ハイスクールD×D 漢女な部長はとてもすごいです   作:へびひこ

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第三話 俺は俺なりに強く生きていきたいと思います

 

 眷属の顔見せが終わって俺は下校した。

 漢女、リアス先輩は自分を部長と呼ぶように言ってきた。この学校では自分はオカルト研究部の部長だからと。なにかこだわりがあるのかもしれないので俺も素直に部長と呼ぶことにした。

 

 姫島先輩は朱乃さん、塔城さんは小猫ちゃん、木場祐斗は木場。それぞれそう呼ぶことになった。俺のことは『イッセー』と呼んでくれと伝えた。友人はそう呼ぶからと。

 

 文句みたいなことを言ったが俺は部長に感謝もしている。

 

 部長のおかげで俺はまだ生きているんだ。

 部長は俺を見殺しにすることも出来たはずだ。見ず知らずの人間を助ける理由はないと。

 

 悪魔に転生させるのだって駒をいくつか試して『兵士』の駒すべてを使わなければならないと判断した時点でそこまでする価値はないと見捨ててもおかしくなかった。なにしろ駒をすべて使ってしまったら部長はもう『兵士』を増やせないのだから。

 

 なんの神器をもっているのか不明だった相手に手持ちの『兵士』の駒すべてを使って今後『兵士』を増やせないようにするのはリスクが高すぎる。普通躊躇するだろう。

 

 例えそれがそこまでしなければ転生できない価値があると俺と俺の神器を買いかぶった誤解から来たものであっても、やはり結果を見れば部長は俺の命の恩人なのだ。

 

 いや誤解だからこそ、俺は少なくとも『兵士』の駒八個分の恩を返さなければならないだろう。そうしなければ俺の気が済まない。少なくとも役立たずのままでは終わりたくない。何か一つでもいい。部長のためになる事をしたい。

 

 それに生きていればやれることもある。両親に息子が殺されたと悲しませないことだって出来るし、がんばれば出世して立派な男になって彼女の一人ぐらい出来るかもしれない。

 

 ハーレムは、まぁ努力目標って所だな。

 

 神器も現状では役立たずで俺自身もたいした特技はないと思う。『兵士』の駒八個って何かの間違いじゃないのか? そう疑問に感じるほど自分がどこまでやれるのか不安ではある。

 

 人間でなくなったという実感はまだあまりない。

 多少日差しが辛い。朝が辛い程度だ。ほんの少し体調が悪いのかなと感じるぐらいの問題でそれほど深刻には受け止めていない。悪魔としての自覚もきっとないのだろう。

 

 いつの日か悪魔になったことを悔やむ日が来るのだろうか。出来れば部長に救われてよかったと思えるような人生を生きていきたい。

 

 

 

 

 一人きりでぶらぶらと歩いているとついいろいろと考えてしまう。

 

 俺を殺した堕天使は天野夕麻と名乗ったがまず偽名だろうと朱乃さんが言っていた。

 部長も仕事の内だから探してくれると言ってくれたが俺はもう会いたくないと思っている。いまさらどんな顔をして会えばいいのかわからない。

 

 今朝は記憶が混乱していたが、今ははっきり思い出せる。

 

 俺は確かに夕麻ちゃんに殺された。

 

 夕麻ちゃんに告白されて、舞い上がって了承して、翌日にデートして、最後は盛大に馬鹿にされて殺された。すべて思いだしたさ。

 

 だからわからない。

 

 殺された恨み言を言って自分の仇を討てばいいのか。それともなぜあんなことをしたのかと問い詰めればいいのか。騙されていたとしても俺は確かにあの時夕麻ちゃんが好きになっていたと伝えればいいのか。

 

 ほんの一時とは言え、俺は初めて恋人が出来たと幸福に踊り上がらんばかりだった。

 結果は裏切られ嘲笑われて殺された。

 

 神器保有者だと思ったから近づいただけ。そしてまるで虫けらを踏みつぶすような手軽さで殺された。

 好きだと言ってくれたのに。手を握ってデートをしたのに。笑顔で話をしたのに。

 

 そのすべてが嘘だった。

 

 もしかして女という生き物はみんな、ああなのだろうか?

