遊戯王 プロフェッショナル・オーディナリー   作:紅緋

5 / 6
リアルでドライトロンはほぼ純正、イビルツインはジャンドと混ぜて作りました。
どっちも楽しい。
イビルツインはEXを真面目に考えればもっと楽しい動きできそう。
ハリファとかハリファとかハリファとか←

そして文字数が過剰気味になったので前半後半ではなく、複数話になってしまった非力な私を許してくれ…


ドライトロンVSイビルツイン②

「ふむ、私の先攻か」

 

 普段は後攻になることが多いが、今回のデュエルで恭子は珍しく先攻。

 手札のカード5枚に目を通し、先攻としては上々の手札に内心で微笑む。

 

「私は手札から≪サイバー・ドラゴン・コア≫を召喚。このカードが召喚に成功した時、デッキから【サイバー】または【サイバネティック】魔法・罠カード1枚を手札に加える。私は魔法カード≪サイバー・リペア・プラント≫を手札に加える」

「どうぞどうぞ。手札誘発で妨害できないんで好きなだけ回して下さい」

「ほぅ…」

 

 恭子の場に小型の機械竜、≪サイバー・ドラゴン・コア≫が現れ、その効果でデッキから特定のカードを手札に加える恭子。

 効果の発動時に≪無限泡影≫等で妨害されることも考えていたが、アイリスの『好きなだけ回して下さい』という発言で恭子の切れ長の目がキラリと鋭く光る。

 瞬間、アイリスは『あっ、何か余計なこと言ったかも』と後悔するも──

 

「では遠慮なく行こう。≪サイバー・ドラゴン・コア≫を対象に魔法カード≪機械複製術≫を発動。自分場の攻撃力500以下の機械族と同名モンスターを2体までデッキから特殊召喚する。≪サイバー・ドラゴン・コア≫は場・墓地では≪サイバー・ドラゴン≫として扱うため、デッキから2体の≪サイバー・ドラゴン≫を特殊召喚」

「えっ」

 

 ──時すでに遅し。

 恭子の代名詞とも言える≪サイバー・ドラゴン≫が一気に場に現れ展開。

 融合・エクシーズ・リンク召喚のいずれも可能な状況にアイリスは冷や汗を流しつつ、『まさかガチで展開する気じゃ…』と危惧し始める。

 

「私は≪サイバー・ドラゴン≫と≪サイバー・ドラゴン・コア≫の【サイバー・ドラゴン】を含む2体の機械族モンスターをリンクマーカーにセット! メインシステム起動、戦闘モード移行! リンク召喚! 現れよ、リンク2! ≪サイバー・ドラゴン・ズィーガー≫!!」

「──っ、初っ端からそれぇっ!?」

 

 現出したのは蒼雷纏う機械竜の≪サイバー・ドラゴン・ズィーガー≫。

 既存の≪サイバー・ドラゴン≫とは異なり、全身には青白く光るエネルギーラインが走っており、その体躯はやや巨大化。

 攻撃力自体は≪サイバー・ドラゴン≫と同じ攻撃力2100だが、先日のエキシビションデュエルでの活躍をライブ中継で観ていたアイリスにとって、その能力は厄介でしかない。

 思わず素っ頓狂な声が出てしまったが、恭子は気にせずプレイングを続行。

 

「次に手札から魔法カード≪サイバー・リペア・プラント≫を発動。自分墓地に≪サイバー・ドラゴン≫が存在する場合、2つの効果から1つを選んで適用する。私はデッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える効果を適用。デッキから≪サイバー・ドラゴン・ネクステア≫を手札に加える」

 

 慣れたようにデッキを回していく恭子。

 エキシビションデュエル以降、公の場では新規の【ドライトロン】ばかり使っていたが、彼女の原点は【サイバー】。

 自分の手足を動かすほどプレイングは頭と体に刻まれており、続け様に2枚の手札へ指をかける。

 

「手札にある3枚目の≪サイバー・ドラゴン≫を捨て、手札の≪サイバー・ドラゴン・ネクステア≫の効果発動。手札からモンスターカードを捨て自身を手札から特殊召喚する。特殊召喚に成功した≪ネクステア≫の効果発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分墓地の攻撃力か守備力2100の機械族1体を復活させる。私は墓地の≪サイバー・ドラゴン≫を復活」

「わぁー≪サイバー・ドラゴン≫が4体も…! ≪サイバー・ドラゴン≫が4体かぁ…」

 

 澱みない恭子のプレイングにアイリスは感動すると同時に、こめかみから冷や汗が流れ落ちた。

 【サイバー】は後攻を得意としていると聞いているが、だからと言って先攻を不得手としている訳ではない。

 恭子が所属する〈機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)〉の企業努力により、先攻でも後攻でも戦えるように【サイバー】には日々新規のカードが開発されている。

 ただ披露する機会がなかっただけであり、その場が偶然にもここだったというだけなのだ。

 

「私はレベル5・機械族の≪サイバー・ドラゴン≫2体でオーバーレイ・ネットワークを構築! メインジェネレーター直結、パワーバッテリー良好! エクシーズ召喚! 現れよ、ランク5! ≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫!!」

