ハイスクールD×D 漢女な部長はとてもすごいです 作:へびひこ
「全員がそろうのはなかなか壮観ね」
部長は上機嫌だ。
深夜の部室に部長率いる
部長が普段通りなせいか、室内の雰囲気はこれから戦いが始まるというのに意外なほど落ち着いていた。かくいう俺も特に緊張してはいない。
「みんな、自信を持ちなさい。あなたたちはすでに全員上級悪魔レベルの実力者よ。ライザーの所の雑魚程度なら楽勝。数人居た上級悪魔クラスにも劣らないわ」
現在の部長はいつもの部長だ。『王様モード』じゃない。
それでもどこか安心していられるのは俺たちが彼女の実力を認めているからだろうか。
「存分に実力を示しなさい。あなたたちなら出来るわ」
部長はこのレーティングゲームを俺たちのお披露目と考えている。
例のメイドさんからこのレーティングゲームを魔王様が観戦しに来ると聞いていたから『私の眷属の晴れ舞台ね』と喜んでいた。
正直自分が負けるとはあまり思っていないらしい。俺も部長が負けるとは思わないけどさ。たとえ俺たちが全滅しても部長一人で全員粉砕しそうだ。
「私一人でもたぶん勝てるけど、それでは意味がないわ。あなたたちも十分実力を示しなさい。特にイッセーは上級悪魔を目指すのでしょう? ここで活躍しておけば確実に魔王様の目に止まるわ」
非公式のレーティングゲームとはいえ実質リアス・グレモリー眷属のデビュー戦だ、記録も残るから活躍すれば今後の評価も良くなると部長は説明してくれた。
眷属最弱の雑魚だった俺。その夢とも言えない戯言を憶えてくれていた事とその気遣いに感激した俺が一層奮起して「がんばります!」と返答したのは当然だろう。
さてさて現在の俺はもう『眷属最弱』ではない。
俺が眷属になる以前は小猫ちゃんが最弱だったらしい。そしてその看板は俺に引き継がれ、あの『十日間の修行』という悪夢のおかげで俺たちは全体的に大幅なレベルアップを果たした。
「怖いですぅ。戦いよりも周囲の人が怖いですぅ……」
俺の真横に居座るダンボール箱から情けない声があがる。
みんなが修行で悪夢を見ている中、眷属の中でただ一人その修行に参加しなかった人物がいる。
例の引きこもり『僧侶』だ。
部長は声をかけたのだが頑として部屋を出なかった事と、元よりある程度の実力者であった事から強要せずに修行に不参加となった。
結果、『僧侶』以外の全員がレベルアップ。おかげで晴れて眷属最弱に転落したわけだ。
それでも修行前の時点で朱乃さんに次ぐ実力者であったらしい。つまり上級悪魔クラスだ。
でもその下にいたはずの木場、小猫ちゃん、俺がさらに力を伸ばしたためごぼう抜きをくらい。めでたく俺が背負っていた『眷属最弱』という看板は彼(?)に譲られた。
「最弱……僕が最弱……あの修行はなんだったんだろう? というか僕はやっぱり役立たずなんだ……」
それを聞いたときは絶望した表情をしていた。小猫ちゃんが勝ち誇った笑みを浮かべてさらに彼を泣かせていた。実はライバル心でももっていたのだろうか?
