kigurui(male) | Lv10(兵士) |
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HP | 18(360) |
SP | 18(360) |
MP | 12(180) |
STR | 16(160《+15》《+4》) |
DEF/MDF | 20/20(163《+35》/163) |
INT | 15(150) |
AGI | 17(170) |
LUK | 13(130) |
【装備】
右手武器:始まりの曲剣(E.) ・
左手武器:松明 ・
防具:始まりシリーズ一式
【技巧】
《受け流しⅠ》(成功時、初撃の威力をSTR5%分プラス)
《格闘Ⅰ》(常時STR3%プラス、端数切り捨て)
《暗殺Ⅰ》(非アクティブ時、レベルの低いモンスターを8%の確率で即死)
【術】
黄昏の火打ち石を使って炎を纏わせた武器を振るい、着々とエネミーを倒し続けるkigurui。ゴースト、スケルトン、ゾンビ、犬をラッダの援護などを受けつつ手に入れた技巧を上手く使用し着々と残証を集めていた。夜に現れるアンデット系のエネミーには火打ち石を使いアンデット特攻を付与させるなどをしなければ与ダメが5割減少する仕様らしく、途中で効果が切れた武器の攻撃では倒すのに時間がかかったのが腹立たしかったようで。
夜の時間帯では灯りが無ければ満足に戦うことも出来ないため、火打ち石を灯り代わりにしていたものの松明を入手したことで左手に持ちながらレベリングをしていた時であった。とある廃屋の床に違和感を持ったkiguruiが探索を始め、そう時間もかからない程に
風化した扉自体は木材であったため簡単に開くことができ、短い下り階段の先を照らしてみるとkiguruiの視界の端に白骨化した死体の一部が見えた。地下室に降りて部屋の内情を観察していくが、見つかったのはアイテムとどこかへ続く下り階段だけ。そのアイテムを取ろうとして──骨が鳴ったと理解した途端、背後を斬る。僅かにノックバックを与えたスケルトンへ猛撃し漸く安全になったところでアイテムを入手する。
「えぇ……」
「あーそれな。定番定番」
「ほんっと、初心者殺しというか。今更だが」
「ってか、さっきの反応速度なに? AGI幾つだよお前」
「まだ17」
「PSであれかよ……俺が初心者の時より上手いじゃん」
「動くだろうなとは思った分、速く動けたんだろ多分。まぁさっさと行くべ」
少しだけ上擦った、自身の声色の変化に気付いたkiguruiが一呼吸を終えてテンションを抑えると階段を降りていく。僅かにその顔を歪ませていることに気付いたのは、1段目を降りてからと早く、頬を叩いて元に戻した。
下った先に見えたのは地下水道を思わせる光景、実際に地下水道でありその匂いは鼻が曲がるほど様々なものが混ざりあったのだと理解出来る。顔を顰めながらも探索していくと、槍、剣、材木、それらの破片などが入ったスライムの奇襲にあって死にかけたり──
「ぉぶェェェ……」
「よしよし。誰もが通る道、通る道」
「こんな道絶対やだ……ウォエ、くっさ」
肥大化したネズミ、所々に爛れた箇所のあるネズミ、もはや原型さえ留めていないネズミが襲いかかったり──
「ビビったぁ……いきなり水の中から にゅっ と出てきたのはビビったぁ」
「未だに慣れないんだよなぁ俺も」
「つーかあれなに、攻撃の通りが悪すぎる。何でネズミの癖に硬いんだよ」
脇道から待ち構えていたであろう目の潰れたワニが襲いかかり、1度は避けて反撃したものの噛みつきの連打によって無事に死亡1回目記念となった。
「ぁああ゛あ゛あ゛あ゛!」
「いやスゲぇわ。よくここまで生き残れたな」
なお、kiguruiの残証はそのワニに取り込まれたため、不可抗力で倒してしまったraddaのものになってしまった。
kiguruiは泣いた。raddaは困った。
