それが日常   作:はなみつき

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水着回(水着要素薄)

##この話は修正されました##


海とバレーと35話

 

 

 

 夏だ! 海だ! ということでやってまいりました海。そこに広がるのは、人はおれ達しかいない白い砂浜。遥か彼方の水平線までくっきりきれいに見える広大な海。

 

(綺麗な海ですね)

 

 今まで生きてきてこんなに素晴らしい海に来たことはない! リインさんも感嘆しているようだ。

 

「おー! 今日は遊ぶでー!」

「よっしゃー! 泳ぐぞー!」

(主、お気をつけて下さい)

 

 はやてとおれが決意を新たに叫ぶ。こんなに叫んでも迷惑にならない海と言うのは本当にすごいと思う。これも全て、すずかさんのおかげである。すずかさんとアリサさんは海鳴ではとても有名なお金持ちのお嬢さんで、所謂プライベートビーチというものを所有しているそうだ。そして、今現在おれ達がいる場所はすずかさんの家、月村家が所有しているビーチである。

 いやー、やはり持つべきものは友達だな~……いや! 別にそういうやましい気持ちがあって友達付き合いをしてるわけじゃないぞ! ただ偶然友達がお金持ちだと、色々と良いことがあるのは必然であり、嬉しい誤算というか、ラッキーっていうことかな?

 

「主はやて、足の方はもう大丈夫ですか?」

「うん、絶好調やで。まあ、念のため遠くの方まで泳いだりはせんつもりや」

 

 着替え終わってやって来たのはシグナムさん。赤いビキニを身に付けたシグナムさんはとても目の保養になって言うことなしですね。

 ああ、そうそう、去年のクリスマスから約8カ月が過ぎ、はやては自分の力だけで歩くことが可能なくらいに衰えていた足は回復した。日常生活において車イスとの嬉しくも、なんとなく寂しい別れを経て今と言う時間を過ごしている。だが、過保護な守護騎士達ははやてのことがまだまだ心配なようだ。あ、そういえば忘れていた。

 

「はやてさん、特別捜査官の正式採用おめでとうございます」

「今言うんかい! どんなタイミングやねん」

 

 はやては特別捜査官候補生としての研修期間を終え、この間から特別捜査官に正式採用されたのだ。まだお祝いのケーキと紅茶とかによるパーティーをやっていないので家に帰ってから準備するとしよう。

 

「おーい!」

 

 シグナムさんにすこしだけ遅れて来たのはなのはさん、フェイトさん、ヴィータ、すずかさん、アリサさんのちびっこ組。その後ろを歩いているのはなのはさんの両親の士郎さん、桃子さん。なのはさんのお兄さんの恭也さん、お姉さんの美由紀さん。フェイトさんの保護者からお母さんにジョブチェンジしたリンディさん。すずかさんのお姉さんにして、恭也さんの彼女である忍さん。そして、パレオを付けた黄緑色のビキニを着た我らがシャマルさんだ。うんうん、こちらも眼福眼福。あ、ザフィーラさんは最初からここにおれ等と一緒にいる。

 

「よし、ヴィータ! 向こうのブイまで泳いで、折り返して浜まで競争だ! 先に着いた方がジュースおごりな!」

「はん! いいぞ! その言葉忘れんな!」

 

 そして、唐突に始まるおれとヴィータの水泳大会。やはり海に来たらこれは欠かすことはできない。

 

「おらぁ! 行くぞ! ヨイドン!」

「あっ! テメェ! 汚ねぇぞ!」

 

 はっはっは、勝負に慈悲はない!

 

「え、ハムテル君泳げるんか?」

 

 海に入るために走り出した時に聞こえたのは、そんなはやての声だった。当然じゃないか、勝てない勝負はしない!