彼の名はギャスパー・ヴラディ。
見た目は美少女な男の娘だ。小猫ちゃんとどっこいの小柄な背丈と気弱な表情もあって見た目まったく強いようには思えないが、かつては朱乃さんに次ぐナンバーツーだったらしい。
『
当初は制御がまったく出来ず。暴走させては周囲の時間を無差別に止めていたらしい。
それを危険視されて封印処分をくらったのだが、そこは眷属を『我が愛し子』と言い切る我らが『王』はその処分に激怒し『制御出来ればいいのでしょう!?』とギャスパーを無理矢理引っ張って修行をつけて、見事神器を制御させる事に成功したらしい。そのおまけとしてその時点で上級悪魔レベルの実力を身につけたとか。
「アレは悪夢でした。というか不良品でポンコツな僕をこの機会に処分しようとしていたのではないかと今でも思います。アレはちょっと手の込んだ拷問か処刑でした」
どこかで覚えのある感想を涙ながらに語った。俺と木場は無言で彼の肩を叩いていた。直後にびくりと怯えてダンボールに隠れられたのはちょっと傷ついたが。
「ごめんなさいぃ! でも僕は人が怖いからそんな気軽に触れないでくださいぃ! 心臓が止まるかと思いましたぁ!」
かくして封印処分は撤回されたものの彼はどうにも対人恐怖症の気があり、しかも部長の修行を受けてそれが悪化。引きこもりになったというわけだ。
旧校舎の一室に住み込み、まったく出てこない生活をしていたらしい。悪魔の仕事もパソコンとネットを駆使して行い。実は眷属一の稼ぎ頭だったりする。
「オカルト研究部の部長としてはきちんとみんなと交流して欲しいのだけど、これ以上無理強いするのもねぇ……一応やることはやっているのだし」
一応仕事はしているので部長も強くは言い難く、下手に実力もあるのでますます外へ連れ出す口実がなく。ときおり説得する程度にとどめていたらしい。
今回も駄目でもともとと説得に向かったのだが、そんな部長に小猫ちゃんが『魔法の呪文』を吹き込んだ。
「ギャスパー、もしこのまま引きこもりを続けてこのレーティングゲームにも出ないつもりならネット回線を物理的に破壊するわよ?」
こんなので効果があるのかしらと疑問に思いながらも小猫ちゃん直伝の『魔法の呪文』を唱える部長。
「やめて! ゆるして! ごめんなさいぃ!」
反応は部長の予測を超えた。即座に閉じられていた彼の自室の扉が開き、飛び出してきたギャスパーは部長に土下座したらしい。
「あなたは鬼ですか!? いえ悪魔だけど極悪すぎです!? 僕からネットを取り上げたら僕は生きていけないじゃないですか!? どうやってお仕事するんです? どうやってお洋服を買うんです? そもそもご飯だってネットがなければ注文できないじゃないですか!?」
そう涙を流して『それだけは許して』と懇願したらしい。
まぁ……引きこもりからネットやパソコンを取り上げるのは、確かに効果がありそうだな。それを思いついた小猫ちゃんって実は腹の中に黒いものがあったりするの? うちの女子で小猫ちゃんだけはまともだと思っていたのに……。
「うう……僕の引きこもりライフが……僕の楽園が……」
今後も引きこもり続けるならいつでもネット回線を破壊すると脅しあげられ涙を流してきちんと外に出ると約束した。
なんか哀れだった……小猫ちゃんはイイ笑顔で今にも指さして笑いそうだったし、朱乃さんはいつもの笑顔でただ見ているだけ、部長はむしろ引きこもりをやめてくれるなら大歓迎と上機嫌。木場は特になにも言わずにいつものなに考えているかわからない爽やかスマイル。誰も助け船も出さなければ励ましもしない。
実はこいつこの部に味方がいないんじゃね? ……せめて俺だけでも優しくしてやろうと決めた。
そして現在、ダンボールをかぶって俺の横に隠れるように座り込んでいる。小柄なため身体が完全にダンボール箱で隠れている。
「そういえばなんかのゲームでダンボールに隠れて敵をやり過ごす主人公がいたような……」
あまり詳しくないがネタ動画を見た記憶がある。
その時は特になにも思わなかったが、実際に見ると違和感がひどい。俺が敵兵ならこんな不審物を見かけたら試しに二、三発撃ってみようと思うだろう。
自己紹介以降、彼はダンボールに隠れたままだ。
なにやら『眷属最弱』と小猫ちゃんに鼻で笑われたのが堪えたらしい。今まで眷属で上位の実力者で稼ぎ頭というのを拠り所に引きこもっていたのにいきなり眷属最弱に転落したら、それはショックだろう。
「ギャスパー・ヴラディですぅ……よろしくお願いします……」
半泣きで自己紹介した時になにやら可愛らしいワンピースを着ていたからてっきり女の子かと思ったが、木場が苦笑して俺に忠告してくれた。
「彼は男だよ。もっともそうは見えないから、僕としてはどう接したらいいか困るんだけどね」
最後の眷属は女装趣味の引きこもり。救いはその姿が普通に美少女な所か。
聞けば元はハーフヴァンパイアというヴァンパイアと人間のハーフだったらしい。ハーフでも神器が宿る事があるんだな。人間にしか宿らないと聞いていたけど。
ごく自然に女装少年を受け入れた俺とアーシアにギャスパーはちょっと驚いていた。
「あの、お二人は……『このオカマ野郎』とか『夢見させやがって詐欺野郎』とか『生まれて来る性別を間違っている。もういっぺん生まれ直せ』とか言わないんですか?」
いくら俺でもそこまでは言わん……いや以前の俺なら美少女と見せかけて男の娘だったら文句の一つも言ったかもしれない。
だが今の俺は漢女の下僕であり規格外の元聖女に悩みながらもがんばって生きている人間、いや悪魔だ。いまさら女装の似合う男の娘程度ならむしろ普通に思える……俺の常識は順調に壊れているなぁ……思わず涙が浮かんできそうだ。
「個人の自由だと思いますから気にしませんよ」
「まぁ、似合っているからいいんじゃないか? アーシアの言うとおりその程度なら個人の趣味だろ?」
アーシアがおおらかに微笑み。俺もそれを肯定すると彼はまるで救いを見いだしたような笑顔になった。なんというか敬虔な信徒が神の降臨を見た感じ? そこまで追い詰められていたのかおまえは?
