雪風改二と丹陽のレベル上げ、イベント準備が忙しく、次話はとびとびになると思います。だって、コンバートだと思うじゃないですか。あの新型兵装を使わせるなんて。
足りないから夜通し周回する羽目になりました。眠くて仕方ない。
甲標的に使っちゃってない人とかいないのかな。もらえる任務は多いけど、使い道が分からず迷って使った人いると思う。
時系列的には特別編Ⅱと同じ日、宗谷に行った後の話です。
宗谷への見学を済ませた後、興奮しきりの雪風と、距離をとるように与作は歩いていた。
「ちょっと、しれえ!今日はデートですよ。もうちょっとゆっくり歩いてくださいよお!!」
「何がデートだ!!がきんちょめ。ああ、なんで俺様、あんなことを言っちまったのか」
与作は後悔する。雪風とのじゃんけんに余りにも負け過ぎたため、気が変になっていたとしか思えない。そもそも、トランプ勝負から数えるとどれだけ負け続けてきているのか。だから、あんな妙なことを口走ってしまったのだろう。
それは北上着任後すぐのこと。
無敵雪風に土をつけるべく行ったじゃんけん勝負。
焼肉にジュースとあらゆるものを賭け負け続け、もう後がなくなった。
「くそっ!もう一度だ。もう一度じゃんけんするぞ!」
「テートク、止しといた方がいいよー。完全にギャンブルにハマる人の思考だよ。だからあたし、言ったじゃん」
「うるせえ!!」
「じゃあ、しれえいきますよ!!じゃーんけーん・・」
「ちょい待て。ここまでのパターンから俺様は学んだぞ。負けた方が勝った方に何かおごるだと俺様が負ける。よし、こうしよう。お前が勝ったら俺様に焼肉とジュースをおごれ!!」
「なんです、それ。雪風が損じゃないですか!」
「うるせえ。それじゃあ、俺様が勝ったらお前が行きたがってた宗谷に連れてってやるよ。けっけっけっけ。どうだい、このぷらんにんぐ。どちらにしてもお前の負けよ」
「え!?ちょ、ちょっと、ずるいんだけど!何それ、テートク」
「私もじゃんけんしたいです・・・」
「何を言っているんだ、お前らは。どうする、雪風。試合から降りるなら無条件に焼肉とジュースが俺様のものとなるぜエ」
「インチキじゃない!」
声を上げるグレカーレをよそに、ごごごごごとなぜか静かに闘志を燃やす雪風。
「やりましょう、しれえ!じゃーんけーん」
「「ぽいっ!!」」
雪風→チョキ
与作→グー
ぶるぶると拳を突きあげながら、与作は絶叫した。
「は、はあああああああ!?あれだけ、あれだけ勝ってた奴がなんで急に負けるんだよ。俺様の焼肉はどうした!ジュースは!?」
「やりました!!しれえ、宗谷ちゃんの所に連れてってくださいよ!!」
満面の笑みを浮かべる雪風に、その場にいた二人からは不満の声が上がる。
「えーーーっ。ずるいずるい!!あたしもテートクとデートしたい!!」
「私もです・・・」
『ちょっと、聞き捨てなりませんよ。デートイベントがあるなんて!』
ふよふよとやってきた妖精女王に、
「ええ!?じゃんけんで負けたら与作がデートしてくれるの?」
「それは初耳。知らなかった」
特訓を終えて戻ってきた時雨とアトランタ、
「何々、面白いことやってんの~?」
工廠から騒ぎを聞きつけてやってきた北上もそれに加わり、場は混沌と化した。
(思い出しても、寒イボが出てくるぜ。俺は、なんであんなことを言っちまったんだ。気がふれていたとしか思えねえ。通常の思考じゃないぜ。)
思い出したくもない過去に、与作は顔を思い切りしかめた。
「ったく、今日びのがきんちょは、引率とデートの違いも分からねえのか。俺様は一言もデートするなんて言ってねえぞ」
「むう。しれえは本当に女心が分かりませんね!!時雨ちゃんの言う通りです・・・」
「あいつの言うことをそもそもまともに聞こうとしている時点でお前は間違えている」
「それで、しれえ。どこに向かっているんです?乗る電車が違いますよ」
なぜか電車で行きたがった雪風に、乗り鉄の与作は良い傾向だと頷いて、江ノ島からやってきたが、戻るのならば反対方向の筈だ。
「ふん。さっきの話で思い出して、ちょいと行ってみたいところがあるんでな。まあ、お前にも縁があるところだ」
新宿から京王線に乗り、調布へ。駅からバスに乗り、やってきたのは覚證寺というお寺。
「え・・・ここは?どういったところなんです、しれえ」
「とりあえずついてこい」
住宅地の中、うっそうとしげった緑に囲まれたところだった。
墓地に入ると、すぐに目的の場所が見つかった。
墓前には狛犬のように置かれた鬼太郎とねずみ男の象。外柵にはたくさんの妖怪が浮き彫りされている。
「あ、あの。しれえ、ここって、まさか・・・・」
