園田海未です
先生と一緒に自分の家に戻ってきました
あんなに戻るのが怖かったのに…たった三日帰らなかっただけなのに…
非常に懐かしく思い…そして安心する自分がいます
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「穂乃果!?」
英吉「おい、お前、なんでここにいるんだよ
…練習明けにしては少し早くないか?」
穂乃果「ごめんなさい!
今日は…休んじゃった…
何となく今日…海未ちゃんが帰ってくるような気がして…」
もうそろそろ学園祭です
μ'sもその学園祭でのライブに向けての準備、練習で時間はいくらあっても足りないくらいなのに…
なのに私は貴女の貴重な時間を奪ってしまっているのですね…
海未「ごめんなさい…穂乃果…!」
穂乃果「ううん…いつもは穂乃果の方が迷惑かけてるんだから気にしないで!」
穂乃果、本当にありがとう…!
そんな私達のやり取りを微笑みながら眺めつつ、先生は門のインターホンを押しました
ピンポーン!
…
英吉「私、園田海未さんが所属するクラブ活動の顧問をしております鬼塚英吉という者です
今日は海未さんを保護しましたので連れてきました」
それを聞いたお母様の驚きがインターホンから離れていても伝わります
そして直ぐにお母さまが出てきました!
園田母「海未さん…よく戻ってきてくれましたね」
海未「お母様…すみませんでした…!」
園田母「いいんですよ!
貴女が無事に戻ってきたのならそれで十分です
…先生も穂乃果さんも本当にありがとうございます…!」
先生「いえ、当然の事っす!」
園田母「それでは先生も上がっていただけますか?
お話したい事もございますので…」
先生がお母様の誘いに応じ、門をくぐろうとすると穂乃果が声をかけてきました
穂乃果「あの…おばさん、
穂乃果もお邪魔していいかな?」
穂乃果を巻き込むのは心苦しいです
ですが…本当にありがとう
先生だけでなく、穂乃果も一緒なのはとても心強いです
園田母「え?」
英吉「い゙!?」
?…お母様と先生が穂乃果の申し出に難色を示しています
一体、何故でしょうか?
園田母「あの…先生…どうされますか?」
英吉「…穂乃果!
今からの話、絶対誰にも言うなよ!
約束するんなら…来てもいい!」
穂乃果「!?…う、うん、約束するよ!」
穂乃果が先生の約束を承知しましたので、私達三人は畳敷きの客間へ通されました
そしてお母様は下座、先生と穂乃果、そして今日は私も上座に座らせていただきます
…予想通り、先生だけは正座ではなく胡坐をかかれております
私達の着席と同時にお婆様がお茶を持って来られ、
お茶を全員分お出しし、自らも下座に正座しました
園田婆「海未や…よう帰って来たね」
海未「お婆様、ご迷惑をおかけしました」
次いでお婆様は先生と穂乃果に挨拶をされました
先生を直視した時は流石に少し驚かれた様子でした
確かに先生のような人が園田家の敷居を跨ぐのは、恐らく初めての事ですから無理もないでしょう
ですが特に何も言われず、代わってお母様がお話を始めます
園田母「まず私が何よりも気がかりなのは…
海未とは…その…何もなかったのでしょうか?
すみません…穂乃果さんがいる前で…」
英吉「はい、何もありませんでした!
というかあったらパク…捕まってます」
園田母「確かに…それもそうですよね」
!!…そ、そういう事だったんですね!
お母様と先生が先程、穂乃果の同席に難色を示された訳がやっとわかりました!
先生に何かされた自覚がなかった…というか実際何もされていないので、それに気が回りませんでした…
穂乃果「え?
何の話なの?」
そういえば穂乃果達は家出の経緯を詳しくは知らないのですね
まぁ事が事だけに詳細を伏せているんでしょうが…
英吉「まぁ…簡単に言うと俺と園田がセックスしたんじゃないかと疑われてる」
!…せ、先生!
直接的過ぎます!!
穂乃果「!!!?…なんでそんな事になっちゃってるの!?
ことりちゃんからは行けなくなったって穂乃果も聞いてるから、
先生の家には先生と海未ちゃん、二人だけだったけど…」
私と先生はお母様とお婆様の前で穂乃果にもう少し詳しい説明をしました
私が間違って先生が持っているDVDを再生してしまった事…
そのDVDの内容に私が驚いて騒いでしまった事…
それを聞きつけた隣人が強姦と間違えて通報した事…
駆け付けた警官がお父様と面識があった事…
何事もなかったけど、先生と二人きりだったことがお父様の耳に入った事…
その事をお父様に咎められ、退部するようにと命じられている事…
またその件がなくともスクールアイドル活動にかねてから苦言を呈されていた事…
そして…
海未「退部を申し出る事を想像すると、どうしても登校する気にならず、
かといって家にも帰り辛く、家出した次第です…」
穂乃果「ううん、なんか色々過ぎて、まだよく分かってないけど…
…でも!
やっぱり…相談してほしかったよ!
…ほら、私だけじゃ頼りないかもしれないけど、
絵里ちゃんとか希ちゃんとかいい方法考えてくれるかもしれないしね!」
海未「…ごめんなさい!
心配をかけてしまって…!」
そしてありがとう…!
穂乃果、貴女が頼りないなんて事ありません!
