耳郎の幼馴染にスタイリッシュをぶち込んでみた   作:バージル兄

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USJ事件① -Raid‐

 ここ数日、バージルの機嫌が悪い。どっかで人でも殺してないか心配になるくらい悪い。

 

 原因は分かってる。先日のマスコミ雄英高校侵入事件からこっちウチ等を見る眼が変わったことだ。ウチ等をというよりバージルをだろうが、割と派手にやったらしくヒーロー科の先輩らしい人達に声を掛けられたりもした。その度に不機嫌そうに口をへの字にするバージルを見て笑ってしまう。

 称賛とは逆に、嫉妬や怨嗟の声も耳に届く。どうやらヒーロー科は、普通科に目の敵にされている部分があるらしい。そのお蔭で面白そうな話をいくつか仕入れることができた。

 何でもヒーロー科3年にbig3と言われている先輩方がいるらしいということ。プロ入り確実だとか。その話をバージルに話したら、面白そうに顔を歪めて、ウチを撫でてくれた。

 もう一つは、普通科からヒーロー科への編入制度があるということ。どうも今度行われる体育祭でいい結果を残せた生徒をヒーロー科に編入させるらしい。ということはヒーロー科から誰かが普通科に落ちる。若しくはこの雄英を去るということで、この話は恐ろしくてまだバージルにも話せていない。

 

 後もう一つ。これはウチに関してだが、ここ数日お昼をヤオモモと一緒にとっていると芦度やら葉隠やらが合流してきて、根掘り葉掘りウチとバージルの関係について聞いてきて非常に面倒くさい。人のこと何て放っておいて欲しい。ゆっくりだけどウチ的には進んでいるんだから。というか、急に来られたら、ウチの心臓がもたないので今のペースでゆっくり可愛がって欲しい。いや、最終的には子供とか欲しいんだけど。

 

「で、幼馴染の蒼井くんの何処らへんに惹かれたの!」

 

 こちらをからかい半分、興奮8割と多分に訳の分からない調子で鼻息も荒く突っ込んでくる葉隠に頬が引きつる。ここ数日やかましく騒がれたから話したら直ぐこれだ。

 ヤオモモが心配そうに声を掛けてくるが、手で制す。先程の葉隠の質問に対して、軽く考えてみる。ウチがバージルの何処に惹かれたか。

 

「単純にかっこいいし、優しいから」

 

 後、ウチのこと大事に大事にしてくれるし。偶に可愛いし。いや、ここ最近機嫌クソ程悪いからあんまり相手して貰えてないんだけど。いいんだ。エヴァさんに今度のデートで着ていく服のアドバイスやら、バージルが好きな食べ物やらの情報貰ったから。というか、好きなものエヴァさんの手料理以外あったんだねバージル。

 ウチの答が気に入らないのか、渋い顔でこちらを見る芦度に首を傾げる。

 

「蒼井さんが優しい、ですか?」

 

信じられないものを見る様な眼でヤオモモに見られた。何でよ。バージル優しいじゃん。

 

「ウチが欲しいもの何でもくれるし。ウチがして欲しいこと、何でもしてくれるんだから優しいじゃん」

 

言い切れば何故か3人から拍手が起こり、無性に恥ずかしくなり顔を赤くする。

 

「へー!何でもしてくれるんだ蒼井」

 

ニヤニヤと全力でこちらを揶揄ってやろうという顔で、眼を輝かせて見詰めてくる芦度の視線に耐え切れなくなり目を逸らす。

 

「で!で!どんなことしてくれんの!!!」

 

 拳を握り絞めて詰め寄って来ているのだろう葉隠に、瞳を宝石の様に輝かせている芦度に溜息が零れる。

 バージルがしてくれることなら何でも嬉しい。一緒に歩いてくれるだけで、胸は高鳴るし。触ってくれれば、それだけで嬉しいし。抱き締めてくれれば、もう一日中幸せになる。膝の上に座って彼の熱を感じながら優しくされるのも、撫でられるのも好き。その時は彼がウチのこと見てくれるから。彼の鼓動も身体の温かさも、ウチを可愛がってくれている時の彼はウチのものだ。

 葉隠を見詰めながら、何を言うか考える。何か言っても3人のテンション上がるだけだろうか。それはウチとしては、ちょっと遠慮したい。ので、少し反撃に出るとする。

 

