それが日常   作:はなみつき

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間違えて消してしまいましたああああああああああ

紛らわしいことしてごめんなさああああああああい!!!

##この話は修正されました##


願いとコスプレと21話

 

 

 前回、はやてが家にいないということで「せっかくだからみんなで行こず」とか適当なこと言って大変な目にあった。これからは少し自粛しようと思います。結局あの後何事もなく逃げ帰って来て、シグナムさんとヴィータに「ばーかばーか」と言われながら寝ました。非常に遺憾である。翌日には何も知らないはやてがツヤツヤして帰ってきたんだが、いったい何があったんでしょうね? まあそれはいいんだ。

 

「はやて……俺は君を見たときから言いたかったことがあるんだ」

「ハムテル君……」

 

 おれは今まで心の中に思いながら今まで言うことができなかったことを言おうとしている。

 

「あのな、はやて……」

「うん」

 

 はやては一体どうしたのだろうか? といった感じでこちらを見ている。また、周りからシグナムさんとヴィータの何故か鋭い視線とシャマルさんの何故か微笑ましそうな視線がこちらを貫いてくる。

 

「はやて……」

「ええからはよ言いや」

 

 うっ、どうやらいらいらさせてしまっているようだ。しかし、今から言うのは少々、というかかなり恥ずかしい。だけど言う! おれは言う!

 

「はやて! これを着てください!」

 

 おれは後ろに隠していた灰色の箱を開けてはやてに渡す。

 

「……はぁ?」

 

 どうやらはやてはどういうことなのか理解が追い付いていないらしい。そこでおれは箱の中のものを出して改めて言う。

 

「こいつを着てくれ! 頼む! マジでお願いします!」

「なんかこいつ今までで一番一生懸命じゃないか?」

「うむ」

 

 ヴィータとシグナムさんがなんか言ってるが、おれは気にしない。腰を90度に折りさらにお願いする。

 

「なんや、そんなことならまあええけど、急にどないしたんや?」

「実ははやてに初めて会った時からこのことを考えていたんだが、今まで恥ずかしくて言えなかったのと、ついこの間すべての準備が整ったので言ってみました」

 

 そう、おれが渡したのは艦これに出てくるキャラクターの1人。駆逐艦陽炎型三番艦黒潮のコスプレだ。依然言ったように俺の特技の一つ裁縫でコスチュームを自作した。近所のおばさんに「裁縫が趣味なんです」って言ったら「あら~あらあら」って言いながらたくさんの生地をくれたので余裕で作ることができた。ぬいぬい言いながら黒潮のコスを作っていたのですごい違和感を感じたのは関係のない話。また、艤装に関しては学校の工作の時間の自由課題として作っていたものだ。素材はダンボールと画用紙。個人的にはなかなか上手く作ることができたと自負している。先生はちょっと引いていたが。

 

「うわ、この主砲? すっごい出来だな。遠くから見たら金属みたいに光りやがる」

 

 ヴィータとシグナムさんはさっきの鋭い視線から呆れる視線へと攻撃を変え、シャマルさんは「わーかわいい~」なんて言いながらコスをまじまじと見ている。

 

「まあええわ。ハムテル君が着てほしいって言うんなら私がひと肌脱いだるわ! 文字通りな!」

 

 お、おう、ありがとうはやて。だけど、唐突すぎて何も言えなかったぜ……

 

「ほんなら、着たるからちょっと待っとってや」

 

 ヤッターキターキター

 ずっと見てみたかったんだ!

 

 え? なんであんなにこのことを言うのを渋ったのかって? じゃあお前やってみろよ!! 女の子に「コスプレしてください!」って、言ってみろよ! めっちゃ恥ずかしいわ!

 

「あ、主……本当に着るのですか?(ボソッ」

「まあ、ええやん、この服結構かわええし」

 

 ん? シグナムさんがはやての方に近づいて何かしているぞ? そうか、わかったぞ! シグナムさんも興味あるんだな!

 

「シグナムさんの分もありますんでどうぞ」

「なっ!?」

 

 シグナムさんに黒い箱を渡す。

 

「あ、二人にもありますんで」

「なっ!? べ、べべ別にあたしは何も言ってねーぞ!」

「あら、うれしいわ」

 

 ヴィータには白い箱、シャマルさんには黄色い箱を渡す。

 

「じゃ、おれは出てますんで!」

「お、おい!」

 

シグナムさんが何か言ってる。まあいいか。

 

 

 

 

 

 

「それでは第2回八神家ファッションショーコスプレ編をはじめまーす」

「おー」

 

 ザフィーラさんの興味なさそうな掛け声が続く。ちなみに第1回は騎士甲冑編。あの時のは司会はおれとはやてだったが今回ははやても参加者側で、ザフィーラさんは見る側なのでザフィーラさんに手伝ってもらう。

 

「では1番のシグナムさんどうぞー」

「くっ、なぜ私のものだけこんなに露出が多いんだ!」

 

 シグナムさんは上はビキニのような感じで下は超ショートスカート。手には手甲、頭には2本の角のようなヘッドドレス。そして、一際目が行くのはその超弩級の艤装。

 

 シグナムさん(長門ver.)