「うっ、今度はエクシーズ…!」

 

 次いで場に出現する≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫。

 既存の≪サイバー・ドラゴン≫の派生形態に見られる翼やら尾の砲門が装備されているモンスター。

 これで恭子の場には≪サイバー・ドラゴン≫系列のモンスターが3体。

 召喚権も使っており、これ以上の展開はないだろう──と、初見の者は思う。

 

「私は≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫のオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、効果発動。自分墓地から≪サイバー・ドラゴン≫1体を復活させる。蘇れ≪サイバー・ドラゴン≫」

「うっ、また≪サイバー・ドラゴン≫…」

 

 しかし【サイバー】の展開力はこれで終わらない。

 3体に減った機械竜が4体に増え、その内2体がエクストラデッキから特殊召喚されたモンスター。

 手札の状況にもよるが、ここからまたモンスターを出すのかとアイリスは身構えようとするも。

 

「手札から魔法カード≪融合≫を発動! 場の≪ネクステア≫と≪サイバー・ドラゴン≫を融合! ハイブリッドエンジン始動、コントロールクリアー! 融合召喚! 現れよ、レベル5! ≪キメラテック・ランページ・ドラゴン≫!!」

「うへぁ、融合までぇ──えっ、ちょ何か暴れてない? 大丈夫? その子大丈夫なの?」

「大丈夫だ、問題ない」

「あっ、はい。じゃあ大丈夫です……」

 

 身構えるより前に恭子の場にエクストラデッキから3体目の機械竜が姿を現す。

 今までの白銀のボディとは異なり、黒いコアと装甲を持つ≪キメラテック・ランページ・ドラゴン≫は、その名の通り召喚されるや否や怒り狂った蛇の如くのたうち回る。

 暴力的な姿にアイリスが不安を訴えるも、恭子は自信満々に断言。

 万が一、変に暴れて観客に被害が出たらと考えたアイリスだが、ランク2位が言うのだから大丈夫だろうと半ば条件反射のように首肯。

 

「続けるぞ。≪キメラテック・ランページ・ドラゴン≫の効果発動。1ターンに1度、デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地に送り、そのターン墓地に送ったモンスターの数まで追加攻撃できる」

「先攻1ターン目じゃ追加攻撃回数を増やしても……」

「何も攻撃回数だけが目的ではないさ。私はデッキから機械族・光属性の≪竜輝巧(ドライトロン)-バンα≫と≪竜輝巧-アルζ≫を墓地に送る」

「あっ」

 

 アイリスが呆けた声を出すのと同時に恭子のデッキから自動的に2枚のカードがシャコン、と音を立てて排出。

 その2枚をさらりと墓地へ送り、これで次ターン以降の準備は万全、と恭子は満足気に頷く。

 

「これで締めだな──私は≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫でオーバーレイ・ネットワークを再構築! ジェネレーター臨界点突破、パワーバッテリーアンリミット! ランクアップ・エクシーズチェンジ! 現れよ、ランク6! ≪サイバー・ドラゴン・インフィニティ≫!!」

「うわっ、そのモンスターは…!」

 

 盤面の完成形、とばかりに恭子は≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫を進化。

 新たな姿となり≪サイバー・ドラゴン・インフィニティ≫が雄々しく顕現するが、アイリスは辟易したような表情になる。

 

「≪サイバー・ドラゴン・インフィニティ≫は自身のオーバーレイ・ユニットを1つにつき攻撃力が200アップする。よって今の攻撃力は2500だ。また1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除くことで、あらゆるカード効果の発動を無効にし破壊する効果を有している。最後にカードを1枚セットしてターンエンドだ」

「うぅ……」

 

 それもそのはず。恭子が説明したように1ターンに1度とはいえ、万能カウンター効果を持っているモンスターが厄介なハズがない。

 さらに2500という上級モンスター並の攻撃力を備えているのも嫌らしいとさえ思える。

 ならばカード効果を使わずにシンクロ・エクシーズ・リンクモンスター等で攻撃力2500を超えれば──と思っていたところに、エクストラモンスターゾーンの≪サイバー・ドラゴン・ズィーガー≫が『ここにいるぞっ!』と尻尾をビタンビタンとフィールドに叩きつけて自己主張。

 ≪ズィーガー≫の効果で攻撃力2100以上の攻撃力の機械族をバトルフェイズ中に2100アップさせるという、【神】すら殴り殺す殺意が溢れ出ているのだ。

 カード効果を回避しつつ、妨害役の≪インフィニティ≫、強化役の≪ズィーガー≫を次のアイリスのターンで除去しなければ、攻撃役の≪ランページ≫が攻撃力4200の3回攻撃をしてくる悪夢が待っている盤面。

 

(何なんですかこの状況…!)

