友情・努力・勝利の叡知   作:茶久良丸

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誰もが考えて何故か誰も書いてなかったヤツです


アンケート取っておいて申し訳ない。
何か緒川さんの方が書きやすかったのでこっちを先に投稿します


もしも緒川が[NARUTO(ナルト)]を読んだら

 きっかけは仕事先での出来事であった。

 

「リメイクアニメの主題歌ですか?」

 

 彼、緒川慎二は企画書を手にとあるアニメスタッフのプロデューサーに疑問を投げ掛けた。

 

「はい、今回このアニメをリメイクするに当たって風鳴さんが一番イメージにピッタリだと思いましてオファーさせていただきました!」

 

 拳を握りこれでもかと力説するアニメスタッフの目はそれはもうキラキラしていた。

 

「そ…そうですか。それにしてもこのリメイクされる作品って大分古いですよね?」

 

 緒川はアニメスタッフの力説に少々たじろぎながらもふと思った疑問を口にした。

 

「はい。元は40年以上も前の少年漫画が原作ですから」

 

 40年ともなると緒川本人すらまだ産まれていない程の古い漫画である。それを今の時代でリメイクとして復活させると言う事はそれだけ原作のファンが根強く多い証拠であると緒川は感心する。

 

「あ、今(コミック)が手元にあるのでもし良かったら参考にしてください」

 

 そう言いつつスタッフは持ち込んだカバンの中を漁り、一冊の(コミック)を緒川に差し出す。

 

「こちらです」

 

 スタッフから手渡された(コミック)の表紙を緒川はまじまじと見る。

 赤と緑の蝦蟇(ガマ)の上に派手なオレンジを基調とした服を着用し、手裏剣や苦無(クナイ)が刺さった巨大な筆を背中に背負った金髪の少年が巻物を咥えている少年の絵がそこにはあった。

 そしてその(コミック)のタイトルにはこう書いてあった。

 

 [NARUTO(ナルト)]

 

 と。

 

━━━━━━━━━━

 

「ふぅ…」

 

 自宅のデスクに置かれたノートパソコンから眼を離し軽く息を吐く緒川。

 あの後スタッフに「返答は後日お伝えします」と伝えその場を去った緒川はその他の仕事をこなし、今しがた自宅に持ち込んだ仕事に一区切り付いた所であった。

 横目でデスクの脇に置かれた時計を見れば既に深夜。そろそろ睡眠を取らなけれ明日に支障が出る時刻だ。既に寝支度は済ませているので後は布団に入るだけの状態にある。

 

「あ、そういえば…」

 

 とそこでふと脳裏に浮かぶモノがあった。マネージャーの仕事用鞄から(コミック)を取り出す。

 

「先方にあぁ言った手前、読まない訳にはいきませんからね」

 

 これも仕事の内だと彼はそう自分に言い聞かせ(コミック)を手にページをめぐる。

 

 舞台は忍五大国と呼ばれる国の一つ、火の国の木ノ葉隠れの里。そこに住む物語の主人公[うずまきナルト]はかつて里を滅ぼしかけた九尾と呼ばれる尾獣をその身に封印された事で里の者達から疎まれていた。

 そんなナルトは自分の存在を認めさせるため里の長である火影を目指し忍者として奮闘する。道中、恩人である教師(イルカ先生)ライバル(サスケ)、任務を共にする仲間(サクラ・カカシ)達などの出会いを経つつ夢への道を直走る姿はまさに少年漫画の王道と言っていいモノであった。

 

 一巻まるっと読み終えた緒川はため息をゆっくりと吐き、集中力の高まりを緩やかに下げていく。時計を見てみると読み始めてから既に一時間以上が経過しており緒川がどれだけこの漫画(NARUTO)に飲めり込んでいたのかが分かる。

 さて気になるのは漫画の感想であるが、本職の忍者である緒川から言えばこの漫画に登場する忍者は忍者とは言い難かった。本来忍者とは闇に乗じ夜を駆け抜け人目に留まらず暗躍する影の存在であり作中の様に正面から正々堂々と戦うなど緒川からしたら論外である。それもそのはず忍者の主任務は諜報活動・破壊工作・浸透戦術・暗殺などである為、基本真正面からのステゴロ(体術)など言語道断。

