耳郎の幼馴染にスタイリッシュをぶち込んでみた   作:バージル兄

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何か3か月くらいたっててビビる。


戦闘訓練 -battle‐

朝、いつもの様にご飯を食べ終え、食後のお茶を飲んでいると玄関扉が開く音がする。

壁掛け時計を見ると大体いつもの時間。こちらの方に近付く相変わらず静かな足音。

段々と近付く瞬間に軽く胸を高鳴らせる。毎朝のことだけど、この10秒程がとても待ち遠しい。

扉が音もなく開けられ、白い指先が現れ次いで、ウチの大好きな人の顔が現れる。

 

「おはよう。バージル」

 

「あぁ」

 

「お茶飲む?」

 

そう言いつつ彼用のカップを出し、手早くお茶の準備をしていく。それを微笑ましそうに眺める両親はこの際無視だ。

いいじゃん。いっつも母さんがやっちゃうんだからウチもやりたい。

バージルがウチの隣に腰掛けるのを確認しながら、お湯で溶いていく。インスタントってホントすごいと思う。

…今度誰かに美味しいお茶の淹れ方習おうかな。

 

ゆっくり零さない様に、バージルの前にソーサーとカップを置き隣に座り横顔を眺めながら残りのお茶を啜る。バージルがウチが淹れた?お茶を口に運ぶ。

…やっぱり結構照れるな。

 

飲み終わるまでゆっくり待ち、玄関を潜り「行ってきます」と声をかけ二人並んでゆっくり駅を目指して歩いていく。駅に着けば、上鳴を駅のホームか改札で待ちそのまま三人で適当に駄弁りながら高校まで歩いていく。

 

 

 

 

 

個性把握テストの翌日。

あんなことがあったから、今日もまた変わったことが起こるかと思いきや。

至って普通に授業が進んでいく。

 

現在、英語の担当はプレゼント・マイク。

入試の時のテンションを見ているので、さぞやかましいと思いきや、そうではなく。

 

 

「んじゃこの中で間違っている英文はどれだ?」

 

『普通だ……凄い普通の授業だ……』

 

「Everybody,heads up!!盛り上がれ~!!」

 

予想外に静かで、普通の授業だった。

軽く、バージルの方を見れば欠伸を噛み殺しているのが見えてちょっと得した気分になる。

少し幸せな気分のまま、残りの授業を真面目に受けていく。

 

そして午後の授業。ヒーロー基礎学。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

午後から始まるヒーロー基礎学を受け持つのはオールマイトらしく、そんな彼の登場にクラスは盛り上がる。

 

 

 

「オールマイトだ...!すげぇや、本当に先生やってるんだな...!」

 

「銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ...!画風違いすぎて鳥肌が...」

 

ホントに教師やってるんだオールマイト。

 

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う科目だ!単位数も最も多いぞ!早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!」

 

 

「そしてそいつに伴って...こちら!入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた...コスチューム!!!!」

 

 

そう言って振り向いたオールマイトの手には”BATTLE”と書かれたカードが握られていた。

 

続いてもう片方の手をパチンを鳴らすと、教室の側壁が動いて棚が数列迫り出してきた。中には番号の振られたジェラルミンケースがずらりと並んでいる。

 

…何だこの特撮の秘密基地みたいな教室。

 

 

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!」

 

 

 

「「はーい!!」」

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

各々コスチュームに身を包み、グラウンド・βに集まる。

 

自分が今着ているコスチューム?を見下ろし、出来に満足する。

俺のものは単純に、父親のヒーロー時代のコスを簡略化したものだ。タンクトップに、ただの青いロングコートを羽織っただけというもので。父親の様に装飾品を付けたり、モノクルを嵌めたりせず単純なものだ。

横目で上鳴と響香を確認する。コスの方向性が何となく似通っている気がして軽く首を傾げる。

 

(そういえば上鳴にも布教していたな)

 

響香の趣味であるロックやら何やらを聞かせていたのを思い出す。

 

 

「蒼井のコスかっけえな!」

 

「あぁ。お前のは…随分潔いな」

 

つらつらと関係のないことを考えていると下から声がかかり、軽く頭を下に向けると切島が何故か拳を握りこちらに話しかけてきた。

 

褒め言葉と受け取ったのか、嬉しそうな笑みを浮かべ、礼を言ってくる。

視線を感じ目を上げると響香と目があい、手を振ってきたので軽く頷いておいた。

 

周りを見ると最後だろう、緑谷がこちらに走ってくるのが見える。オールマイトがそれを見て、全員に授業の説明を始めた。

 

 

 

 

「成程。二人一組での対抗戦か」

 

「これ組む相手によって露骨に難易度変わらね」

 

「変わる。てか最後はガチ殴り合いだよねこれ」

 

三人で感想を言い、組み分けのためのクジを引く。引いたクジには、Fと書かれている。相手を探して視線を動かすと、Fのボールを見える様にして歩いてくる砂藤の姿。

 

「お前とコンビみたいだな。よろしく蒼井」

 

笑顔でこちらに手を差し出してきたので、軽く手を握っておく。隣を見ると上鳴と響香がコンビらしく、二人して溜息を吐いていた。

 

 

一戦目の緑谷戦、正直奴らの関係に欠片も興味がないのでそういう意味では見るところはなく。ただ二人共戦ってみたいという思いしか沸かず。八百万の講評を聞き、感心する。

 

二戦目の轟の個性で氷つくビルを見て、便利な個性だと溜息を吐く。氷と熱か?武器か何かである程度再現できないだろうか?対戦相手の葉隠の個性が面倒そうだ。気配を探れば斬れはするが、殺してはまずいだろう。

 

三戦目は、俺たちと八百万コンビの対戦らしい。ヒーロー側ということで外に向かう。向かう途中、上鳴と響香が手を振ってきたので、軽く頷いて答えておいた。

 