 

 改めて突きつけられた状況にアイリスは内心頭を抱えた。

 最上位(トップランカー)とデュエルする機会など早々ないので、良い経験と言えば聞こえは良い。

 だが相手はランク2位の藤島恭子。

 どんなデュエルでも常に全力を以て自分を高め、常に全力を以て相手の戦術を捻じ伏せ、常に全力の殺意を以て相手を叩き潰す女帝。

 彼女相手に嬉々としてデュエルする者が居るとすれば、それはどこぞのランク9位のドラゴン厨や先ほど処理落ち退出した機械厨ぐらいであろう。

 真っ当な感性と常識を持つアイリスにとっては、恭子がまるでゲームのラスボスのように見える。

 

(こ、怖いよこの人…! 何で和戸君はこの人とデュエルした時のことをいつも楽しそうに話すのかなぁ!!)

 

 そしてその内心を今は(強制退出により)居ない和戸に吐き出す。

 本来であれば久々に同期とイベントで一緒の仕事のハズが、その同期のやらかしで相手方のお偉いさんが代役として務めを果たしている。

 だがそれはお偉いさんである恭子にはあまりにも役不足で、むしろ過剰戦力による過剰殺意でアイリスは涙目。

 

(い、イベントが終わったら和戸君にトリシューラ・プリンのトリプルセットを奢らせますっ! 絶対にっ!)

 

 悲しみを怒りに変えつつ、滾る熱意はそのままにアイリスは冷静に恭子の方を見る。

 モンスターゾーンには≪ズィーガー≫、≪ランページ≫、≪インフィニティ≫の機械竜が3体。

 魔法・罠ゾーンにはセットカードが1枚。

 手札は0枚。

 

 凶悪な布陣ではあるが、それを形成するために多くのカードを消費し恭子の手札は0枚。

 1度崩すことができれば、自分にもまだ勝機はあるハズだと冷静に分析。

 ここで理想的なドローができれば、と一縷の望みを託しながらデッキトップに指を伸ばす。

 

「アタシのターン、ドローっ!」

 

 内心で恐る恐る、といった風にドローカードを一瞥し、そのカードを確認したアイリスは一瞬にして歓喜の心に変わる。

 

「(最っ高のタイミングぅ!)アタシは手札から≪Live☆Twin(ライブツイン) キスキル≫を召喚っ! アタシの場に他のモンスター居ない時にこの子が召喚・特殊召喚に成功した場合、効果を発動っ! 手札・デッキから相方の【リィラ】ちゃんを呼ぶよっ!」

「初動を潰させてもらおうか。私は≪インフィニティ≫のオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き効果発動。≪Live☆Twin キスキル≫の効果の発動を無効にし破壊する」

 

 アイリスがカートゥーン調の赤髪ツインテールの少女、≪Live☆Twin キスキル≫を召喚して喜んだのも束の間、展開は許さんとばかりに恭子は≪インフィニティ≫の効果を使用。

 ≪インフィニティ≫の全身に赤雷が帯電し、即座にその雷撃が≪☆キスキル≫へと放たれ、コメディチックな泣き顔に。

 

「≪インフィニティ≫ちゃんの効果発動にチェーンして、場の≪☆キスキル≫と手札の罠カード≪光の護封霊剣≫を墓地に送り、速攻魔法≪禁じられた一滴≫を発動っ! 場・手札から墓地に送ったカードの数だけ相手の場の効果モンスターを選ぶっ! 選ばれたモンスターは攻撃力が半分になって、効果は無効化っ! さらに相手はこのカードの発動でコストで墓地に送ったカードと同じ種類のカードをチェーン発動できないっ! という訳で≪インフィニティ≫ちゃんと≪ズィーガー≫ちゃんは攻撃力半減で効果無効っ!」

「むっ、回避した上に弱体化させられたか」

 

 しかし、雷撃が直撃する直前で≪☆キスキル≫は脱兎の如く墓地(地面)へダイビング。

 俊敏な身のこなしで避けた後、顔だけひょっこりと出してあっかんべー、と舌を出して可愛らしく挑発。

 その光景に怒り──は覚えないが、呆れたように≪インフィニティ≫は困惑してやる気を消失、隣に居る≪ズィーガー≫も巻き添えのようにやる気と効果を失くした。

 

「ここで≪☆キスキル≫の効果が適用っ! デッキから≪Live☆Twin リィラ≫を特殊召喚っ! そして≪☆リィラ≫の効果発動っ! アタシの場に他のモンスターが居ない時にこの子が召喚・特殊召喚に成功した場合、手札・デッキから【キスキル】ちゃんを呼ぶっ! カムバックっ! ≪☆キスキル≫ちゃんっ!」

 

 ≪☆キスキル≫がまるで溶鉱炉に落ちるターミネイトマシンのようにサムズアップしながら地面(墓地)へと沈んでいく隣で、カートゥーン調の青髪ショートの少女、≪Live☆Twin リィラ≫がポンっ、と可愛らしく登場。