 

 しかし緒川個人としてはかなり好感触だった。

 

 少年漫画の王道の様なストーリー展開と個性的なキャラ達、何より主人公のナルトの逆境に負けずに持ち前の明るさとド根性を武器に奮闘する姿は何処と無く[立花 響]を思い浮かべる。

 

「これは良い返事をしても良いかもですね」

 

 思いがけない良作の出会いに感謝しつつそろそろ寝ようかと思った瞬間、緒川の脳裏にふとこんな考えが過る。

 

『僕にも影分身出来るかな…?』

 

 もちろん本気ではない、面白半分おふざけ半分で出来たら便利だな~と思う程度のモノだ。だが考えてしまうとやってみたくなるのが人間の性。

 緒川は漫画の作中にあった様に己の中の(チャクラ)を自身の両手に集中させ両手の平で螺旋を描くように練り込むと、人差し指と中指を立てそれを十字に勢いよく交差させる。

 

 ドロンッ

 

 すると緒川の真横から突如白煙が上がる。突然の事で当の緒川もその場で固まってしまう。やがて白煙が晴れるとそれは双子かはたまたドッペルゲンガーかと思わせる程瓜二つな緒川が両手の人差し指と中指を十字に交差させた状態で座っていた。キッチリ三秒間、二人の緒川は互いを見つめ合い…

 

「「あ、出来た」」

 

 と静まり返った自室で呟いた。

 

━━━━━━━━━━

 

 そこからの緒川の行動は早かった。翌日先方であるプロデューサーに主題歌の件を了承すると同時に翼もゲスト声優として出演を提案し、先方はこれに大手を振って容認。本人()には何時も通り緒川の巧みな話術によって出演OKを貰った(取らせた)。その後放送されたアニメは翼のサプライズ参加と主題歌が話題性を呼び高視聴率を叩き出したとかなんとか。

 そんなこんな仕事をこなしつつ合間を縫って緒川は古本屋に足を運び少年漫画の棚から[NARUTO]の原作コミックをその場で全巻購入、帰宅後は原作を読みながら作中に出てきた術の修行をこなす日々が続く。

 

 その中でも特に成長著しかったのは[影分身の術]であった。修行の中、日に日にその分身の数が増えていき気がつけば数日で三桁の数の分身(多重影分身術)が可能となった。数が増えると言う事はそれだけ役割(ロール)分けが出来ると言う事であり、本体(オリジナル)の緒川が仕事中は分身の緒川は[NARUTO]の漫画・アニメを視聴したり翼の部屋の掃除・洗濯、時には仕事にも使用した。さらに[NARUTO]の作中で影分身を使った修行の効率化の方法が分かると積極的にそれを活用し、仕事と修行と趣味を全て両立させていった。

 余談ではあるが職場であるS.O.N.G本部では度々複数の緒川が同時に行動してる姿がS.O.N.G職員並びにシンフォギア装者に目撃されるが特に騒動は無く「まぁ緒川さんだし…」の一言で済まされていたと言う。

 また修行中、気分を盛り上げるために時折山にこもり木葉の上忍ベストを着けて弦十郎(何故か火遁と八門遁甲が使える)と共に鍛練していたとか何とか。

 

 それから数日が経過する。

 

━━━━━━━━━━

 

 とある日の海沿いの倉庫にて…

 

「フッフッフッ…」

 

 怪しげな笑い声が響いていた。

 

「遂に我ら[蒼月]の悲願が達成される…!我が開発したこのアルカノイズを使って世界を我のモノにッ!!」

 

