それが日常   作:はなみつき

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##この話は修正されました##


紅白と闇炎の使い手と24話

 

 

 

 

 

 

「今日はこの辺でいいか?」

 

 あの話し合いの後、あたしたちはバラバラになり魔力を蒐集することにした。そして、あたしは一面森が広がる管理外世界に来ている。今回はマサキのやつがいねーから魔力蒐集の方法が多少荒っぽくなっちったが、何としてもでも闇の書は完成させる!

 

「でも、アイツがいたら生き物を傷つけることなく魔力を蒐集して穏便に済ませちまうんだろう……」

 

  思い出すのはシグナムに付いていった八神家の居候のあのやろう。シグナムはマサキの護衛も兼ねているが、今までのことを考えると必要はないだろう。何もやることが無くてしょぼーんとしてるシグナムの顔を想像するととても面白い。見たかったものだ。

 

「じゃ、そろそろ帰るとすっかな」

 

  すぐ近くに魔力を持った生物も見当たらないし、あまり長居すると管理局の奴等が来ちまうしな。

 

「ヴィータちゃん!!」

 

 この……声……は……

 

「高町なんとか!」

「な、なんとかじゃないよ! 高町なのは! な・の・は!

「てめえ! 何であたしの名前を知っていやがる!」

「ヴィータちゃんの名前は公輝君がそう呼んでたからね」

 

 なっ! あいつのことばれちまってるのか。マサキと高町なんとかはお互いの顔と名前を知ってるとは聞いてたからこれは仕方ねーか。しかし、名前はわかってても家には来てないってことは、まだ少し安心してもいいのか?

 

「お互いに名前は知ってても自己紹介は必要だよね? 私はなのは、高町なのは。管理局のお友達の手伝いをしてるの」

「……アタシはヴィータ。闇の書の守護騎士だ」

 

 つい流れで自己紹介しちまったが今アタシの頭の中を埋め尽くしていることはどうやって奴から逃げ切るかだ。頭をよぎるのは身を切るような風が吹き出した12月1日の出来事。逃げても逃げても見つけだし、どこまでもどこまでも追いかけてきた奴。人の多い所にいても確実に見つけ出し、かなり本気で隠れても探し出した奴。そう! 高町なのは。あの後マサキが言っていた、

 

「ヴィータ、世の中には魔王からは逃げられないという言葉がある。なら、逆に考えると逃げることができない人物=魔王だな」

 

 と、言う言葉が頭にこびりついて離れない。

 ど、どうする……落ち着けアタシ。マサキによると高町なのはは体力が無いらしい。だから、前回はなんとか捲くことができたからな。しかし、今対峙している高町なのはの魔力量はものすごい量だ。魔法込で鬼ごっこをしたら逃げ切れる気がしない。この魔力を闇の書に蒐集させたらそうとうページを稼げるだろう。まあ、管理局と遭遇した時はできるだけ戦闘は避け、逃げるっていうのは話し合いの時に決めたことだから高町なのはと戦うことはしない。

 

「ヴィータちゃん。やっぱり、お話聞かせてもらうわけにはいかない?」

 

 なにより、アタシは高町なのはと戦うのは色々な意味で避けたい!

 

「もしかしたらだけど、手伝えることかあるかもしれないよ?」

 

 じゃあどうやってこの場から離脱するか? 奴に隙ができた瞬間を見極め、一瞬で転移の式を立ち上げ、即離脱! これだ! これで完璧だ!

 

「ヴィータちゃん? ねえ、聞いてる?」

 

 とはいってもやはり、式の起動にはある程度時間がかかる。仕方ない、ちょっとおどかしてやっか。

 

「ヴィータちゃーん? おーい?」

「吼えろ! グラーフアイゼン!」

「アイゼンゲホイル !」

「え!? ちょっ」

 

 赤い魔力球をグラーフアイゼンで叩きつけ、轟音を伴う光を発生させる。今だ! 素早く距離を取り、式起動! はやくはやくはやく! ……って、ん? あいつ、砲撃態勢を取りやがった!