 キョロキョロと左右を見渡して自身を喚んだハズの≪☆キスキル≫の姿を探すが、相方は既に墓地。

 むぅー、と頬っぺたを膨らませると、やや乱暴にアイリスのデュエルディスクから1枚のカード(キスキル)を取り出し、持ち主のデュエルディスクに強引にセット。

 相方である(2枚目の)≪☆キスキル≫が再び場に現れ、その様子を見て満足気に頷くとその場に座り込む。

 まるで自分の仕事は終わった、とでも言うようにコテンと守備表示(横になった)

 呼び出された方の≪☆キスキル≫はそんな相方のやる気のなさに苦笑いし、瞬時に対戦相手と観客に向けてサムズアップ。

 『あいる びー ばっく』と丸っこいひらがなで書かれたプラカードまで準備する用意周到さ。

 

「ホントーだったらもうちょっとこの子たちのキュートな姿を見せたかったけど、相手が相手だからマジでいくよっ! アタシは≪☆キスキル≫と≪☆リィラ≫の【リィラ】モンスターを含むモンスター2体をリンクマーカーにセット! クールでパッションキメちゃって! リンク召喚! 出ておいで、リンク2! ≪Evil★Twin(イビルツイン) リィラ≫!!」

 

 ≪☆キスキル≫と≪☆リィラ≫がフィールドに現れたマーカーへ光となって吸い込まれ、左と下のアローヘッドが赤く発光。

 一瞬フィールドに眩い光が走り、その光の中から先ほどまでとは異なる【リィラ】がその身を晒す。

 黒い衣装に身を包み、パーソナルカラーの青色の翼を持った小悪魔、≪Evil★Twin リィラ≫が現れる。

 

「リンク2のモンスターか……だが攻撃力は1100。その程度の攻撃力では、弱体化した私の機械竜にも劣るぞ?」

「まぁまぁそんな焦らずにっ。アタシは≪★リィラ≫ちゃんのモンスター効果発動っ! 自分場に【キスキル】ちゃんが居ない時、自分・相手メインフェイズに自分墓地から【キスキル】ちゃんを特殊召喚っ! またまた登場っ≪☆キスキル≫ちゃん!!」

 

 先ほどはコミック的アクションで≪☆キスキル≫を呼び出したが、≪★リィラ≫は自身の青い尻尾を地面に突き刺し、地中から≪☆キスキル≫の首根っこに尻尾の先端を引っ掛けてフィッシング。

 『釣られたーっ!』のプラカードを片手に悪戯っぽい笑みを浮かべた≪☆キスキル≫が3度(みたび)フィールドに現れる。

 

「蘇生効果持ちか。となるとリンク3狙いか?」

「ちっちっち、違うんだなーコレがっ! アタシは≪☆キスキル≫と≪★リィラ≫の【キスキル】モンスターを含むモンスター2体をリンクマーカーにセット! キュートでパッションキメちゃって! リンク召喚! 出ておいで、リンク2! ≪Evil★Twin キスキル≫!!」

 

 ≪☆キスキル≫と≪★リィラ≫がフィールドに現れたマーカーへ光となって吸い込まれ、右と下のアローヘッドが赤く発光。

 一瞬フィールドに眩い光が走り、その光の中から先ほどまでとは異なる【キスキル】がその身を晒す。

 黒い衣装に身を包み、パーソナルカラーの赤色の翼を持った小悪魔、≪Evil★Twin キスキル≫が現れる。

 

「むっ、対となるリンクモンスターか……ということは」

「流石ランク2位、察しがイイっ! アタシは≪★キスキル≫のモンスター効果発動っ! 自分場に【リィラ】ちゃんが居ない時、自分・相手メインフェイズに自分墓地から【リィラ】ちゃんを特殊召喚っ! もっかい登場っ≪★リィラ≫ちゃん!!」

 

 先ほどまでの陽気な姿とは一転、妖艶な笑みを浮かべた≪★キスキル≫は自身の赤い尻尾を地面に突き刺し、竿を上げるように勢いよく振り上げた。

 すると尻尾に掴まっていた≪★リィラ≫が一本釣りされた魚のように空高く飛び──落下。

 しかしだからと言ってそのまま落ちるようなことにはならず、すかさず≪★キスキル≫が華麗に横抱き──所謂お姫様抱っこでキャッチ。

 女性型モンスターでありながら、並のイケメン男性よりも絵になるアクションに女性ファンから『キャーっ!』と黄色い声援が上がる。

 抱えられた≪★リィラ≫の方も慣れたように妖しく微笑み、≪★キスキル≫の腕から脱出すると2人揃ってシャキーンとポージング。

 

「中々に個性的な動きをするカードだが──2体に増えたところで攻撃力は1100のまま。その2体でどう挑むか見物だな」

「ふっふーん、すぐに教えますよっ! アタシは特殊召喚に成功した≪★リィラ≫のもう1つのモンスター効果発動! 自分場に【キスキル】ちゃんが居る時に特殊召喚に成功した時、フィールドのカード1枚を選択し、そのカードを破壊っ!」

「むっ除去効果か」

「そのとーりっ! グッバイ≪キメラテック・ランページ・ドラゴン≫っ!」

 