「葉隠、ちょっと手を出して」

 

「ん?これでいい」

 

 こちらから葉隠に向かって軽く手を突き出し、葉隠の手を掴み、ゆっくり手を合わせる。そして、そのまま指を絡めていく。所謂恋人繋ぎだ。ウチがやろうとしていることが分かったらしく、途中からこちらに呼び掛ける声が上擦っている。

 てか、葉隠手小さいなぁ。しっかり女の子の手て感じだ。葉隠の顔辺りを見ると照れているのか面白いくらい服が動いている。ニヤニヤしながらジャックを伸ばし、手首の辺りに巻き付ければ、トクトクと血が流れる音がする。随分と速いので照れているのだろう。

 

「葉隠、どんな感じ?」

 

「普通に照れるから止めてよ!?」

 

 一声欲しかったと言いながら手を解いていく。他の二人の顔を見ると真っ赤な顔をしながらチラチラとウチの手を見ている。やって欲しいのだろうか?

 

「ヤオモモも手繋ぐ?」

 

 そう言いつつ手を差し出せば、凄い勢いで首を横に振られる。いいじゃん減るもんじゃないんだし。 

 時計を見れば、そろそろ予鈴が鳴る時間になっていたので、一声掛け食器類を片付けにかかる。後ろで慌てて食器を持つ音が響く。返却口に行けば丁度バージルの後ろ姿が見えて、笑みが零れる。

 そういえば、今日は両親がライブで居ないんだったか。夕ご飯はエヴァさんが作ってくれるので、それを一緒に食べることになっている。家に帰ってちゃんと身支度整えてバージルの家に行こう。今日こそ膝に乗せて可愛がって欲しい。てか、葉隠達に無駄に話した所為で疲れたので癒して欲しい。最近、全然触ってくれないし、触らせてくれないから非常に寂しい。

 食器を片付け、教室にヤオモモ達と一緒に向かう途中。今日は昼ご飯を一緒に食べたらしい上鳴やら瀬呂やらがバージルに絡んで睨まれていた。アイツらもすごい度胸だよなぁ。

 

 

◆◆◆

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学だが…俺とオールマイト、それともう一人の三人体勢で見ることになった」

 

「はーい!何するんですか?」

 

「災害水難なんでもござれ、人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

 相澤先生がRescueと書かれた札を取り出して言った言葉にウチは気を引き締めた。告げられた言葉に口々に私語を喋る皆に相澤先生はまだ途中、と釘を刺して話を続けた。

 

「今回コスチュームの着用は自由だ。コスチュームによっては活動を限定するものもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるのでバスに乗って移動する。最後に、耳郎。サポート科からお前の装備が届いている。確認しておけ。以上準備開始」

 

 そう言って、教室を後にする相澤先生に礼をいいながら心の中で大きくガッツポーズをとる。

 前にスパーダさんに見せて貰った2丁拳銃のルーチェ&オンブラを参考に、ウチなりに遠距離武器を作ってもらったのだ。といっても銃器の扱い等出来る訳がないので、銃座にプラグを刺す端子を作ってもらい。そこにジャックを突き刺し、引き金を引けば弾の代わりに衝撃波が飛ぶ仕組みだ。

 

 更衣室で箱を開き確認すると。ウチの掌に収まる位の小型の拳銃が現れる。白と黒で対照になっている色が特徴の何ともイカス代物だ。手に取ってジロジロと眺めていると背中から視線を感じ振り返る。興味深げにこちらを見るクラスメイトの姿に思わず頬がほころぶ。近くで見ていいと許可を出せば、あっという間に群がり、説明書を広げたりウチの持っている拳銃を触ったりしている。暫くして梅雨ちゃんが声を掛け皆も着替えに戻る。

 …どうでもいいけど、弾入っていたら危ないと思う。

 箱の中からガンベルトを取り出し、腰に留めホルスター?だったかに適当に銃を放り込み準備完了。

 ウチのジャックを刺さない限り、ただの銃型のおもちゃというのも中々ポイントが高いと思う。意気揚々と更衣室を後にする。

 

 