 利用できそうだからと近づいて、用済みだと笑って始末する。

 

 俺も浮かれすぎていて彼女の気持ちを思いやれなかったかもしれない。それでも一生懸命考えて精一杯喜んでもらおうとがんばったんだ。

 

 俺は、もしかして人に愛されることなんてない。それどころか愛される資格すらないんじゃないか? だからあんな事になったんじゃないか? そんな後ろ向きな感情が胸を蝕む。

 

 もし、もし俺にもっと何かがあれば夕麻ちゃんも俺を殺そうとはしなかったんじゃないか?

 

 部長だって言っていた。

 堕天使は危険と判断した神器保有者を殺しているが、有益だと思えば味方に引き込もうともすると。

 

 そして部長は俺を役に立つと考えて眷属に迎えたのだろう。結果神器はたいしたことなかったからがっかりしていたけど。

 

 俺にもっと何かがあれば夕麻ちゃんは笑って仲間に誘ってくれたんじゃないか、部長もがっかりした顔をしなかったんじゃないか。

 

「俺が選ばれた勇者とか英雄だったらなぁ」

 

 馬鹿げた妄想だと自分を笑いながらもそんな事を考えてしまう。

 そうであれば部長も眷属に迎えたことを喜んでくれただろう。神器が平凡でも最強の兵士だと言って。

 

 もしそんなすごい存在なら夕麻ちゃんも本当に俺のことを好きになってくれていたかもしれない。夕麻ちゃんから見てきっと俺はなんの価値もない存在に思えたのだろう。仲間にする価値もなく、生かしておく必要もないほどに。

 

 俺は一人でこっそり泣いた。

 自分の無力さが、なにもない平凡さが悔しかった。

 幸い誰にも会わなかった。不自然なほど人通りのない道を俺はあふれる涙を拭いながら歩き続けた。

 

 後ろからこっそり様子を見ていた紅い髪の漢女に俺は気がつかなかった。

 

 

 

 

 あれから悪魔としての下積みや勉強などを夜間の部活動で行った。

 悪魔になったせいか夜は調子がいい。昼間より元気だ。

 

 悪魔召喚用のチラシ配りのために自転車で町中を走り回った。

 人間だったときに比べればはるかにペダルが軽い。体力もあるので町中爆走しても息切れする程度で済む。人間のままだったら途中で倒れていただろう。

 

 部長達一人前の悪魔はそれぞれ使い魔をもっているらしく。その使い魔にやらせているらしい。俺もいつか使い魔を持つことが許されたら使い魔にやらせることになるはずだ。

 

 俺以外の全員が使い魔をもっていたのは覚悟していたががっくりきた。やはり俺だけ新米の見習いらしい。

 

 実戦も経験した。もっとも俺は見学していただけだったが。

 

 はぐれ悪魔という主人に反逆した悪魔。

 それをどこからかの命令を受けてグレモリー眷属が討伐に向かったのだ。

 

 怪物を連想させる異形の化け物をオカルト研究部のみんながいつもとはまるで別人のような活躍で倒した。

 

 

 

 俺たち部長の下僕。転生悪魔は与えられた駒ごとに特殊な能力が得られるらしい。

 

 木場の『騎士』なら、尋常でない速さを。

 小猫ちゃんの『戦車』なら、圧倒的パワーと防御力を。

 朱乃さんの『女王』などすべての駒の特徴を持っているまさに最強の下僕だ。

 

 そして俺の『兵士』はプロモーションという特殊能力がある。他の駒の能力を得る事ができるらしい。一番下っ端と思ったけれどよく考えたら結構強力な能力じゃないか?

 

 というかなんかちょっと駒の特性とかゲームっぽいな。

 普通に強い下僕を増やしたいなら全部女王の駒と同じようにすればいいんじゃないか?

 

 縛りありでルールの中で強力な陣営を整えるって発想はゲームっぽいよな?