 

「なんだと……撃つのか!? あんな遠くから!」

 

 高町なのはのデバイスにピンク色の魔力が集まっていく。や、やばいいいぃぃ! あと、2秒! 2秒だけえええ!

 

「ディバインバスターエクステンション」

「ディバイーン、バ……ッ!?」

 

 ん!? 奴への魔力の集中が止まった? なんだかわからんが今しかない!

 

「次元転送ううううぅぅぅ!!!」

 

 こうして、この管理外世界からヴィータは脱出した。

 

 

 

 

 

 

「う、あっ……何、が……?」

 

 ヴィータちゃんの逃走を妨害するためにディバインバスターを撃とうとした所に、突然胸のあたりに痛みが走った。視線を下に向けるとそこには……腕? 私の体から腕が生えているの?

 

「あ……、きゃああああああああああああああ」

 

 今度は、さっきの比じゃないほどの痛みが走る。途切れそうな意識の中でぼんやりと輝いているのはなんだろう? でもわかる、これは私のリンカーコア。そして、意識が途切れる前の最後の瞬間に聞こえたものは

 

「さあ、奪え………あれ? いない……」

 

 そんな、男性のような声だった……の……。

 

 

 

 

 

 ヤツメムカデくんと友情を育むこと数十分、最初に出てきた奴を撫でまわしていたら他にも出てきて撫でまわし(調教)→蒐集→撫でまわし(回復)のコンボでなかなかの量の魔力の蒐集をすることができた。

 

「よしよし、お前らよく見たら愛嬌ある顔してるな! うーん連れて帰りたいけど、ちょっとでかすぎるよなぁ……はやても許さないだろうし」

「坂上……そいつらを連れて帰ってどうするつもりだ」

「かわいいじゃないか」

「ああ、そう……」

 

 シグナムさんのジト目がおれに突き刺さる! な、なんでそんな目でおれを見るんだ!? かわいいじゃないか! ヤ(ツメムカ)デちゃん!べ、別に仕込んでシグナムさんをぐるぐる巻きにしようとかは考えてないぞ!

 

「と、まあそんなことはどうでもいい。どうします? そろそろ帰ります?」

「そうだな。今日のところはこれくらいでいいんじゃないか? 長居すると面倒なことになるしな。……おまえはいつまでそうしているつもりだ」

 

 ふむ、シグナムさんもああ言っていることだし、そろそろ帰る支度をしますか。ちなみに、今のおれの状態はヤデちゃんの触手に巻き巻きされている状態である(もちろん壊れ者を扱うようにやんわりと)。見方によっては襲われているように見えるかもしれない。

 

「じゃあヤデちゃんよ、そろそろ帰るから、おろ……」

「だ、大丈夫ですか!! そこの人!!」

 

 ん? 今の声は誰の声だ?シグナムさんではないな。ということは……

 

「ハーケーン、セイバー!」

 

 黒い魔導師のデバイスから黄色の魔力の刃が飛んで来てヤギちゃんの触手を切り落とす。

 

「あー! ヤデー!」

 

 ヤデちゃんを撫でて切られた触手を回復させる。

 

「こら! そこの君! なんてことするんだ!」

「え? え? ……え?」

 

 おれは今空からやって来た魔導師を指差して言う。人を指差すのはいけないことだが。

 

「ヤデちゃんはおれの友達だぞ! ほら! ちゃんと謝って!」

「ご、ごめんなさい……?」

 

 ヤデちゃんを見ると体全体を縦に振り肯定しているようだ。

 

「許すってさ! よかったな」

「え、はい、ありがとう?」

 

 うむ、和解は済んだようだな。

 

「ほら、ヤデちゃん、もう家に帰りなさい」

 