 

砂藤とビルの外に向かいながら、二人の個性に付いて話し合う。

 

「砂藤の個性は増強系か」

 

「おう、デメリットはあるがな。で、蒼井の個性は何なんだ?」

 

「武器の呼び出しと身体能力強化」

 

「武器て何を出せるんだ?」

 

「刀と両刃の直剣と籠手具足」

 

「お前殺意高くねえ?」

 

「ある程度は手加減する」

 

所定の位置に着き、開始の合図を待つ。

 

「何か作戦はあるか?」

 

「俺は上から攻める」

 

「分かった。じゃあ核の手前で会おうぜ」

 

砂藤から3歩程離れたところで足を止め廃ビル全体を確認する。さて、どれくらい手加減するべきか。それとも全力で行くべきか。まあ、相手は推薦入学者だ。全力で行っても死にはすまい。

 

 

オールマイトから開始の合図があり、ベオウルフを両手両足に纏い廃ビルの壁面を軽く蹴って登っていく。屋上付近まで一息に駆け上がり、そのまま壁面を蹴りつけ、穴を開ける。幻影剣を足元に呼び出し、足場代わりにして蹴りつけ、開けた穴から建物内に侵入する。

 

周囲を見回し、核がないことを確認する。人の気配もないことからこの階にはいないのだろう。

下に続く階段を探すのも面倒なので、閻魔刀を呼び出し、自分の足元を丸く切り抜き重力に身を任せ落下する。落下しながら、体勢を整え軽く身体を曲げほぼ無音で下の階に降りる。ゆっくりと顔を上げ正面を見ると、これ見よがしにバリケードか何かで出入り口を塞ぎ、ここに何かあると知らせている。まぁ、十中八九ここに核があり、八百万達がここにいるのだろう。

 

砂藤に連絡を入れ、30秒程待つが来ないので一人で行くことにする

 

閻魔刀を腰に構え、一息に引き抜き何度も振るいゆっくりと鞘に戻す。目の前のバリケードがガラガラと音を立て崩れていく。その中から酷く怯えた表情の峰田と、棍を握り締め覚悟を決めた八百万の顔が見える。牽制のために幻影剣を3本程峰田に飛ばし、滑る様に中に踏み込み八百万に刀を振るう。硬質音が遅れて響き防がれたことを知り、歓喜に胸が騒いだ。

 

「まるで賊のようですね!!」

 

「抜かせ!」

 

八百万の頭上に幻影剣を展開させ、同時に落としながら大体二割程の力で刀を振るう。慌てて避けて無理な体勢で受けたためか、それとも誘いか受けた八百万の体勢が崩れたので、腹部を蹴り込むと金属音が響き、ついで足首に痛みが走る。吹き飛んだ八百万の近くに鉄板が転がっていることから、これを蹴ったのだと推測する。

ついと視線を峰田に移すと頭の玉?を投げつけようとしているところに、こちらと目が合い硬直する。フォースエッジを投げつけマントごと壁に縫いとめながら、八百万を視界に捉えると苦しそうに咳をしながら立ち上がり、構えを取る。

 

「意外と動けるな八百万」

 

これならもう少し早く動いても大丈夫そうか?肩で息をしながらこちらを睨む八百万に、涙目で何かを訴える峰田の二人の姿を見て、軽い悪戯を思いつく。指を慣らし峰田の首元に幻影剣を呼び出し、八百万の出方をみる。

 

「降伏すれば命だけは助けてやる」

 

「本当にヒーロー志望ですか貴方は!?」

 

軽く溜息を吐き、峰田の首にあてがった幻影剣を飛ばし首を浅く切る。悲鳴が周囲に響き、八百万の顔がみるみる青く染まる。油断せずに峰田の上空に何本か幻影剣を展開させ、いつでも落とせる様に準備する。

 

「どうする?」

 

「…降伏します」

 

俯いたためどの様な顔か分からないし、興味もないが。消え入る様な声で降伏を受け入れる。

意外に早く決断したものだ。幻影剣と刀を消し軽く肩の力を抜く。

予想外に手加減が難しいな。

 

「砂藤。終わったぞ」

 

『俺何もしてねえぞ…』

 

通信機から大きな溜息と共に愚痴が漏れる。

 

「正直、ここまであっさり終わるとは思わなかったが」

 

八百万達の後ろにある核を触り、こちらの勝ち。全員でモニタールームに移り総評を聞き、次の訓練の様子を見る。

 

 

戦闘訓練も終わり、帰り支度をしていると切島に呼び止められ、振り返ると反省会兼自己紹介をするから一緒に残る様に誘われた。正直、名前はともかく個性は興味があったので残ることにした。

 

途中、緑谷が帰ってきたと思ったら慌ただしく出ていったが、それ以外は特に何もなく帰路についた。

 

 

 ◆◆◆

 

 

学校も終わり、いつも通り家の前まで送ってくれた彼にお礼をいい家の中に引っ込み、のんびりシャワーを浴び服を着替えて部屋に上がる。

簡単に予習・復習をしていたら、バージルから連絡があったので、中身を見ると買い物の誘いだった。珍しい。いつもは一人で行くのに。何か変わったものでも買うのだろうか?

 

返事を返し、機嫌よく勉強を続けながら、今度の買い物のプランを頭の中で考える。どうせ彼の事だ。1時間もせずに買いたいものだけ買って帰るに決まっている。折角二人で出かけるのだ。もっと長く一緒に居たい。もっと彼の声を聴いていたい。もっとウチを見て欲しい。もっと触れて欲しい。

 

あぁ楽しみだ。今度は彼と何処に行こうか。

 




書いてて思ったけど兄さんホント手加減させにくい人やなあ
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