試合結果は0対3。清本のソロホームラン3本による3点で私達の勝利となった。
「一ノ瀬さんでは和奈さんを抑え切るのはとても難しそうですね」
「うん。シンカー、シュート、カーブをそれぞれ初球で打っていたもんね……」
それぞれ違う変化球を綺麗にタイミングを合わせて打つなんて、簡単には出来ない……。清本はスラッガーとしてどこまで成長するのか計り知れないよ。
「瑞希ちゃん、朱里ちゃん、なんとか勝てたね……」
「勝てたのは完全に清本のお陰だけどね」
「そうですね。和奈さんと朱里さんがいなければ、人数の差もあって私達が負けていたでしょう」
確かにこっちの安打は全部清本のホームラン、私は相手打者を全員三振に抑えたけど、それでも二宮がいればなんとかなっていたんじゃないかと思ってしまうね。
「やったやった!私達の勝利!やっぱり正義は勝つんだよっ!」
「はづきさんは賑やかしでしたけどね」
「酷いっ!?瑞希ちゃんが賑やかしって言ったから、精一杯応援したのに!!」
まぁ二宮の言う事も事実なんだけど、橘がベンチに置かれたのも何かしらの理由があるからだと思うんだよね……。
「それで……はづきさんは試合を見ていてどうでしたか?一ノ瀬さんと、朱里さんのピッチングを見て……」
「……そうだね。朱里せんぱいも、羽矢先輩も、それぞれ唯一無二性を存分に発揮出来たピッチングをしてたよ」
「そうですか……」
(はづきさんに朱里さんと一ノ瀬さんのピッチングを見せる事によって、はづきさんのピッチングの新しい扉を開かせる事が出来ると思っての采配でしたが、予想よりも良い結果になりそうですね)
「はぁ……。7イニング投げたのは久し振りだし、ちょっと疲れたよ」
「朱里せんぱい!クールダウンのキャッチボールをしましょう!!」
「……良いよ」
今日の試合は今までで1、2を争う最高のピッチングだった。リトルの頃には決して出来ない柔軟性がシニアで得られた。
(でも壊した右肩を諦めるつもりはない……。肩の痛みはもうなくなってるし、リハビリも順調。高校、大学に上がる頃にはまた右投げで復帰出来るようにしないとね)
橘とキャッチボールをしながら、私の頭の中でこれからの計画を練り始める。これ等が上手く実現出来れば、両投げの投手になれる。少し大きな野望ではあるけど、きっと実現出来る筈……。そう信じて、私は今日もボールを投げる。
某所では2人の女性が通話していた。
『それで負けたんだ?』
「まぁね。やっぱりあの子達は強かったよ」
『正直朱里ちゃんと瑞希ちゃんが組めば、無敵と言っても過言じゃないバッテリーだもんね。少なくとも日本のシニアであの2人に勝てる子はいないね。打てるなら、同じチームの和奈ちゃんくらいじゃない?』
「そうだよな……。あの3人が向こうに付いた時点で負けは確定したと思ってた。実力もだけど、強固な絆で結ばれてる……そんな感覚もあったよ」
『リトルが一緒だから……か。私もそんなにパートナーがいればね……』
「今バッテリーを組んでる奴は違うのか?」
『良い投手ではあるよ。多分世界一と言っても過言じゃない。でもなんか……ねぇ?』
「性格的に危うい……?」
『まぁそんなとこ。なるべく私や後輩達の方でもその子の事は見てるけど、何れは……』
「アメリカから日本に来る……か」
『本来なら私もそれに付き添うべきなんだろうけど、ちょっと難しそうでね。可能なら、そっちからもあの子の事を見ててほしいんだ』
「私は君同様に各地を渡り歩いている……。約束は出来ないぞ?」
『可能な限りで良いよ。いざとなったら、私の後輩2人を付けるしね』
「まぁこっちに来たら……で考えるよ。でも彼女がアメリカにいる間はそっちで見てろよ?リリ・フロイス」
『了解したよ。天王寺さん』
ブツッ……!
「さて……。私の予想だと3年くらいで風薙彼方は日本に来国する筈。そこから彼女の行きそうな所を予測して、それから……」
女性は自分の方針を念入りに確認する事にした。未来の為に……!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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