耳郎の幼馴染にスタイリッシュをぶち込んでみた 作:バージル兄
いつからだろう?
背中を目で追うようになったのは。
いつからだろう?
隣に居たいと思うようになったのは。
いつからだろう?
これが恋だと思ったのは。
◆◆◆
ウチは今、自室で机に向かって座り、自分で書いた文字を何ともなしに眺めている。
そこには「雄英高校ヒーロー科」の文字がある。
何のことはないただの進路希望調査票だ。
両親には昨日の晩話してきた。
いや、めっちゃ泣いたけど。
泣いたけど後悔はしてないし、両親も笑顔で送り出してくれる。
ウチはこの家に生まれてよかったと心底思う。
問題は、ウチの幼馴染の進路が分からないということだ。
ウチの幼馴染、名前を蒼井バージルという。
とんでもない名前だと思うが本名だ。
両親が共にアメリカ人で、お父さんが元プロヒーロー。
お母さんが無個性というこの時代では珍しいカップル。
絶対一悶着あっただろうということは、想像に難くない
そんな夫婦から生まれたのが、バージルだ。
彼が、5歳の時に日本に越してきた。
というか、越してきた先がウチの家の斜向かいだった。
引っ越し祝いで饅頭配りに来て、何故かウチの両親とアイツの両親が意気投合した。
それから、小学校・中学校と一緒に通った。
そして、自然と恋に落ちた。
いや、恋ではないかもしれないけど。
多分、初恋だし。
ウチにそういう経験ないし。
アイツの顔を思い出したら、顔が熱くなってきた。
ので、別のことを考えることにする。うん、そうしよう。
そういえば
「上鳴もヒーロー科受けるって言ってたような?」
今日の昼休みに廊下で騒いでるのを聞いたような?
そんな取り留めの無いことを考えていると携帯が鳴った。
メールが来たようだ。
「はいはい、今出ますよっと」
適当なことを呟きつつ携帯を開く
発信者の名前を見て
「何だ上鳴か」
軽く溜息を吐いて中身を確認。
どうやら、進路希望調査票の提出期限を忘れたらしい。
「やっぱ話聞いてなかったか」
ホントにあの静電気頭は。
返信を終え、携帯の電源を切り、ベッドに放り投げる。
「もう寝よ」
明日、進路のことをアイツにちゃんと聞こう。
そう思うつつ眠りに落ちた。
◆◆◆
「きょーかー。朝ごはんできたよー」
軽く響く母親の声。
それを聞いて飛び起きて、慌てて時計を確認する。
「びっくりした」
寝坊したかと思った。
ゆっくり朝ごはん食べても、十分学校には間に合う。
そのまま階段を降り、顔を洗いに洗面所に向かう。
リビングから父の話声が聞こえる。
仕事の話だろうか?
「バージル君も雄英受けるんだって?」
「あーはい。机に投げてたら、勝手に父が書いてまして」
固まった。
何で居るの、とか
雄英受けるってホント?とか
色々な疑問が頭の中を駆け巡った。
「実はウチの響香も雄英受けるんだよ」
「おめでとうございます」
「しかもヒーロー科だって!」
嬉しそうな父の声が響いてくる
落ち着け、冷静になれ耳郎響香
先ずは、乙女としての身だしなみを
「俺もヒーロー科らしいんでまた一緒ですね」
どことなく嬉しそうな幼馴染の声がする
もう無理
昨日の決意とか、諸々で頭パンクする。
ゆっくり廊下に崩れ落ちる。
「きょーかー。ご飯って何遊んでんの?」
ひょいと首を伸ばして、こちらをみて不思議そうな顔をする母。
待って、母さん遊んでる訳じゃないの。
ウチは今、喜びとか悔しさとかを噛みしめてるの。
「何だ、響香まだ着替えてもないのか」
父さんうっさい。
「いや、響徳さん。まだ起きたばかりですし」
優しいフォローなぞ要らぬ。
というか、ウチまだパジャマ何で近付かないで欲しい。
顔も洗ってないし、歯も磨いてないし。
「ほら、二人とも響香も色々準備があるから、こっちで座っててください」
ありがとう、母さん。
本当にありがとう。
「俺帰っていいですか?取り敢えず服着替えたいんですが」
「大丈夫。スパーダにはメールしておいたから、鞄と制服持ってきてくれるよ」
「え、バージル君。こっちで朝ごはん食べるんでしょ?」
もうエヴァさんにメールで伝えたよ。と母の無邪気な声。
後ろでバージルが固まった音がする。
取り敢えず、顔洗って歯を磨いて着替えてこよう。
今日、朝ごはん味分かるかな