 ぎゃるーん、とアイリスがウィンクしながらポーズを取ると同時に、≪★リィラ≫はどこからともなく手の平大のプレゼントボックスを取り出し、それを下手投げでゆっくりとスローイング。

 プレゼントが≪ランページ≫の足元に落ちた瞬間、ドォンッ!! とフィールドを揺らすほどの爆発が発生。

 ≪ランページ≫が居たであろう場所には破片すら残らず、完全に爆殺されたことがわかる。

 

(最近やたらと除去効果にあしらわれている気がするな……もう少し破壊耐性となるカードを入れるべきか…)

「破壊されるのは≪ランページ≫だけじゃないよっ! アタシは≪インフィニティ≫を対象に魔法カード≪シャイニング・アブソーブ≫を発動! 相手場の光属性モンスター1体を選択し、自分場の攻撃表示モンスターの攻撃力を、選択した相手モンスターの攻撃力分アゲるっ! ≪禁じられた一滴≫で攻撃力1150になっている≪インフィニティ≫の攻撃力分、≪★キスキル≫ちゃんと≪★リィラ≫ちゃんの攻撃力を2150にアップっぷっ!!」

「おっと全体強化か」

 

 むぅ、と恭子は最近あっさりと自分モンスターが効果破壊されてしまうなぁと耽っていると、それを落ち込んだと勘違いしたのかアイリスは手札のカードを使い2体の【Evil★Twin】を強化。

 使いどころに難がある(・・・・・・・・・・)カードに対し恭子は僅かに眉をひそめるが、すぐに普段の精悍な顔つきへ。

 

「お待ちかねのバトルっ! アタシは≪★キスキル≫ちゃんで≪インフィニティ≫を、≪★リィラ≫ちゃんで≪ズィーガー≫をそれぞれ攻撃っ!」

 

 2体の小悪魔【Evil★Twin】は赤雷と蒼雷を纏った機械竜に向け、それぞれ赤と青のハート型爆弾をぽーいと投げる。

 まるでアイドルがファンに向けてプレゼントを投げ渡すような気軽さで投げたそれは、2体の機械竜にポンっ、軽く当たり──直後に再びフィールドを揺るがす爆発。

 再び完膚なきまでに爆砕された機械竜に恭子は僅かに眉を下げ、対してアイリスは口角が上がる。

 

 各々の攻撃力差分、合計2300のダメージが恭子のライフポイントから引かれ残りは5700。

 4分の1以上のライフポイントが削られたが、まだライフポイントは半分以上ある。

 1ターンで殺してくる(1ショットキル狙い)相手に慣れているためか、恭子に動揺はない。

 

「よーし、これで恭子さんのモンスターは全滅ぅ! アタシはリバースカードを2枚セットして、ターンエンドっ」

 

 一方のアイリスはというと、厄介な機械竜を全て破壊できたことに高揚。

 嬉々とした表情で残っていた手札全てを伏せ、ターンを終える。

 

 アイリスの場には≪★キスキル≫と≪★リィラ≫の2体の悪魔族リンクモンスター。

 魔法・罠カードにはセットカードが2枚。

 手札は0枚、ライフポイントは無傷の8000。

 

 恭子の場にモンスターは存在せず、魔法・罠ゾーンにセットしてあるカードが1枚のみ。

 手札は0枚、ライフポイントは5700という状況。

 

 圧倒的に恭子が不利な状況であり、イベントの主であるアイリスの大活躍に観客も大いに沸いている。

 今年度にデビューしたルーキーが最上位(トップランカー)を相手に健闘どころか優勢なのだ。

 既に上半期が過ぎ、デビュー当初から彼女を応援してきたファンに滾るなという方が無理だろう。

 

 

 

 しかし、沸き立つ観客席の中で1人──いや、2人。

 2人だけアイリスの優勢に不安を感じていた。

 

「蛮ちゃん、どう思う?」

「……アイリスちゃんが1ターンで藤島さんの布陣を覆したの素直にすごいと思う」

 

 その2人の内、1人は招待された月宮美夜。

 もう1人は先程処理落ち退場してすぐにアバターとデュエルディスクを再設定して戻ってきたブラストこと和戸蛮。

 彼はあの後すぐに行動を起こしたが、戻って来た時には既にデュエルが始まっていた。

 後ろめたい思いを感じつつ、仕方なく恭子が居た席にせこせこと着席。

 美夜と一緒に観戦する側に回ったのだ。

 

「でも足りない(・・・・)

「……足りない?」

「うん。確かにモンスターを全滅させられたし、仮に自分モンスターを全て除去されても墓地の≪光の護封霊剣≫で直接攻撃を封じる手立てまで用意しているのは良いと思うんだ。けど、藤島さんの墓地には2体の【竜輝巧】が居るし、リバースカードも残っている。次のターン、確実に藤島さんはトップドローから展開して反撃する……絶対に」

「えっトップ解決しちゃうの? あっ、いやするね。最上位(トップランカー)だもん」

「そう、最上位(トップランカー)だからね」

 

 最上位(トップランカー)だから。

 この一言で2人は納得する──いや、してしまう。

 

