それが日常   作:はなみつき

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A's編しゅーりょー

##この話は修正されました##


空白期1
クリスマスと29話と日常


 

 

 

 ユニゾンのときに生じた光が収まる。これは何とも言えない不思議な感覚だ。心臓、いや、リンカーコアのあたりが暖かく感じる。

 

「……マサキか?」

 

 ヴィータが尋ねてくる。何でそんなこと聞くんだ? ああ、失敗してたらリインさんがおれを乗っ取ってリインさんの意識が表に出てくるんだったな。ユニゾンする時に不思議と失敗する気がしなかったから、少し考えてしまった。

 

「大丈夫だ、問題ない」

「はぁ……よかった、ちゃんとマサキだな」

 

 うーむ、反応されないネタほど悲しいものはないな。まあ、そんなときでもないか。

 

「ちゃんとおれだぞ」

 

 今度はまじめに返す。

 

「ああ、そのようだな。だが、見た目の変化がほとんどないな。目が赤くなったくらいか?」

 

 え? ユニゾンって見た目が変わるのか?

 

(ユニゾンによって魔導師の姿がユニゾンデバイスの容姿に近づくんだ。その時、ユニゾンデバイスの容姿に近ければ近いほどその魔導師のユニゾンデバイスに対する適性が低いことを表す)

 

 今度はリインさんによる念話が聞こえてきた。ふむ、おれの見た目がほとんど変わっていないということは、おれの適性は本当はめちゃくちゃ高いってことか!

 

(どうやら君のレアスキルは私の想像を超えていたようだ。そのレアスキルによって君は自分を保ち続けている。その目は自分がユニゾンをしているということを認識するための、必要最低限に必要なことなんだろう)

 

 ですよねー。ってか、もうおれの能力がどんなものなのか分からなくなってきたな。もうこれわかんねーな、と言わざるを得ない。

 

「そういえば、おれはどれだけの間この状態でいればいいんだ?」

(うむ、夜天の書の書き換えは順調に進んでいる。防御プログラムが妨害してきているが、そこは私が押さえているから問題ない。だが、そのせいで時間がかかるようだ。5年、いや、7,8年は必要か)

 

 わお、結構かかるんだな。長い付き合いになりそうだ。

 

「そうか、ならこれからよろしくなリインさん」

(こちらばかり世話になって申し訳ない。こちらこそよろしく頼む)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんなら! クリスマスパーティー始めよか!」

「おー!」

「わー」パチパチ

 

 はやての音頭により始まったクリスマスパーティー。なんて言ったって今日は12月25日、キリストの誕生日という建前で騒ぎ、飲み、食いする時である。

 

「まったく、私にだまってあんなことしとったなんてな。次、私に黙ってみんなだけで悩んだりしたらあかんで!」

「あ、ああ、わかってるって……」

「ごめんな、はやて……」

 

 はやての言葉におれとヴォルケンズはしょんぼりとうなだれる。

 あの後、管理局の人が来て今後についてのお話があった。そういえば、あの少年は前会ったな。確かクロノくんだったか。クロノくんによると、第一級捜索指定ロストロギアである闇の書は消失し、この事件の過程で発見された夜天の書は過去の古代ベルカの貴重な文献であり、それの正当な所持者は八神はやてであると認め、保護するらしい。もちろん丁重に。

 しかし、闇の書とヴォルケンリッターとの関係は否定することはできないため、裁判でヴォルケンリッターの扱いを決めるらしい。ここで管理局独特の制度、「あー誰でもいいから管理局の仕事手伝ってくれないかなー(チラッ。例え罪人でも手伝ってくれたら、刑を軽くしてもいいかなー(チラッ」が発動すれば、ヴォルケンリッターは保護観察の後、管理局で働くことで刑が軽くなるそうだ。

 

「まあええわ、今日は楽しむでー!」

「そうだそうだー」

 

 今日はいろいろあったから一度家に帰って落ち着いてからまたしっかり話そうとなった。

 

「私達もいいのかな?」

「にゃはは……」

「全然かまへんでー。こういうことは大勢でやらな!」

 

 だが、この事件の渦中の人間をそのままで帰すわけにはいかないので、見張りという名目でフェイトさんとなのはさんが来ている。実際は二人は八神家のクリスマスパーティーに誘われたようなものだ。

 

 そういえば、管理局との話の少し後はやてが目を覚ましたのだ。そして、これまでにあったことと今起こったことを話すとこってり怒られた。

 

 曰く、危ないことはしたらあかん。

 

 曰く、困った時は(はやても含めて)みんなで考えろ。

 

 曰く、警察を見て逃げるのはやめましょう。

 

 だそうだ。……今思ったんだが、最初はやてに内緒で魔力の蒐集を始めたのは、魔力の蒐集で荒事になり、蒐集する相手を傷つける行為であるからだ。そして、その行為によってはやての足を治すことははやてを傷つけることになるだろうという判断からだ。だが、結局はおれの能力によって生き物との同意の上での蒐集となり、アフターサービスも忘れない対応になった。こんなことになるならはやてにも話してもよかったんじゃないだろうか? と、思ってしまった。まあ、今更のことである。

 

 その後、リインさんは長くは居れない状態だったこと。おれとユニゾンして何とかなったこと。そのユニゾンには万が一とはいえ危険性があったこと、などを話したら、これまた叱られた。

 

「しかし、ハムテル君の目真っ赤やな。これからは赤目のハムテルって名乗ればええと思うよ」

「何? おれはこれからテニスでもすればいいのか? それともゲームであってゲームでない世界で殺し屋でもするのか?」

 

 やめてくれーこれ以上おれに中二ネームを増やさないでくれー。

 

「赤目のハムテル、良い二つ名じゃないか。なあ! 麦わらの主(笑)」

「うむ、私もそう思うぞ闇炎の使い手(ダーク・フレイム・マスター)(笑)よ」

 

 おいぃ! まだ弄るの!? 勘弁して! 

 まったく、シグナムさんとヴィータはいつまでこのネタで弄ってくるんだ。ていうか、烈火の将だとか鉄槌の騎士だとか二つ名持ってる二人には言われたくねー! まあ、そのことを指摘しても「私はこの二つ名に誇りを持っている。恥じることなど何もない(キリッ」とか言って、恥ずかしがる様子もないから弄れないんだよな。なら、おれが反応しなければいいんだが、過去の古傷を抉られるような感じでどうしても反応してしまうのだ。もうこれは諦めるしかない。

 

「まあ、そんなことは置いといて」

 

 はやてが振った話題なのに!?

 

「ハムテル君が焼いてくれたケーキと入れてくれたミルクティーをいただこか!」

 

 なにはともあれ、これでおれ達の目的であるはやての足の治療は何事もなく進むだろう。

 

「メリークリスマース!」

「メリークリスマス!」

 

 はやてがメリークリスマスと言い、ヴォルケンズ、フェイトさん、なのはさん、おれもメリークリスマスと言う。

 

 今日という日はおれが転生し、闇の書の封印が解け、魔力を蒐集するという非日常の日々が終わり、やっとやって来た素晴らしき日常への最初の1日となる。

 

 自分で言うのもなんだが、ケーキの出来はなかなかだと思っている。そして、自慢のミルクティーと合わせて食べたらそれはそれは素晴らしい味だろう。この日にとって不足はない。

 

 

やっぱり日常っていいよな。

 

 

 

(わ、私も食べたい……)

 

味覚の共有ってどうやるんです、リインさん?

 

 

 

 

 




これから空白期を適当にやってSts編に行きます。

色々と描写できてない部分があり過ぎて突っ込みどころあり過ぎでしたが、許してちょんまげ

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