 

 

 

 

 

 

 

 

「マサキ、特別にジュースは買うんじゃなくて、家に帰った時においしい紅茶を淹れるので許してやるよ」

「まさかこうなるとは……」

 

 ああ、おれはヴィータとの水泳勝負に負けたさ。だがな、言い訳をさせて欲しいんだ。

 

「にゃー! すごいすごい! お魚がたくさんだー!」 

「何これ? いったい公輝はどんな不思議物質を分泌してるのよ」

 

 浜の近くの浅い所で座り込んでいるおれの周りには、小学生組と一部の大人組みが集まっている。

 

「へー、不思議なこともあるのね」

「公輝君がいれば無人島で食料を簡単に確保することができるな」

 

 おれが海に入水してほんの数秒後に、どこからともなく色々な魚達が集まって来てあっという間に取り囲まれてしまったのだ。海に浮かぶおれをあらゆる方向から魚に包囲されて前が見えなくなり、ブイを目指すもなにもなく、どこぞのGPSが故障してグルグル飛び回った鳥人間のごとく泳いでいた。はやての泳げるのか発言はこの事を言っていたのか……

 

(ふむ、魚に取り囲まれるとは。不思議な体験をしたものだ)

 

 まあ、リインさんが楽しそうで何よりです。

 君達も一度目をつぶって泳いでみるといいよ。まっすぐ泳いでいるつもりでも、まっすぐ泳げないから。その状況でまっすぐ目標に向かって泳げる奴はよく訓練されたスイマーだ。

 

「くそぉ! ならば、ビーチバレーで勝負だ! 負けた方が翠屋のシュークリームをおごる!」

「いいぜ、受けてたってやる」

 

 見せてやる、おれの黄金の左足!

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくぞ!」

「来い!」

 

 すこし歩いたところに設置してあったビーチバレー用のコートを使いおれとヴィータのバレー対決が始まる。

 

「何故私も巻き込まれているんだ」

「まあまあ、ええやんシグナム。こういうのはみんなで楽しまなな」

「頑張りますよ~」

 

 ヴィータ、シグナムチーム対おれ、シャマルさんチームでの対決である。はやては審判兼観客。

 

「まあいい、坂上が負けたら私にも奢ってもらおう」

 

 えっ

 

「じゃあわたしも~」

 

 えっ

 

「ほんなら私も」

 

 えっ

 

「行くぞマサキ! とうっ!」

 

 ヴィータがサーブをして試合が始まる。やるしかないのか!

 

「必・殺! ロブシュート!」

「いきなりかいな」

 

 はやてがなんか言っているようだが、そんなことはどうでもいい。なんかよくわからないが罰ゲームが重くなってしまった今、容赦はしない!

 

「なんだ、ただ打ち上げただけじゃねーか」

 

 そう言いながらヴィータは上段のレシーブの姿勢をとる。だが、それはどうかな?

 

「な、何!?」

 

 落ちてきたボールがヴィータの手に当たった瞬間ボールは本来なら上に飛ぶところだが、左に飛んで行った。そう、おれがボールをけり上げると同時に、強力な横回転かけることによって着地、接触と同時にボールがあらぬ方向へ飛んで行くのだ。

 

「くっ、なかなかやるじゃねぇか」

「ふふふ、勝負はこれからだからな」

 

 

 

 

 

 

「なん……だと……」

「家に帰ってからの楽しみが増えたな」

(残念でしたね、公輝)

 

 ま、負けた……これは言い訳できないくらいに負けてしまった。あの後もおれの左足が輝いたが、その回転を無視するほどの強力なアタックをすることによって完全に攻略されてしまった。そして、途中でおれの左足が輝き過ぎて、蹴り損ねたボールかがシャマルさんの顔面にフレンドリーファイヤ! ボールは柔らかいビニールとはいえ、シャマルさんは目を回してしまい、試合途中からは2対1となってしまった。シャマルさんには地面に頭をこすりつけて謝った。

 

「いやー楽しみがある言うんはええことやな」

 

 ぐぬぬい……

 

 

 その後もみんなで海で遊びまくって、おれが誘蛾灯のごとく集めた魚を焼いて昼飯となってもらった。

 

 

 




次は時間飛びます

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