それが日常   作:はなみつき

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なんだか最近想定以上の方に見てもらってすごい驚いてます。
そのため、序盤の文頭一文字とか三点リーダー偶数の法則の修正しました。(多少見やすくなったかと)

##この話は修正されました##


編入と条件反射と32話

 

 

 

 季節は巡り、桜の季節がやって来ました。

 そんな言葉が頭のなかに浮かぶようになってきた今日この頃。はやての足の回復も弱った筋肉をもとに戻すだけとなり学校に復帰することになった。おれの能力を使えばあっという間に治るのだが、はやては自分の力で治したいそうだ。そのため、おれははやてにしばらくの間お触り禁止である。

 ……別に普段からぺったぺた触っているわけではないということは言わせてもらう。

 

「ちょっち緊張するなー。ゲームが出る度に転校させられるヒロインさんはご苦労なこっちゃ」

「そうだな。ていうか、はやてはヒロインだったのか。そいつは知らなかった」

 

 そうそう、はやてが復学するに辺り、おれも転校することになった。その学校は私立聖祥大附属小学校といい、クリスマスイブにお見舞いに来てくれた子達が通っているそうだ。まだはやてが一人で学校に通うのは少々辛いので付き添い、手伝いとしておれもついていくことになったのだ。私立ということでお金の方が少し気になったのだが、特待生になればなんの問題もないことに気付き、遠慮なく通うことにした。これでも、現役浪人生(前世)で、難関校と言われる大学に合格することができたおれにとって難しい事ではなかった。高校で特待生になれ、と言われたらどうなっていたかわからないが。

 

「そうやで、魅惑の転校生兼幼馴染み枠のはやてちゃんやで。後のヒロインは行き付けのお店の看板娘のなのはちゃん。なのはちゃんの魔法少女仲間のフェイトちゃん。私の読書仲間のすずかちゃん。そして、ツンデレクラスメイトのムードメーカー、アリサちゃんや。あ、もちろん主人公はハムテル君やで」

「主人公とヒロインが一緒に転校って新しいな」

 

 一体何時からこの世界はギャルゲーになってしまったんだ。しかし、こうやって言われると本当にギャルゲーの主人公のようだから困る。

 

「それにしても長く、苦しい戦いやった……」

 

 はやてがうんうん、と頷きながら言う。

 

「戦いって試験勉強か? そんな風には見えなかったけどな」

 

 私立聖祥大附属小学校には編入試験がある。この学校はこの辺りではとても有名な進学校らしく、試験もその辺の私立小学校のように知能テストのようなものではなく、中学校の範囲に片足を突っ込んだ様なものであった。はやては休学中に出来る限りの勉強をしていたとは言え、それは一般的な小学3年生のもの。この状態で編入試験を受けると言うのは中々厳しい。そこで、おれが教師代わりとなって勉強を教えたのだ。

 

「一度教えるとすぐに出来るようになっていったから余裕だと思ってたが、違うんだな」

 

 できすぎて教えがいがなかったというか、なんというか。同じ範囲を勉強をしていた当時のおれ少年がはやてをみたら嫉妬していたことは確実だろう。

 

「勉強したくないでござる! できるだけしたくないでござる!」

「さいですか」

 

 だめだこいつ、早くなんとかしないと。

 

「二人とも、入ってください」

「「はーい」」

 

 そう言えばここが何処だか言っていなかったな。転入初日、転校生はいつの間にか用意されていた机と椅子にいつの間にか座っているわけではない。朝のHRにでも紹介をするものである。その時転校生は先生の合図でドアから教室に入る。つまり、さっきまでいたのは学校の廊下。

 転校初日から緊張感ゼロである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけで今日からみんなの新しい友達になります。仲良くしましょう」

 

 転校生であるおれたちの簡単な自己紹介が終わったところだ。小学校とはいえ、ボッチは辛いので自己紹介で好印象をもってもらおうと頑張った。あ、そういえば、はやての入学するにあたっての配慮としておれとはやては同じクラスにしてもらっている。