「イッセー先輩はいい人ですね!」
そう言って何故か俺に懐いた……チョロすぎない? 実は理解者に飢えていたのか?
俺の横が定位置になったらしく俺の横にダンボールをかぶって待機している。俺はソファーに腰掛けているんだが、横に視線を向けると人一人はいっているダンボールがある光景は居心地が悪い。
「ギャスパー、普通に座ったらどうだ? それじゃ落ち着かないだろう?」
「いえ、こうしていると心が落ち着くんです。ダンボールって最強の心の防壁だと思います」
……俺が落ち着かないんだが。
「なんで俺のそばにいるんだ? アーシアでもいいじゃないか」
「イッセー先輩のそばだと落ち着くんですぅ……お二人とも僕のことを馬鹿にしないし」
どうも自分の趣味を肯定してくれた俺たちに懐いているらしい。他は多かれ少なかれギャスパーの女装癖に否定的だったらしい。
部長には『アレは邪道』と怖がって近づかない。朱乃さんは『あの人は目が怖い』と言って近づかない。木場は『なに考えているかわからなくて怖い』と近づかない。小猫ちゃんにいたっては『小猫ちゃんは僕を苛めるから嫌い』と断言していた。
小猫ちゃん。君はいったいギャスパーになにしたんだよ……あとギャスパー、どんだけ対人関係が苦手なんだ? 俺らがいなかったらマジで孤立していたじゃねぇか。
「……あとあの人はいい人だと思いますけど、今は物騒すぎて近寄れません」
ギャスパーがアーシアを微妙な目で見る。表情が『この人はいったい何者なのだろう?』と語っている。
その意見には俺も同意する。というかこの場にいる全員がアーシアから距離を取っている。
以前見かけたシスター服に漆黒のコートを羽織っているのだが、纏っている雰囲気が物騒すぎる。近づいただけで肌がぴりぴりするような気がする。
「アーシア、あなた本当に大丈夫なの?」
「問題ありません。最初は痛かったですけどコツをつかめば簡単でした」
部長の怖々とした問いにも平気な顔をして『対悪魔用武装』で重武装しているらしいアーシアは平気な顔で笑っていた。
神の祝福を受けた武器をいろいろコートの中に仕込んでいるらしい。おかげでその聖なるオーラが漏れてきて悪魔的にすごく怖い。よくアーシアは平気だな……。
「非常識な……」
部長が頭を抱えている姿はある意味レアだ。みんな部長を見てそうやって頭痛やら胃痛やらおこしているんです。これを機会に少しは我が身を顧みてください。
「ふふ、みんながどれほどやれるのか、楽しみね。修行の成果を期待しているわよ?」
グレモリー眷属は『王』リアス・グレモリーを最大戦力としている。
その実力は最上級悪魔クラスと評価されているが本人が言うには『本気出せば最上級悪魔も殺せるし、魔王様とも殴り合える』らしいから、部長の見立てでは上級悪魔の上位クラスでしかないライザーさんに負ける要素はないらしい。実際ただ勝てばいいのなら開幕直後の一発で終わると断言する。
そんな部長だが今回の事を眷属の顔見せと晴れ舞台と認識しているため、よほどまずくならない限り前へ出る気はないと宣言した。
つまり俺たちは『王』という最強戦力をあてにする事なく勝利を目指すのだ。俺としては望むところでもある。
「部長の手を煩わせることはありません。すべて私たちで始末して見せますわ」
『王』の護衛に『女王』姫島朱乃がつく。護衛というよりも部長に挑む身の程知らずを蹴散らすという意味の方が強い。現在のグレモリー眷属のナンバーワンをアーシアと争う最強戦力の一人だ。
「朱乃、今回は全力を出しなさい。あなたの美しい姿を私に見せてちょうだい」
「はい……リアス様の望みのままに」
なんか怪しい空気を出しているが無視する。全力を出せば以前もアーシアに負ける事はなかったらしい。