 黒地に青い雲の模様が描かれた外套の様なモノと笠を装束としているリーダーらしき仮面の男(以後は仮面の男と呼称する)が笑みを浮かべながら己の欲望を口にする。

 この[蒼月]と言われる組織は一種の世界的なテロリストと呼ばれ…てたり無かったりする。構成員は10人程で活動内容はまちまちである。と言うのも…一人は園児や小学生が作った紙粘土の作品に爆竹をセットし「芸術は爆発だ!」と言って爆発させたり、一人は人前で上半身裸になり細い長い棒で肩のツボを押してヘブン状態となり周囲にドン引きされたり、一人はやたらとカラスを率いて現れて頭にカラスのフンを乗せながら不特定多数の少年にデコトンしていったり、一人は毛並みがやたら鋭くチクチクしている謎の犬(本人は犬だと主張)をドックランに解き放ち他の犬を襲わせつつ身体が弱そうな人を見つけては「お体に触り(障り)ますよ」と忠告してくるなどとにかくやってることがいちいち酷く迷惑レベルなのだ。

 

 そんな彼らが何故世界征服を目論んでいるかはさて置き、実際にこのリーダーである仮面の男がアルカノイズを使ってまた人様にヒドイ迷惑をかけるのは確実であった。

 

 このまま日本は、世界は、[蒼月]の侵略を受け入れてしまうのか…!?

 

         だがその時!

 

「それはイケませんね」

 

 倉庫の分厚い鉄のスライドドアが人一人が漸く入れる程開かれ眩しい太陽の光が倉庫内を照す。仮面の男は声の聞こえた方角を見る。

 そこには上等なメンズスーツに身を包んだ細身の男(緒川)が開かれた扉の前に立ち自身の影を伸ばしていた。

 

 

  ※ここからはBGM有りきでお楽しみ下さい

 

 

「貴様ッ何者だ!外には我の部下がいた筈ッ!?」

「それは彼らの事ですか?」

 

 緒川は自分の左隣のスライドドアの軽く押す。するとスライドドアが開かれると同時に仮面の男と同じ黒地に青い雲の模様が描かれた外套の様なモノを着た組織の構成員がバタバタとドミノ倒しの様にリズミカルに倒れ伏す。

 

「事情を話したら抵抗されまして…、なので此方も少々手荒に対処させていただきました」

 

 そう言って緒川はニッコリと笑う。だが倒れている構成員を見ると全員が白目を向いており中には拳程大きなたんこぶや両鼻から鼻血もしくは前歯が折れている者まで、明らかに少々の度を越えていた。その事を察した仮面の男は冷や汗を流し、密かにズボンのポケットからあるモノを取り出す。

 

「どうか貴方も抵抗せずに大人しくしていただけませんか?此処はもう包囲されてますし逃げ場はありませんよ?」

「フンッ!どうせなにもしなくても捕まるのだろう?ならば我は可能な限りの抵抗をするまでッ!」

 

 仮面の男はポケットから取り出した小さな意思の様な物、召喚石を地面に叩きつける。砕けた召喚石は陣を形成し、そこからアルカノイズが複数体現れる。

 

「おっと、アルカノイズですか。これは困りましたね」

「フンッ!貴様のその余裕そうな表情も今に消してやる!イケッ!!」

 

 アルカノイズを召喚されたにも関わらず笑顔を崩さない緒川に苛立った仮面の男はアルカノイズに命令し緒川に突撃させる。アルカノイズは肉体を細長い棒状に変え高速移動、緒川に向かって一直線に突撃する。対して緒川は全く微動だにせず不動であった。そして…

 

 ザシュッ!

 

 複数体のアルカノイズが緒川の細身の身体を貫いた。

 

「フンッ!口程にもないヤツだな、所詮人ではアルカノイズにh…ん?」

 

 一瞬笑みを浮かべた仮面の男の顔が疑問に変わる。

 

 それとどうでもいいがさっきから出だしに『フンッ!』て言っているがそのフレーズ気に入っているのだろうか?

 

 まぁそれはさて置き、アルカノイズに貫かれた筈の緒川なのだが何故か身体が炭素化せず地面に突っ伏したままなのだ。不自然に感じた仮面の男は確認のため近づこうと足を動かす寸前…

 

 ドロンッ

 

 緒川の身体から白煙が上がり、その場から緒川が消え去った。

 

「なにッ!?」

「僕はこっちですよ?」

 

 仮面の男が振り向く。そこには全く無傷の緒川が腕を組んで佇んでいた。

 

「き、貴様ッ!?いつの間に!?」

「さぁ、何時でしょうね?」

 

