鬼畜提督与作   作:コングK

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毎度毎度色々建造します。
はい、今度こそ建造します。
数えてみたら、前回建造してから20話以上過ぎてました。




第四十二話「そして、建造が始まる」

江ノ島鎮守府にある工廠内では、今やすっかり工作艦と化した北上がせわしなく集まったデータを整理していた。

 

北上が着任してから2週間が経過し、与作との約束の期間はとうに過ぎている。

その間に色々と頼まれごとをされはしたが、元来責任感が強い彼女は、普段ののんびりした態度を捨て、別人のように研究に没頭していた。

 

北上が今気にかけているのは、建造とドロップの違いについてで、この両者には明確な違いが存在する。建造は様々な議論を経て「特定の資材を用いて艦娘をつくる行為」と定義されたが、艦娘のドロップについても当初はどういう現象なのかと揉めに揉めた。

深海棲艦を「艦娘が悪落ちしたもの。」ととるか、「深海棲艦は未知の生物で、艦娘はその反存在として顕現した。」ととるかによって、その行き着く結論は大いに異なり、結局は先延ばしになったという経緯がある。

 

現在は深海棲艦への研究が進み、「深海棲艦は轟沈した艦娘の人類への怒り・怨念であり、それが打倒されることにより解放される。」という所までは共通認識とされたが、それで全てが解決した訳ではない。怨念より解放されるのは深海棲艦化した艦娘自身なのか、その深海棲艦が捉えていた艦娘の魂なのかという問題は今に至るまで議論の的になっている。学会その他では前者の意見が優勢であるものの、後者の意見を支持する者もまた多かった。

 

それは通称ずれと呼ばれる、倒した深海棲艦とドロップした艦娘の艦種が違うという現象に起因している。戦艦の深海棲艦を倒したのに、現れたのはその場にいなかった軽空母の艦娘ということが現場では稀にあり、このことが実際に艦娘達と接している贔屓目とも合わさって、現場の提督達は後者こそが真実だと信じていた。

 

では、北上の意見はどうかと言えば、彼女の考えはまた別なものであった。この国の考え方では、神々にも和魂という優しい側面と荒魂という荒々しい側面があるという。始まりの提督は建造のことを、魂を招くと言っていたが、招かれたのは善性の魂である艦娘であり、深海棲艦として人類を滅ぼそうとしているのは、自分達の別側面である悪性の魂なのではないだろうか。深海棲艦を倒すという事は、この荒ぶる魂を鎮めるということであり、鎮められた魂は、善性としての元の艦娘となるか、近しい魂を持つ艦娘へとなるのかもしれない。

 

「あくまでも推測だけどねー。」

ぶつぶつとつぶやきながら、先ほど秋津洲が差し入れてくれたコーヒーに口をつけた。工廠の仕事も手伝ってもらう予定だが、この建造ドックの調査が終わらないと迂闊に仕事を頼むことができない。

「いつでも言ってほしいかも!あたし、どんどん手伝うからね!!」

別人のように明るくなった同僚は、若干引くぐらいどんどんと仕事をこなしている。それもこれも、全てあのおやぢにいいところを見せたいからだろう。

 

「すりぬけくん・・か。」

 

見れば見るほど普通の建造ドックなのだが、知れば知るほど普通ではない建造ドックだった。

建造ドックには二種類あり、通常のものと、大型艦用の建造ドックが存在するが、そのどちらにも属さない。大型艦建造ドックは大規模な施設と資材が必要で、主要な鎮守府にしか置かれていないが、そのドックを使っても建造できないような艦を建造するのがすりぬけくんだった。

イタリアでも一隻しか存在しないグレカーレ。そして世界で初めて顕現したフレッチャー。フレッチャー自身はドロップで見つかっていないため、断言はできないが、姉妹艦のジョンストンの状況からしても、彼女もグレカーレ同様、ドロップでしか顕現しない船だと考えられる。

 

「とすると、あんたはさしずめドロップ艦用建造ドックってことだよね。」

 

北上は自分で言いながらも、こいつはやばいなと肩をすくめた。理論上ドロップ艦用ドックということは、世界中のあらゆる艦が建造できる、ということだ。レシピがあっても建造がぶれる通常ドックや、資材を湯水の如く使って強力な艦を呼べるが、こちらもぶれる大型艦用ドックとは根本からして違う。大本営の明石はすりぬけくんを開発ドックみたいと言っていたが、確かに資材を飲み込み、建造しないのは開発ドックの開発ミスと似ている。だが、このドックが開発ドックと違うのは、どうも失敗して得たエネルギーを次の建造用に蓄えているようなのだ。