普段は『その力に頼らずにどこまで出来るか試したいのですわ』と封印している力らしい。が、部長の命令とあらばこの人が断るわけがない。おそらくまったく遠慮する事なくその『全力』を振るうだろう。
少し楽しみなような。怖いような。
「ふふっ、楽しみだね。新技もあるし切り札もある。フェニックス相手なら存分に試せそうだよ」
修行により上級悪魔クラスの力を手に入れた『騎士』木場祐斗。
彼は先陣を務める事になる。というか小猫ちゃんと俺を含めて三人でチームとして動く。これは俺たちの連携が一番眷属の中で優れていると部長が判断したためだ。
神器『魔剣創造』の熟練度は修行前の比ではなく。その戦闘力も比較にならない。はっきり言って一人で無双できそうな戦力だったりする。
三人の中では特に近接戦闘のセンスで群を抜いている。俺と小猫ちゃんの二人がかりでも近接限定なら木場には苦戦する程だ。
「……立ちふさがるモノすべてを粉砕して見せます」
修行によって凶悪に魔進化した『戦車』塔城小猫。
修行によってもっとも成長著しかったのは彼女かもしれない。今までは扱いきれなかった彼女の種族の能力や『仙術』という特殊スキルを使いこなすようになったため、並の悪魔では対抗手段がないという凶悪な攻撃をかます最強のアタッカーになった。
それまで知らなかったが彼女は元は人間ではなく猫の妖怪だったらしい。言われてみれば猫っぽくも見える。今までは未熟だからその能力を使いこなせなかったらしいが、あの修行で何度も死にかけているうちに使いこなせるようになった。
彼女がその特殊スキルを最大活用すると俺と木場でも苦戦する。そのぐらい凶悪なスキルなのだ。彼女にだけは俺の必殺技を『エグい』とか『卑怯』とか言われたくない。
「私たちならたぶん問題ないと思います。まともに敵になりそうなのはフェニックスさんご兄妹くらいでしょうか? 不死身に近い再生能力はめんどくさそうです……まぁ、再生の余地なく殲滅してしまえば問題ないのですけど」
そして
個人スペックが突き抜けている彼女は当初の予定では単独行動のはずだったが、ギャスパーの参加によって二人で組む事になった。
ギャスパーが涙を流して絶望していた……強く生きろ。あとたぶん危険はないぞ? アーシアさんがすべて殲滅してくれるからな!
彼女は『気合いと根性』で大抵なんとか出来てしまう戦闘能力と身体能力を持つが、彼女の本領は莫大な魔力による大規模破壊である。もし開幕に一発ぶちかませばライザーさんの眷属の大半が落ちるだろうと予想されている。
今回は全員に活躍して欲しいという部長の意向により、正面決戦を避けて迂回路を進む敵の迎撃に向かう予定だ。
正直向かってくる敵が哀れだ。素直に正面から来ればまだマシな俺たちと当たるだけなのに。
彼女の武装を少し見せてもらったが凶悪きわまりない。木場は『聖剣よりマシだけど、並のエクソシストが使う対悪魔用武装よりはるかに凶悪』と顔を引きつらせていた。
ちなみに聖剣とは対悪魔用の切り札的な武器らしい。当たれば上級悪魔でも一撃で瀕死になるレベルだとか。木場は『当たれば痛いなら当たらなければいいんだよ。聖剣ごとき、その程度さ』とイイ笑顔で言い。部長は『聖なる武器とはいえしょせんは力、それを上回る力を持ってすれば問題ないわ』と仰っていた。
「アーシア先輩と一緒って僕は大丈夫なんでしょうかぁ? というかこれ僕いらなくないですか!? どう見ても過剰戦力でしょう!? ……僕も修行受ければ良かったかな……でも怖いし、痛いのもイヤだし、今度こそ殺されそうな気もするし」
飛び入り参加に近い『僧侶』ギャスパー・ヴラディ。
『十日間の修行』に参加していないためもっともレベルが低いがそれでも上級悪魔クラス。ライザー眷属の大半より強い。
アーシアのサポートとして同行するらしいが、正直俺も彼の出番があるのか不安だ。
あのアーシアさんが対悪魔用武装で戦うんだぞ?
