鬼畜提督与作   作:コングK

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どうにもコミケがないとやる気が出ません。
E4は何とか甲で割れました。ですが、ため込んだ伊良湖、間宮を大放出。
竹友軍が来たものの、最後まで時雨は仕事をしてくれず・・。

ラスダン割った後E3で神鷹が来たので今回のを書きました。

本編の続きはもう少しかかります。


番外編改Ⅱ  「色々な人々の年末年始」

①普通(仮)の鎮守府の年末

単冠湾泊地の年末は忙しい。なぜなら、掃除の鬼と化した曙があちこちてきぱきと指示し始めるからだ。

「ちょっと、そこ!もう少し手を動かしなさいよ!」

「あ、曙ちゃん。提督さんに失礼だよ」

潮の抗議もどこ吹く風。どことなく不器用に掃除を進める己の提督に、曙はため息をつきつつその掃除を手伝う。

「全く。クソ提督はあたしがいないと何もできないのね。もう少しきびきび動きなさいよ」

「翻訳すると、『提督を手伝いたいな』ですね。ツンデレ乙なのです」

「い、電!あんたの翻訳機能、壊れているわよ。修理に出した方がいいわ!」

「顔を真っ赤にして言う台詞ではないのです」

「はいはい。お二人さん。司令官がお困りでしょう?手早く片付けて年末年始のための買い出しに行きましょう」

妙高が二人をとりなすと、名取が車を回しますね、とほっとした表情を見せた。

「やれやれ。うち以外の鎮守府でも大掃除って大変なのかなあ」

単冠湾泊地の間島提督は同期の提督に思いを馳せた。

 

②漢達の年末+α

 

12月31日早朝。

 

なんとも言えねえ清々しい朝だな。夜明けの寒さが心に染み入るぜ。

さいたま新都心の駅前にはお馴染みの恰好をした連中が交通整理をしていたが、朝も早くからお疲れ様だな。

 

「はあい。走らないでくださいねえ!怪我の元ですよ!!」

大きな声でこちらに安全を伝えてくれるスタッフに、血相を変えた連中が文句をつけてやがる。

「ふざけるな!!昨日の夜から並んでいるんだぞ!!いつになってもスタッフが来ないじゃないか!!始発組より後なんていい加減にしろ!」

 おやおやあ。徹夜組さんですかねえ。おかしいなあ。徹夜禁止って書いてあるんじゃないのかよ。

「あのですね。カタログ読んでいただけました?徹夜行為は禁止ですよ。文句を言われても知りません」

「バカ言ってんじゃないよ!!昨日の夜にスタッフが誘導してたんだぞ!!近くの学校のグラウンドに、ここで待機していてくださいって!」

「準備会の人間がそんなことする訳ないでしょう!」

「冗談じゃない!責任者を出せ!客を何だと思ってるんだ」

やれやれ。バカが多いな。ここは俺様が・・。

「鬼頭氏。ここは拙者にお任せくだされ」

すっと動いたのが織田。どうでもいいが、お、前普段そのござる口調なんざしてないだろ。

どういうキャラ設定なんだ。

 

ぎゃーすかぴーと喚く男とスタッフの間に入ると織田は一言

「黙れ、カス!!」

と叫んだ。

「な、なんだお前!!」

「そもそもコミケに来るのは参加者。共に祭りを盛り上げようとする同志よ。貴様のように己の購買欲さえ満たせればよいという困ったちゃんな自称お客様はお呼びじゃない」

「喧嘩売ってんのかお前!」

殴りかかってくるのを簡単にいなす織田。こいつもそこそこ鍛えてやがるからな。その辺のオタクじゃどうあがいても勝てないだろ。

 

しかし、怪我でもさせたらことだからな。避けてばかりで時間がとられるのも面倒くせえ。

仕方ねえなあ。

 

「おい」

「ああん、何だよ!って、お前昨日の!!お前のせいで・・・」

くふふふ。暗がりだったのによく顔を覚えてやがるなあ。でも、俺様はお前なんか知らねえよ。

どうでもいい一般人の顔なんざ覚えてちゃ脳細胞がもったいねえ。

「誰かと勘違いしているんじゃないかねえ。で、何俺様と戦う気か?」

 