 焦りにも似た疑問を緒川にぶつける仮面の男。対して緒川は普段道理の笑顔を崩さず質問の答えを茶化す。

 

「フ、フンッ!どんな手品かは知らないがどうあれ貴様には死んで貰う!!」

 

 仮面の男はアルカノイズに命令を下し再び緒川を襲わせる。アルカノイズの攻撃に緒川は何の抵抗もなく身体を貫かれるもまたしても白煙と共にその姿が消える。

 

「残念こっちです」

 

 すると今度は別の場所に緒川が現れる。だがそれだけではない。

 

「こっちですよ」

「こっちです」

「此処ですよ?」

「此処、此処」

「実はこっちだったりして」

「こっちにもいますよ~」

「そして此処にも」

「さらにこっちにも」

 

 倉庫の至る箇所から緒川の姿が現れ、気がつけば仮面の男とアルカノイズ達は三桁は軽く越える緒川達に完全に囲まれてしまった。

 

 [多重影分身の術]

 

「い、いたい…何なのだ…これは……!?」

 

 状況についていけず頭が混乱する仮面の男。それもそうだろう倒したと筈の男がまるで蜃気楼の様に消え去ったかと思ったら直ぐ様別の場所に現れた上に数が増えているのだから。アルカノイズ達もどれを標的にしたらいいか分からず右往左往している。

 

「では次は此方からいかせて貰いますよ!」

 

 そんな仮面の男とアルカノイズ達を置き去りにして、緒川(オリジナル)緒川の影分身(コピー)達は両手を合わせると目にも止まらぬ速さで()(ひつじ)(さる)()(うま)(とら)の順に印を組む。組み終わると同時に大きく息を吸い込み一度胸骨で止めから喉元にチャクラを練り込み、それを空気と共に一気に吐き出す。

 

 [火遁 豪火球の術]

 

 緒川達の口から身の丈以上に巨大な火の玉が仮面の男とアルカノイズ達に向かって四方八方一斉に飛ばされ、着弾と同時に倉庫内は大爆発を引き起こす。倉庫その物は原型を留めているが爆音と衝撃によって換気用の窓ガラスは一度に全て弾け飛び天井は大穴を空けながら黒いキノコ雲を外へと逃がす。

 燃え盛る倉庫の中から外へと飛び足す緒川。スーツには多少の煤は付いてはいるものの目立った外傷は無く寧ろ何事も無かったかの様な立ち振舞いである。

 

「ちょっとやり過ぎましたかね?」

 

 ちょっと処か明らかにやり過ぎである。

 そんな事を呟いた瞬間であった。

 

 ドゴォォォン!

 

 炎によって上がっている黒煙とは別の巨大な白煙が倉庫の中心から広く上がる。白煙が晴れるとそこには巨大な九つの尾を持った狐の姿をした何かが現れる。

 

「貴様ッ!よくやってくれたな!!」

 

 狐の姿をした何かの近くで仮面の男が緒川に向かい叫ぶ。緒川は多少驚きはしたものの表情には出さず余裕綽々といった雰囲気を漂わせる。

 

「おや、新手のアルカノイズですか?」

「フンッ!ただのアルカノイズではないぞ?これは我が自ら研究し独自の改造を施して開発した特別仕様のアルカノイズ、名付けて[クラマノイズ]!貴様が可笑しな手品を使おうともう好き勝手はさせんぞ!!」

 

 仮面の男は自慢げにそう語る。因みにだが独自の改造を施して開発したと言っているが実際は大型のアルカノイズの形状を変えてちょっと頑丈になってるだけで特に特殊な能力とかあるわけでは無かったりする。

 

「ヤれ[クラマノイズ]!あの手品男を抹殺せよ!」

 

 仮面の男は[クラマノイズ]に命令し緒川に攻撃させる。[クラマノイズ]の巨大な九つの尾の一本が緒川目掛けて振り下ろされる。緒川は跳躍しそれを紙一重で尾を躱す。尾はコンクリートの地面を瞬く間に砕き、粉塵と瓦礫が海の底へと沈んでいく。

 

「う~ん、これはちょっと困りましたね」

 

