鬼畜提督与作   作:コングK

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遂に終わってしまった。
可愛かったなあ、解決実行委員会の素顔。
種十号先生、本当にお疲れ様でした。
ただ一つの心残りは天津風は出てきたのに、アメ津風が出なかったことかなあ。


シリアス書いていると日常回って書きたくなりますね。


番外編改三 「おやぢ目安箱」

あ~あ。終わっちまったぜ。本当に終わっちまったよ。

終わりそうな気配が無かっただけに悔やまれるぜ。

 

全くよお。世の中何が悲しいってお気に入りの漫画が最終回を迎えた時が悲しいよなあ。

延々と続いていて、いつまで試合やってんだとか、どんどん宇宙最強が出てくる漫画とかも世の中にはあるし、終りって言っても肝心の試合をやらねえとか、いきなり数年後にわあぷとかそんなどうかと思う最終回にする漫画もあるから、きれいに終わったのに対し贅沢は言えねえがさ。

毎月毎月楽しみにしていたのに来月号からは載らねえ。これはすげえ喪失感だぜ。ぽっかり空いちまった心の空洞を埋めるのにどうしたらよいかと途方にくれたもんよ。

 

とにもかくにも俺様が好きだった漫画が最終回を迎えちまった訳だ。あまりの寂しさに、打ち切りを決めやがった出版社に鬼電しようかと思いもしたが、作者に迷惑がかかるのは心苦しいからな。それならいっそ真似でもして無聊でもかこつかねと、こう、思いついた訳だ。

 

「あの、提督。これは何でしょう」

祭りでよくある某変身系ヒーローのお面をかぶった奴が聞いてくる。

「あん? か○んらいだあのお面だ。お前は今日はらいだあと名乗るんだ」

「え? ら、らいだあですか。や、ヤー。頑張ります」

 

「そんでもってお前はおかめだ」

「なんで僕がおかめなんだい。もっとましな面はなかったのかい?」

ぷりぷりと怒るのはおかめの野郎だ。らいだあよりも遥かに高い面をかぶっておきながら贅沢な。そいつはいつか俺様が桃太郎侍になるとき用に間違って買っておいた奴をわざわざ使わせてやってるんだぞ。

「こんなことなら自分で用意すればよかったよ、全く」

「ふん、うるせえ野郎だな。せっかく俺様が水面下で動いていたのに目ざとく察知しやがって。元ペア艦を忘れるなとうるせえからお情けで入れてやったんだ。嫌なら抜けな! 俺様愛用の漫画と違って練度上限じゃない奴も解決実行委員会に入っているくらいだからな」

 

『まあまあ。ちなみに提督のそれは何なんです?』

「あん。お前、知らねえのか。これはべいだあのマスクよ。べいだあと言ってもフォース使うんで有名な奴じゃねえぞ。びっぐばんの方だ」

って、お前。何だそのボロイ藁の塊みてえのは。

 

『ええ!? ていと、じゃなくて、べいだあ! どこからどう見ても虚無僧じゃありませんか。今日の私はプリティーチャーミングな某妖精女王ではなく、ただの虚無僧妖精です!』

「いやいや。虚無僧妖精って何さ。怪しさ満開じゃないかい」

「なあにが、ぷりてぃーちゃーみんぐだ。えぶりーぶーいんぐの間違いだろお!」

「あー、分かるかも。あんた、人望ないもんねえ」

そう横から口を出したのは某人気ゲームの主人公も真っ青。頭からすっぽりと段ボールをかぶったおさげだ。お前どこに潜入するつもりなんだよ、そりゃ。

 

『ちょっと北、じゃなかった。段ボールさん。それはどういうことですか!』

「自分で分からないってのもすごいよ、あんた」

「いや、段ボールがなぜ段ボールを選んだかの方が僕は気になるんだけど」

「ああ。最初仮装だと勘違いしてちょんまげのカツラを持ってきたんだよねー。そしたら顔が隠れてないとダメって言うからさ。執務室にあったペットボトルの空箱使った」

「お蔭で目をくりぬいたりするこいつを待つので大幅な時間ロスよ。時間もねえし、依頼人も待っている。それじゃあ、第一回。おやぢ目安箱解決実行委員会を始めるぞ!」

俺様の言葉に力強く頷く実行委員たち。約一名どうにもやる気が見えない奴がいるが、仕方ねえ。俺様達の知恵を借りたいって奴がたくさんいる筈だからな。

 