ちらっと睨むとそれだけで恐れをなすオタクAは脱兎のごとく退散する。

「あ、ありがとうございます。すいません」

スタッフが俺様に挨拶をするが、何あんたらも朝早くからご苦労なこったな。

 

「申し訳ない、鬼頭氏。加減をし過ぎました」

「構わねえ。あっ。それとスタッフさんよ。なんか大学の付属高校のグラウンドにやたら人だかりができてたぜ。さっきの連中と関係あるんじゃねえか?」

「え?本当ですか。なんでそんな所に・・・」

 

ぶつくさとつぶやきながら去るスタッフの後ろ姿に思わずほくそ笑みながら、俺様は昨夜のことを思い出す。

織田の野郎と駅前のホテルに集合していたところ、なぜか近くの新都心公園にやたら人影があるのに気付いたんだよなあ。

「ありゃあ、なんだ」

「徹夜組でござるよ。国際展示場の時もいたそうですが、いくら準備会が呼びかけてもイタチごっこは変わりませんな」

唾棄すべき輩だと吐き捨てる織田にぴんと来た俺様。

「ふうん。気に食わねえな」

ナイスなアイデアを思いつき早速実行よ。その名も「ザ・隔離」。ちょうど冬休みで学校は休み。地域の治安を守るためって話をしたら、見張りがつくならって条件でノリが分かる校長が貸してくれだぜ。

「ほーい。こっちだよー」

「す、すげえな。あの子。まんま北上じゃないか。もしかして本物か?」

 

うちの鎮守府一ノリの分かる北上が先導に立つや、ふらふらとそれに引き寄せられるように集まってくるオタク集団。すげえな。こんだけ夜中に集まるとゾンビみたいだぞ。

「はい、お前たちみたいなルール破りはここで待機していてください。明朝になったら声を掛けますからねえ」

「と、トイレはどうしたらいいんだ!」

なんだあ、こいつら。マナーも守れねえ連中の癖にいっちょ前にトイレの要求だあ?生意気言いやがって。

「トイレは新都心公園にある仮設トイレを使ってください。警備の人間がいますので、不心得者は叩き出します」

「警備の者って、あたし達のこと?」

「そうだよ、アトランタん」

「提督さんがラーメン食べる前に運動するって言うから車出したのに・・。騙された」

おい、アトランタ。小声で言っても聞こえるぞ。それに提督さんは止めろ。女連れで戦場に来ている軟弱ものだって思われるじゃねえか。

「あたしはそれでもいいけどねー。面白そうじゃん」

「さすがは北上だ。悪いが、8時まで頼むぞ。8時になったら解放しろ。きちんと見ていたら、餃子にチャーハンをつけてやろう」

「そんなに食べられるかな。まあ、頑張るよ」

やれやれと言いつつも頷くアトランタ。こいつ案外素直なんだよな。

「暴れそうだったら遠慮なく警察呼んでいいからな」

「その前にぶっ飛ばすかもしれないけど、それはいいよねー」

「加減が難しい」

「まあ、お前等はその辺の加減が分かりそうだから任せる」

「ほいほい。任された」

「了解」

 

回想終り。ってな訳で、哀れ、夜中から寒い中で徹夜していた連中は全く関係ないところで待たされていたってわけだな。

「いや、さすがに鬼頭氏は素晴らしい。拙者も常々あの手の連中には頭に来ていたでござる」

「ふん。いい気味じゃねえか」

すうはあと深呼吸を繰り返す。なんとも言えねえ冬の冷たさ。肌がぴりつくいい空気だぜ。

ジオンの歴戦の勇士じゃねえが、

「この風。この匂いこそ戦場だな・・」って奴だ。

 

周囲に溢れる人人人。

地図を片手に、いかにして目的を達するか喧々囂々の会議を開く者達。

早朝の出撃に、束の間の安眠を取る者達。

これから向かう先の最新情報を集める者達。

補給物資の調達に余念のない者達。

 