 

「シグナムさんのキリッとした印象にその綺麗なロングヘアは長門の印象と400%的に一致。釣り目なところもそっくりで髪が黒なら本当に2次元の世界から出て来たようですな。ふつくしい……」

「そうだな」

「ふんっ」

 

 殴られた。なして? そして、ザフィーラさんよ、もっと何かありませんか? ……ありませんか。

 

「では2番3番は二人でどうぞ、ヴィータとシャマルさん」

「な、なんだよこれ……下タイツだけって」

「これって巫女服ってやつかしら? いいわね~」

 

 出て来た二人はヴィータとシャマルさん。ヴィータは白いセーラー服と言葉通り下はタイツだけ。手には魚雷発射管とロッド。頭のパーツはカチューシャからの伸ばした棒で支えるように作っていたのだが、どうやら魔法で浮かしているようだ。イヤーホントマホウッテベンリダナー。

 

 ヴィータ(叢雲ver.)

 

 シャマルさんのほうは改造巫女服のようなもの、下は緑のチェックのスカートでブーツを履いている。ブーツはどうやったのかって? ダンボールは万能だな。

 

 シャマルさん(比叡ver.)

 

「まずはヴィータ。ヴィータを誰にしようか一番迷ったが、そのツンデレな性格から結び付けていったが、髪をほどいてまっすぐにしたヴィータはいつもと少し違ったイメージでとてもいいですな」

「うむ」

「だ、誰がツンデレだっ!!」

 

 殴られた。なして?

 

「で、シャマルさんも結構誰にするか迷ったんだが髪の長さがだいたい同じくらいということで決めてみた。本来はスポーティーな感じの比叡だが、シャマルさんが演じることでおっとり系のイメージはとてもいいですな」

「せやな」

「あらあら、ありがとう」

 

 ザーフィーラーさーん。適当すぎて適当になってるよ。ただ、シャマルさんを比叡にした一番の理由はあえてここでは語るまい。

 

「では最後のはやて」

「黒潮や、よろしゅうな!」

 

 お、おおー! このためにいままで一生懸命準備して、恥ずかしい思いしてやったんだよな!

 はやては灰色をメインとした生服で、下はスカートでその下にはスパッツを履いている。おでこを見えるようにして髪を分け、いつもつけている髪留めのバッテンの方を外している。手には白い手袋、主砲を手で持っている。

 

 はやて(黒潮ver.)

 

「うんうん、やっぱり思った通りはやては黒潮にびっくりするほどそっくりだな。そっくりな故にシグナムさん以上に2次元の世界から飛び出して来たのではないか言わざるを得ない完成度、秋葉に行ったら有名人になること間違いなし! とってもかわいいと思います」

「うむ、さすが主だ」

「いやーなんや照れるなー」

 

 ザフィーラさんが初めてまともに評価したぞ。何よりはやてと黒潮の共通点、外見的共通点もそうだが、二人とも関西弁を操るということだ!これはもう神がいたずらをしたとしか思えないほどのシンクロ率だと思う。800%くらいかな。

 

「みんなそろったな。いやー我ながらすごい達成感だ」

「くっ、こんな破廉恥な……」

 

 胸を抱くようにするシグナムさん。それ余計エロいわ……

 

「いけー!!」

「撃てー!!」

 

 ちょっ、ヴィータ、頭のそれはファンネルじゃねーよ! そうやって使うものじゃ(たぶん)ないから! ……うわ! シャマルさんの主砲からあかるい緑色のビームがっ! あ、壁に当たったら消えた。いったい魔法ってなんなんだうごご。

 

「ほんならせっかくやからこれでみんなで写真と撮ろか?」

 

 はやてがカメラをもち言ってきた。シャマルさんがカメラをセルフタイマーにセットして置く。

 

「はいちーず」

 

 それは誰が言ったか、はたまたみんなで言ったのか。また楽しい記憶が1ページ増えた。

 ちなみに、おれは提督コス、ザフィーラさんは犬フォルムで提督の帽子をかぶせておきました。

 

 

 

 

 

 

「なあハムテル君」

 

 コスプレ大会の夜、テレビを見ていたおれにはやてが話しかけてくる。

 

「私たちは家族なんやから今日みたいなことはもっと気軽にお願いしてもええんやで? あれ、言うのが恥ずかしかったんやろ? まるで告白する少年みたいやったがな。」

 

 はやてはからから笑いながら言う。

 

「あ、でもお願い言うてもイケナイことは、あかんで?」

 

 そうやって言ってきたはやてを見ると、とても心が温かくなるような気がした。家族か……おれはまだ心のどこかで彼女たちを他人とは言わないが人間関係の一番近しいポジションにいると捉えていなかったのかもしれない。今はこんな姿だが、おれだって恋をしたことがある。その人と一緒にいれたらどれだけ素晴らしいだろうと考えたことがある。でも、今感じるこの心の温かさはそんなものではなく以前、家族と一緒にいた時に感じていてその時は気が付かなかったものだと思う。今にしてようやく気が付いた。

 

 こんなくだらないコスプレ大会だったけど、おれにとっては大切なことに気が付く大切な時間だった。

 

 

 


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