 躱したとは言え一撃でコンクリートの地面を砕く破壊力をまざまざと見せつけられた緒川は笑顔を崩さないもののそんな事を呟いた。因みに現在緒川は足の裏側にチャクラを放出し海面上に立っている状態である。

 

「仕方ありません。あまり目立ちたくはないのですが」

 

 そう言いながら緒川は右手親指の腹を食い千切り出血させ再び両手を合わせると()(いぬ)(とり)(さる)(ひつじ)の順に印を組むみ、海面に右手の平を海面に叩きつける。

 

 [口寄せの術]

 

 ドロンッ

 

 叩きつけられた右手を中心に術式が展開され、そこから巨大な白煙が上がる。数秒後、白煙が晴れるとそこには煙管と[蝦]の一文字が入った着物を羽織った巨大な紅い蝦蟇(がま)蛙が現れる。

 

「呼んだかボウズ?」

「えぇ、ご無沙汰ですガマオヤビンさん。すみません急に呼び出して」

「別に構わんが、アレ(クラマノイズ)がお前さんの敵か?」

「えぇ、少々時間を稼いで貰えませんか?アレ(・・)で仕留めますので」

「分かった」

 

 ガマオヤビン(ガマブン太)の頭の上で問答を済ませた緒川は矢庭に両手の人差し指と中指を十字に交差させる。

 

 [影分身の術]

 

 ドロンッ

 

 緒川(オリジナル)の横隣に緒川の影分身(コピー)が一体現れる。二人の緒川(オリジナルとコピー)は互いの眼を見て相槌を打つと影分身(コピー)側がその場で座禅を組み始める。

 

「フンッ!何かと思えばただのデカイ蛙一匹ではないか!そんな蛙ごとき我の[クラマノイズ]の敵ではないわ!行け!」

「■■■■■■■■■■!!」

 

 そうこうしていると仮面の男が再び命令を出し[クラマノイズ]を突撃させる。[クラマノイズ]は雄叫びの様な声を上げると海上のガマオヤビン(ガマブン太)に向かって全速力で突っ込んで来る。

 

「来るでぇ!」

「ならまずは小手調べ!」

 

 緒川はスーツの懐から手裏剣を取り出すと美しい急回転打法のフォームでそれ(手裏剣)を投げ飛ばす。投げ飛ばして矢継ぎ早に緒川は(ひつじ)()(さる)()(とら)の順に印を組む。

 

 [手裏剣影分身の術]

 

 すると投げられた手裏剣が一から二に四に八にと分裂するかの様に増え視界を遮るほどの数にまで膨れ上がった。

手元で急回転し術で数を増やした手裏剣は一直線に[クラマノイズ]に迫るが、[クラマノイズ]はそれを尾の一本で防ぐ。無数の手裏剣が尾に突き刺さるもまったく勢いは変わらず緒川達に迫ってくる。

 ガマオヤビン(ガマブン太)は懐から短刀(ドス)を取り出すと[クラマノイズ]に肉薄、九つの尾の一本に振り下ろすが刃が食い込まず逆に押し返されてしまう。形勢が不利と判断したガマオヤビン(ガマブン太)は押し返される反動を利用し後方へと飛ぶ。

 

「クソッ!ワシの短刀(ドス)が通らん!」

「物理攻撃ではダメですか…。なら、オヤビンさん油を!」

「オッシヤァ!」

 

 物理での攻撃を諦めた緒川はガマオヤビン(ガマブン太)に指示を出しつつ()(ひつじ)(さる)()(うま)(とら)の順に印を組み、ガマオヤビン(ガマブン太)蝦蟇(ガマ)特有の大きい頬袋に油を貯める。そして先程使用した[火遁 豪火球の術]の様に大きく息を吸い込みガマオヤビン(ガマブン太)とタイミングを合わせてそれを吐き出す。

 

 [火遁 蝦蟇油炎弾の術]

 

 ガマオヤビン(ガマブン太)が口から出した油が緒川の火遁によって着火し威力と攻撃範囲が上がった炎が[クラマノイズ]を覆う。

 

「■■■■■■■■■■!!」

 