その誰もが、普段は見せねえ熟練の動きをしてやがる。

確実に倍、人によっちゃあシャアザクすら凌駕する性能を見せるのが祭りだ。

 

「それにしても、江ノ島の艦娘は素晴らしいですな。提督のやることに理解があって。うちのくそどもに爪の垢でも煎じて飲ませたいもんです」

 

そうでもないぞ。ここに来るまで色々と面倒くさかったからな。

そう、それはつい先日のクリスマスイブのこと。

この日を記念しての俺様考案のなぞなぞ大会をせっかく開催してやったのに、その有様ときたら、凡ミスを連発して一向に勝者が決まらない。

 

「フレッチャーが俺様に感謝し、大きくした食事は何かだぞ、問題は!なんでお前が間違えるんだ、フレッチャー。ハンバーガーってなんだ、ハンバーガーって!」

「ご、ごめんなさい。提督・・。きちんと答えようとしたのですが、そのう・・・」

ちらちらと上目遣いで申し訳なさそうにする米国駆逐はなんだか最近おかしな時があるなあ。

これも、周りの連中の悪い影響かもしれねえな。

 

泥仕合と言って差し支えない酷さだった。あまりのしょうもなさに途中でゲームを打ち切ったくらいだ。

「やる気があるのかお前ら?」

「むしろ、やる気があるからこうなってると思うよ」

 

まるで謎かけみたいに訳の分からないことを言うペア艦は放っておいて、どうしようもない事態に俺様が強権を発動する。高級品やペアチケットはこちらで処分し、使えそうなものは共用にすると申し渡したら、ラーメン屋に行くのと一週間の秘書艦はどうなっているのだと矢のような質問だ。

「はあ?なんでそっちには食いつくんだお前等?」

 

あまりに面倒臭いので、俺様が決めると宣言し、ラーメン屋は北上にアトランタと、秘書艦は神鷹にしたと告げると、まあ次から次へと文句ばかり。

 

「あたしのメモを参考にしたのはいいけど、なんであたしはデートに連れてってくれないのよー!」

騒ぐイタリア児ポロリ駆逐に、

「ちょっとダーリン!あたし、まだ話してない事件が山盛りなのよ!」

しゃべり足りないと文句を垂れる英国駆逐。

 

あっちを向いてもこっちを向いても駆逐艦ばかり・・。

新年ぐらいそうじゃねえ連中といたって罰は当たらねえだろうが!!

 

「でもでも、提督?あたしは水上機母艦だよ?」

おい、秋津洲。なんだ、そのふくれっ面は。大体、どうしてそうデートだ何だと言う話になりやがる。純粋に俺様が落ち着いて執務ができるかどうかだ。

その時点で英国とイタリアの二隻はおさらばだ。あでぃおす、あみーごって感じだな。

 

「何よそれー!」

「そうよ、ジャバニーズえこひいきよ、ダーリン!!」

贔屓じゃねえ。事実を言っているまでだ。

 

「雪風は静かですよ、しれえ!!」

文句を垂れる初期艦。うん。まあ、お前は静かと言えば静かな方だが、仕事がいまいちだろうが。俺様、新年一発目はきびきびやりたいんだよ。

 

「じゃあ、僕だっていいじゃないか!」

ええーーっ。という顔で時雨の奴を見てやる。お前さあ、少しは年長者らしくしたらいいじゃねえか。ペア艦だからって俺様にいつまでも引っ付いているんじゃねえ。自立しろ。

 

「提督、あたしはあたしは?」

かもかも娘が期待に目を輝かせながら再度言ってくるが、お前は一度ラーメンを奢ってやってるし、年始は工廠と食堂の仕事があるだろうが。二式大艇だけでいいならOKだぞ。

 

パタパタ。じいい・・。

「自分だけ行くわけには行かない?まあ、お前ならそう言うだろうな」

 

