それが日常   作:はなみつき

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おお!初めて評価のポイントを入れてもらいました!私の拙作に9点の価値を見出していただきありがとう!ございます!

##この話は修正されました##


蒐集とはやてと18話

 

「闇の書! できるできるできる諦めるなよ! なんでそこで諦めるんだよ! おまえはやればできる子なんだ! いけるいけるいける!」

「……! ……!」

 

 

 

「よしよしよし! その調子だ!」

「……おまえは何をしているんだ」

 

 シグナムさんがおれに質問してくる。おれが何をしてるのかって? それはな……

 

「闇の書の上に乗れれば移動が楽じゃないか」

 

 今おれは闇の書の上に乗っている。おれが闇の書を初めて見たときの感想は「飛ぶ本とな? 乗りたい」だった。そして今その計画を実行しているというわけだ。

 

「いいじゃないか。どうせこいつとはずっと一緒にいる必要があるんだ。上に乗ってれば移動も楽だし一石二鳥じゃん?」

「まったく、おまえは」

 

 どうやらシグナムさんは納得(呆れ)してくれたようだ。よいよい。ん? おお!

 

「闇の書ー! おまえやっぱできる子だな!」

「……!」

 

 おれは本の上に乗ってふわふわ浮いている状態だ。そしておれが示した方向に進んでくれる大変便利な乗り物と化した。これはいい!

 

「まあ良い。では行くぞ」

「はぐれないように?」

 

 ハーイ。

 

 さて今おれ、シグナムさん、シャマルさんがどこにいるかというと、地球ではありません。ではどこか? 他の次元世界です。まさか海外旅行すらしたことがないおれが次元世界旅行を先にすることになるとは思いもよらなかった。ここは管理外世界というやつで、魔法文化のない世界に分類される世界だそうだ。ちなみに、地球も管理外世界らしい。では、何故こんなところにいるのか? 目的はもちろん観光などではない。闇の書を完成させるために魔力を蒐集することが目的だ。ちなみに、今地球の時間は真夜中(ここでは日中)であるため、もちろんはやてにはこのことは内緒で来ている。おれは一睡もせずに行動可能なため大丈夫だがヴォルケンズは疲労がたまってしまうので、夜中の蒐集はローテーションで来ている。

 

「そういえば、魔力ってどうやって蒐集するんだ?」

 

 魔力は蒐集するもの。蒐集するためには相手を黙らせる必要があるというのはわかるのだが、具体的に誰(何)から取るのだろうか? ていうか誰(何)を黙らせるんだ? ……って黙らせるって今思うと物騒だな。

 

「ああ、そのことだが」

 

 答えてくれたのはシグナムさんだ。

 

「本来は魔力を持った人、つまり魔導師から蒐集するのが効率的なのだが……それをしてしまうと管理局に気付かれる可能性が高くなる。ただでさえ闇の書というのは奴らにとっては放っておけないものらしいからな」

 

 そうなんだ、初耳ですわ。そんなにやばいのか?

 

「人から魔力を蒐集している時点で被害が出るからな。まあ、今回はそれはいい。もし、主の麻痺の進行が止まっておらず、さらに闇の書のページを一から蒐集するのであれば我らは魔導師からも蒐集していただろうが今回はお前のおかげで余裕があるからな」

 

 シ、シグナムさんがおれに感謝している……だと……!? おれそんなにすごいことしてたんだな……

 

「それでだ、今回は原生生物から魔力を蒐集する」

「原生生物とは?」

「原生生物っていうのは、文字通りその世界にもともと住んでいる生物のこと。魔力を持っている生物からなら同じ様に魔力の蒐集は可能よ」

 

 今度はシャマルさんが話し出す。

 

「そして大抵の原生生物は駆除指定されているから、それこそ生態系を崩さないくらいなら大丈夫のはずよ」

 

 ああ、スズメバチ的な感じか。確かにそんなのなら駆逐してしまっても構わん訳だな。駆逐してやる!

 

「じゃあ早速探しに行くのか?」

「ああ、このあたりに魔力の反応はないからな」

 

 そういって二人は先に行ってしまう。……おれは? 本当はおれのこと心配してないでしょ? まあ良いけどさ。そういっておれは闇の書で進むことにする。

 

 さて、言っていなかったがこの世界を一言で表すなら湿地だ。おれの後ろには草がたくさん生えている水たまりがあり、周りもじめっとしている感じだ。え? なんでこんなことを行き成り説明したかって?それは……

 

「ぎゃー! 水たまりからでっかいミミズがあああぁぁぁーーーー!」

 

 まったく警戒していなかったところに体をミミズにぐるぐる巻きにされる。そして巨大ミミズはおれに顔(?)を近付けてきた。

 

「ぎゃー! くーわーれーるー!!!」

 

 そんな声を聞き二人は急いで戻ってきているのが見える。ってどんだけ進んでんだよ!

 

「ああああああーーー!」

 

 

 

 

 

 

「あああああぁぁぁぁ気持ちいいいぃぃぃこの触り心地きもちいいいぃぃぃ」

 

 さすがにあの巨体で巻きつかれた時は怖かったが、あの後何かされる訳でもなく何かを察したのかは分からないが控え目におれに顔を近づけてきた。

 

「この感触たまらんわ~」

「……」

「……」

 

 何か言おうとしてるのはわかるが何も言ってこない。でも、二人がめっちゃ引いてることは纏っている雰囲気だけでわかるぞ!