「さてさて、取り出したるはこの目安箱、と」

そう言って俺様が取り出したのはわざわざ岐阜県にある岩村歴史資料館まで行って来て採寸し作った目安箱。元は米将軍徳川吉宗が作らせて、明治時代もあったってことだが、うちの連中にコイツが何か説明するのが一苦労だったぜ。

なにせ、この鎮守府。どういう訳だか海外出身でなぜか駆逐艦の奴ばかり。

懇切丁寧に教えてやっているのに、苦情投書箱と勘違いしやがったグレカーレの野郎なんかいきなり、

「提督がデートに誘わないので誘って欲しい」

とか訳の分からねえことを書いて渡してきやがったからな。その場で破り捨てて梅干しの刑に処してやったもんだ。

 

「困っていることとか、手伝って欲しいことを書け、と告知したが、そもそもあいつらがきちんと意味が分かっているのかが怪しい」

『とりあえず中を見てはどうでしょう! 何一つ入っていないということもありますからね!』

このくそ虚無僧が。不吉なこと言ってんじゃねえよ。漫画でも投書が少ないと落ち込む場面があったのを思い出したじゃねえか。

 

ごそごそと手を伸ばして箱をまさぐると・・・・・・・。

 

「おっ! 入ってるじゃねえか!」

ひい、ふう、みい・・・・と、6つも!!

 

「おいおい。ようやく俺様の普段の教育が浸透したみてえだな。一体誰が送ってきやがったんだ」

るんるん気分で取り出した投書の差出人名を見て、いっきにテンションが下がる。

雪風からだと? あいつが何を困ってやがるんだ。ろくな内容じゃない気がするのは気のせいじゃないはずだ。

 

『雪風です! しれえがすぐトランプを取り上げるので困っています! どうにかして取り上げないようにしてください!』

 

「却下」

びりびりと投書を破り捨てる。

大体なんだ、この『!』の多さは。あいつの無駄に気合の入った声が耳元で木霊するじゃねえか。

 

「ちょっと、べいだあ。少しは考えてあげなよ」

幸運艦ペアとしておかめが取りなすが、お前らはあいつに甘過ぎる。

「そもそも何でトランプを取り上げられているのか分かっちゃいねえ。俺様の友人のないすみどるなおやぢ提督が困り顔で言ってたぜ。『あのびーばーがトランプになるとついつい熱中し過ぎるのが悪い。』ってな」

「ぶっ。友人ってさあ・・・・・・。あー。そうねえ。あの面白いおぢさんねー」

おら、段ボール。けらけら笑ってんじゃねえ。

「やれやれとんだ時間の無駄をしたな。おい、らいだあ。そこのを取って読んでくれ」

「・・・・・・。あ、私でした!」

呼ばれ慣れておらずあたふたとするらいだあ。あっ、ばか。面をとろうとするんじゃねえ。

正体を隠している意味がねえだろうが。

 

「は、はい、すいません。ええと。『と』、です」

 

「ああん? おい、こら。カルタやってるんじゃねえんだぞ。中身はなんだ、中身は」

「ですから、『と』と書いてあります・・・・・・」

らいだあがびくびくしながら俺様に便箋を見せると、確かに大きな文字で『と』と書いてある。

 

「なんだ、こりゃ。だいいんぐめっせえじか? 意味が分からねえぞ」

首を捻る俺様にすかさずおかめが口を開いた。

「あれ、べいだあ。これも同じ便箋みたいだよ」

 

おかめが開いたのに書いてあったのは『で』の一文字。

 

「とで? とでって何だ? 何かの暗号か?」

「あら、これもじゃない?」

段ボールの野郎が手にした便箋を振って見せる。確かに同じ紙だな。そいつにはなんて書いてあるんだ?

