無気力学生が配信を始めてみた。 作:16色のレイン・コーラス
配信を全て文字起こしすると想定した場合は仮に一万字あっても足りないので……。
そこまでの気力はないです。
チャットが止まってしまったので思わず回想に入りかけましたが、過去を遡っても特にイベントなんてなかったのですぐに戻ってこれました。続けていきましょう。
しかしここで流れを一度リセットしたいですね。ゲームしましょうか。短く終われるものがいいので、短編フォルダを開きます。
僕は元々それなりのゲーマーなので、面白いと思ったフリーゲームは分類して保存してあります。広く浅くですけどね。
分類は……『3分以内』から選びましょう。初回からグダる可能性のあるゲームはやりたくないですし、ストーリー系は初見じゃないと生放送は難しいです。
「……自己紹介も一息ついたところなので、ゲームをやっていきたいと思います。やっていくゲームは……ありました。……こちらのゲームは【アップリング】です。りんごを重力砲で撃ち抜いて、落ちてこないようにリフティングさせるゲームです」
”まて今ゲームめっちゃあったぞ”
”なかなか意味が分からない”
”あー、ニュートン的な?”
リンゴと重力ならニュートンだっていうのは分かりやすいですよね。実際のところニュートンは出てこないのですが、モチーフであるのは間違いないでしょう。
「……始めましょう。操作は右か左に移動するだけです。一見すると大したことのないゲームなんですが、実は奥が深い……のでしょうか? 物理演算がガバガバなのでほどよく難しいです」
”その説明だけでクソゲーっぽいんだが”
”不安そうにしないで”
面白かったとは思うんですけど、面白く実況出来るかどうかは別のお話なんですよね……。
「1、2、3、……4、5ぁっと、落としました。……カウントするラインが高いところにあるので、しっかり中心を撃ち抜かなければポイントにならないです」
”カウントアップ?”
”重力砲で壊れないリンゴすげえな”
きっと未知の金属でできたリンゴなんですよ。禁断の果実です。
「何といっても音がいいんですよね。『ぼーん』って。重い鐘を打ち付けたような……心が鎮まります」
”ジョヤジョヤしてきた”
”オモイカネを打ち付ける!?”
”煩悩が洗われていく音がする”
”↑結果何も残らなそう”
”最初から沈んでたようなものでは”
”そもそもリンゴが出す音じゃない”
オモイカネって何ですか? 聞いたことはある気がするんですけど……。あっ、僕が『重い鐘』って言ったからですか。ダメですね、緊張で頭が回りません。もっと心頭滅却しなければ。あっぷるあっぷる。
◇ ◇ ◇
一回3分どころか10秒くらいで終わることもあるゲームですが、気がつけば10分くらい続けていました。やはり大変な中毒性です。
「……ランキング機能があるので、送信しておきます。本日のスコア:48点。大体の日は誰もやってないんでランキング一位ですよ」
もう4年も前のゲームですからね。フリーゲームにとって4年が長いのか短いのかは分かりませんが、今がこのゲームのピークでないことは確かです。僕がやったことで増えるでしょうか?
”草”
”かなしいなぁ”
「あ゛っ。そういえば、でしたね……」
ランキングの名前の入力欄は4文字しか打てない仕様です。しかも濁点と半濁点に一文字分使用するので、『B-Radar』とは入力できません。そもそもローマ字がないですし。
「『フ゛レイ』……うーん、まあいいです。ドラクエ*1リスペクトなのでしょうか、入力の欄が少ないので……納得しましょう」
”そこまで低スペックなのは逆に無理がある”
”もはやだれか分かんねえよ”
”曲がりなりにも物理演算できるのに濁音が打てないのか()”
◇
「……そろそろお話に戻りましょう。それでVtuberと一般の配信者さんの違いについてなのですけれど……」
”そこまで戻るのか”
”蒸し返すなw”
”せっかく忘れてたのに”
それを言うなら、せっかく私が調べたんですから……。
「ですけれど。調べてみたところ、Vtuberというのは主にコンピューターグラフィックスを活用したキャラクターであり、また、近未来的な活動をしているものが一部にみられるそうです」
読むだけなら一文くらい読めるんですけど、どもるわけではなく適当なことを言わないように考えていると話せなくなるんですよね。
”近未来的な活動って何だよ”
”ふわっとしてる”
”天気予報的な?”
”直近で草”
やっぱりよく分かりませんけれど。
「……他の質問にもまた答えていきます」
”コロコロ話題が変わるなこの中学生”
”15分間に7回かな”
”それは別の人”
「”なんでそんなにテンション低いんですか”……逆に聞きたいんですけど、どうやったらテンションが上がるんですか?」
これは本当に謎です。テンションって一日置いてリセットする以外では、だんだんと下がっていくだけですよね? 始めに一日分のテンションがあって、だんだんとそれを消費していく、ような……。
「”Vtuberをやる上での夢や今後の展望を教えてください”……夢も展望もそんなにないんですけど……うーむ」
この問題に答えられるかどうかは重要な気がします。
「実況者みたいにフリーゲームをやって、ときどきイラストを描く……メイキングですね。それをやりたいと思っています。せっかくVtuberになったので、世界中のVtuberさんとコラボして友達になりたいと思っています……」
”メイキングいいぞ”
”ワールドワイドか”
”ならコラボしようぜ”ねすとはーつ
”ブレ君からそんな言葉が出てくるとは”
”私ともやろう!”C.F.シャーロット
皆さんアグレッシヴですね……。誘っていただけるのはうれしいんですけれど、今はもう少し配信に慣れたいです。
「ありがとうございます。そのあたりは追って決めていきます。……ほら、ねすとさんは陶芸家ですし、シャロさんは歌い手さんですし」
”ちゃんと見てるんだなぁ”
”一緒に歌おうよ”C.F.シャーロット
”(陶芸やってて)何か問題が? そして本職ではない”ねすとはーつ
「歌は苦手なんですよね。中学の成績も音楽3でしたし……人前で歌うのは恥ずかしいです」
”それはまた微妙な”
”何とも言えん”
”いや5だったら歌えるってわけでもないけどね?”
”大丈夫! 手取り足取り教えてあげるから!”C.F.シャーロット
”もしかしてやべーやつ?”
手取り足取りって……オフコラボするわけでもなければそんなことはできないと思いますけど……。
「……その機会があったらよろしくお願いします」
”期待してる!”C.F.シャーロット
”ちょっと嫌そう”
うそ、顔に出てますか? 嫌というわけではないんですけど、ぐいぐいと距離を詰められると困ってしまいます。ほら僕、友達居ないので。……ゼロではないよ?
「そんな感じでやっていくので、今後ともよろしくお願いします。……今日はこのあたりで終わりです。一時間だけの予定でしたので。チャンネルのご登録をよろしくお願いします……」
これからの予定は、どうしましょうか。
コラボをするなら、先に知り合いを呼んで練習してみましょうか?