たとえ解決方法は見つからなくても、
そうやって寄り添ってくれるだけで私は救われます…
そんな穂乃果の優しさに感激していると、お母様が私に声をかけました
園田母「海未さん、私は貴女のスクールアイドル活動を応援してますよ
…今までハッキリと言葉にはしませんでしたけどね」
海未「…お母様!」
園田母「皆さんの前で私が言うべきことではないですが、
貴女は本当に良い子です
私達が強いた園田流の日舞を初め、
様々なお稽古事を嫌な顔一つせずに習得していきましたからね」
それは…私の使命だと思っていますので…
園田母「ですが…それを負い目にも思っていました
嫌な顔をしない反面、
出来を誉めてもお愛想程度に微笑むだけで、
楽しんでいるようには思えませんでしたから…」
それは…私の使命だからです
不謹慎な気持ちでは取り組めません…
園田母「ですが、穂乃果さん達との交流は別でした
スクールアイドルを始めた時からは特にです
毎日のようにいつも穂乃果さんに対する愚痴をそれはそれは楽しそうに話してますよ」
海未「お、お母様っ」
穂乃果「ええっ!?」
園田母「いえいえ、皮肉で言ってるのではありませんよ?
海未さんは真面目な子ですからね
どうしても人さまの気になった所を見過ごせないのですよ」
穂乃果「す、すみませんっ」
園田母「ですが…ただ気に入らないだけなら、
そのような事を決して楽しそうには話さないものですよ?
きっと穂乃果さんは私達がこの子に与えられていないものを
与えてくれているんでしょうね…」
穂乃果「あはは…どうでしょうか?」
園田母「そして2学期に入り、この子の愚痴の矛先が増え、
より一層楽しそうな様子になりましたよ?」
そう言ってお母様は先生に微笑みかけます
でも先生は…冷や汗をかきながら、ひきつった笑いを返すばかりです
きっと己の所業を思い返しているんでしょう
いい気味です♪
今、私は自分でも気づかず悪戯っ子のような笑みを浮かべていたんでしょうね
それをお母様に指摘されました
園田母「ふふ、今の貴女のそういう顔、私達は初めて見ましたよ
先生もこの子に新しい経験をさせてくださってるんですね」
穂乃果「そうそう!
この前なんて先生、いきなり眼t…むぐぐ!」
先生が血相を変えて穂乃果の口を塞ぎます!
海未「ほ、穂乃果!
今は先生とお母さまはお話しているので、割って入ってはいけません!」
穂乃果「うぐうぐ(うんうん)!」
園田母「まぁ! 隠し事ですか?
私に隠し事とは本当に新しい一面をどんどん見せてくれますね
それにしても今は非常に二人の息が合ってました…
先生、本当にこの子とは何も…ないんですよね?」
英吉「もちろん、ありませんよ!」
海未「そうですよ!お母様!」
園田婆「ふふふ、若いのぉ…」
園田母「何にせよ、娘が心から楽しそうにしているのを見て、
母親として喜ばしくない筈がありません」
多少の緊張は走りましたが、和やかな雰囲気で話は進みました
でも…
園田母「ですが…この子の父親、
私の夫の盛男はスクールアイドル活動を快くは思っておりません…
それが…いずれは園田流の継承を拒む事になるのではと危惧しているのだと思います」
穂乃果「スクールアイドルからプロのアイドルになって…って事?」
園田母「恐らくは…」
海未「そんな馬鹿な…!
私にそんなつもりは…!
それにこう言っては何ですが、お父様は婿養子の身…
園田流の存続にそんなに固執する立場とは思えないのですが…」
園田婆「生来の生真面目さ…そして外様ゆえ…なのかもしれんの…
そうだねぇ…
いい機会だから貴女と盛男さんの馴れ初めを聞かせてあげなさい」
園田母「はい、では恥ずかしながら…」
お婆様に促され、お母様がお父様との馴れ初めを私達に聞かせてくれました
お父様とお母様がお父様の実家で催された宴席で知り合った事
その席で舞を披露したお母様がお父様に見初められ、それを切っ掛けに二人の交際が始まった事
そしてお母様のお父様に対する想いは園田流にかける気持ちと同じくらいにまで大きくなった事
でも嫡男であったお父様に園田家の婿養子になって欲しいとはとても言えなかった事
しかしお父様はそれを汲んで弟さんに跡目を譲り、婿養子に志願した事
私も初めてお父様とお母さまの詳しい馴れ初めを聞きました
私はそんなにお母様を愛しているお父様との子供なんですね…
でもどうして私には…
そんなお母様の子供である私には…
園田婆「アタシは娘の幸せのためなら園田流を畳んで、
お前のお母さんを嫁がせてもいいと思ってたんだけどね
でも結局、盛男さんの厚意に甘えてしまった…」
英吉「テメェの道を閉ざしてまでテメェの惚れた女の大切なものを護る!
…カッコいいっすね!」
園田母「…ありがとうございます
しかしそれ故にあの人にとって園田流を護る事が新しい道となったのでしょう
ですので僅かでも脅かすものは許せないのだと思います」
英吉「なるほど…
まぁ人間、自分のためより自分以外の人のための方が頑張っちゃう事、結構ありますもんね
それが自分の大切な人のためなら尚更…
だからこその外様ゆえ…っすかね?」
園田婆「その通り…
先生、若いしそのナリでなかなか聡いのぉ」
先生は無教養そうなのに時折、本質を見抜かれますね
英吉「それにしても一つ気に入らねぇ事がありますね
それは…」
?…先生、それは何ですか?
ガラガラガラガラ…!
インターホンが鳴らずにいきなり門戸を開ける音がしました
それは来客ではなく、身内が帰って着た事を意味します…
現在、この家で暮らしているのは4人
そしてこの場には私、お母様、お婆様の3人がいます
帰って来たのです
今日は帰らない筈だったお父様が…!