「あの、提督。私とジョンストンは・・・」

もごもごと何か言いたげなフレッチャー。

「ふん。さすがの俺様も姉妹水入らずの年始を邪魔する気はねえ」

「二人で秘書艦でも一向にかまわないわよ、ヨサク」

なぜかやる気を出すジョンストンだが、俺様も鬼じゃねえ。休むといいぜ。仕事始まりからばりばりやってもらうからよ。

「いや、そういう訳じゃなくて、姉さんが・・・」

 

「北上達は担当以外の仕事を結構こなしているからまあ奢ってやろう。神鷹はうちで一番静かだからだ」

さぞ嫌がるだろうとにやりと笑うと、微妙な表情を見せる神鷹。

なんだ、お前。ちらちらとこちらを見て。

 

「あの、提督。新年からとなるとおショウガツーもですか?」

「もちろんそうに決まってるだろ。初詣は鶴岡八幡宮に行こうと思ってたんだ。お前も来やがれ」

「Danke!ありがとうございます。た、楽しみです・・・」

「ええーーっ!!!ずるい、ずるい!!お正月デートが神鷹だけだなんてありえなーい!!」

「うるせえ奴だな。お前たちに普通に休みをやっているのに、何がそんなに不満なんだ」

「初詣に行きたいだけです!しれえと!!」

「俺様は保父さんじゃねえぞ。いい加減お前らも俺様ばっかりとくっつかないでお前ら自身で行動しねえとな」

「本当に与作はその辺り、全く分からないね・・・」

遠い目をしながら言う元ペア艦は放っておこう。

 

「いやー、それにしても棚から牡丹餅だね、アトランタん」

「うん。つくづく運転を習っておいてよかった」

喜ぶ北上達。

「ううっ。私、この休みに免許合宿に行こうかしら」

「ね、姉さん。さすがに一週間程度じゃ無理なんじゃない?」

フレッチャー達は免許合宿に行く算段か?まあ構わねえが、お前らが行くとうちの常識人枠が少なくなるんだが。

「なんです、それは!まるで雪風達がおかしいみたいじゃありませんか!」

「そーよ、ダーリン!名探偵に対して、それは失礼よ!!」

 

おい。おかしい筆頭の二人が何かほざいてやがるぞ。

お前ら、この間歴史に残るような壮絶なトランプ勝負をしていたのを俺様が見てなかったと思うのか。いくら誘っても俺様は金輪際お前らとはトランプをやらねえからな!

「か、カルタならいいかも?」

ほお。それはいい。カルタならば、勝ち目はありそうだな。雪風はとろいし、ジャーヴィスの野郎は日本語がよく分からねえだろう。くっくっくっく。お手製のカルタを作ってやろうじゃねえか。

「てな、感じでな。二言目にはがきんちょがまとわりついてどうしようもねえ」

「き、鬼頭氏・・・。鼻血が出そうな環境ですぞ!!羨ましいどころの話じゃありません!!」

「お前はいい加減あの瑞鶴と仲良く年末を過ごしてやったらどうなんだ?

「鬼頭氏!そんな殺生な!!うちの鎮守府の殺伐とした雰囲気はまず間違いなくあいつのせいです。そもそもあいつが無理くりうちに着任しなければ・・・・」

ぶうん・・・・。

「ん?YSKレーダーに感あり!!おい、バカ。どこかの空母が偵察機飛ばしてやがるぞ!!」

周りは気付かねえみてえだが、俺様の超感覚ではっきりと分かる。

「はあ!?あ、あのバカ!!こんな所で!!」

 

すぐさま慌てて連絡をとる織田。

 

「おい、バカ。すぐに止めろ!」

「あんた、年末の大掃除をさぼって何やってんのよ!!神通と龍田が激おこだかんね!!」

「俺の分はしっかりやっただろうが。各自大掃除をすべしと言っておいただろう」

「自分の所だけやってさあ終わりじゃないでしょ!鎮守府中のすす払いとかするもんじゃないの!そこで待ってなさい!!今行くから!!」

「今って、お前。この人ごみの中でどうやって・・・」

 

