斬魄刀を極めたらTSしたんだが?   作:MKeepr

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空座防衛隊、新たなる仲間

「縛道の五十八、摑趾追雀」

 

 倒壊し焼け焦げた寺の跡地で、狐面をかぶった鹿取が縛道を用いて霊圧の残滓の追跡を行っていた。あたりはひどいもので周囲に張られた隠蔽用の術式や封印式は木っ端みじんに吹き飛んでいる。器子で構成される現世でこれだけの事態になっていることに驚きを隠せない。

 本来いたはずの鬼道衆や死神の霊圧残滓が一切ないことも気になるが、そこは霊圧を追いかけるのに便利なのであえて考えないこととした。

 しかし霊圧をしっかり隠蔽しているらしく、摑趾追雀の座標指定がぐるぐると正確な数値を出そうとしない。いったん諦めて現場の状態をみようかと思った時、急に座標が割り出された。

 

「これは……空座町の方面か。瀞霊廷での使用前提なせいで正確な座標がわからんが、某と同質なら見つけるのは容易いか?」

 

 瞬歩で一足飛びに霊子で足場を作って空を移動していく。義骸に入っているので一般人に悟られないよう曲光での隠蔽も忘れない。

 鹿取がこうして単独で調査を行っているのには理由がある。浦原の策により藍染が遂に護廷の敵となったのだ。崩玉の覚醒期間から推察する戦闘時期に対し仮面の軍勢は追い込み鍛錬を開始、そんな所へ斬魄刀一体化の検体となる人物、梅針の封印が解かれたという報が入ったのである。

 言い方が悪いが相手は罪人、鹿取と違い検体として浦原は使えると踏んだらしく捕縛を狙い鹿取に協力要請をしたというわけだ。その為の装備も浦原からもらっている。

 

「これを。霊圧を隠蔽するマントを縫い直して作ったエプロンと鹿取さんの虚の面のデザインに合わせた狐のお面っス」

「なんで?」

「討伐に来た護廷十三隊の方々との面倒ごとは避けたいスからね。平子さんたちと違って貴女の顔がわかる人は今の護廷十三隊にはほとんどいませんが、居るには居ますからね名前を聞かれたらこう名乗っておけば誤魔化せますあとこんな感じのを言ってれば正体に言及されることもないでしょう」

 

 ごにょごにょと小声で浦原は鹿取に伝えた。

 

「わかった」

 

 といった具合で。鹿取は了解していた。

 

「それにしても空座町か。重霊地だから仕方がないと言えばそうだが」

 

 霊が集まりやすいとは言え藍染に狙われそれゆえに浦原の拠点にされ今回も梅針がやってきている訳なので土地に対して鹿取は若干同情した。

 

()()()?() いや、これが初めてか」

 

 その時空座町のビル街で尋常ならざる霊圧が揺れた。鹿取は進路を定めて瞬歩で現場にすぐ様に駆けつける。

 

「なんだお前は!」

 

 そこではショットガン持って襲来した恋次とルキアと共にオフィス街のカフェで話を聞いていた一護だが、突如その話題の梅針の襲撃を受けることとなっていた。恋次が死神の自分にそんなのが効くのかと言われれば効かないだろうにショットガンで応戦し負傷、一護が代行証で死神化する事態になった。

 

「ククク……我は刃なり!」

 

 射出される剣を斬月で弾き斬りかるとまさかの素手で斬月を掴まれる。それに動揺した一護が隙を見せそうになった瞬間、梅針の顔面に蹴りが直撃した。

 

「はっ?」

「なにっ?」

「ふえっ!?」

 

 地面に火花を散らしながら顔面から突っ込んだ梅針から目線を蹴りをたたき込んだ者に一護や恋次が向けて唖然とする。変な狐みたいなお面を被ったエプロンを着た主婦みたいなのが刀を二本腰に下げてなんか構えをとっているのである。その胸部は豊満であった。

 立ち上がろうとした梅針の顎に右ストレートを叩き込み倒れた所を更に顔面にスタンピングをして地面にめり込ませながら暴力で気絶させる。抵抗すら許さない。

 

「ななな、なんだあんた⁉︎」

「某か。某は空座防衛隊カラクラグレート。カラクラ博士ウラハーラの命令でこの悪をボコボコにしに参った」

「何言ってんだあんた⁉︎ ウラハーラって絶対浦原さんの関係者だろ⁉︎」

 

 気絶から起きない様に定期的に梅針の顔面を金属バットでコンクリートをぶん殴っているような音を出しながら蹴り飛ばすカラクラグレートに一護がツッコミを入れる。

 本来斬月でも切るのが困難な存在をぶん殴って気絶させる方が突っ込まれるべきなのだが見た目と口上が突っ込みどころ満載すぎて忘れられていた。

 

「浦原? 某は知らんな。某はカラクラグレート。空座町の平和を守る感じのことをする奴である」

「なんでちょっとふわっとしてんだよ‼︎」

「この男は某の方で預からせてもらう! 縛道の六十三、鎖条鎖縛グレート捕縛縄!

