~前回のあらすじ~
魔王「お前は一体…何なんだ……?」
主人公「(お前の)叔父だ」ドヤァ
とかなんとか脳内で遊んでる場合じゃねえ!
どうする、どうしよう、どうすれば、どうするべきなんだ、どないせえっちゅうねん!!
待て待て、焦るべきじゃない。こういう時は落ち着いて素数を数えるもんだって偉い人は言ってた。
えーっと、あーっと………………………………素数ってなんだっけ?(混乱)
これはマジで第二の人生における最大にして最悪の展開だよ。なんなんだよこれ、俺が一体何したって言うんだよ!!転生してからは日々魔法の修練に励み、血筋エリートどもからの嫌がらせにも耐えてやっとのことで就職を手にしただけじゃないか!!
「言っているだろう、別に取って食おうというわけではない。少し気になっただけだ」
「………………夜ももう遅いしもう寝なよ」
ベッドから立ち上がりアノスの頭をなでながら寝るように促す。
というかこの部屋から出したい、一刻も早く出ていってもらいたい。このままだとマズい。主に俺のメンタルが………。
「ふむ、子ども扱いされるのは新鮮な気分ではあるな。だが、仕方ない」
「はよ出てけやこのガキャぁ…………………は?」
気が付くとそこは外だった。
えぇぇぇぇぇぇ? どゆこと?
今いる場所は少し高い丘の上、周りを見渡せば少し遠くの方に先ほどまでいた姉夫婦の家w見つけることができた。
…………………もしかしてこれってワープか?なにそれすっげえロマンじゃん。じゃないわ、こんなん現代で使える奴はいないはずだぞ。それこそ神代に生きてた存在クラスの魔法だぞ。
「どうだ、これでわかっただろう」
……これはもう疑う余地もないだろう。それに、確か今年は魔王が転生する年だと言われている。
神代の魔法を当たり前のように使い、その他のことも含めるとそうである可能性が高い。だが、だがしかしだ。それだと一つだけおかしな点がある。
「その前に、もう一度名前を言ってくれないか」
目の前にいる彼と二千年前の魔王が同一人物であると裏付ける決定的なものが。
「俺の名前はアノス・ヴォルディゴードだ」
「ならおかしいな。俺たちが知っている魔王の名は、アヴォス・ディルヘヴィアだ」
~~事情説明中~~
「なるほど、こことは違う世界からの魂の転生。それにこの二千年間での歴史の改ざん」
「まあ二千年もあればそういうこともある…………あるんでしょうね」
「別に今更態度を変える必要はないぞ。俺たちは家族なのだからな」
「そ?なら俺もアドルフでいいぞ。叔父上っていうのは慣れる気がしないしな」
お互いの素性に加え神代と現代での認識の違いを確認していった。
「そうなるとアドルフは母さんたちよりも年上ということになるのか」
「まあ、そうなるな。でも関係ないだろ。たとえ俺が誰であろうと姉さんは姉さんで、義兄さんは義兄さんだからな。おまえもそうだろ?」
その言葉に少し面を食らうように呆然とするアノス。その正体が魔王と知っているがゆえにその表情は面白いものだった。
「そうだな」
魔王との初邂逅の夜はこうして過ぎていったのだった。
~翌朝~
「あら~、アノスちゃん。こんなに大きくなっちゃって。成長期かしら」
「そんなわけないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
気苦労が絶えそうにないです。
なんでこんなことになったのかと経緯を説明する前にこの世界におけるある一つの施設のことを説明しないといけない。
施設とは言ってるがようは学校である。
魔王学院デルゾゲード。
ザックリ簡単に説明すると魔族の子供たちの中から素質あるやつ集めて教育してやろうぜ、ていうだけ。まあ本当の目的は転生した魔王を探すことであるが……。
学院側から送られてくるフクロウの使い魔が招待状を素質のある魔族に送り試験や測定などを行って入学することができるというものだ。
察しの良い方ならお気づきだろう。来たんですよ、うちのアノス君に。
それを見た最初、姉さんたちもまだ小さいからと行かせるようとはしなかったのだが、そこは魔王様クオリティである。
一気に成長魔法を使うことでなんということでしょうか。幼さくて可愛らしかった少年も始祖の力にかかれば凛々しい表情をした青年へと大変身。
はあぁぁぁぁぁ(クソでか溜息)
……………………いや、もうなにもツッコミませんよ。いきなりでかくなった自分の子供に対して成長期の一言で済ませるとか無理があるだろとか、細かいことにいちいち反応してたら身が持たないって。
アノスが学院に行くにあたって一家で行くことになった。
それにあたって一つ問題がある訳ですよ。俺の働く先がその学院だということである。魔王を探すことを目的としているだけあっていろいろと待遇がよくて人生勝ち組、な感じだったが一気に行く気が無くなった。
魔王探すところに魔王が授業受けに行くとかなんなんだよ。絶対なんかあるじゃん。学院入学から物語が始まるとかラノベに良くある設定で………………………………………………………………あ。
「あああああああああああああああああああああ!」
「!?どうしたの、アド君!」
「い、いやぁ、なんでもないよ!!」
「でも……「大丈夫だから、ちょっと外行ってくる!!」」
そりゃ驚きもするだろう。自分の弟がいきなり発狂したのだから。
急いで外に出て目的地へと向かっていく。今までは特に考えてもなかった。転生して特にこれといって自分の知ってる作品に該当するものがないからこのまま普通の人生を送っていくものだと高をくくっていたがもしもだ。
もしも、この世界が自分の知らない作品の世界だとしたら、さらに物語が始まるよりも前に転生していたのだとしたらだ。
この世界での主人公はアノスで間違いない。設定盛りすぎなチート人物が主人公じゃないわけがない。
これが正しいのならこの先の学院生活では不可解なことが連続して起きるはずだ。
何年も前から存在してるくせして今まで表立って活動してなかったテロリストが活発に活動開始するなんてのはラノベのお約束だ。
そしてその出来事に主人公が首を突っ込んでいくまでが様式美。確定だ、確定じゃないかこんなもの!!
クソったれが!!
学院が始まるまで猶予があったがそう悠長なことは言ってられない。とんでもないテロリストが来た時のための自衛に、面倒ごとを回避できるような言い分を考えたりと考えだしたらキリがない。
とりあえず今最初に俺ができることを俺はやっていくだけだ。
「すいません、この胃薬全部ください」
備えあれば憂いなし、とはとてもいい言葉があるもんですね(白目)