 

(それしか、フレッチャーの時の建造ミスが考えられない。)

 

工廠妖精の元締めの親方に確認すると、始め雪風達が建造しようとした時には、もんぷちが計器をいじっていたため、異様な数値をたたき出していたが、時雨が建造しようとした時には通常に戻しておいたはずだと言う。それなのに、一回目では戦艦レシピの資材が飲まれた。

北上は、それは、世界で初めて顕現するフレッチャーを呼ぶための力が足りなかったためと推察した。だから、何度も資材を飲み込み、建造できるための力を得ようとしたのではないか。

 

「後考えられるのは・・・。」

くるくるとペンを回しながら考え込む北上の前に、ふよふよと二式大艇が現れる。

「ん!?もうすぐ提督が来るって?ありがと。あんたもご主人と同じできびきびしてるね。」

ぱたぱたと翼を振って応える二式大艇に乗っていたのは、江ノ島鎮守府最古参の妖精女王。

『北上さんも二式大艇と話ができるんですか!』

「ああ、もんぷち。あんたも二式大艇が人格者だからって、普段から乗り回すんじゃないよ。」

『平気ですよ!二式大艇はそんな程度では怒りはしません!』

「いや、あんたは二式大艇も怒らせそうな気がするんだよねえ。色々やらかすし。」

「失礼な!ある時はこの鎮守府の再生!またある時は建造のサポート!そして戦闘だの潜入だののサポートとお役立ち満載じゃないですか!」

 

もんぷちの言葉を聞き、北上はあっとペンを取り落とした。

「そうか。あんたも要因の一つか?初めの雪風の時って、建造手伝った?」

『いいえ。側で見ていましたけど。あの時の提督の呆然とした顔は忘れられませんね!』

「う~ん。提督にはあたしから言うからさ、今回あんたまた建造手伝ってくれない?」

『ほほう。北上さんは分かってますね!私の重要性が。ですが、またあの小うるさい工廠妖精の親方が文句を言うのではないかと・・。』

「というか、あんたが今いるのがまさに工廠なんだけど。よくその発言ができるね、すごいわ。親方~、色々腹に据えかねていると思うけど、ドックの様子を見るためだから堪忍して~。」

すりぬけくんの隅から顔を出した親方妖精が苦虫をかみつぶしたような顔でゆっくりと頷いた。

『了解でさあ。北上さん着任後の初の建造ですからね。おっしゃる通りにします。ですが、女王!くれぐれも変なところをいじくらないでくださいよ!』

『なんですか、その言い草は。これだから、工廠妖精は!』

ぷんぷんと腹を立てるもんぷちをなだめ、北上はすりぬけくんを撫ぜた。

「あたしもいい所見せたいから協力しておくれよ~。」

 

                     ⚓

 

ぐっども~にんぐ。清々しい朝だぜエ。本当に。締め切った室内を換気し、俺様はすがすがしい朝の匂いに浸る。ところどころイカ臭いのはご愛敬だ。今日の建造のために、賢者モードになる必要があったからな。まさか、あの店員が寄こした「喪服妻洋子」があそこまで大ヒットするとは思わなかったぜエ。一流の店員は客の雰囲気から、客の望む物が分かると聞いたことはあるが、あのベテラン店員、とんでもねえ目利きだな。俺様の趣向にどんぴしゃ。おまけにあの野郎、俺様が買ったPCに「紳士の贈り物」なんてフォルダを作りやがって、同じような系統のゲームをわんさとインストールしてやがった。随分と粋なことするじゃねえか。こいつは贔屓にしねえとな。

 

「与作、起きているかい?」

突然、廊下から声が掛かった。うげ。時雨の野郎だ。一体何の用だ。俺様は忙しいんだぞ。

「何の用って、朝食だよ?フレッチャーがサンドウィッチ作って待ってるよ。」

「朝食だあ?俺様はちょいと忙しい。いらねえと伝えてくれ。」

 

話しながら手にしたファブリーズをとにかくめったやたらに室内に撒く。犬並みの嗅覚の時雨は手淫後の俺様のちょっとした臭いの変化をすぐ嗅ぎ付けやがる。お蔭で、提督養成学校に所属していた時、どれだけ俺様が禁欲したことか。

 