どどどどどと土煙を上げてやってくる瑞鶴に、周囲の歴戦の猛者たちは驚きもせず眉を顰める。

 

「戦場に女を連れてくるとはな・・」

「あいつ、死ぬぞ?」

囁き交わされる言葉に、織田の怒りは沸騰寸前だ。

「おい、お前。いい加減にしろよ・・」

「何よ、あんたが悪いんでしょ!」

 

あちゃあ、こいつ。本当に頭に血が上ってんな。また、瑞鶴の野郎もどういう訳だか引くことを知らねえからなややこしいことになるんだよ。

周囲のオタク達からの視線が絶対零度になる。

「痴話げんかはよそでやれ。ここは戦場だぞ!!」

雄弁にその目が語ってやがる。そりゃあそうだ。ここは年長者の出番だな。

 

「おい、瑞鶴よぉ」

一触即発の瑞鶴を俺様が手招きする。

「あいつだってたまには羽目を外したいのよ。男同士の付き合いにあんまり口を出すもんじゃねえぜ」

「き、鬼頭提督が言っていることは分かるけど、あいつ。鎮守府の私達を放っておいてわざわざ埼玉くんだりまでくるからさ・・・」

つまり、もっと自分たちに構えってかあ?やれやれ。どうしてこう艦娘ってのは構ってちゃんが多いのかねえ。仕方ねえ。後でやろうと思っていたが、こいつを使うしかねえ。

 

「まあ、落ち着け。お互いにwinwinになるようにしようぜえ。お前が午後まで見逃してくれるってなら、こいつをやるぜ」

「何これ・・・って、ゴトシープランドのペアチケットじゃない!!!これをくれるの?本当に?いいの?」

びっくりしたようで落ち着かない雰囲気になる瑞鶴に俺様がうんうんと頷いてやる。

「ああ。お前等にやろうと思って持ってきたんだ。織田に渡しても使わねえかもしれねえからお前にやるぜ」

「あ、ありがとう・・・。」

「終わったら連絡するからよ。コーヒーでも飲んで待っててくれや」

「う、うん」

おいおい。顔を綻ばせながら、帰っていきやがったぜ。おいおい。これは年末に一ついいことしちまったな。

 

その後はどうしたかって。普通通り戦場を楽しんだぜ。残念ながら、織田は途中で瑞鶴の野郎に連れていかれたがな。

「き、鬼頭氏。助けてください!!」

「大掃除はしておきな。うちは俺様が計画的にぴかぴかにしたからすることはねえのよ」

「殺生な!!」

「さ、帰るわよ。その前に寄るところに寄ってね!」

輝くばかりに戦意高揚した瑞鶴の姿に、若者たちの未来を育んだという実感が湧くぜ。

え?北上とアトランタはどうしたかって?

 

あいつら、大晦日にラーメンに連れてってやったのに、それだけじゃ足りないと喫茶店巡りをすることになってな。結局鎮守府の年越しそばにぎりぎりになって周りの連中にどやされてたぞ。

「埼玉なんか行かなきゃもっと廻れてたのに。残念」

おい、アトランタ。お前その雑誌は何なんだよ。おすすめのカフェ?知るか。缶コーヒーでも飲んでろ。

「提督は缶コーヒーにアンパンが異様に合うねえ」

おいおい。北上。分かってるじゃねえか。追い込みの与っさんとでも名乗るか。

 

                   ⚓

1月1日早朝

 

「なんだあ、お前。その恰好は」

開口一番俺様が驚いたのは、初詣に行くぞといった神鷹の恰好。緑を基調にした振袖姿と金髪がやけにマッチしてやがるな。

 

「あ、あの提督。どうで、しょうか・・」

「お前。それどうしたんだ?」

「ほ、鳳翔さんが送ってくれたんです・・・」

ちらちらと上目遣いにこちらを見る神鷹。ふーん。ばばあがねえ。

「あのばばあ、お前を体のいい着せ替え人形だと思ってねえか。そのうちメイド服でも送ってきそうだな」

「えと、そ、それは北上さんが似合うんじゃないかと今度誂えてくれると・・・」

 