 ヤデちゃんは体を一振りして地中に潜って行った。さて、

 

(シグナムさん、逃げますよ。時間は稼ぐんで、転移の準備をしておいて下さい)

(わかった)

 

「…………はっ! 私は時空管理局の嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサ。あなた達は闇の書の関係者ですね」

「名乗られたら名乗るのが礼儀。私は闇の書の守護騎士、烈火の将シグナム」

「……」

 

 ここはどう返すのが正解か。

 

「あなたが麦わらの主さんですね? 名前は坂上公輝」

 

 ん? ん? ん? ん? 今なんて言った? 麦わらの何? 闇の書の主と勘違いされてるのは知ってるし、そういう風にしたのはおれだけどさ。

 

(ククッ……麦わらの主だそうだ。なんだか海賊王を目指しそうな呼ばれ方をしているな……ぷっ)

(言わないでくださいよ……)

 

 何だよその恥ずかしい呼ばれ方。そりゃ暑さ対策に麦わら帽子はかぶってきてたけどさ、もうちょっとなにかいい呼び方はなかったのかね?

まあそんなことはどうでもいい。さっきの会話で彼女、フェイトさんとやらは結構のりがいい性格ようだ。なら、やりようはあるぞ!

 

「あの、坂上さん?」

「くっくっく……フェイト・テスタロッサさん……違うな、間違っているぞ! 私は麦わらの主さんではない!」

「え!? じゃあ、あなたは?」

 

(シグナムさん、準備の方は?)

(テスタロッサに悟られないようにするためにもう少し時間がいる)

 

 よーし、高校時代に鍛え上げた即興演劇術!

 

「そう! 我が名は闇炎の使い手(ダーク・フレイム・マスター)! 血の盟約に従い、我、闇の書守護騎士達に協力している」

「だ、だーくふれーむますたー?」

 

(ブハッ! おまえは本当にバカだな)

(ちょっ、シグナムさんは聞かなくていいから!)

 

「我達は君達と争うつもりはないのだが、君達は我等を逃がすつもりはないようだな」

「そうです。あなた方が所持している闇の書は 第1級捜索指定ロストロギア。この世界のためにも、そして、あなた達のためにも、すぐ回収しなければいけないものなのです」

「ふっ……そうか、なら仕方がない!」

 

 おれは右手を胸の辺りまで上げる。

 そうすると、フェイトさんは身構え、戦闘態勢をとる。

 

「集え、集え、集え……わが身に宿りし、地獄の業火よ……」

 

 おれの紺色の魔力が薄く右手を覆う。魔力量的にはほぼ無いと言っていいくらいだ。おれの手がぼんやりと輝く。

 

「闇炎真拳超奥義!」

 

 拳を握りしめ、固めた拳を開きながらフェイトさんの方に掌を勢いよく向ける!

 

闇の炎に抱かれて消えろ(あ! あんなところにUFOがっ)!」

「っ!」

 

 

(シグナムさん!)

(よし、転移!!)

 

 そこに、いるのは大技が来ると思い大きく横に跳ぶフェイトさん。だが、残念! 特に意味もなく集めた魔力に意味はありません!

 

「? 何も来ない? ……あ、しまった!」

 

 上手く起動から実行までの時間は稼げたようで、俺たちはこの管理外世界から脱出した。

 転移の直前にフェイトさんの後ろから「何も出ないのかよ!」って聞こえたのはきっと気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

「おい、ダーク・フレイム・マスター。聞いているのか? ダーク・フレイム・マスター?」

「あの……おれ、何か気に障ることしましたか……」

「? そんなことはないぞ、ダーク・フレイム・マスター。お前はよくやってくれていると思うぞダーク・フレイム・マスター」

 

 もうやめてー!

 

 その後しばらくシグナムさんに弄られ、ヴィータもその事を知っておれを弄りに来たのは言うまでもないだろう。

 

 

 




う~ちゅらい

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