鬼畜提督与作   作:コングK

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ミステリーって難しい。ミステリー作家さんはすごいなあと思った次第。
宗谷を見学に行ったら、宗谷維持協力金を艦これ運営が出していたことを知り、嬉しくなりました。大和のクラウドファンディングといい、やるなあ艦これ運営。


第七十一話 「名探偵ジャーヴィスの冒険 鈍色の研究⑤」

室内に紅茶をすする音が微かに響いた。

金剛以外の3姉妹は驚きを顔に張り付かせ、何か信じがたいものを見るような目でジャーヴィスを見つめていた。彼女達からすれば悪い冗談であったろう。無邪気な子役の探偵ごっこが始まったかと思っていたら、その子役はいつの間にか場を仕切る主役となり、自分たちの敬愛する姉の出自を暴こうとしているのだから。

 

互いにどう反応してよいか分からず皆が顔を見合わせる中、沈黙を破ったのは、はたして金剛に対して一番に思い入れがありそうな比叡だった。

 

「いい加減にしなさい!」

まるでいたずらを叱る母親のような口調で比叡は言った。

「あなたが話すと言っていたのは、あの建造ドックの正体でしょう? お姉さまの出自など関係のない話題を持ち出して話を逸らすのは止めなさい!

 

「あら、誰も金剛の出自とすりぬけくんの正体が関係ないなんて言ってないわよ」

ジャーヴィスは平然とそれを受け流すと、まるで出番がきた役者が颯爽と舞台に上がるように再び立ち上がった。

 

「すりぬけくんの正体。それを知るためには、金剛とすりぬけくんの関係性はとても重要なの。それが無ければ成立しないぐらい」

 

額に手をやりながら室内をうろつくジャーヴィスの姿は、どう見てもいつも奥さんの話題ばかり出す某ロサンゼルス警察の警部のようだ。

 

「そもそもの話。どうして私達は今ここにいるのかしら」

ジャーヴィスの質問に、ヨサクは皮肉な笑みを浮かべ、金剛は紅茶を再度口にした。

「うちのすりぬけくんに粉かけてきた連中がいたんで、そいつらとお話合いをするためだ」

「見解の相違ネ。私達としては、不良品の建造ドックを回収しに行ったら、妙な細工がしてあったので、間違えて開発ドックを持って行ってしまっただけヨ」

 

白々しい態度をとる金剛に私は思い切り眉を顰めた。視界の隅では同じく雪風が口をへの字に結び不満を露わにしていた。

 

人質までとりすりぬけくんを奪おうとした一連の襲撃事件は、私達江ノ島鎮守府の艦娘にとっては看過できぬものであった。ヨサクの機転と響の活躍で大井とすりぬけくんは無事ではあったがそれは結果でしかない。皆が皆この件に関しては憤慨しており、ヨサクが話し合うと決めたからこそ不承不承従っているだけで、未だに心のどこかでは納得しきれていないというのが現実だった。

あからさまに態度に出した私達を見ても、金剛はまるでどこ吹く風といった調子で一切表情を変えなかった。唯一居心地が悪そうにしていたのは榛名くらいで、私は心の中で彼女のいい人レベルをまた一つ上げた。

 

「お互いの立場が変われば言い分もまた変わるもの。言いたいことはあるけれど、それは今は仕舞っておきましょう。それよりも、ねえ金剛。あなた、やはりすりぬけくんについて随分と詳しいのね」

「どういうことデス?」

金剛は横目でちらりとジャーヴィスを見た。

 

「あら、気づかない? 今あなたは大事なkeywordを口走ったのよ」

「何のことを言っているのデス。意味が分かりまセン」

 

「ああ、恐らく日常的にそう思っていたのね。だから分からない。ねえ、ジョンストン。すりぬけくんってどんなドック?」

「どんなと言われても。姉さんみたいなレア艦をほいほい建造する夢のドックじゃない?」

 

「そう。江ノ島鎮守府の艦娘も、すりぬけくんの建造結果を知る多くの艦娘もそう答えるのが普通。誰も言わないわよ。すりぬけくんが不良品だなんて!」

 

