それが日常   作:はなみつき

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う~ん…

##この話は修正されました##


見舞いとサプライズと26話

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マサキは帰っちまったな」

「なんや? ヴィータはハムテル君が帰ってもうて寂しいんか?」

「ち、違うよはやて! そんなわけねーじゃん!」

 

 まったく、はやてはなんてこと言うんだ。でも、あいつにはみんなのケーキを焼くという大切な役目があるからな。

 

「うんうん、そうやね。寂しくないね」

 

 な、なんだ……はやての私を見る目がなんとなく生温かい気がするのは気のせいだろうか?

 そんなこんなしていると、病室にドアをたたく音が響く。先生だろうか?

 

「失礼しまーす」

 

 ドアの向こう側から聞こえてきたのは女の子の声。声の感じからしたらはやてと同じくらいの子だろう。

 

「あれ? すずかちゃんや」

 

 どうやらドアの向こうの人はスズカらしい。少し前にはやてはそのスズカってやつの家に泊まったことがあったな。おそらくその人だろう。ドアが開き入ってくる。しかし、入って来た人は一人だけでなく、……ん!?

 

「あ、今日はみんなで来てくれたん? 大したことないから別にええのに」

「あ、みなさんこんにちは。そんなことないよ! 検査とはいえ入院は大変だからね」

「はじめまして」

 

 紫の髪の少女の後に金髪の少女が続いて話す。紫の髪の少女がスズカ、金髪の少女がアリサ。以前はやてに写真を見してもらったことを覚えている。だが、問題は……

 シグナム、シャマル、ザフィーラ、そして私はつい息を呑んでしまう。なぜならそこにいたのは私達の中で話題になっている魔王、高町なのはと、マサキこと闇炎の使い手(笑)にだまされたかわいそうな子、フェイト・テスタロッサがいたのだ。

 向こうの二人も予想外だったようでどうすればいいのか迷っているようだ。

 

「あの……今忙しかったですか?」

「そんなことないで! 来てくれてうれしいわ~」

 

 私達の微妙な雰囲気を感じ取ったのかスズカが尋ねる。

 

「はやてちゃんに!」

「サプライズプレゼントでーす!」

 

 スズカとアリサがかぶせていたコートをとるときれいに包装された箱が出てくる。

 

「今日はイブだから、はやてちゃんにクリスマスプレゼント!」

「わー! 二人ともありがとな!」

 

 はやては二人からのプレゼントを受け取る。……そういえば、奴らが来たのはマサキがここを出た直後だったな。あの後普通に帰ったならこいつらと鉢合わせしていたはずだ。マサキは! マサキはどうなった!? まさか人目があるから気付かれないように魔王が一瞬でどこかへやった、なんてことはないよな!?

 

「ん? なのはちゃんとフェイトちゃん? どないしたん?」

「あ、いや、なんでも……」

「ちょっと御挨拶を……ですよね?」

「はい」

 

 フェイトがシグナム達の方に聞く。奴らとのことははやてにばれてはいけないことなので、ここは話を合わせているようだ。

 

「みんな、コートを預かるわ」

「はーい!」

 

 シャマルの発言に訪問者達は肯定の意を示す。

 

 

 

 

 

 

「よし! これから作るものの準備はすべて整った! いざ、参る!」

 

 そんなことを誰もいない家で御近所の迷惑にならないくらいの声で叫んでいるおれは大丈夫だろうか? 大丈夫じゃない気がする。そういえば、なんだかんだでこの生活になってから一人という状況はとても珍しい気がする。常に周りにははやてやヴォルケンズがいたからな。まあそんなことはどうでもいい。

 これから明日のクリスマスパーティーのために、ケーキのスポンジ部分を作ってしまうのだ。クリームは明日作った方が新しくておいしいだろう。スポンジも明日焼いた方がいいのかもしれないが、スポンジを焼くのは結構時間がかかるから仕方ないだろう。明日のパーティーをスムーズに行うためだ。

 

「えーと……卵、砂糖をボウルに入れてリボン状になるまでかき混ぜる……リボン状ってなんだ? 教えてググルせんせーい!」

 

 本格的なケーキづくりというのは初めてだが、レシピがあればなんとかなると思っていたがいきなり躓いてしまった。まあ、おれにはググル先生という偉大で超頼れる仲間がいるから何の問題もないね。

 

「次に……サラダ油、牛乳、ふるった粉とココアを一気に入れ、サックリと混ぜ合わせる……サックリ混ぜるってなんとなくわかるけど考えれば考えるほどわからなくなるな」

 

 こういうノウハウ的なものをしっかり体にしみこませてこそおいしいものが作れるようになるということを考えると、なんと料理の奥の深いことか。

 

「そして、型に流し、180度に予熱したオーブンで湯せん焼きにして35~40分って、あー! 予熱するの忘れてた!」

 

 う~ん、普段のおれならこんなミスはしないのにな? な~んか調子が悪い。

 

「はあ……これ焼いて、ヴォルケンズとおれの夜ごはん作るか……」

 

 ちょっち寂しい……

 

 

 

 

 

 

 時間は過ぎ、あたりはすっかり暗くなった。シグナムとシャマルは訪問者達を見送るために下に降りている。

 

「ヴィータ、なんや今日ちょっと調子悪かったんか?」

「え? なんでだ? 別にそんなつもりはなかったけど」

「なのはちゃんと話とる時、なんとなく緊張? しとるみたいな感じやったやん」

「いやいや! 大丈夫だって! 私は元気だぞ!」

「そうか? ならええんやけど」

 

 うん、ほんと、私の体の調子は絶好調だぞ。ただ、あの日のことが私の思っている以上に頭というか、心というか……魂に刻み込まれていて、つい身構えてしまっていたようだ。

 そういえばマサキは大丈夫だったのだろうか?奴のことを聞きそびれてしまった。

 

「今日は雪になりそうやな……」

 

 

 

 

 

 

 

「おっそーい! あいつら何やってんだよ!」

 

 ケーキのスポンジは上手いこと焼きあがり、今日の八神家の夜ごはんも出来上がっている。あとはこれを食べる人物がそろえば完璧なのだが、ヴォルケンズが帰ってこない。

 

「何かあったのか? 一体どこで油うってるんだか」

 

 あーだんだん眠くなってきたな~

 

 そんなことを考えながら普段はみんなで使うテーブルに突っ伏す。一人で使うと中々大きく感じるものである。

 と、しばらくして気が付いた。いつの間にか21時じゃないか。子どもボディでこの時間に起きてるのはつらいよな~。あ~、そう思うと眠くなってきた~

 

「ぐー……」

 

 

 




眠いということは当たり前のことだから意識しなかったら公輝くんは眠くなります。
逆に眠くない状態を意識していたら公輝くんは寝なくてもいけます。

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