 

「ええと、『え』だね」

 

とと、でと、えねえ。 

 

「とでえ。どういう意味でしょう」

「・・・・・・」

 

真面目に頭を悩ませるらいだあには悪いがよぉ。

俺様こいつの筆跡をよ~く知っている上に、考えそうなこともすぐ分かるからな。一発で気付いちまったぜ。伊達に学生時代嫌がらせの手紙の筆跡を鑑定し、そいつにきっちりと落とし前をつけてやった過去を持っているんじゃねえぜ!

 

「グレカーレの野郎。何がでえとだ。ふざけたのは止めろとあれほど言っておいたのに。名前を書いてなきゃバレねえと思いやがったな。がきんちょの浅ましい所よ。お礼に今日の夕食のカレーに山盛りのキュウリサラダをつけてやろう!!」

「ええ!? 止めといた方がいいよ。また青臭いとうるさいよ」

「知るかボケが。神聖なる儀式を馬鹿にした奴の末路よ。それより次だ、次!」

「じゃあ、僕が読むよ。ええと、艤装妖精一同って書いてあるね」

「ほお。妖精からとはな。艤装からはあったが、妖精からは本家の漫画にもなかった展開だ。こいつはいいぜ。なんだ」

『妖精からとは! この虚無僧が一肌脱ぐ番ですね。ふい~』

「このあほ! 会議中に尺八を吹くんじゃねえ。どうしててめえはすぐ恰好から入りたがるんだ」

「いや、それはべいだあも同じだと思うんだけど」

出た出た! ただの真似のこすぷれとリスペクトの違いが分からねえとはな。

俺様がべいだあを選んだのはこの鎮守府の問題を破壊してやるという意気込みからよ。仮面でなければテンガロンハットをかぶってブルロープを振り回す予定だったんだがな。

「あー。あの不沈艦ねえ。何となく分かるかも」

「え!? 今の謎のキーワードで段ボールは分かるの?」

さすがに段ボールよ。がきんちょ駆逐艦とは違って話が分かるな。

ってそれよりもだ。

 

「何と書いてあるんだ」

「うん。『困った上司の相談です。以前提督に捕まり散々お仕置きされたにもかかわらず、あちこちの艤装妖精に声を掛け、再び食堂の警備をかいくぐろうとしています。やんわりと断るのですが、上司は言葉が通じないのかまるで理解してくれません。先日もアトランタさんの艤装妖精が無理やり勧誘されそうになり、艤装妖精仲間が慌てて引き留めるということがあり、甚だ迷惑を被っています。どうしたらよいでしょうか』って、これは・・・・・・」

 

じーーーーーー。

 

『ほお。随分と具体的な相談ですね。それは困った上司です!』

 

「「「え!?」」」

周囲からの視線をものともしない強メンタルっぷりがすげえな、お前。

 

『どうしました、皆さん』

「『どうしました』、じゃねええええ!!」

『ちょ、ちょっと、べいだあ。痛い、痛いですよ!!』

親指と人差し指でつまみながら虚無僧にぐりぐりをかます俺様。

「どう考えてもてめえのことじゃねえか。懲りずにまた色々やらかそうとしてやがって! いい加減にしねえとただでさえ低い人徳が更に低くなるぞ! 農民一揆が頻発するようになっても知らねえからな!」

「なんですか! 人を古代の圧政者みたいに! 『私はただやってみないかと勧めただけなのに』とその疑われた美しい妖精女王は答えていましたよ!」

「いや、疑われたって、事実でしょ、これ。アトランたんが知ったら激怒案件だよ」

『どうにもアトランタさんは怒りっぽいですね。カルシウムが足りていないのだと思います。』

「どうしてそう、全方向に敵を作りにいくスタイルを貫くかなあ。提督と関係があるのかもね」

「おかめ、うるせえ。こいつが見えちまったんだから仕方ないだろうが。返却できればしているところよ」

『『数々の功績を打ち立てた偉大なる女王に対してなんと無礼な! とっくにクーリングオフ期間は過ぎています!』と、麗しい女王からの電波を受け取りましたよ!』

「なにが麗しい、だ。胡散臭いの間違いだろうが」

ぎゃあぎゃあと言い合いをしていると、おずおずとらいだあが手を挙げる。

どうした。お前が自己主張なんて珍しい。

「あの、べいだあ。もう一通あります」

「ああ、そういや全部で6通だったな」

 