「そんなこと言ったら、フレッチャーが可哀想だよ。与作にご飯を作るの楽しみにしているんだから。」

「なんで俺様に食事を作るのが楽しみなのかよく分からんが、それじゃあ執務室に置いといてくれ。」

「そうじゃなくて、食べてるところが見たいと思うんだけど。」

「他人の食べてるところなんざ見ても仕方があるめえ。」

「どうしてこう、女心が分からないかな・・・。とにかく、行こうよ!」

 

あ、バカ。時雨の野郎、扉を開けようとしてやがる。ふざけるな。

 

「おい、こら!!開けるんじゃねえ!こちとらこれからシャワーを浴びようとすっぽんぽんよ。開けたら悲鳴を上げるぞ!」

「うええっ!?」

 

ばたんと開けかけた扉が勢いよく閉められる。ふう。危ない所だったぜ。

 

「シャワーを浴びたら行くからってフレッチャーに伝えておけ。」

「りょ、了解・・・。あの、何か部屋からすごい香りがするんだけど。」

 

はあっ!?こいつ、あのちょっとのタイミングで部屋の臭いに気付くか?そりゃ大量にファブリーズをかけたから、分かるかもしれねえがよ。本当に犬並みの嗅覚だ。油断がならねえ。

「ふん。ちょいと一服し過ぎてな。中々臭いが消えねえんでファブリーズを撒いたんだよ。いいから、早くフレッチャーに伝えてくれ。」

「う、うん・・。」

時雨の足音が遠ざかるや、扉を開け放つと共に、シャワーを浴びに行く俺様。本当の鬼畜モンは垢で体をコーティングするらしいんだが、こればっかりは養成学校に行っていた時に習慣化されちまったんだよなあ。内心忸怩たる思いをしながらも、これは禊だとごしごしと体を清める。

 

「よし、それじゃあ、早速やるか。」

朝食を終えた俺様がそう宣言すると、ぞろぞろと後に続くうちの鎮守府の面々。何か建造してねえのにここのところ増えすぎじゃねえか?しかも俺様の好みから外れた奴らばかり。がきんちょズほどやかましくないし、どいつも仕事をしやがるので文句はねえが。

 

「よお。久しぶりだな、すりぬけくん。」

 

工廠に姿を見せた俺様は久しぶりに再会する好敵手に、にやりと挨拶する。こいつとの過去の戦い。希望の艦娘を見事にすりぬけるその技術はすごいもんがあるぜ。初めて雪風が建造された時の絶望感、二度目のグレカーレが来た時のこれじゃない感。唯一フレッチャーは及第点としてもいいが、それは奴が働くからで、俺様の好みから外れていることに変わりはねえ。

 

「これが噂のすりぬけくんかも?普通の建造ドックに見えるけど・・・。」

「でも、噂だとやばい建造ドックらしい。北上もそう言ってた。」

新規加入の秋津洲とアトランタの野郎がいいリアクションをかましてくれる。すりぬけくんが普通の建造ドック?そいつはサイバイマンとフリーザを見間違えたようなもんだぞ?

「しれえの例えは相変わらずよく分かりません。」

「テートク、今日はあのOGKKPとかって言わないの?」

「ああ。そんなものもあったな。」

「遠い!与作の目が遠くを見てるよ!」

 

OGKKP。俺様好みの艦娘建造プロジェクトの略だが、宣言する度になぜかすりぬけやがる。

 

「あ、あの提督。申し訳ありません。」

フレッチャーがなぜか頭を下げる。お前、前に出てきた時も何か謝ってなかったか。

「今は無理かもしれませんが、提督の好みに近づけるよう頑張りますから・・。」

「んも~!クラリス!そういうところがクラリスなんだよ~。ずるいずるい!」

地団太を踏むグレカーレ。何がクラリスだ。そうすると、ルパンの俺様がおぢ様か。うむ、悪くはねえ。ヒロインにはもう少し色気が欲しいもんだが、そうするとカリオストロの城じゃねえしな。

 

「提督。セッティングは済んでるから、後は資材を投入してボタンを押すだけだよ。」

北上がにこやかにほほ笑んで、俺様に道を開ける。

脳裏に浮かぶのは今までの対戦成績だ。

 

俺様→雪風

雪風→グレカーレ

グレカーレ→失敗

時雨→フレッチャー

ううむ。ここまでの対戦成績で考えると、運がいい奴の方が好成績か。アトランタも秋津洲も運が悪いしな。ここは北上かフレッチャーの二択だな。

「あ、ごめん提督。今回はあたしはパスね。ちょっとすりぬけくんの様子を観察しておきたいから。」

ふむ。そうと決まれば仕方ねぇ。お前しかいない。

 