 [クラマノイズ]が獣の様な叫びを挙げ苦しむが尾を使って炎を払いのけた事で重傷を避ける。全身の至る所から肉が焦げた臭いと白煙を上げながら[クラマノイズ]は怒りの目線を緒川に向ける。

 

「無駄だ![クラマノイズ]は通常のアルカノイズの耐久性を遥かに越える!貴様ごときに倒せる筈がないッ!!」

「チッ、火遁でも大事にゃならんか!どうするボウズ!」

「大丈夫です、もう終わりましたから(・・・・・・・・・・)

 

 ガマオヤビン(ガマブン太)が焦る中、緒川は涼しそうにそう答える。

 

「準備万端です」

「ご苦労様です、では!」

 

 ドロンッ

 

 すると先程からガマオヤビン(ガマブン太)の頭の上で座禅を組んでいた影分身(コピー)の緒川が本体(オリジナル)の緒川に声をかけ、本体(オリジナル)の緒川は影分身を解除する。すると緒川の目元に隈取(くまどり)の様な模様が浮かび上がり瞳は虹彩が黄色く瞳孔は横一文字の形となる。

 

 [仙人モード]

 

 

 

※処刑用BGMタイム

 

 

「さぁ一気にケリを付けますよ!」

 

 仙人モードとなった緒川は再び両手の人差し指と中指を十字に交差させる。

 

 [影分身の術]

 

 ドロンッ ドロンッ

 

 本体(オリジナル)の緒川の左右後ろに影分身(コピー)の緒川が二人現れる。本体(オリジナル)の緒川は右手の平から(チャクラ)を放出し影分身(コピー)の緒川の一人がその放出した(チャクラ)に乱回転させつつ圧縮していき形状変化を行い、もう一人の影分身(コピー)の緒川がそれに性質変化のチャクラを加える。やがて本体(オリジナル)の緒川の手元に球体状の物体が現れ、ベースボール程の大きさになりつつ風で出来た刃が手裏剣の様な形状を作り出す。

 

 [風遁 螺旋手裏剣]

 

「な、なんだあの巨大な手裏剣の様なモノは!?」

 

 緒川の顔の豹変と同じくして作られた巨大な手裏剣(螺旋手裏剣)に驚愕する仮面の男。そんな彼を置いていき緒川は左足を踏みしめ投擲体勢を整える。

 

「そおぉれッ!!」

 

 大きく振りかぶられた[螺旋手裏剣]は風の(チャクラ)で出来た刃を高速回転させながら[クラマノイズ]目掛けて一直線に滑空する。

 

「ッ!?避けろ[クラマノイズ]!!」

「■■■ッ!!」

 

 一瞬判断が遅れるも仮面の男は直感で[螺旋手裏剣]の脅威を感じ取り[クラマノイズ]に回避を指示する。[クラマノイズ]はその場で上に跳躍する。[螺旋手裏剣]が[クラマノイズ]の真下を紙一重で通り抜け間一髪で回避に成功する。

 

「ふ、フンッ!例えどの様な技だろうと避けてしまえb…なにッ!?」

 

 回避出来た事を宣言しようとした矢先仮面の男が動揺する。何故なら先程までいた緒川とガマオヤビン(ガマブン太)の姿が消えているからだ。

 

「い、一体どこにッ!?」

 

 キョロキョロと左右を確認して緒川達を探す。すると急に自分達の辺りが日陰になっていることに気づく。その瞬間仮面の男が悟った。

 

「上かッ!?」

 

 上空に視線を向ける仮面の男。そしてそこに太陽を背に大きな影を落としていたガマオヤビン(ガマブン太)の姿があった。ここまで来れば誰でも分かる。緒川達は端から[螺旋手裏剣]を囮にして注意を反らした瞬間跳躍、上空から不意を突く魂胆であったと。

 仮面の男が緒川達の作戦に気付いた瞬間、ガマオヤビン(ガマブン太)の頭の上から飛び出してくる緒川。地上から数十メートル以上はある位置から降下しつつ三度(みたび)両手の人差し指と中指を十字に交差させる。

 

 [多重影分身の術]

 

 ドロンッ

 