おいおい頼むぜ、本当に。6通中4つがどうでもいい相談だぜ。これでこいつもダメだったらほぼ全滅じゃねえか。おい、らいだあ。また頼むわ。

 

「ヤー。りょ、了解です」

 

『Hi! USSジョンストンよ。鎮守府のみんなにも慣れて来て毎日楽しく過ごさせてもらっているわ。それもこれも何かにつけて私を気遣ってくれる姉さんがあってのことだと思うの。お礼をしたいのだけれど、姉さんって何をしても喜んでくれそうで・・・・・・。どうすればより喜んでくれるかしら。相談に乗ってくれる人を派遣してくれると助かるわ。お願いね!』

 

「まともな依頼だね」

とおかめ。

「ああ。さすがはうちの数少ねえ常識人枠だ」

感慨深げに頷く俺様。

「だが、依頼内容は難題だな。フレッチャーを喜ばせるだと? あいつ、何をしても喜ぶぞ」

「だよねー。基本ニコニコしているし。逆にあの子怒ったことあるの?」

『提督が以前行ったFPPとかいう無駄な実験でも全く怒りませんでしたからねー』

うるせえ駄妖精。あれは意義のあるぷろじぇくとだったんだ。奴のふくれっ面が見られたんだからな。

 

「とりあえず誰を派遣するか決めないかい? こういう時はやっぱり元ペア艦に頼るべきだと思うよ」

「いやいや。相談に乗ってくれる人って書いてあるんだから、そこはやっぱり駆逐艦以外じゃないと。工廠によくいる黒髪おさげの美少女を派遣するといいよ」

『ここは信頼と実績の妖精女王の出番ですね。この鎮守府の大黒柱。彼女ならやってくれますよ!』

口々にアピールを始める連中のうっとしいことったらない。第一そこの虚無僧野郎が大黒柱だった日にゃ欠陥住宅でくれーむが殺到するぞ、ぼけが。

 

「おい、らいだあ。お前は誰が適任だと思うんだ」

一人黙ったままのらいだあに聞いてやる。こいつも数少ない常識人枠だからな。

「は、はい。フレッチャーさんはこの鎮守府一度量の広い方ですから、誰が行っても平気かと」

「それじゃあ答えになってねえじゃねえか・・・・・・。って、待てよ。度量が広いだと!?」

 

きゅぴ~~~んと。脳内に稲妻が走る俺様。そうだ。フレッチャーが度量が広いってんなら同じような度量の広さの奴を派遣すればいい。そうすりゃ好みも分かりやすいだろう。

「よし、こいつを派遣するぞ!」

俺様が派遣者の名前をホワイトボードに書いた途端にどよめく室内。

とりあえず、あいつなら何とかしてくれるだろう。

                   ⚓

「え!? どういうこと?」

whyという感情を顔に貼りつかせ、ジョンストンは首を傾げた。

「だからあ、ジョンストンが目安箱に投書したでしょ? それで目安箱解決実行委員会からの依頼で派遣されてきたかも!」

「いや、派遣はThanks。助かるわ! 問題は派遣されてきた人よ」

 

ぶうん。ぱたぱた。

 

「うん!? 大艇ちゃんだけど? それがどうかした?」

「どうかしたって。艤装でしょ!? 貴方じゃないの?」

「秋津洲はただの付き添いかも!」

「Why? どうして。なぜ、艤装が派遣されてきたの?」

「そんなの知らないよー。でもでも大丈夫かも。大艇ちゃんはこの鎮守府でもフレッチャーと競うくらいの度量の広さだから!」

「いやいや。そこは自慢じゃないでしょ。他の子達はどうなっているのよ。私も人のことは言えないけれど」

「とにかく、大艇ちゃんがいれば大船に乗ったつもりで大丈夫かも!」

 

じー。ぱたぱた。

 