「マザーフレッチャーお前に決めた!!」

「ふえっ!?あ、あの、提督?」

「俺様にはもうお前しかいねえ。俺様の勘がそう告げている!」

「ええっ。そ、その・・。と、突然の事で心の準備が・・・。I love you so much・・・。」

 

え?なんだ!?小さくて聞こえねえぞ。やるかやらないのかどっちなんだ。

 

「違う違う!!フレッチャー違うよ!与作はフレッチャーに建造して欲しいんだよ!ちょっと、与作!変な言い方をするから大変なことになりそうだったじゃないか!」

 

かりかりする時雨。ゆで蛸みたいに赤くなるフレッチャー。北上はやれやれと呆れて頭を掻いている。俺様、そんな変な言い方をしたかねえ。

 

「す、すいません。提督。とんだ勘違いを・・。」

「あん?別に構わねえ。今回の建造係はお前だ、フレッチャー。いいな。」

「は、はい・・・。」

何だ、こいつ。どことなくしょんぼりしてないか。何か悪いもんでも拾い食いしたのか。

とにかく資材の量を決めるぞ。

「はい、提督。戦艦レシピでしょうか。」

「いや、今回は空母レシピだ。」

ふん。いい加減俺様も学ぶんだよぉ。前回すりぬけくんは戦艦レシピを弾きやがったからな。戦艦のピックアップはすり抜けるってこった。

「それじゃあ、今から俺様が気合いを入れる。合図を出すからその瞬間にスイッチを入れろ。」

「分かりました。」

 

すうう~はあああああ~、

すううう~はああああああ~。

 

呼吸を安定させ、この一瞬だけ煩悩を消す。ただでさえ、昨日手淫しまくり賢者モードの俺様だが、ここで完全に気持ちを無にし、物欲センサーをカットする。心を無に、己の内を空とし、世界の中に溶け込ませる。聖母とも呼ばれるフレッチャーの手を借りて、いざ、建造の時!!!神よ!!出ませい!我が新しき艦娘よ!!

「今だ、やれ!!」

「はいっ!!」

 

フレッチャーが勢いよく建造レバーを引くと、建造ドックのスロットが回り、建造時間がはじき出される。出てきた数字は・・。

 

「04:04:00だと!?」

 

よ、4時間?4時間だと、おい!!!なんかの間違いじゃないのか。これは。この鎮守府に来て初

めてだぞ。一時間以上の建造時間なのは!

 

「いや、間違いじゃない。確かにそうだね。」

 

どことなく固い声で時雨が言うが気にしねえ。

いやったああああああああ。

ついにだよ、ついに。ついに、俺様のところに戦艦だか空母が来るよ。

長すぎだよ、長すぎ。どんだけ待たせてるんだよ。

だが、これまでのことは水に流そう。過去はどうでもいい。

 

「ダメだ、目から変な汁が出てやがる。よくやったフレッチャー。俺様は今、猛烈に感動している。」

「い、いえ。もったいないお言葉です、提督。」

 

長い戦いだった。本当に長い戦いだった。がきんちょばかりの鎮守府がようやく少しマシになってきた矢先だぜ?これは来てる。流れが来てるとしか思えねえ。巨乳が来るに違いねえ。はあ?何だ、アトランタ。自分を指差して。お前はボインだが、色気が足りねえだろ。

 

「でも、ちょっと気になりますね。」

いい雰囲気のところに突然口を挟むビーバーあり。

おいおい、初期艦?俺様今いい気分。それを壊さないでくれないか?

 

「しれえの言ってたレシピに4時間4分の艦娘っていましたっけ。」

 

だーーーかーーーらーーー。不安にさせることを言うんじゃねえよ。俺様だって4時間て出て、金剛型かと有頂天になった後に気付いたよ。後ろの余計な4分に。やめろ、言霊って知ってるか?お前が言うと特に変な方向に行きそうで、めちゃくちゃ気になるじゃねえか。

 

「高速建造剤、余っているから使ったらいいじゃん。」

ナイスだ、北上。今のまま4時間なんて待てねえ。何の遊びをやっても、雪風のいい鴨になるだけだ。

高速建造剤を投入し、みるみるうちに減っていく建造時間。

 

ちーーーーーん。運命の鐘が鳴った。

 

ぷしゅーーー。

 

もくもくと溢れ出る白い煙の中から姿を現す、新しい艦娘。いいな、分かってるな。空母か戦艦だぞ。空母か戦艦。

ん?金髪?ということは金剛型じゃねえ!ま、まさか噂に聞くグラーフ・ツェッペリンか?ドイツ艦か?また海外艦が増えちまうのか?