 上空に百を越える程の緒川の影分身(コピー)が白煙と共に現れ空を覆い尽くす。本体(オリジナル)を含む緒川達は二人一組(ツーマンセル)を組むと一人が手の平から(チャクラ)を放出しもう一人がそれを回転・圧縮する。一見すると一人欠けただけで先程の[螺旋手裏剣]の様な布陣だが明らかに違う部分が存在した。回転・圧縮され球体状になった(チャクラ)は徐々にその大きさを増していき、最終的に緒川の身の丈を遥かに越える程の超ド級の(チャクラ)の塊が完成しそれが数十個空に浮かぶ。

 

 [仙法 超大玉螺旋多連丸]

 

 緒川達は重力に従い[クラマノイズ]目掛けて落下していく。対して[クラマノイズ]はあの巨大な螺旋丸の群れを避けようにも跳躍してしまった事で身動きが取れず回避行動が出来ない。迫り来る螺旋丸に[クラマノイズ]は自身の九つある尾を使って防御を試みるも圧倒的に数が足らず、その殆どをその身に受ける事となった。

 

 ドゴォォォン!

 

 無数の(チャクラ)の塊を押し付けられ更にその反動で肉体が海面に叩きつけられサンドイッチ状態となる[クラマノイズ]。だがこれだけでは終わらない。[クラマノイズ]の頭上を取っていたガマオヤビン(ガマブン太)がそのまま一直線に急降下していたのだ。螺旋丸を叩き終えた緒川達はその場で影分身を解除して待避は一瞬で終わっている。

 

 [屋台崩しの術]

 

「■■■■■■■■■■ッ!!!」

 

 巨大な蝦蟇の質量をモロに受け軽い衝撃波を起こしながら[クラマノイズ]は悶え苦しむ。そしてこれが決定的な一撃となったらしく、激しく叫び終えるとやがて力尽き赤い砂のような形状となり海の底へと沈んでいった。

 

「そ、そんなバカな…我が自らの手で作り上げた[クラマノイズ]が…」

 

 [クラマノイズ]の結末を見届けながら立ち尽くす仮面の男。そんな彼の背後から…

 

「残念でしたね」

 

 と言う緒川の声が聞こえた来た。振り返ろうとする画面の男。しかし後ろにいる緒川は両手を組み両方の人差し指を突き立てていた。それは何度も見た忍術を発動する為の(とら)の印に似ているモノだと仮面の男は横目なから理解した。

 

 (不味いッ!逃げなくてはッ!!)

 

「遅いですよ」

 

 また何かしらの術を出されると察した仮面の男はその場から逃走を図ろうとするが時既に遅し。緒川はそのまま狙いを定め、腰を低くし、身体全体でスイングし勢いをつけながら…

 

 ずぎゃしゃ!

 

 仮面の男の尻目掛けて指を突き刺した(カンチョーした)

 

 [木ノ葉流秘伝体術奥義・千年殺し]

 

ぎいやあああああ!!!

 

 仮面の男は悲鳴を上げながらその場から約三メートル程跳びそのまま地面に落下、尻を突き出した状態でうつ伏せに倒れる。カランッと男が付けていた仮面が落ち、そこには白目を向いて涙を流していた悲痛な表情があった。

 

「ふぅ~」

 

 そんな男を余所に緒川は額の汗をスーツ裾で拭き取り仕事終わりの達成感を得ていた。

 

「これにて一件落着ですね!」

 

 晴れ晴れとした陽射しのもと、地平線の向こう側にむけて緒川はそう宣言した。

 

━━━━━━━━━━

 

 同時刻、S.O.N.G本部作戦指令室。先程までの緒川の行動をモニタリングしていたオペレータースタッフとシンフォギア装者達は約一名(風鳴弦十郎)を除いて全員が口を開けてポカーンとしていた。

 

「…忍者なのに目立ちまくりじゃねぇか?」

 

 静まり返った指令室の中、クリスの一言に各々無言で頷くしかなかった。

 

 

 




またアンケート置くのでよろしくお願いします。

この中で見たいのは?

  • 響×ドラゴンボール
  • マリア×鬼滅の刃
  • エルフナイン×REBORN(リボーン)
  • 八紘×???(シークレットの人)
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