「ふんふむ。大艇ちゃんが、ジョンストンのアイデアを聞きたいんですって。そこから方針を決めて行くみたい」

「え!? いや、本当にきちんとしているんだけど!」

 

食堂に移動し、早速FNP(フレッチャーニコニコぷろじぇくと)について語り合う二人。

 

「まず何か買おうと思ったんだけど、何を買っていいか分からなくて姉さんに聞いたの」

 

ジョンストンの回想①

「ね、姉さん。何か買って欲しいものとかあるかしら。今これが欲しいとか」

「今欲しいもの? そう言えば、来週あたり洗剤が切れそうだから早めに買っておきたいわね」

「いや、そうじゃなくて! もらって嬉しい物とかないの?」

「いただけるのならばどんな物でも嬉しいわよ。私のことを気にかけてくれているということですもの」

 

「ってな感じでね」

「う~ん。普通に感謝の手紙とかは? それで十分な気がするかも」

「絶対喜んでくれると思うわ。でもほら、どうせならもっと喜ばせたいじゃない」

じーーーー。

 

「うん。大艇ちゃんの言う通りかも。ジョンストンもフレッチャーもいい艦娘かも。他には他には?」

「後は料理を作ってあげようともしたんだけど・・・・・・」

 

ジョンストンの回想②

「よし、姉さん用にパンケーキでも作ろうっと」

材料を用意した段階でひょっこりと現れるフレッチャー。

「あら、ジョンストン。パンケーキを作ろうとしていたの?」

「え!? い、いやその。ちょっと小腹が空いてね」

「ちょうどよかった! 提督にパンケーキを作って差し上げようとしていたところなの。私もお邪魔していいかしら」

「いいけど・・・・・・」

 

ぼう然とするジョンストンの横で手際よくあっという間にパンケーキを作るフレッチャー。

 

「はい、ジョンストンの分。生クリームとシロップはここに置いておくわね!」

「あ、ありがとう・・・・・・」

すたすたと立ち去るフレッチャーを見送るジョンストン。

 

「これは強敵かも。そもそも何をしても喜ぶって時点で何をしていいか分からなくなるかも」

「でしょう? それで相談に乗って欲しくて投書したの」

「ふ~む。麗しい姉妹愛に秋津洲も一役買いたいけど、かなりの難題かも。プレゼントもお料理も喜んではくれそうだけど・・・・・・」

 

じ~~~~~~~、

 

「え!? 外に連れ出すのはどうかって? 二人で旅行するってことかも? 違う。ご飯を食べに行く? 提督の許可があればいいんじゃないかな」

「成程。姉さんを食事に誘うのね! それはいいアイデアだわ。それで、どこに行くの?」

「そこは大艇ちゃんにお任せかも!」

 

 

そして外出日。

 

「ねえ・・・・・・」

おめかししたジョンストンが、普段着の秋津洲にジト目を向ける。

「外食しようって、このラーメン屋? 出かけるっていうからおしゃれして来たのに!」

「いいじゃない、ジョンストン。せっかく秋津洲さんが誘ってくれたんだもの」

「いや、それはそうだけど。ラーメンって!」

「汁を零さないようにね。後で染み抜きが大変だから」

自分もおしゃれをしてきたのにまるで気にしない態度のフレッチャーに、ジョンストンははあとため息をつく。

 

「とにかく中に入るかも! ここは秋津洲の行きつけだから任せてほしいかも」

先頭に立って入っていく秋津洲を威勢よく迎えるラーメン屋の親父。

「おう。いつもの艦娘の姉ちゃんか。今日は多いな」

「えへへ。仲間を連れて来たかも。特盛ラーメン三つ、よろしくかも!」

「と、特盛って・・・・・・。ちょっと、秋津洲さん!」

どういうことだと顔を寄せるジョンストン。

「フレッチャーはむちむちを目指しているって大艇ちゃんが」

秋津洲の背中の風呂敷袋がもぞもぞと動き、隙間から見えるぱっちりお目目がじっとジョンストンを見つめる。

「え!? ね、姉さんが?」

「そうかも。それにもう一つサプライズがあるかも」

「もう一つ?」

 

「へい、お待ちー!」

運ばれたラーメンに口をつける三人。

「随分と量が多いですね」

「これを食べるとむちむちになれるかも!」

「え!? ほ、本当ですか!」

それならばと豪快にラーメンをすするフレッチャー。

その姿を見て、我が目を疑うジョンストン。

(嘘!! ほ、本当に姉さんが、嬉しそうに食べているじゃない!!)