 基本的にデュエリストは自身に適合するカードでデッキを組み、デュエルする。

 その中で時に手札が噛み合わず思ったような動きができない、という所謂『手札事故』が、覚えたての者や一般的なプレイヤーでは少なからずあることだ。

 だが、最上位(トップランカー)デュエリストは『手札事故』を滅多に起こさない。

 

 彼ら彼女らは常にどんな状況であろうと、適宜その状況に応じた最良のカードを手札に揃えられ、さらにドローできるだけの力がある。

 如何に先攻で制圧封殺盤面を作っても、それは後攻で一気に瓦解。

 瓦解した状況から一瞬で立て直し、逆に相手の布陣を崩壊させる。

 常にその時とその先、さらにはその先の先、もしくは先の先の先まで読んだ、一進一退の攻防こそ最上位(トップランカー)が魅せる至高のデュエル。

 

 それ故、2人は手札0枚でリバースカードが1枚しかない状況でも、恭子がここから確実に巻き返すと確信しているのだ。

 しかし、美夜は納得した直後に少しだけ考えたように首を傾げ、顔を蛮の方へ向ける。

 

「んー、でも蛮ちゃん。アイリスちゃんも反撃を許す(・・・・・)と思う?」

「……あのセットカード次第かな。今までだったら【ウイルス】カードで展開途中に潰されたけど、デッキも結構変わってるみたいだから何とも言えない」

「あっ、じゃあこのまま観てた方が面白いよ。今のアイリスちゃんのデッキ──すっごくイヤらしいから」

 

 

 

「私のターン、ドローっ!」

 

 『えっ?』と蛮が美夜に聞き返そうとするも、そのタイミングで恭子は勢いよくカードを引く。

 ドローカードを一瞥するなり、そのカードを即座に墓地へ叩きこむように勢いよく送る。

 

「私は手札の≪竜輝巧-ルタδ≫をリリースし、墓地の≪竜輝巧-バンα≫の効果発動! 自身を守備表示で特殊召喚し、デッキから儀式モンスター1体を手札に加える! ≪バンα≫を特殊召喚し、デッキから儀式モンスター≪竜儀巧(ドライトロン)-メテオニス=QUA≫を手札に!」

 

 小型の機械竜が半透明でフィールドに現れたかと思えば、一瞬で別の小型機械竜へ。

 先ほどまでの真っ当な【サイバー】とはまるで異なる動きに初見の者であれば困惑するだろう。

 しかしこれも最上位(トップランカー)デュエリストだからこそ成せる技。

 単純に種族と属性が同じであっても、それを両立させ1つのデッキとして動かせるからこその技術なのだ。

 

「手札の≪メテオニス=QUA≫をリリースし、墓地の≪竜輝巧-アルζ≫の効果発動! 自身を守備表示で特殊召喚し、デッキから儀式魔法1枚を手札に加える! ≪アルζ≫を特殊召喚し、デッキから儀式魔法≪流星輝巧群(メテオニス・ドライトロン)≫を手札に!」

「うぇ、儀式モンスターと儀式魔法とリリースするモンスターが揃ったってことは…!」

「まだだ! 私は場の≪バンα≫をリリースし、墓地の≪ルタδ≫の効果発動! 自身を守備表示で特殊召喚し、手札の儀式モンスターか儀式魔法を公開し、1枚ドローする! 私は手札の≪流星輝巧群≫を見せ、1枚ドロー!」

 

 最早お馴染みになりつつある動きにアイリスはつい苦い顔になるが、途中で止まる恭子ではない。

 少しでも打てる手を増やそうとさらにドローを加え、手札は2枚に。

 場には攻撃力2000の≪ルタδ≫と≪アルζ≫。

 手札には儀式魔法。

 墓地には儀式モンスター。

 条件は全て整った、と恭子はニヤリと口角を上げ、同時に手札から1枚のカードを掲げる。

 

「手札から儀式魔法≪流星輝巧群≫を発動ぉ! 手札・場の機械族を儀式召喚するモンスターの攻撃力以上になるようリリースし、手札・墓地から儀式召喚を執り行う! 私は攻撃力2000の≪ルタδ≫と≪アルζ≫をリリース! 星に座する輝光竜よ、星辰を集わせ北天より光臨せよ! 儀式召喚! 現れよ、レベル12! ≪竜儀巧-メテオニス=QUA≫ッ!!」

 

 2体の機械竜は金色の粒子へと転じ、それは恭子のフィールド中央へ収束。

 粒子な竜人を形成し、2体の【Evil★Twin】の前に雄々しく降り立つ。

 両腕と両脚には扇形のプレートを備え、エキシビションの時の≪メテオニス=DRA≫に勝るとも劣らない体躯。

 公の場では初めてとなる、2体目の【ドライトロン】儀式モンスター──≪竜儀巧-メテオニス=QUA≫が華々しくその姿を見せた。

 