 コスチューム自由とは言われていたが、体操服を着ているのは緑谷ぐらいだった。まあ、そういうウチもコスチュームをちゃんと着ている。そして張り切って仕切る飯田。彼にとっては天職なんだろう。すごく生き生きとしている。

 

「こういうタイプだったか…」

 

 頭を抱え、座席に座る姿は何処か哀愁が漂うが、同様に可笑しさも誘う。こいつ面白いわ。今度話しかけてみようか。飯田の言う通り席順でバスに入った結果。ウチは爆豪の隣になった。特に到着するまですることがなさそうのなので、音楽でも聞こうか。バージルも芦度の隣で足を組んで本を読み始めているし。

 ポケットから取り出していると爆豪の視線を感じ、顔を上げると舌打ち一つし顔を窓に向ける。首を傾げつつジャックを端子部分に指し適当に音楽を再生していると前方から芦度の楽し気な声が響いてくる。

 

「蒼井。何読んでんの?」

 

「園芸家12カ月」

 

 面倒臭そうに芦度を見た後、律儀に表紙を向けタイトルを読み上げる彼の声とそれに対する質問やらを背景に音楽でも聞いているとしよう。もう暫く話は続きそうだし。

 

「…お前、あの白髪野郎と仲いいんか」

 

「え」

 

 随分と小声で爆豪から声がかかり、首を傾げながらそちらを見れば、不機嫌そうに窓を見ている。はて、ウチの知り合いに白髪何て居ただろうか。

…白髪野郎ってバージルのことか。何と命知らずな。

 

「幼馴染だけど」

 

 素直には話していないが、事実を言えば何が気に入らないのか舌打ちをして黙り込む。ウチにはまだ胸を張って彼の恋人です。と言える度胸はない。純粋に滅茶苦茶恥ずかしいから。

 何となく横顔を見詰めながら音楽を聴く気分も失せ、前方に視線を移せば切島達が何か騒いでいる。どうやら個性の派手さを語っているところだ。純粋に目立つ個性なら轟と爆豪の圧勝の気がする。バージルの個性も見た目綺麗だけど、そこまで派手な感じはしない。

 

 

◆◆◆

 

 

13号先生の話が終わり、いざ移動しようとしたその時。

 

「一かたまりになって動くな!!」

「え?」

「13号!!生徒を守れ!」

「はい!!」

 

相澤先生と13号先生が慌ただしく何か構えた。それに釣られて皆で先生達が見ている方向・・・階段下の噴水らへんを見てみると変な渦巻く黒い靄が出ている。

 

「何だアリャ!?また入試ん時みたいな、もう始まってんぞパターン?」

 

切島の言葉に変に納得しかけた、その時。

 

「動くな!あれは敵だ!!!!」

 

怒号のような相澤先生の声に、一瞬で緊張と少しの恐怖がウチ等を覆う。

 

「敵ン!?バカだろ!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

「先生侵入者用センサーは!」

「もちろんありますが・・・!」

「現れたのはここだけか、学校全体か・・・何にせよセンサーが反応しねえで通信もアウトとなると。向こうにそういうこと出来る“個性”がいるってことだな。校舎と離れた隔離空間、そこに少人数が入る時間割・・・バカだがアホじゃねぇ、これは何らかの目的が合って用意周到に画策された奇襲だ」

 

轟の言葉に皆頷きながら、周りを警戒する様に伺っている。ウチの耳には、敵の薄ら笑いがいくつも聞こえてきて、背中を冷や汗が伝う。

 

 

「13号避難開始!学校に電話試せ!」

「はい!」

「センサー対策も頭にある敵だ、電波系の“個性”が妨害している可能性もある、上鳴!」

「ジャミング酷くてムリっス!」

 

上鳴の返答に相澤先生がゴーグルの下で顔を歪めたのが何となく分かり、少しでも安心したくて、隣にいるはずのバージルの姿を探して、視線を巡らせればいつの間にか前方に移動している。

 

「雑魚ばかりだな」

 

静かに呟き、腰に構えた刀を引き抜いた。

連続して響く鍔鳴音と、その音を追う様にバタバタと人が倒れる音が暫く続く。

多分、5秒も無かっただろうが。噴水の周りにいた敵の殆どが、倒れ伏してうめき声を上げている。

 

「まさか防がれるとは」

 