どうにも、こいつが大人しいもんだからと周囲の人間は好き勝手しまくってやがるな。

それに、大分慣れて来たとはいえ、こいつのこのぎこちねえコミュニケーションがどうにも気になって仕方ねえ。ジャーヴィスの野郎もおしゃべりはコミュニケーションに必要だと言ってたからな。よい、決めたぜ。

 

「おい、神鷹。参拝に行くまでの間に鎮守府で正月に使うカルタの言葉を考えるぞ」

「カルタの言葉ですか?あの、どういう・・」

「犬も歩けば棒に当たるとかってあるだろう。あれをうち用にアレンジするんだよ」

「あいうえおを使えばいいんですね。わ、分かりました。お任せください」

 

電車で鎌倉へ。そこから鶴岡八幡宮へと向かう。おー。いるいる。すげえ人だかりだな。

「よし、それじゃあ並んでいる間にやるぞ。よし、俺様からだ。い、『いつも出るのは駆逐艦』」

「ええっ!」

俺様の魂の言葉に驚く神鷹。何だ、どうしたお前。

 

「わ、私も建造されたんですが・・・」

しょぼんとして言うんじゃねえ。そうだ。確かにこいつは駆逐艦じゃねえ。その括りで見ていたがな。まあ採用するかは溜まってからにするぞ。お前のいは何だ。

 

「は、はい。『いつも笑顔で みんな元気に』です」

なんだ、そりゃ。小学校の標語じゃあるまいし。次だ、次!

 

「ろ、『ローマはいつになったら来る』だな」

「ろは『ろうそくの 明かりがきれいな クリスマス』です」

 

「はは、『はい、しれえ 返事だけいい くそびーばー』で決まりだろ」

「そ、それはちょっと・・。『春になり 桜咲くかな 鎮守府に』です」

 

「はあ?うちに桜なんてあったか?」

「はい。裏庭に。この間秋津洲さんに案内してもらいました」

あの野郎。後から来たのに、うちの古参連中よりよっぽど鎮守府内の様子について詳しいじゃねえか。

 

「じゃあ、にを行くぞ。『にくいやつ 意外に使える 二式大艇』」

「にですね。『日本を 世界をみんなを 守りたい』」

 

次々に言っていくが、神鷹がクソ真面目過ぎてどうにも使えそうにねえぞ。

「神鷹よ、たまには羽目を外せよな」

「し、ですか。『新年に お参りできて 嬉しいな』です」

は?何言っているの、こいつ。

「え?し、の札じゃないんですか?」

言ってから勘違いを気付き赤くなる神鷹。お前なあ。そんな感じだとうちの鎮守府で苦労するぞ?

「そ、そんなことはないです!」

 

結局俺様がほとんど考案して作ったカルタは大好評だった。

「何だい、与作。今の『切るに切れない腐れ縁』ってのは!」

「そうよ!『二言目にはずるいとばかり』なんて、完全にあたしのことじゃないの!」

「提督~。『かもかもは 可もなく不可もないのかも』ってあたしのことかも~?」

「しれえ!自分ばっかり『提督は いつも大変 お疲れ様』ってずるいですよ!」

 

ひっひっひっひ。いい気味だ。だが、雪風よ。最後のは俺様じゃなくて神鷹が考えた奴だぞ。そのものずばりだから採用してやったんだ。

「Danke!ありがとうございます・・」

 

照れる神鷹のすぐ横でまた頬を膨らませる奴あり。

「ダーリン!『お喋り探偵 たまには黙れ 』ってこれ完全に悪口じゃない~。もうっ!!」

けっけっけっけ。俺様の日頃の苦労が分かったか。  

 




登場人物紹介

織田提督・・・瑞鶴が泣いて頼むのはどうでもいいが、与作からの贈り物ということで無下にできず、一時間という約束でゴトシープランドに付き合う。

瑞鶴・・・・・正月三が日までキラはとれず。

グレカーレ・・北上さん△ アトランタ△ ジョンストン× あたし× なる謎メモを与作の机の上に置く。
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