 

そこへ二式大艇の次なる策が発動する!

 

「いらっしゃーい。お連れさん、先に来てますよ」

「連れだあ? そんなものねえぞ。って、お前等かよ。どうした、いやに着飾って」

 

やってきたのはおやぢ提督。その姿を見て、なぜか顔を赤らめながらラーメンをすするフレッチャー。

「て、提督。偶然ですね!」

「ああ。お前等外出許可出していたが、まさかここで鉢合わせするとはなあ」

 

じ~~~~。

(秋津洲さんの通訳が無くても分かるわ。二式大艇! あんた、図ったわね。恐ろしい子!)

隣りに座った与作に、フレッチャーが顔を赤らめる。

「ま、まさか提督とお会いできるなんて思いませんでした」

「ふん。ここは俺様の行きつけだからな。特盛ラーメンはおすすめだぜ」

「へい。こちらも特盛お待ちね」

「お、お揃い、ですね・・・・・・」

「はあ!? 意味が分からねえぞ。そんなことより早く食わねえと麺が伸びて大変なことになるぞ!」

「は、はい! 私、しっかり食べきって提督好みのむちむちになりますね!」

笑顔でフレッチャーが言った時だった。

 

「けけけけ。たくさん食べ過ぎて、フレッチャーじゃなくて、デブッチャーにならねえように気をつけな!」

 

与作の投げかけた一言に、かたーんと箸を落とすフレッチャー。

「え!? て、提督。むちむちというのはその、たくさん食べればいいのでは・・・・・・」

「はあ!? 食べても運動しなけりゃただのデブだろ。むちむちじゃなくて、ぶよぶよだぞ」

「ぶ、ぶよぶよ・・・・・・・」

ラーメンをすする手が途端に止まり、どんよりとし出すフレッチャー。

それを見て、唖然とする秋津洲とジョンストン。小さく揺れる風呂敷包み。

「おい、こら。早く食わねえと伸びるぞ、おい」

「は、はい。すいません、おじさん。残すかもしれません・・・・・・」

 

後日。

「あの、べいだあ。ジョンストンさんからの苦情と、フレッチャーさんからの効果的なダイエットの仕方を教えて欲しいという依頼が来ていますが・・・・・」

困り顔のらいだあに、べいだあは知るかと答える。

「ジョンストンには今度何かで埋め合わせると送っておけ。フレッチャーにはその辺のダイエット本でも渡してやればいい!」

 

本日の戦果

〔フレッチャーを喜ばせたい〕

投書者:ジョンストン

派遣者:二式大艇 おまけ秋津洲

 

敗北D        

 




登場用語紹介
らいだあ・・・・・・お祭りの定番のお面。日本が世界に誇る変身ヒーロー。
べいだあ・・・・・・皇帝戦士。初登場時は某お笑いの大御所と一緒に登場。
不沈艦・・・・・・・某白いあいつの固有スキルではなく、ブレーキの壊れたダンプカーのこと。ウエスタンラリアットは一撃必殺。超獣コンビは未だにお気に入り。
FPP・・・・・・・・・「フレッチャーぷんぷんぷろじぇくと」の略。

登場人物紹介
グレカーレ・・・・・出されたきゅうりを嘆く姿に、そっと周囲から箸が伸び、人のやさしさに触れる。
アトランタ・・・・・自らの艤装妖精の仇と食堂に張り込み、やってきたもんぷちをお縄にする。
フレッチャー・・・・むちむちの定義が分からずネット検索した結果、卑猥なページに飛んでしまいうろたえる。
秋津洲・・・・・・・完璧超人である二式大艇のまさかの作戦失敗に落ち込み、二式大艇に慰められる。
二式大艇・・・・・・世の中には失敗も付き物と気にしない。大物の風格漂う大艇ちゃん。
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