「あ・・・・・・」

「はい。確かにすりぬけくんは変なドックですが、不良品とは言えません!」

雪風が相槌をうつ。

 

「しかも金剛、あなたはさっきそれを回収しに行ったと言った。すりぬけくんが不良品で回収しなければいけないような代物だということをどうしてあなたは知っているの?」

 

「やれやれ。たかだか言葉尻一つとって大騒ぎネ。探偵小説は読む分には面白いですが、実際に体験するとなるとこれほどはた迷惑なものはないネ」

不愉快そうな表情を隠そうともせず、金剛は呟いた。

 

「あなた達の建造結果からそう言ったまでデス。レア艦は確かに建造していマスが、資材を呑みこまれ建造失敗をすること多数だとか。不良品と言って差し支えないのでは?」

「まあ確かにそう言われればそうかも知れないわね」

「ふん。余計なお世話だ」

ヨサクは不満そうに鼻を鳴らした。

 

「そうそう今更なんだけれど」

ジャーヴィスは突然くるりと雪風の方を向いた。

 

「ねえ、雪風。私達にはどうしてすりぬけくんが必要なのかしら」

「え!? それはすりぬけくんがうちの唯一の建造ドックだからです! しれえがガチャだの何のと言って資材をやたら無駄にしますが、すりぬけくんがないと建造任務が達成できません!」

 

「そう。私達がすりぬけくんにこだわるのはある意味当然。それが無いと日々の業務に支障をきたすから。じゃあ金剛達はどうしてすりぬけくんが必要なのかしら」

 

「それは、不良品であるすりぬけくんを回収したいからでしょう?」

「成程。つまり、不良品であるすりぬけくんを私達が使い続けると危険。そう考えて回収に向かったと、そういうことかしら」

「ご理解いただき感謝ネー。ボランティア活動というやつヨ」

金剛は乾いた笑いを浮かべた。

 

「でも、それはおかしいの」

ジャーヴィスはずいと金剛を真正面に見据えた。

 

「本当にそんなに危険なドックならば、こんな回りくどいことをせずに、素直にドックの修理なり代替品の用意なりをダーリンに提案をすればよかったのよ。そうすれば何のあと腐れもなくすりぬけくんを回収することができ、今日ここに集まるような面倒くさい事態にもなっていないわ。それが出来なかったというのはなぜ? 後ろめたいことがあるからよ。どうしても気づかれたくないことが」

「やれやれ。善意で行ったことをそう疑われてもネ」

金剛がポットを持ち上げる様子を見て、比叡が無言で部屋を出ていった。

 

「Sorry。それが探偵の仕事だからね」

再び帽子の下からメモ帳を取り出すと、ジャーヴィスはぺらぺらとそれをめくり始めた。

 

「あなたが言う不良品回収のとき、金剛、あなたは北上に言ったそうね。『それは夢のドックじゃない』『もう二度と世に出てこないように念入りに潰しておいた』『完全に使えなくしていた』

と。善意のボランティアはこんなこと言わないわ。あなたはあらかじめすりぬけくんが何であるか知っていて、その上でそれをどうにかしたいから江ノ島に来たのよ。うちの鎮守府の建造結果からすりぬけくんが不良品ドックと知り回収に来たなんて、でまかせもいいところね」

 

ふうと苛立たし気に金剛は息を吐いた。

 

「OK。私が例のドックをあらかじめ知っていたとしまショウ。それのどこが問題ネ」

「おや、認めるのね。すりぬけくんを元々知っていたと。それならば、色々と話が変わってくるわ。先ほどの話の繰り返しになるけれど、どうしてあなたはすりぬけくんが不良品だと知っているのかしら」

「あなたがさっき見せた資料を何かの折に見たネ。試作品だから不良品だと思い込んでいたヨ」

今思い出したというように、金剛はとぼけた顔を見せた。

「残念ながらこの資料はあくまでも完成したという記述と写真のみ。すりぬけくんがどんなドックか、またその状態については詳しく書かれてはいないわ」

ひらひらと資料を見せつけるようにジャーヴィスは手にしてみせた。

 

