じ……。多分二宮がなんとかしようと動いているのは清本の為だ。
バッテリーを組んでいる事が多い都合上、二宮は私を気に掛けてくれている。私の事情にも土足で踏み込んできた。私の事を大切だと言ってくれた……。しかし清本への想いはそれ以上だと思っても良い。
私と出会った頃には既に無表情だった二宮だけど、清本の話によると以前はよく笑う女の子だったそうだ。ちっとも想像が出来ないけど……。清本を守る為に心を鬼にし、余計な感情を全て削ぎ落としたのが今の二宮なんだろう。そして今のように色々な情報を集め、様々な悪意から清本を守る為に動いている……。
二宮にベッタリとしている清本と、そんな清本を守ろうとする二宮……。この2人は互いに依存していると思われる。まぁ推測の域を出ないけどね。
(二宮にもきっと色々あるんだろう。でも私はそこに踏み込むつもりはない……)
色々と考えてはみたけど、今は1週間後の紅白戦に向けて練習あるのみだ。ポジションとかも二宮が考えてくれる筈だ。
川越シニアの紅白戦では監督は不干渉を貫く。公平を示す為に。そしてそれは今回も同じだろう。紅白戦が終われば、監督の意見も訊いておきたいところだね。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
-
見たい
-
見たくない