 

「Guten Tag・・」

ドイツ語!!!おいおいおいおいおいおい。間違いねえじゃねえか。よくやったすりぬけくん。さすがだ、北上。ようやく、俺様の所にむふふな艦娘が来やがった・・・。さあて、どんな感じで相手になってやろうかねえ。くっくっくっくっく。

 

って、あれ?何だ。空母にしてはやけにちっこくないか、あいつ。

 

「いえ、こんにちは。私、神鷹って名前・・・その航空母艦です。まだ、色々と慣れてなくてごめんなさい。でも、頑張ります・・。」

 

は?空母?どう見ても駆逐艦にしか見えねえぞ。何だよ、さっきの建造時間。バグってんのかあれは。俺様のわくわく感を返せ!!いや、それよりも。

 

「神鷹?お前、ドイツ語話していたじゃねえか。」

「は、はい。私、ドイツの客船で、帰国が困難で日本に譲渡されて空母になりました・・。」

「空母?とりあえず空母なんだな!?」

「は、はい。そうです。軽空母ですが・・。何か?」

 

肩をつかみ、確認する俺様に不安そうに震えながら答える神鷹。

「テートク。」

「しれえ。」

「こらこら、がきんちょども。何で俺様の後ろにいやがる。」

「テートク、すぐ失礼なこと言うんだもの!神鷹さん怖がってるじゃない!」

 

はあ?どこぞのロリコンならいざ知らず、がきんちょ達には興味ナッシング。人畜無害のこの俺様に対して失礼な。害はないというように、両手を上げて、一歩下がると、神鷹は小さく息を吐いた。

どうでもいいが、お前怖がり過ぎじゃね?確かに俺様は不満よ。だがな、物事ってのは考え方次第だ。正規空母のボインちゃんじゃなかったのは、悔いが残るが、駆逐艦ばかりだったのと違い、今回は軽空母だぜ?流れが変わってガチャの確率が上がってきたいい証拠じゃねえか!

 

「神鷹、よく来た。歓迎するぜ。」

「Danke、あ、ありがとうございます。」

 

ぺこりと頭を下げる神鷹。ほお。こいつは思ったよりも礼儀がしっかりとしているな。

出てきた瞬間、人の頬をつついてきた、どこかのイタリア駆逐艦とは大違いだ。

 

「ひっどーい。あたしの時と全然態度が違うじゃない!!」

「ふん。今回は純粋にピックアップは仕事をしやがったからな。ただ、当たらなかっただけだ。」

「ご期待に添えずすいません、提督。」

だから、すぐ頭を下げるんじゃねえ。

 

まだ午前中だということで、集まった連中にはどことなくおたおたしている神鷹を案内するよう言いつけ、工廠には俺様と北上だけが残る。

 

「しかし、今回は煩悩を消して挑んだわけだが、どうもその方がピックアップの建造率は増すみてえだな。やはり、願うと出ないというのは本当だったか。」

星5じゃなくて、星4だが、これまでのと違い全然ピックアップ以外の所から建造されてはいないから、まだ許せる。

 

「うん、やっぱりねー。」

今日の総括をする俺様と何やら調べ物をする北上の前に、突如もんぷちが姿を見せた。

『ふふっ!どうです、提督。今回の結果には満足でしょう!』

あれ?また今回もお前建造手伝ってたのか?

『あっ、酷いです、北上さん。私の活躍を提督に言っておいてくれるって言ってたじゃないですか!』

「ごめんごめん。真剣に建造の様子を確認してたからさ。でもお蔭でちょっと分かったかもしれない。今調べてみたけど、神鷹はドロップでは確認されてるけど、やっぱり普通の建造はされてないみたいだよ、提督。」

「はあ!?またか?これで3回目だぞ。」

「うん。3度目の正直って奴だよねえ。やっぱりあたしが思った通りか。」

 

北上はじっとすりぬけくんを見るとぼそりとつぶやいた。

 

「すりぬけくん。あんた一体何物なの?」

 




登場人物紹介

与作・・・・・流れが変わり、上機嫌。今度はホーネットかと気勢を上げる。
神鷹・・・・・与作の様子におっかなびっくり。でも鎮守府の皆は優しいのでやっていけそうと語る。
フレッチャー・痛恨の勘違いを思い出しては部屋で赤面する。
北上・・・・・研究者北上モードですっかりお疲れ。

すりぬけくん・いえいえ。ただの建造ドックじゃございません。
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