「成程。どうしても私が例のドックを元から知っていたということにしたいらしいネ。では聞きマスが、なぜ私がそんな不良品のドックを狙う必要があるのデス? 推理小説でいう動機という奴ヨ。まさか、自分が建造されたドックだから、などというくだらない理由じゃないだろうネ。こう見えても親離れは当の昔に済ませているヨ」

戻って来た比叡からポットを受け取ると、金剛は紅茶を淹れた。

 

「動機なんて、そんなのすりぬけくんが欲しいからに決まってるでしょ」

私の答えにジャーヴィスはくりくりとした目を輝かせた。

「ええ。夢のドックだからじゃないですか」

雪風の答えにヨサクが渋面を作る。どうも我らが提督にとっては夢のドックとは言い難いらしい。

 

「成程。あれが夢のドックだからというのが動機というのは分かる話ネー」

ぽんと手を叩くと、金剛は大きく首を振った。

 

「でも残念ながらそれは違うという話だヨ? なぜってそこの名探偵が言ったネ。私があらかじめあのドックを不良品だと知っていたと。どこの世界に不良品のドックを狙ってわざわざ手間をかけて持っていこうとする人間がいるネ。道理に合わないヨ」

「そ、それは・・・・・・」

「だから言ったデショウ? 不良品回収のボランティアだと」

言葉に詰まる私と雪風に向かって、金剛は心外だとばかりにわざとらしく大きなため息をついて見せた。

 

「どうもうちの鎮守府のみんなはすりぬけくんへの評価が高すぎるみたいね」

私達の様子を楽しそうに眺めていたジャーヴィスは小さな笑い声を上げた。

 

「すりぬけくんが夢のドックだとか不良品だとか関係ないわ。あなたの行動を見る限り、どうしたかったか、なんて一目瞭然よ。谷風を使って破壊しようとしたり、ダーリンたちが大湊に行った隙を狙って回収しようとしたり。どう考えてもあなたの行動はすりぬけくんが欲しいと言うよりは厄介な存在を消したくて仕方ないといった感じですもの」

 

「私があれを消したいデスって?」

「まず間違いなく」

 

「で、ですが、ジャーヴィスちゃん。先程金剛お姉さまはすりぬけくんで建造されたと言っていたではないですか。ドロップ艦であるあなたには分からないかもしれませんが、榛名達建造された艦娘にとって建造ドックはお母さんのようなものなのですよ? そのドックを破壊しようとするはずがありません」

 

榛名が声を震わせ抗弁する。私やジャーヴィスのようなドロップ艦とは違い、建造された艦娘達が自らの生まれたドックに愛着をもつというのはよく聞く話だ。それゆえ、彼女とすると聞き逃せる言葉では無かったのだろう。

 

「榛名が言う事も分かるわ。けれど、誰しもが母親に愛情を抱くとは限らない。私の英国の事務所に来る掃除のおばさんも自分の母親についてよく愚痴っていたわ。『忌々しいばあさんだ。早くいなくなって欲しい』ってね。彼女だけじゃない。世の中で親とそりが合わない人間なんて山ほどいるわよ」

「世間一般の話をしても仕方がないでしょう。そこまで言うなら、あなたは金剛姉さまがあのドックをどうして消したいと思っているのか、その動機を言えるのですか」

それまで黙っていた霧島が探るような視線をジャーヴィスに向けた。

 

「ええ。もちろん」

名探偵は口元に右手をもってくると、なにやら吸う真似をしてみせた。

 

「何やってんのよ、全く・・・・・・」

それがパイプを吸うジェスチャアだと気づき、私は頭を抱えた。車に乗り込む時に鹿撃ち帽とパイプを持ち込んだジャーヴィスは、早々にそれをヨサクに没収され酷くおかんむりだった。きっとこの大事な場面で恰好がつかない事に内心不満を抱き、ヨサクにアピールしているのだろう。

ヨサクが無言のまま胸元で拳を握り、ぐりぐりとそれを動かして見せると、ジャーヴィスは口をぶうとアヒルのように尖らせた。

 