 

「さあ! おれがこいつを黙らせてるうちに蒐集するんだ!」

 

 忘れてたが魔力の蒐集をしに来たんだった。

 

「お、おう」

「わ、わかったわ。でも今やっちゃって大丈夫? このまま蒐集するとその子が暴れて公輝くんが大変なことになるんじゃ?」

 

「え? そういうもんなん? おう、おまえ。ちょっとだけだからな? 痛くない痛くない。痛いのは最初だけだから。大丈夫、(リンカーコアの)先っぽだけだからちょっと魔力ちょうだい」

 

 説得を試みる。

 

「……? ……!」

 

 あ、なんかよさげだ。

 

「どうぞーシャマルさん!」

「わ、わかりました……蒐集!」

 

 

 

 

 

 

「やはり原生生物からだとこんなもんか」

「まあしょうがないんじゃないかしら? 気長にやりましょう」

 

 シグナムさんとシャマルさんが蒐集した魔力量について話しているようだ。おれはその話の輪に入らない。

 

「おーよしよし。よく頑張ったな。ありがとな! またお前の体プニプニさせてくれ!」

「……!」

 

 あいつは出てきたところに戻っていった。シャマルさんによると、魔力蒐集後はしばらく動けないらしいがおれがいるおかげであいつも健康を維持されるため、アフターサービスもばっちりだ。

 

「ふう、なかなかいい奴だったな」

「もうこいつだけでいいんじゃないか?」

「わたしもそう思う」

 

 どうやらおれは犬猫闇の書以外にも動物に好かれるようだ。この調子ならすごくて、つよくて、かっこいい奴らとも仲良くなれる気がする!

 

 ドラゴンとか!

 

 その後同じような方法で魔力を蒐集していき、予定よりも早く今日のノルマは達成された。

 

 

 

 

 

 

 

 最近みんなの様子が何か変や。具体的に言うとみんなでいる時間が減った気がすること。なんだか疲れている気がすること(約1名を除く)。そんで、何か私に隠し事をしている気がすることや。

 

「なんやろうなー」

「どうしました? はやてちゃん?」

 

 そんな特に意味もない一言に返してくれたんは私の家族であり、守護騎士のひとりシャマル。今やって私と一緒にいるんはシャマルだけや。

 

「なあなあ、やっぱ私に何か隠し事しとるんちゃうか?」

「え? そんなことありませんよ」

 

 これや。私が直接聞いても「何でもない」の一点張り。これでも人を見る目っちゅうもんには結構自信があるつもりや。せやからハムテル君と一緒に住んどるんやからな。せやったら私がこれまで聞いて、見て、感じた事から推測するしかないっちゅう訳や! 名探偵はやてのはじまりやな!

 さて、まずはみんなにさっきの質問をした時の反応を思い出すことから始めよか。

 

 シグナムの場合

 

「主に隠し事など、するはずがありません」

 

 とのこと。ホンマのこと言ってるように見えるけど私の目は誤魔化せへん。あの顔はなんや後ろめたいことがある顔や。でも具体的なことはわからへん。

 

 シャマルの場合

 

「そんなことありませんよー」

 

 とのこと。どうもシャマルの言うことを聞くだけやとホンマに何もあらへんようにかんじるわ。あなどれへんで。

 

 ザフィーラの場合

 

「主、私がそのようなことをすると?」

 

 とのこと。フォルムワンコのザフィーラからは表情の判断ができへんかったし、話を聞くだけやとなにも怪しいことはあらへんかった。せやかて、工藤……おっと、せやかて、ザフィーラのあの言い方は私の経験(推理小説)によると相手に質問を返すことで自分の疑惑を相手自身でなくさせる高等技術の可能性があるわ。まだわからへん。

 

 ヴィータの場合

 

「そそそそ、そんなことある訳、ある訳ねーって」

 

 とのこと。怪しい。怪しすぎる。少なくともなんや関与しとることは間違いないやろう。

 

ハムテル君の場合

 

「ソンナワケナイダロ。マッタクハヤテハヘンナコトヲイウナー」

 

 とのこと。真黒すぎてなんも言えへんわ。

 

 以上のことから私が考えるに、当事者はヴィータとハムテル君。他の騎士たちは何らかの理由でそのことを知った。しかし、私にだけはどうしても言うことができへん。そこから導かれた私の推理は……

 

 ヴィータとハムテル君が付き合うとる!

 

 まず当事者がヴィータとハムテル君。つまり男と女という点。もちろんこれだけではそんな結論にいたるには無理がある。そこで、カギとなるのはヴィータ以外の騎士たちの反応や。それは私には言えへんということ。もしあの二人がなにか悪いことしたんならシグナムあたりが私に報告してくるやろう。でもそれがなかった。それは私の騎士という立場と居候という立場。うん、言えへんやろうな。いや、たぶんずっと言わへんということはないやろうけど、今は二人の様子を見て色々と考えとる時期なんやろう。なら、二人が健全な付き合いをするために私は生温かい目で二人が話してくれるその日が来ることを待つとしよか。

 

 

 

 

 

 

 最近、はやてがおれを見る目が変わった気がする。別に嫌な感情を向けられているわけでも、何かフラグが立った的な感じでもないようだ。

 

「……」

「……」

 

 どうやらおれだけではなくヴィータにも同じような視線が向けられているようだ。一体なんなんだろう……

 

 

<●><●>

 

 

 




何事も穏便に

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