「俺様が尊敬する水木しげる先生の墓だ」
「・・・・」
ラバウルやポートモレスビーなど、復員船として働いていた雪風が、日本へと連れて戻ってきた人は1万3千人以上にのぼる。その中でも有名な一人が、目の前で眠る妖怪漫画の第一人者だ。
「水木先生・・・」
感慨深げにそっと雪風は手を合わせた。
戦後賠償艦として丁寧に整備された彼女は、その後中華民国へと引き渡されたため、自らが故国へと連れ帰った人たちの、その後のことは風の便りでしか聞いていない。
日本でも中華民国でも活躍した彼女を、そのどちらの国民も愛おしく思ったのだろう。舵輪と錨は日本に、スクリューは中華民国の佐営にある海軍軍官学校に展示されている。
船の形としては、祖国の土を踏むことは叶わなかった。だが、姿を変えて、自分はここへと戻ってこれた。
始まりの提督や与作が言うように、船の魂が宿っているこの身は妖怪のようなものなのかもしれない。でも、きっと目の前でユーモラスな顔で鎮座する妖怪を描いた水木先生のことだ。自分達のこともすんなり受け入れてくれたことだろう。
「雪風、帰ってきましたよ・・」
突然、ふっと、雪風の頬を風が撫でた。
お帰りの挨拶か、それともまだ働くのかいと呆れたのだろうか。
雪風は微笑むと、ぺこりと頭を下げた。
「あっちでも頑張りました。こっちでも頑張りますね」
⚓
結構な移動距離でさすがに疲れたな。
やれ、デートだなんだと散々騒いでいた雪風は、墓参りの後突然静かになりやがった。
井の頭線から小田急に乗り継いでも無言のままで、さすがの俺様も声を掛けざるを得ない。
雪風のほっぺたを引っ張って元気を出させてやる。
「な、なんです、しれえ!」
「おい、無口キャラで通そうとしても、お前に五右衛門は似合わねえぞ」
「んもうっ!!雪風だって、色々考えるんです。」
「がきんちょが考えても仕方がないだろうが。悩むんならどうして、自分は料理ができないのか悩め」
「事実を捻じ曲げないでください。この間グレカーレさんと和食を作って、しれえもそこそこイケると言ってたじゃないですか!」
「あのなあ。料理ってのは片付けまでが一工程なんだよ。お前ら食べた後フレッチャーの野郎に後片付けを手伝ってもらってたじゃねえか」
「あれは、フレッチャーさんがご馳走になったからやりますと言ってくれたからですよ!いつ
になったらしれえは雪風達をお子様扱いしなくなるんですか。今日だってせっかく・・・」
おいおい。なんだ、こいつ。頬を膨らませて黙り込みやがった。せっかくってなんだよ。ふん、響の野郎が言っていた、おしゃれをしてきたから、洋服を褒めろってことか。知るか。がきんちょは何を着てもがきんちょよ。
でも、改めて見ると、こいつのワンピースのリボンの錨の刺繍は手が込んでやがるんだよなあ。パッチワークや日本刺繍を嗜む俺様の琴線に触れるぜ。
「あの、しれえ。どうしました?じっと雪風の方を見て」
「ああ。お前のそのリボンの刺繍、すごい手が込んでいていいなと思ってよ」
「えっ・・・」
「ふむ。こいつはいい。よく似合っている」
黒地のリボンに白い錨の刺繍がベストマッチだな。こいつを考えた奴はセンスがいいぜ。
「あ、ありがとうございます・・・・」
あん?なんだ、こいつ。顔が真っ赤っかだぞ。突然どうした。怒りゲージがMAXになったのか。
もじもじしやがって。トイレか?次で降りてもいいぞ。
なんだ、お前。微妙な顔してこっちを見やがって。
「はあ~っ。どうして、しれえはそうなんでしょう。もうちょっと雰囲気を察した方がいいと思います!」
「何を!小生意気なことを言いやがって」
「時雨ちゃんだって改二になったら成長したんですから、雪風だって成長する筈ですよ!」
何をムキになって言っているんだか。お前らが成長しても、それは誤差の範囲でしかねえと言ってるだろうが。
「全く、艦娘は見たままの年齢じゃないんですよ!もう100回は言ってる気がします!」
調子を取り戻したのか、雪風はぎゃあぎゃあと喚き、俺様は頭が痛くなった。
登場人物紹介
与作・・・・・鬼太郎茶屋で鬼太郎柄の手拭を買い、ご満悦。
雪風・・・・・焼肉もジュースもいらないから、切符を買ってほしいとせがみ、こいつ乗り鉄になったのかと与作に喜ばれる。
グレカーレ・・時雨〇フレッチャー〇雪風〇あたし×アトランタ×北上さん×と書かれた謎のメモを執務室に置き、公平な待遇を要求する。
アトランタ・・少しは落ち着きなよ、とグレカーレに言いながら懐に『おしゃれなカフェ巡り』なる本を入れているのを北上に発見される。
フレ&時雨・・グレカーレのあまりの剣幕に自分たちもとはさすがに言い出せない。