「ダーリンには名探偵のお約束についてもっと理解が欲しいわね」

 

形にこだわるよりもまず空気を読めと言いたいが、シャーロックホームズミュージアムの年間パスポートを持っていると自慢する自称相棒にとっては、それは死活問題らしい。

「やれやれ。恰好がつかない分は他でカバーするしかないわね。それで、金剛がすりぬけくんをどうして消したいかだったわね、これは差して難しい問題ではないわ」

 

「え!? し、しれえ分かりましたか?」

雪風が隣にいるヨサクに耳打ちするが、声が大きいため周りには丸聞こえだ。

 

ジャーヴィスは窓の外を見ながら言った。

「もっと単純に考えればいいのよ、雪風。例えばこの間、グレカーレがサラダの時にこっそりときゅうりを神鷹に渡していたの。聞いてみたらアトランタやフレッチャーにもあげていたみたい。この場合、グレカーレはきゅうりを好きだと思う?」

「いいえ。嫌いだと思います。雪風ももらったことがありますけど本当に苦手みたいです」

「とんでもねえ野郎だ。好き嫌いは許せねえ。あいつ、帰ったらきゅうり祭りにしてやるぞ」

慌てて私は止めた方がいいと首を振ってみせた。青臭くて嫌だ、きゅうりは河童の食べ物だと大騒ぎするのが目に見えている。

 

「それと同じことよ。同じ建造ドックを壊したり、壊そうとしたり。そのことだけで判断するならば、金剛がすりぬけくんをどう思っているかは分かるでしょう?」

「ええと、少なくとも好きではないですね。嫌いだと思います」

はっきりと返した雪風に、金剛の体がぴくりと動いた。

 

「その通り。端的に言えば金剛はすりぬけくんのことが大嫌いだから狙っていたの」

「ドックはドックでしょう。ドックに対して好きも嫌いもないのでは?」

霧島はまだ納得できないと反論を試みた。

 

「霧島のように考える人も確かにいるわね」

ジャーヴィスは首肯した。

 

「また、榛名みたいに建造ドックを母親のようなものだと愛着をもっている人がいるのも分かるわ。でも、金剛は違う。あなたの行動はどう考えてもドックが嫌いな人のそれよ。ここに至って私は大いに悩んだわ。だってそうでしょう。料理に例えるならば建造ドックはいわば調理器具。材料である資材が悪かったから嫌い、料理人である提督や妖精が下手くそだったから嫌いというのならまだ分かるわ。でも調理器具である建造ドックは皆同じの筈。それがどうして嫌いで嫌いで溜まらないのだろう。why? 建造ドックが嫌いになる理由があるのだろうか。そう考えた時に、私は北上から言われた言葉が頭に浮かんだの」

 

「北上から言われた言葉?」

ヨサクの問いに、ジャーヴィスは我が意を得たりと大きく頷いてみせた。

 

「ええ。『金剛はすりぬけくんに恨みがあるように見えた』ってね」

「すりぬけくんに恨みですって? どういうことよ」

私が思わず身を乗り出すと、ジャーヴィスは嬉しそうに微笑んだ。

「かの名探偵ドルリー・レーン曰く、人生は一つのドラマ。そのドラマのシナリオに必要なもの。それは感情よ。人も艦娘もその感情によって人生を悲劇や喜劇に染めていく。私が読んだ多くのミステリーでも犯人たちは嫉妬、虚栄心、怒り、様々な感情に支配され犯行に及んでいたわ。ではドックを何度も壊そうとするほど嫌いだという感情の発生源であり、恨みの元となっている感情は何なのか。そう。その感情は一つしか考えられない。金剛がすりぬけくんに抱いている感情。それは憎しみよ。それも狂おしいほどのね」

 

「そんな・・・・・・」」

呆然としながら私は周囲を見渡した。

指摘された当人は平然と紅茶をお代わりしていたが、他の姉妹はあからさまに動揺していた。何を言ったらいいか分からず榛名は慌てて口元を抑え、霧島はしきりに眼鏡を拭いていた。唯一面と向かって抗弁したのはやはり比叡で、彼女はにがにがしげに言った。

