大好きだったソフトメーカーさんへの感謝を込めて。
グレ「なにこれグレカーレ、はっじまるよお~!!」
がさごそがさごそ。がさごそがさごそ。
昼下がり。俺様が執務室の隣にある寝室に向かうと、そこにはなぜかグレカーレの奴がいた。
「あっ。こら、何してやがる。ゴキブリか、お前は。人の押し入れを漁るんじゃねえ!!」
「ええ―っ。テートクが色気について勉強しろって言ったんじゃん。ルパン三世は全部見ちゃったしさ、テートクの色気の基準が分からないんだよー。」
「ガキが背伸びをしても仕方がねえぞ。ほら止めろ止めろ。そこにあるのは俺様の神聖なる思い出のゲームどもと積みゲーどもだ。触るんじゃねえ。」
「思い出のゲームは分かるけど、積みゲーって何?パズルみたいな奴?」
「やらないで置いてあるゲームのことだ。中には買ってそのまま封を切ってねえのもある。」
「ええ―――っ。もったいない!買わなきゃいいじゃん。」
「うるせえ!思いついた時に買わないとゲーマーは不安になるんだよ。いつかやりたいと思った時
に買えなかったら悲惨だからなあ。」
「そんなことってあるの?」
「エロゲーでは普通だぞ。しゃあない。それでは、そのことについて説明してやろう。本当は最初は例の作品と思ったが、最近の話題なのでこちらについて話してやろう。」
与作「これが俺様が今日語る作品『ブラウン通り三番目』だ。こいつがお前がさっき言っていたやりたいと思った時に買わず後悔した作品の一つだな。」
グレ「かわいい、パッケージだね。裏は・・・」
与作「そこまでだ。お前にはまだ早い。ゲームの概要について説明してやるからそれで満足しろ。このゲームはな、2020年の3月に惜しまれつつも解散したソフトハウスキャラさんの作品だ。」
グレ「えっ?今年の3月に解散したの?」
与作「それまでも何となく大丈夫なのかなという話をオタク仲間からは聞いていたんだが、まさか本当になるとは思っていなかった。俺様の思う、エロゲーなのにやり込み性が高いゲームを作るの上手過ぎメーカーの一つだったからな。」
グレ「他にもあるの?」
与作「ああ。あくまでも俺様の基準だがな。まず北の大地のメイド天使、エウシュリー。ここの戦女神シリーズはハマること間違いなしだ。そして、俺様大好きのelfさんと二大巨頭と言われる西の巨人アリスソフト、俺様も尊敬する鬼畜っぷりのランスが出るシリーズ以外にも、ハマるタイトルが多い。そしてソフトハウスキャラだがここは一番俺様好みのSLGを出すメーカーさんだった。」
グレ「テートク好み?鬼畜ってこと?」
与作「そういう風なルートも当然あるが、この場合はやり込みがいがあるってことだ。やればやるほどおまけシナリオやTIPSが埋まっていき、より深くゲームについて知れる。」
グレ「へえ。楽しそうだね。テートクは繰り返しやったの?」
与作「当然だ。このメーカーのノリがとても好きだったからなあ。好みはあるだろうが、俺様はキャラ同士の掛け合いが好きだった。と、話が横道にそれたな。この『ブラウン通り三番目』は冒険者のお店経営SLGだ。」
グレ「なんか、聞いただけでも楽しそうだね。」
与作「ああ。楽しい。商品の価格設定をしたり、冒険者に依頼したり、主人公に特技を覚えさせたり、宿付きのお店にしたり、娼館チックな店にしたり。とにかく色々なことができる。店の内装や品ぞろえも決められるしな。ただ、店を経営するのは期限付きだし、冒険者への依頼文がとにかく意味が分からなかった」
グレ「どういうこと?」
与作「依頼文をこちらが作成するんだが、意味が分からん文章でな。どこで、だれを、どうしてほしいかをつなげて作るんだ。例えば、『最果ての島で、一人でいる凶悪な悪魔を、泣かしてほしい、とかいう訳の分からん文章になる・・」
グレ「それで依頼をする方もする方だし、行く方も行く方だね・・。」
与作「そいつはお前の言う通りだ。後は主人公が結婚しているくせに浮気するしな。この辺は俺様好みだったぜ。どう考えても嫁のリズィはいい奴だし、声の大波こなみさんもぴったりなんだが、それでも浮気しやがる主人公に、人間ってそうだよなと思ったもんよ。」
グレ「テートクはあたし一筋よね!」
与作「そもそもお前たちがきんちょはカウントされてねえ。まあいい、そうだ。この作品最大の魅力について語るのを忘れていた。それはな。オープニングのインパクトだ!!」
グレ「オープニング?歌がすごいってこと?」
与作「ああそうだ。曲名は『ブラウン通りで待ってます』作詞作曲歌はなんとあの畑亜貴先生だぞ!」
グレ「誰だっけ?聞いたことあるような・・。」
与作「お、お前正気か?現代日本の基礎知識レベルだぞ。オタク会の現人神だぞ。涼宮ハルヒの憂鬱、らき☆すた、アイドルマスターシリーズ、ラブライブシリーズ。とにかくあらゆるアニメやゲームの楽曲でその名前を見ないことがないレジェンド中のレジェンドだ。」
グレ「ええええ!そんなレジェンドが歌ってるの!?すごくない?」
与作「ああ歌ってる。世界名作劇場みたいなノリで。ゆるーく。爆笑もんだぜ。」
ぽちっ。オープニング再生。
グレ「うん。なんかキャラが楽しそう・・。」
与作「まあ、今だとDMMで買えるみたいだから値が下がったが、一時期は中古ショップでも二万三万して、ショーケースに飾られていたこともある。このメーカーのソフトは割合そういうのが多いんだよな。とにかくやり込みがいがあるのが多くて、このゲームも好きでもないのに3週くらいしてるって奴もいたしな。」
グレ「他におすすめはあるの?」
与作「そうだなあ。ここのは粒ぞろいなんだよな。真昼に踊る犯罪者なんかも繰り返しやったし、巣作りドラゴン、レベルジャスティス、ウィザーズクライマーなんて相当やり込んだ記憶がある・・。本当に楽しませてもらった。ソフトハウスキャラさんには感謝しかねえ・・。」
グレ「へえー。んじゃ、テートク。これ、借りてくね!」
与作「おおっと待ちな。お子様にはまだ早い!!」
グレ「あたしはお子様じゃないよ~」
与作「懐かしくなったから俺様はこれからプレイするんだ。さっさと出ていきな!」
バタン!!
グレ「んもう!!いいもんねー。隙を見つけて忍び込んでやるんだから!」
与作(そういう悪巧みは普通聴こえないようにするもんだぞ・・)
登場用語解説
積みゲー・・・積みゲーをするものにとっては溜まっているのを見るのが幸せ。しない人間にとってはただの無駄。
中古ショップ・日々お宝を探すハンターたちが集う場所。与作は本当に欲しいものがあるとき以外は使用しない。定価で買うことでメーカーを支えようと考えているからである。