面白そうに口角を吊り上げ、黒い靄が出ていた辺りを睨みつけている。そこを見ると無傷の敵が3人も残っている。

アイツらバージルの斬撃防いだのか。ウチの額に嫌な汗が浮かぶ。

 

「あれ、生きてるの?」

 

「殺した方が楽なんだがな」

 

油断なく構えながら、葉隠の言葉に律儀に返す。

多分、手足の健か何か斬ったんだろうか。リカバリーガールってそういうのも治せるんだろうか。

 

「上鳴、まだ通信は出来んか?」

 

「まだ無理!全然繋がらねえ!?」

 

振り向くことなく上鳴に確認をとるが、否定の言葉を投げられ片眉が跳ねる。

 

「面倒だな」

 

そう言い捨て、こちらを一度振り返り広場へ一息に降りていく。それを見送ってしまった相澤先生が大きく舌打ちをし、ウチ等に視線を移す。

 

「13号。さっさと生徒を避難させろ」

 

あのアホを捕まえてくると言い捨て、相澤先生も同じ様に広場に飛び降りた。

 

「さ、皆さん。こちらに」

 

 13号先生に先導で避難しようとしたその時、ウチ等の前を黒いモヤが覆う。

 

 

「やれやれ。最近の子供は容赦がない。初めまして、我々は敵ヴィラン連合。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて戴いたのは…平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。本来ならば、ここにオールマイトがいらっしゃる筈…ですが、何か変更あったのでしょうか? まぁ、それとは関係なく………私の役目はこれ」

 

とんでもないことを言いながら、ウチ等を囲む様に黒モヤが展開される直前、爆豪と切島が攻撃を仕掛けるが効果はなく。クラスメイトの殆どが黒モヤに囲まれ姿が消えていく。ウチも消える直前に誰かに手を引かれた感触がして、そのまま闇に飲まれた。

 

 

◆◆◆

 

 

 閻魔刀を腰に構えたまま、ゆっくりと無傷で立ち並ぶ2人の敵の前に立つ。無傷と言っても1人は傷が逆再生の様に治っていることから、回復系の個性か俺達の様な身体なのだろう。

 もう一人はと周囲の気配を探るが、見つからず疑問に思うが後回しにする。

 手で全身をコーディネートした露悪趣味的な男が恐らくリーダー各だろう。もう一人の脳味噌は何もせずそこに突っ立っている。

 

「お前…何だよ。チートかよ」

 

 よたよたと幼児が歩く様に、こちらに詰め寄りながら身体中を掻き毟っている手男が、訳の分からない言を投げてくる。

 折角近寄ってくれるのだから一太刀ご馳走してやろうではないか。取り敢えず動きを封じ様と手足を斬り飛ばすために閻魔刀を抜いた途端、手男の腕が、いや身体が視界から消え、次いで相澤先生が現れる。

 

「何をしに来た」

 

 不機嫌そうに呟くと、個性を発現させながら手男の首筋に攻撃を加え距離を取る。こちらと並ぶ様に立ち周囲を警戒しながら口を開く。

 

「生徒一人残して教師が逃げられるものか」

 

「そんなものか」

 

 拘束されていた手男が気絶していなかった様で、簀巻きにされてもがいている。今はまだ個性が利いていて脱出できないだろうが、眼を閉じれば効果が消えるため時間の問題だろう。

 脳味噌の周囲に幻影剣を展開し、試しに手足を斬り落とす。横から声が掛かるが黙殺し、次いでとばかりに手男にも幻影剣を射出する。それを転がる様に避ける奴を無視して、脳味噌を観察する。

 予想通り断ち切られた四肢が徐々に再生していき、隣で息を呑む音が響く。それで個性が解けたらしく、手男を拘束していた捕縛布が奴が触っていた所から徐々に崩壊していき、服から残骸を払いながら立ち上がる。

 

「脳無にそんな攻撃が効くかよ!『超再生』って個性持ちなんだからよ」

 

何やら高笑いしながら長々と説明してくれたが、要は個性を複製持たせた改造人間だということ。その説明の合間に脳無?とやらが傷を再生し終え、こちらに向かって拳を振り上げる。心地よい殺気と害意が敵から放たれ、我知らず高揚する。

 

This may be fun( 楽しめそうだな )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、取り敢えずバージルが死にます
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