「お姉さまがあのドックに対して憎しみを抱いているですって? 言うに事欠いてとんでもないことを!」

「そうかしら? 実際にあの場にいたあなた達は感じた筈よ。『どうして私達の姉さまはこのドックにここまでこだわるのだろうか』と。そして疑問に思ったに違いないわ。『何がここまで姉さまを駆り立てているのだろう』と」

 

「姉さまのすることに間違いはありません。私達はそれに従うだけです」

固い声で比叡は言い、榛名と霧島はじっと先ほどから黙ったままの長女の様子を伺っていた。

 

「盲目的に他人を信用するのはあまりお勧めしないわ。ミステリー作家にとっては良い読者だと思われることでしょうけど」

ジャーヴィスは悲し気に呟くと、ソファに座り、両手を合わせた。

 

「憎しみ。人を駆り立てる激情。それは人の似姿たる私達艦娘も同じだわ。一説には憎しみやその他負の感情が凝り固まった私達の別側面が深海棲艦になると言われているけれど、好悪の感情があるのだもの、艦娘とて憎しみは抱いて当然よ。すりぬけくんを狙う動機は何かという質問だったわね。それは金剛、あなたがすりぬけくんが嫌いだから。壊れている状態ならば見逃すが、普通の状態で存在しているなど許せないほど憎んでいるからよ」

 

室内にくぐもった笑いが響いた。

 

「私があのドックを憎んでいるねえ」

 

唐突に口を開いた金剛から発せられた鋭く冷たい声に私はぞっとした。

それまでのあっけらかんとした雰囲気を一変させた彼女は、こちらが本来の姿とばかりに冷たく凍えるような瞳をジャーヴィスに向けた。

 

「私としてはただの腐れ縁なだけなのデスがネ」

ここまでの流れで言い逃れはできないと悟ったのだろう。金剛はすりぬけくんとの関係を隠そうともしなかった。

 

「元から知っていたと認めるのね。それにしても腐れ縁? どういった?」

「おや。そこを説明しないといけないデスか? あなたはあのドックのことが分かっているのでしょう?」

「Yes。でも、当人の口から聞いた方が、手間が省けると思って」

 

「手を抜くのはよくないヨ、名探偵」

 

金剛は首元を抑えながら、

「ここまで」

一つ一つ言葉を絞り出すように言った。

「ここまで踏み込んだのだからネ。私とあのドックにある関係、きちんと最後まで説明できるのならしてみるといいデス」

 

「本当にそれでいいの?」

なぜかジャーヴィスはすがるような目で金剛を見た。

 

「どういうことデス。」

金剛は意味が分からないと頭を振った。

 

「あなたが言ったのデショウ? 答えが合っているのか訊きたいと」

「それはそうだけど・・・・・」

ここにきて途端に躊躇いを見せるジャーヴィスに金剛は突き放すように言った。

「ならば最後まで語るべきネ。何事も中途半端はよくないヨ?」

 

ジャーヴィスは額に手をやると、ヨサクの方をちらりと見た。

 

「すまねえが頼む」

硬い表情でヨサクが言うと、ジャーヴィスは小さく息を吐いた。

 

「OK。それならば話すとしましょうか。どうしてあなたがすりぬけくんに対して憎しみを抱くようになったのか。そして、あのすりぬけくんが何なのかを」

 




登場用語紹介
ロサンゼルス市警の警部・・・・・・飼っている犬の名前は『犬』
ドルリー・レーン・・・・・・元シェイクスピア劇の名優。「Xの悲劇」「Yの悲劇」と世界に冠たる名作ミステリーに登場する名探偵。

証拠品一覧

北上の証言・・・・・・『金剛はすりぬけくんに対して恨みをもっているように見えた』
パイプ・・・・・・名探偵ぽく見せる時はキャラバッシュ・パイプを使用。考え事をするときはクレーパイプと使い分けている。当然中は入っておらず咥えるだけ。
神鷹の証言・・・・・・『グレカーレさんが私のサラダが少ないときゅうりをたくさん分けてくれました」
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