「うっわ強そう…!」

「ふふっ、こいつの効果は派手だぞ。儀式召喚に用いた合計レベルが2以下の儀式召喚に成功した≪メテオニス=QUA≫の効果発動っ! 相手の魔法・罠カードを全て破壊するっ!」

「う゛ぇっ!?」

 

 効果が派手だと言った傍からの即時使用、唐突な魔法・罠カード全除去にアイリスの口から汚い悲鳴が上がる。

 ≪メテオニス=QUA≫は両腕に装備されたプレートを前面に展開。

 フィンフィンフィンとチャージ音が鳴り始め、これから全てを壊すという予備動作にアイリスは慌てながらも、自身のデュエルディスクを操作。

 

「り、リバースカードオープン! 永続罠≪Evil★Twin イージーゲーム≫! アタシは場の≪★キスキル≫ちゃんをリリースして、2つある効果の内1つを適用! フィールドのカードを破壊する魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、その効果を無効にするっ!」

「おっとかわされたか」

 

 にゅっと伸びる≪★リィラ≫の青い尻尾に≪★キスキル≫は一瞬で簀巻きに。

 その頬に冷や汗が流れており、 『えっ、まさか投げないよねリィラちゃん?』と不安そうな表情を見せるが、当の≪★リィラ≫はどこからともなくハンカチを取り出して(予め目薬で演出した)涙を拭いつつ、ぶんぶんと円を描くように尻尾をぶんまわす。

 尻尾に拘束されている≪★キスキル≫は『う゛ぇああああぁぁっ!!』と主人によく似た汚い悲鳴を上げる中、≪★キスキル≫を射出。

 

『ギャンっ!!』

 

 グルグルと目を回しつつ、≪メテオニス=QUA≫が構えている両腕にガゴンっ! と痛々しい音と共に衝突。

 撃ち落とされた鳥のようにひょろひょろと落下し、再び溶鉱炉に落ちるターミネイトマシンのようにサムズアップしながら地面(墓地)へと沈んでいった。

 

「……ば、バトルだ。私は≪メテオニス=QUA≫で──」

「おっとその前にアタシは≪★リィラ≫ちゃんの効果発動! 自分場に【キスキル】ちゃんが居ない時、自分・相手メインフェイズに自分墓地から【キスキル】ちゃんを特殊召喚っ! 瞬間退場&登場! ≪★キスキル≫ちゃん!!」

 

 カートゥーン調じゃなくてもコメディチックな演出なのかと困惑する恭子。

 せめて相手のペースに乗せられないようにと、バトルフェイズに移行しようとするも寸でで中断される。

 ≪★リィラ≫が自分の尻尾を地面に突き刺し、そこから≪★キスキル≫を華麗に一本釣り。

 『ジュワッチ!』と銀と赤の光の巨人の如くポーズで勢いよく飛び出した≪★キスキル≫は、前のターンで自分がやったように空中で体を捻り横向きへ。

 今度は≪★リィラ≫にお姫様抱っこキャッチをしてもらおうと自由落下し始め──

 

『ギャンギャギャンっ!?』

 

 ──ささっと落下地点から≪★リィラ≫は華麗な横ステップで退避してしまう。

 ≪★キスキル≫はその魅惑的なお尻を床に強打し、またも汚い悲鳴を上げながら激痛にお尻を上げた状態で四つん這い悶絶。

 涙目で≪★リィラ≫を睨むが、当の≪★リィラ≫は口先をすぼめて口笛を吹こうとし、虚しく空気が抜ける音を出している。

 

「場に【リィラ】ちゃんが居る時に特殊召喚に成功した≪★キスキル≫ちゃんの効果発動! デッキから1枚ドロー! そして罠カード≪メタバース≫を発動っ! デッキからフィールド魔法を手札に加えるか、直接発動する! アタシはデッキからフィールド魔法≪Live☆Twin チャンネル≫を直接発動するよっ」

「むっ、フィールド魔法か──いや待て。本当にフィールド魔法なのか?」

 

 『えっ、マスターもワタシのことガン無視?』と言いたげな顔を浮かべる≪★キスキル≫。

 アイリスはそんな≪★キスキル≫に向けてチョロっと舌を出しながらウィンク、いわゆるテヘペロ☆でゴリ押し、チョロインの≪★キスキル≫は『全くもー! しょーがないんだからもー!』と秒で絆される。

 その背後で【Evil★Twin】の仮初の姿である【Live☆Twin】が活動するフィールド、某大手動画サイトのページを模した≪Live☆Twin チャンネル≫が起動。

 背後では【Live☆Twin】のビックリドッキリオモシロ映像が波のように流れ、既存のフィールド魔法とかけ離れたエフェクトに恭子は困惑する。

 

「……まぁ殴ることができれば些細なことだ。改めてバトル! 私は≪メテオニス=QUA≫で≪★キスキル≫に攻撃っ!」

「ところがぎっちょん殴ることはできませんっ! アタシは≪★リィラ≫ちゃんをリリースし、フィールド魔法≪Live☆Twin チャンネル≫の効果発動! アタシの場の【キスキル】ちゃんか【リィラ】ちゃんをリリースすることで相手の攻撃を無効にするっ!」