 

 カラクラグレートが光る鎖を出して梅針を簀巻にして肩に担ぐ。

 

「おいちょっとまった縛道って聞こえたぞ⁉︎」

「フハハさらばだ!」

「話を聞けええええ‼︎」

 

 ツッコミに息を切らした一護と顛末を茫然と眺めた恋次にすごくシリアスな顔をしたルキアをその場に残し、カラクラグレートは姿を消したのだった。

 

「おい、コレはどう言う状況なんだ?」

 

 そこに入れ替わる様に日番谷冬獅郎が現れた。

 

「いや……」

「何というか……」

 

 恋次と一護が微妙な顔でどう言ったもんかと顔を見合わせた。

 

 

 

 

 

「成る程、カラクラグレートなる闖入者が梅針を捕縛して去っていったと」

 

 とある一室で一護達は状況説明を日番谷に終え、一息をついていた。

 

「というか、そもそも冬獅郎が出張ってくる必要あんのかよ?」

「日番谷隊長だと何度言ったら……。良いか? 梅針は当時の護廷十三隊六十三人を手にかけ、さらに隊長二人を犠牲にようやく封印できた様な怪物だ。十二時間以内の再封印か消滅が命令として下っている以上こちらもそれなり以上の戦力を集めるのは当然だろう。だが、浦原がもう手を打ったとなると……」

 

 過去の顛末を聞き、一護ルキア恋次花太郎は思う。白打でそんなのをボコボコにしていたカラクラグレート何者だと。

 

 そこへ穿界門が開かれ地獄蝶が羽ばたき現れる。

 

「後続も来たみたいだな」

「京楽隊長! 浮竹隊長⁉︎」

「やあ日番谷隊長、今どんな状況だい?」

「梅針には浦原が既に対処した可能性が高いが、確証が持てない」

「じゃ行くしかないんじゃない? その浦原くんの所にさ」

「おい阿散井、二人に移動中に顛末を話しておけ」

 京楽の提案に全員がうなづき行動を開始し、さっさと浦原商店へと向かう。

 恋次が二人へ説明を終えた辺りで丁度浦原商店へと到着した。その商店の軒先で、ダンボールを椅子にして何かをしている集団がいた。

 

「というわけで本日付で空座防衛隊の時折助っ人に来てくれるめっちゃ強いキャラ役の謎の隊員になったカラクラグレートだ! みんな拍手‼︎ あの女がいない今真のレッドとして鼻が高いぜ‼︎」

 

 もう一人のレッドがいない原因は今到着した一団の赤髪のせいである。

 

「カラクラグレートだ! みんなよろしく!」

「新たな仲間! 喜ばしいです! ボハハハー!!」

「……歓迎」

 

 パチパチパチとカラクラレッドとカラクラピンクの子供二人、カラクラゴールドが拍手を送り駄菓子で乾杯をしている。

 

「グレートお面取らないと食べられないんじゃない?」

「大丈夫だウラハーラの技術力でお面の口がぱかっと開く様になってる」

「「おお〜〜」」

「いやなにやってんだ!?」

「おおマイ一番弟子‼︎ ボーイも新メンバーを祝ってくれるか!」

「おい待てカラクラキングたる俺を差し置いて新メンバーったどういふぐおっ」

「面倒くさくなるから今はすっこんでろ」

 

 哀れコン義魂丸に戻された。

 

「ん? ひょえっ⁉︎」

「てかなんでドン・観音寺⁉︎ じゃなかったおいカラクラグレート! 浦原さんどこだ!」

「いやぁそ……わたくしここに連れてこいとしか言われてないのでよくわからないでしてよ!」

「いやキャラブレてんだろもっと頑張れよカラクラグレート!」

 

 開いていた口元を速攻で閉めてそんな事を言い出すグレートに一護が困惑しながらツッコミを入れるのを浮竹が制す。

 

「ダメだぞ一護くん。こんな素晴らしい胸を持つご婦人に詰め寄っちゃ」

「浮竹さんは浮竹さんで真面目な顔でなに言ってんだ‼︎」

「おっと思わず口が滑ってしまった。失礼したカラクラグレートさん」

「い……いえいえ構いませんでしてよ」

 

 浮竹の発言を聞いて京楽が何かを察した顔を一瞬してスケベ親父な顔をニンマリと作る。

 

「胸……良いよねぇ」

「おい冬……日番谷隊長どうにかしろよ同じ隊長だろ」

「こういう時だけちゃんと呼ぶんじゃない。それでカラクラグレート、ここを通すつもりは?」

 

 一護が小声で助けを求められため息を吐きながら日番谷が話を進める。よかったまともだと一護が思う一方、恋次は(乱菊さん相手にしてるから胸は慣れてるんだろうな)とかとても失礼な事を思っていた。

 

「わたくしがし、特にそういうの言われてないあるよ! 好きに入れば良いでござる!」

「いやだからブレすぎだろ……まあいいやじゃあ入らせてもらうぜ」

 

 そう言って一行を見送る空座防衛隊。カラクラグレートは手を振りながら変な汗をかいているのだった。

 




カラクラグレート
エプロンに仮面をつけたミステリアスに防衛隊の成長を見守る新メンバー。
デカレンジャーで言うとドギー・クルーガー ポジション

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