旗掲げられし地での復活と帰還を果たし、あそこまで生き残れたにも関わらず残証がraddaのものになってしまったことを不憫に思ったのか。始まりシリーズからの脱却の分の費用はraddaから出すことにした。kiguruiの元残証もそこに含まれているのだが。
王都グリムウィタの武具店で物色しているものの、NPCが経営している形であるため、めぼしい物よりも“これが妥当だ”と思えるものしか無い。あれでもない、これでもないと無い無い尽くしのなかでraddaのある提案に乗ることにした。『そうだ、鍛治職のプレイヤーに頼もう』と。
言うや否や早速!と言いたいところだが、一度その場所に訪れなければ転移は出来ない仕様となっており、raddaはともかくkiguruiが条件に当てはまってないため馬での移動を余儀なくされた。raddaの操作する馬に乗って暫くの時間が経ち紆余曲折あって、やっとの思いで《西の工房都市 トレープシュ》へと到着した。
この場所はNPC経営店よりも鍛治職を生業とするプレイヤーが多く、割合にすれば3:7の比率という人気の工房都市。他にも《東の工房都市 トゥワシュトラ》があるのだが、radda曰く「西と東でコンセプトが違うため対立関係にある」のだとか。東にも行こうかと考えながら物色を始めたkiguruiは──2時間後。
「しっくりこねぇよ……」
「まぁ、ここINTの要求値とか高いからな。武器の追加技巧で」
「戦技よか使い勝手をば」
「ガチ変態のヤベェのなら東西どこにでもあるが」
「そっち行きたくなったんだけど?」
「知らねぇよ」
結局、件の変態どころを巡るも要求値の関係上買えずに終わり東の方へと行くことにもなった。その道中でまた残証が増え、ステ振りをしたあとトゥワシュトラへと赴いた。
《東の工房都市 トゥワシュトラ》は目立つ限り仕掛けを施した武具が多く見られ、鍛治職の他に技術士なる職業もあった。懐かしのノコギリ鉈や、かの仕掛けが施された聖剣もあり嘗て血に塗れて狩りに身を費やしていた日々を思い出す。西の方では不死人として人間性を捧げたり火継を完遂したり深淵に落ちたりなど、あの時の思い出が想起されていった。
思い出に耽けるのも束の間、やはりkiguruiからすればこれと言ったものが見つからないらしい。正確にはお目当ての物品はあったものの、その性能面やロマンを鑑みるに納得がいかないようで。防具の方もどこか納得がいってないため収穫なしの状態で現在はフィールドに出て、結局初期状態でエネミーを殺し続けレベルも18に上がった。それまでに12回死んだ。
「……はぁ」
「どーすんだよ、いつまでも初期装備だとキツいぞ」
「縛りプレイと思えばワンチャン?」
「ドMかお前は。死にゲーの時点であれだけども」
「あーでも、防具買った方が良かったかにゃぁ。せめて篭手だけでも──」
━━…ぃかげ……しろ!
「ほん?」
「どした」
遠くから微かに聞き取れた声の主を捜し辺りを確認してみると、何やら揉め事が起きているようで。あれだと確信したkiguruiはraddaに指さし、エネミーの群れの中へ向かうことを示した。
「何だあれ……?」
「たーぶんトレインされたかもにゃ。さっき人の声聞こえた」
「マジ? 耳いいな」
「それよか行くべ。はよせんと不味い」
「オッケー」
馬を早駆けさせ突っ込んでいく。確認できただけで盗賊5体、犬8体と明らかに危機的状況に陥っているのが見て取れる。kiguruiは笑みを直そうともせずraddaに指示を出した。
「犬狙って。盗賊はやる」
「はいよ」
流石に蹄の鳴る音に気付いたが、その前に馬上から飛び出したkiguruiが盗賊の1体に兜割りを繰り出し、raddaが煙玉を投げて視界を奪った。kiguruiは笑っていた。
《空の容器》
何も入っていない空の容器。
何も無いため、何かを容れることが出来る。
《煙玉》
投げると周囲に煙を発生させる玉。威力は無いが目くらましには十分な効果を発揮する。