 などと考えていたらあとで俺たち転生悪魔は主のためにレーティングゲームという戦いを戦うための駒でもあるらしいと知った。まさにゲームの駒であったわけだ。

 

 まぁ、それは後の話だ。

 

 

 

 怪物のような悪魔を木場は剣を使い『騎士』として凄まじい速度で斬り裂き、小猫ちゃんは『戦車』らしくとんでもないパワーで投げ飛ばした。朱乃さんは眷属最強の『女王』としてすごい雷を操って怪物を痛めつけ、とどめが部長だった。

 

「うぉりゃあぁあああああああああああ!!」

 

 その気合いの声に心底驚愕した。心臓が止まるほどとはこういうことを言うのだろう。

 普段はオカマっぽく声をつくっている部長が漢女パワー全開とばかりの腹に響く重低音ボイスを解放している。

 

 思わず聞き惚れてしまいそうな男らしいタイプの美声だ。声優になったらきっとダンディなオヤジ役で稼げるだろう。なぜ普段からこの声で喋らないのか心底不思議だ。

 

 この腰が抜けそうな威圧感の中でそんな馬鹿げたことを考えられる俺って実は大物なんじゃないかな? 実際はただの現実逃避なんだけどな! 怖すぎだろ、この部長。これなら普段のオカマな漢女の方がまだマシだ。あっちは気持ち悪いだけだがこっちは死にそうだ。

 

 息苦しいどころか身体がすくみあがって動かないほどの威圧感を振りまき、俺の心臓を握りつぶしそうなほどに気合いの入った重低音漢女ボイスが響き渡る。

 

 やっぱりあのマッチョな肉体ははったりじゃなかったと俺は震え上がったさ。それほど部長はすごかった。素人の俺でもそのとんでもなさが理解出来るほどに。

 

 凄まじい迫力と威圧感を解放した部長がのしのしと歩くと化け物さえ動きを止める。あの威圧感を正面から受けたらと想像しただけでいやな汗が止まらない。

 

 そして部長は怪物の頭をむんずとつかみ空に放り投げる。軽いモーションだったが怪物はどこまでも上空へすっ飛んでいく。まるでギャグマンガじみた光景にもはや俺は驚くよりもひたすら恐怖していた。いったいどんな怪力で投げられたのか。もしあれをやられたら俺はきっと大気圏を突破してお星様になってしまいそうだ。

 

 ちらりと視線を向けた『戦車』の小猫ちゃんは部長の放つ威圧感に内股気味でカタカタ震えながらもふいと視線をそらせた。パワーと防御力が売りと解説された『戦車』を軽く凌駕する『王』ってなんだよと呆れる。

 

 そして怯えているのが自分だけじゃないと安心もした。大丈夫だ。俺が臆病なんじゃない。部長が怖すぎるだけだ。

 

 実際木場も顔を青ざめさせて部長から距離を取り、朱乃さんはいつもと変わらない笑顔に見えるが絶妙に木場を部長に対する盾にするポジションを取っている……いざとなったら木場を盾にして逃げるつもりなのだろうか? 実は腹黒な人なのか? 朱乃さんは。

 

「心得違いの愚か者よ! 我が滅びの力を受け取るがよい!!」

 

 心なしか口調も変わっている。思わず覇王様と叫んで跪きそうだ。なんというか無駄に漢らしい。普段からこれなら物好きな女子が惚れるかもしれない。男でも心酔して子分になる奴が続出しそうだ。

 

 というか実は部長が魔王様だと言われても納得できそうな気がする。正直この迫力はないだろ。ありえないだろ。悪魔ってこんなのがうようよいるのか? 俺はそんな世界で生きていけるのか?

 

 そして部長の右手から極太の光線が発射された。なんというかアレだ。ロボットアニメのビーム兵器。それのとびっきり強力な奴みたいだった。

 

 例えるなら一発でロボットが蒸発してライバルキャラがあまりの威力に驚愕するやつだ。

 

 もちろん哀れなはぐれ悪魔も同じ運命をたどったさ。綺麗さっぱり消滅した。汚い花火にすらなれなかった。

 

 かわいそうに。部長の縄張りに来なければもう少し長生きできたかもしれないのにな。おまえ本当についてないよ。

 

「ふん、たわいもない」

 

 少し機嫌良さそうに口元を緩めて部長が笑う。でかいのをぶっ放してすっきりしたのだろうか? てかそういうセリフが本当に似合いますね。今後はそのキャラで統一した方がいいんじゃないですか? それで威圧感抑えめにすればきっと学校中の生徒が部長にひれ伏しますよ。

 

 ところであの破壊光線はどこまで飛んだのだろう。どこかの星を砕いたりしていなければいいけど。

 

「あ、そうか」

 

 俺はやっと理解した。部長があのはぐれ悪魔を空へぶん投げた理由。あれを地上に撃ったら大災害だろう。何人死ぬか想像も出来ない。だから空に放り投げた上で処理した。実は部長も考えていたんですね。