もう敵を発見次第殲滅しかねない。俺と木場と小猫ちゃんが三人で挑んでも互角に戦えるんだぞ? それが悪魔用の武装を使って戦うとかどんな悪夢だよ。俺なら絶対に戦いたくない。
でも実は強いらしいからたぶん心配はないだろう。神器もあるし。
眷属最弱とはいえ正直今のグレモリー眷属は平均レベルがおかしな事になっているらしいからな。
「修行もした。手札も増やしたし切り札もある。対フェニックス戦の作戦も練った。だいじょうぶ。俺たちはやれるさ!」
そして俺、『兵士』の兵藤一誠。
木場と小猫ちゃんと組んで先陣として突っ込むのが役目。
おそらく主戦場でもっとも多数の敵と戦う事になるだろうが、木場と小猫ちゃんがいるなら心配はいらない。得意のスピードと魔剣による一撃必殺で対多数戦の得意な木場と、圧倒的パワーと破壊力で少々の防御などぶっ飛ばす小猫ちゃんがいるのだ。
修行により俺の必殺技はより進化した。
木場に『ある意味卑怯』と愚痴られ、小猫ちゃんに『エグい』と文句を言われ、部長にまで『顔に似合わず容赦ないのね』と評された。
……そんなにひどい技だろうか? 普通に回避不能で防御無視という方向性で考えただけなんだが?
全体的にスペックが向上しているため素の状態で上級悪魔クラス。なので『赤龍帝の籠手』を使うととんでもない事になる。使えば朱乃さんやアーシアとも戦えるほどだ。
しかし神器で底上げした力など実力ではないと俺の眷属内での評価は基本的に神器抜きの評価。同じ神器持ちの木場が神器込みで評価されていることを思うと理不尽な気もする。
だがよく考えてみれば俺の神器はチートくさい能力を持つ神滅具だ。
俺も神器だよりの最強になってもあまり嬉しくない。身近に身一つで最強を体現する漢女や素のスペックで規格外と評価される元聖女がいるから余計強く思う。
『条件付眷属最強』それが俺の現在の評価だ。切り札さえ切れば、間違いなく『王』に次ぐ戦闘力がある。
以上が今回の俺たちの陣容だ。人数で劣るし経験でも負ける。
けれど個々の能力値ではむしろ圧倒しているというのが部長の見込みで、『最初からある程度全力で潰しにいきなさい。初撃で数を減らせばまず負けない』と指示されている。
ただし油断はするな。戦場で油断すれば死ぬと忠告されたが。
レーティングゲームでは安全装置があるらしく滅多に死なないらしい。負傷はしても死亡は滅多にない文字通りゲームなのだ。
しかしまったくないわけではない。即死級のダメージなら安全装置をブチ抜いて死ぬこともある。殺されることもある。
「だから油断しないで……あと出来れば殺しもなしにして、特にアーシアと祐斗と小猫とイッセー。四人の技は即死級のダメージを与えかねないから気をつけなさい」
レーティングゲームで対戦相手を殺しても事故であり責任を問われたりはしない。
けれどそれも度重なれば不祥事ととられ経歴に傷がつく、特に出世を望む俺は注意するように念を押された。
……俺の技は基本的に必ず殺す技と書いて『必殺技』だしなぁ。
もちろん手加減はするけど、相手が強敵だとちょっと自信がない。
木場も小猫ちゃんも狙えば即死させられる攻撃力を持つ。狙わなくても運が悪ければ死ぬかもしれない攻撃力があるので油断出来ない。
アーシアはさらに対悪魔用の聖なる武装つきだ。注意をうながすのも当然だろう。
「お時間です。ご用意を」
いつかのメイドさんが現れ開始時間を告げる。
部長がにやりと笑って眷属たちに声をかけた。
「さぁ、あなたたちの晴れの舞台よ……存分に武勇を示し、美しく踊りなさい!」
「承知! 王の命のままに!」
全員が声をそろえて答えると部長が少しびっくりした顔になった。
実は俺の発案だ。こういう場面ではいっせいに声をそろえて『御意』とか『仰せのままに』とか言うのがお約束だろう?
部長は満足げに一笑いすると一瞬『王』の顔をした。
「皆の力を示せ! 我らが力を示せ! その武勇が人々の語りぐさとなるがように!」
『王』の言葉に俺たちはいっせいに頭を下げた。この時ばかりはギャスパーもダンボールから顔を出して神妙に頭を下げた。
「征きましょう。我が愛しき眷属たちの晴れ舞台へ。不死鳥を地に叩き落とすために」
部長の言葉に俺たちはそれぞれの表情で決意をみなぎらせた。
レーティングゲーム開始直前状態。
ギャスパーを登場させました。
活躍の場はあまりないと思うけど。好きなキャラなので出してみました。
うちの漢女リアスが神器を制御出来ないなんていう『失態』を許しておくわけがないのですでに矯正済み。
でも『十日間の修行』をサボったおかげで眷属最弱に転落。それでも上級悪魔クラス。グレモリー眷属の平均レベルがおかしい……。
ギャスパーを登場させるか? アーシアのキャラを変更するか? といろいろ悩んだ今回です。