「むっ、これもかわされたか」

 

 攻撃体勢に入った≪メテオニス=QUA≫に向け、≪★キスキル≫はお返しとばかりに自身の赤い尻尾で≪★リィラ≫を簀巻きにしようとし──尻尾は空を切っていた。

 『あるぇー?』と口を3の字にしながらキョロキョロと≪★リィラ≫を探すが視界には入らず。

 一体どこに、と頭上にクエスチョンマークを浮かべている最中、ふと恭子の場を見ると≪★リィラ≫を発見。

 

 『つまらないものですが』と賄賂を贈る議員のように≪★リィラ≫は≪メテオニス=QUA≫に菓子折りを手渡し。

 当の≪メテオニス=QUA≫はビビ、ガガー、と『バトルフェイズ中に相手モンスターから菓子折りを貰う』という理解不能な出来事にエラーを起こし攻撃を中断。

 『計画通り…!』と某死神手帳を拾ったキラーのような悪どい笑みを浮かべ、≪★リィラ≫は某スピードなワゴンのようにクールに退場。

 その様子に『むぇー』と口先をすぼめ、『自分はブン回されて酷い目に遭ったのに≪★リィラ≫だけズルい』と≪★キスキル≫は不満な表情を浮かべる。

 

「(何なんだこれは……)わ、私はカードを1枚セットし、ターンエン──」

「おっとその前に≪★キスキル≫ちゃんの効果発動! 墓地から≪★リィラ≫ちゃんを復活ぅ!」

「──っ、【キスキル】が居る時に≪★リィラ≫が復活したということは…!」

「察しがいい人は(しゅ)きですよ! 特殊召喚に成功した≪★リィラ≫ちゃんの効果発動! 今セットしたカードを破壊します!」

 

 普段なら絶対に見られない自分の機械竜の姿にペースを乱された恭子。

 その隙を逃さんと間髪入れずにアイリスが行動、『とぉっ!』と≪★リィラ≫が某光の巨人の登場のようにセットカードの下から飛び出すように復活。

 今しがたセットしたカウンター罠の≪ドライトロン流星群≫に風穴を空けられ、無残にも光の粒子となって消失する。

 

(……イカンな。少々相手のペースに乗せられ過ぎている。ここまでトリッキーに動かれるとは…)

 

 ふぅ、と息を吐き呼吸を整える恭子。

 先攻で展開した布陣は突破され、次手の攻めもことごとく回避。

 その上カウンター罠も発動前に除去されるという、相手の掌の上で踊らされているような状況に目を細める。

 

 恭子の場には攻撃力4000の≪メテオニス=QUA≫と先攻1ターン目に伏せたセットカード。

 手札は再び0枚で、ライフポイントは5700のまま。

 

 対してアイリスの場には依然2体の【Evil★Twin】に、フィールドのカードの破壊を邪魔する永続罠≪Evil★Twin イージーゲーム≫と相手の攻撃を邪魔するフィールド魔法≪Live☆Twin チャンネル≫。

 手札は≪★キスキル≫の効果でドローし1枚。

 ライフポイントは未だ無傷の8000。

 

 攻撃力4000、レベル12の超大型モンスターである≪メテオニス=QUA≫が壁となっているが、恭子の内心としては油断できない状況だ。

 プレイングに関しては最上位(トップランカー)である自分を翻弄するほど巧みに動き、優勢を保っている。

 これで新人だというのだから末恐ろしいとさえ恭子は感じてしまう。

 

「ふっ……これ以上は何もできんな。私はこれでターンエンドだ」

 

 しかし、それ以上に楽しいとさえ思える。

 ここ5年は最上位(トップランカー)の9人に順位の変動はあれど、入れ替わりはなかった。

 もしかすれば目の前の相手や、同世代の新人デュエリスト達が新たな嵐を起こすのではないかという期待さえ抱く。

 それを思えば今のデュエルが楽しくない訳がないのだ。

 

(さて──これからどう動くのか、楽しませてもらおうか…!)

 

 勝っているのは従えるモンスターの質のみ。

 手札・場・ライフポイントの数だけならば恭子が圧倒的に不利な状況。

 

 しかしそんな状況でありながら、恭子の顔色は喜色のそれ。

 自らが勝ち取ったランク2位の椅子に驕りも、油断も、慢心も、存在しない。

 在るのは自分自身と愛用のデッキ、信頼する機械竜への絶対的な自信のみ。

 

 新たな世代の挑戦者が『女帝』に挑む構図。

 恭子はもちろんのこと、観客も目を輝かせ、その光景を目に焼き付け、期待に満ちた眼差しを向ける。

 

 もしかするとあり得るかもしれない── 最上位(トップランカー)への下剋上(ジャイアント・キリング)に。




なしてイビルツインこんなに文字数使うん…?
いや、あの言い訳をさせて頂きますと、イビルツインのイラスト的にこういった演出描写が必要だと思って、いっぱい突っ込んだんです。
その結果がコレなんですよ。
楽しい。
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