 

 ……ところで実は部長一人で地球殲滅できたりしませんか? これは聞けないな。どう考えても怖い回答が返ってきそうだ。

 

 そばで見ているだけなのに迫力でちびるかと思った。だって部長、世紀末世界で覇王として君臨しそうな迫力を周囲に振りまいたあげく、星もぶっ飛ばしそうな巨大砲撃ぶっ放したんだよ? 俺たちの至近距離で。

 

 周囲はと言うと木場が今にも倒れそうな真っ青な顔でふらついている。朱乃さんは木場シールドのおかげで割と元気そうだ。この人は要注意かもしれない。この次は俺を盾にしそうだ。

 

 目を見張ったのは小猫ちゃんだ。顔色を失ってぷるぷる震えて涙目なのは、むしろ可愛い。抱きしめて頭を撫でてあげたくなる。しかしスカートに隠された部分から太ももを伝って見間違えようもない色合いの液体が地面に垂れ流されている。

 

 以前の俺なら『美少女の、しかも小猫ちゃんのお漏らしシーンキタぁあああー!!』などと感涙して叫びそうだが、今の俺は同情の念しかない。

 

 あれを至近距離で目撃したらちびっても恥ではないと思う。俺も少しちびった。盛大に漏らさなかったのは貯水タンクの中身がたまたま少なかったおかげだろう。おかげでパンツが少し濡れたぐらいで済んでいる。

 

「小猫ちゃん……だいじょうぶか?」

 

 なんと声をかけていいかわからない。とりあえず傷ついていなければいいけど。さすがに心配だ。思春期の女の子が野外の人前で漏らすなど自殺の方法を調べるレベルの羞恥プレイだろう。

 

「……大丈夫です。予備のパンツは常備していますから」

 

 少し頬を赤く染めて恥ずかしがりながらも大丈夫だと答える。

 意外にしっかりしている印象だ。これなら帰宅した後でインターネットなどで苦しまない自殺方法を調べたりしないだろう。

 

 でも予備のパンツを常に持ち歩いているって、もしかして初めてじゃなくていつもなの?

 

 いくらなんでもそう聞くことは出来ない。ここはさりげなく察した顔をして引き下がるべきだろう。いくらなんでもこれ以上好感度を落としたくない。悪名つきなあげく初対面でやらかしているから余計だ。

 

 でもあの威圧感を浴びたら漏らすぐらいは覚悟するレベルかもしれない。俺も予備のパンツぐらいもっていた方がいいのだろうか? そのうちやらかしそうで他人事とは思えない。

 

 それにしても他のみんなもすごかったけど一人だけレベルが違いすぎる。他のみんながレベル十から二十の間ぐらいなら部長だけレベル五千とかあっても不思議じゃない迫力だった。

 

 俺? 俺はもちろんぴかぴかのレベル一さ。言ってて虚しいな、これ。

 今度部長……はやめた方がいい気がするから木場とか小猫ちゃんに特訓を頼もうかな。

 

「部長は『滅びの魔力』を受け継いだ方なのです。あれを受ければどんなものであろうと消滅し跡形も残りません。特に部長の威力は上級悪魔でさえ一撃で滅ぼせる威力がありますから、あの程度の相手には少々やりすぎでしたわね」

 

 朱乃さんがそう解説を入れてくれる。小猫ちゃんの失禁はスルーなの? マジでいつものことなのだろうか?

 それを聞いた部長がいつもの口調に戻って茶目っ気たっぷりに言い放った。

 

「私が本気になれば最上級悪魔だって滅ぼせるし、魔王様と殴り合いだって出来るわよ?」

 

 最上級悪魔って確か最強レベルの悪魔って事でしたよね? そして部長は上級悪魔だって説明されたんですけど? 実は上級だけど本気出せば最上級を殺せます。魔王様とだってガチでやれますって……。

 

 俺の主が強すぎて怖い。リアス様すごすぎでしょ? 確か魔王様って最強の人が選ばれたって習いましたよ。それと殴り合えるって部長って最強レベルって事じゃないすか。

 

「……俺がいる意味あるのか?」

 

 本気でへこむ。これでは本当にいらない子だ。

 