 とりあえず落ち着いたので改めて教室を見回してみる。

 

 ダッ

 

「何してるんや? ハムテル君?」

「いや、何でもない気にするな。ただの癖だ」

「どんな癖やねん」

 

 教室を見回したらなのはさんとフェイトさんが目に入ったために、つい彼女達から逆方向に走り出そうとしてしまった。

 教室になんとも言えない雰囲気が漂う。これで変人認定は確定的に明らかだろう。

 

(なんだ、その……なんかすまないな)

(別にいいって、リインさん)

 

 ええ、ほんと。別に闇の書の魔力蒐集の時の、『管理局関係者をみたらとにかく逃げる』癖が抜けてないだけですから。特に、誰かさんのせいで走るのが一番有効だと思っただけですよ。夜天の書、ひいてはリインさんのせいなんかじゃありませんから。うん。

 

「ん? 大丈夫? それじゃ、二人はそことそこの机使ってください。はい! これで朝のHRは終わります」

 

 先生が二つの机を指差し、挨拶をして教室を出ていった。そこまではやての車イスを押し、机の上に荷物を置くと……

 

「二人は兄弟なの? 兄弟だったらなんで名字が違うの?」

「兄弟じゃなかったらなんで一緒の家に住んでるの?」

「好きな事とか物は?」

 

 などなど、一瞬で生徒達に取り囲まれて質問攻めにあってしまった。はやても苦笑いである。そして、最初の二人よ、そう言うことは深い事情が有るときがあるから仲良くなってから聞くのが、世の中を上手く渡るコツだぞ? まあ、このくらいの子供達なら仕方ないが。

 

「はいはい! みんな質問は順番よ!」

 

 そんなおれ等に見かねたのか、金髪の少女が間に入る。容姿などから、彼女がアリサ・バニングスだろう。それにしても凄い統率力だ。王者の風格を感じる……ッ!?

 まあ、そんなことはどうでもいい。その後は落ち着いた質疑応答が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生徒達の質問に答えるので休み時間が終わってしまった。今日は始業式の次の日ということで短縮日程のため、もう学校は終わりである。

 

「はやてちゃん!」

「はやて!」

 

 ガタッ

 

「座れや、ハムテル君」

 

 おっと。

 

「やっと落ち着いて話せるわね」

「こんにちは、はやてちゃん」

 

 最初に話しかけてきたのがなのはさんとフェイトさん。次に話しかけてきたのがすすかさんとアリサさんだ。

 

「あんたと私は初対面よね? 私はアリサ・バニングス、アリサでいいわ。よろしく」

「私は月村すずか、すずかでいいですよ。はやてちゃんから話は聞いてます。よろしく公輝君」

「改めてどうも、坂上公輝です。よろしく」

 

 おれとアリサさんとすずかさんの自己紹介もつつがなく終わる。

 

「ねえ公輝君? さっきと今、私とフェイトちゃんを見た時どうしたの?」

「何でもないって」

 

 はっはっはー、なのはさん冗談きついっすわー

 

「ちゃんと紹介するのは初めてだね。わたしはフェイト・テスタロッサ。よろしくね」

「知ってると思うけどおれは坂上公輝。よろしく」

 

 フェイトさんとの自己紹介も終える。

 

「乗るしかない、この流れに! 私は八神はやて。みんな、よろしゅうな!」

 

 流れに乗ってはやても自己紹介。然り気無く持ちネタを突っ込んでくるはやてさん流石っす。

 

「「「「よろしく!」」」」

 

 

 

 おれ以外の四人の少女達がそれに応え、表(日常的な意味で)、裏(魔法的な意味で)での長い付き合いがここから始まる。

 

まあ、楽しい学生生活が送れそうでなにより。

 

 

 

 




編入後試験の設定は独自

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