 そりゃ部長だってがっかりした顔ぐらいするだろう。兵士の駒八個分と期待すれば神器は平凡、本人もただの高校生だものなぁ。おまけに自分は最強クラス。いまさらただの高校生をたった一人眷属に招いてなんの足しになるのかって話だよ。

 

「修行すればイッセーやみんなもこのくらい出来るようになるわよ」

 

 笑顔で言う部長が怖い。この人本気で言ってるよ。

 朱乃さんが苦笑しているし、小猫ちゃんは目をそらすし、木場はありえないといいたげに肩をすくめている。

 

「僕らは僕らなりに部長の助けになれるようにがんばればいいんだよ。大丈夫だよ。イッセー君は神器もちなんだし、強くなればイッセー君の神器も重要になるしね」

 

 そばに寄ってきた木場が肩を優しく叩いてくれる。あ、やばい。涙が出そうになった。

 

「イッセー先輩はまだマシです。私なんて神器すらありません……『王』より腕力で劣る『戦車』に存在価値があるのでしょうか?」

 

 小猫ちゃんも近づいてきてぽつりと愚痴を漏らす。なんとも慰める言葉もない。パワーが売りなのに『王』はそれをさらに上回る超パワーの持ち主でした。これは自信だってなくすだろ。

 

 それとパンツ着替えなくていいの? と尋ねるのは自制した。

 

 よく考えたらここは屋外で高校生の女の子が着替えられるスペースなどない。

 夜中でしかも結界が張られているため人気はないが、俺たちがいる前でパンツを履き替えろと言ったらまた変態を見る目で蔑まれる。間違いない。

 

 きっと部室に戻ってから一人で着替えるのだろう。

 

 ある意味とんでもないお宝映像。美少女のお漏らしシーンを目撃したのにちっとも興奮できない。その後の恥じらいながら汚れたパンツの後始末をしている光景を妄想してさえちっとも煩悩を刺激しない。むしろひたすらに哀れだ。

 

 小猫ちゃんには優しくしてあげようと心に誓った。

 

「それを言ったら僕ら眷属全員部長より確実に弱いよ。全員でかかっても軽く潰されるだろうね」

 

 木場が自嘲すると言うよりもどこか諦めきった目で虚ろに笑う。こいつも地味にダメージがいっているな。ある意味小猫ちゃんより重傷だ。大丈夫か?

 

「きっと戦いにすらなりませんわね。一方的な蹂躙でしょう」

 

 木場の言葉を朱乃さんが肯定する。ため息交じりだがどこか誇らしげに聞こえるのは気のせいか? 自分の『王』が強いのはある意味自慢になるのか。弱い『王』よりかはいいのかもしれない。けれどあまりに強すぎるとこっちがどうしたらいいか困る。

 

 ゲーム序盤のパーティのリーダーだけがクリア後の裏ボスをぶっ飛ばせるレベルにいるようなもんだ。

 他のパーティがほぼいらない子状態。リーダー一人でゲームクリアして世界を救えそうだとなればパーティを組む意味がないだろう。荷物持ちぐらいにはなるだろうか?

 

「あの方は規格外(バグキャラ)ですから」

 

 朱乃さんの言葉が胸にしみこむ。実に的確な表現だ。むしろこれ以上の言葉はきっとない。

 

「みんなしてイヤねぇ。みんなも修行すればこのくらい軽いわよ?」

 

 笑顔で部長が断言するが。俺は断定できる。絶対無理だと。

 

「……百回生まれ変わっても無理だと思います」

「……きっと死ぬような修行をして強くなっても笑顔でひねり潰されるんだよ」

「……部長と凡人を一緒にしないでください。不可能なことは不可能なのですわ」

 小猫ちゃんが落ち込みがちに呟き。木場が虚ろな目で笑う。朱乃さんは心底迷惑そうな顔をした。

 

「……俺は俺なりにがんばります」

 

 俺はそう言うのが精一杯だった。

 

 どうやら俺の命の恩人は漢女で最強な悪魔らしいです。

 




一応いろいろ考えてはいるイッセー。

例えどんな理由があろうとも、例えその外見に生理的嫌悪感を抱こうとも命の恩人には変わりはないのです。

そして漢女リアスの片鱗を見て恐怖するの話。

ちなみに本気でリアスは修行すればみんな自分ぐらいになれると思っています。
無自覚の天才とかバグキャラって、ちょっとアレですよね。
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