それが日常   作:はなみつき

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骨董屋と撃墜と47話において、公輝が買ったカッコいい懐中時計の欠点は止まることとしてましたが、少し進むと言うことに変更しました。

これは言っておきたかったのでいっておきます。


##この話は修正されました##


無印
メガネとオカリナと39話


 

 

 

「それは魂を刈り取ると言われる爪切り、魂を刈る死神(たまがり)だ。いるか?」

「なんで爪切りなんだ。そこはもっと、ナイフとかさ。色々あったと思うんだ。しかも、無駄にカッコいい名前だな。いらない」

 

 今日も今日とて依頼があった病人怪我人を治して骨董屋『アルハザード』に来ている。

 

「なんでえ、折角の目玉商品だってのに。まあ、ゆっくりしていけ」

「もちのろんですよっと」

(公輝、また無駄なものを買ったら主に怒られますよ?)

「むう」

 

 ここに通いだして結構な時間が過ぎた。と、言うことはここで買ったものの数も中々多くなってきたということだ。おれにとっては宝の山でもはやてにとってはガラクタの山にしか見えないようで、この間「いい加減要らんものは捨てろイド」と言われたのだ。

 

「いざとなったら貸倉庫を借りるから問題ない!」

(そこまでするのか……)

 

 骨董趣味をわかってくれる人が居なくておれはとても寂しいです。

 

「お、メガネか」

「それは、精霊水晶って奴をレンズに使ったメガネさ。それを掛けることによって幽霊、精霊、妖怪、エクトプラズマ、エトセトラ、エトセトラ、なーんて物が見えるようになるって言われてる」

「ほう」

 

 幽霊か。そいつは面白そうだ。妖怪が出てくるアニメを見ていつも、会ってみたいと思っていたのだ。

 

「まあ、俺がそれを掛けてもそんなもんは見えなかったがね」

「まじかー」

 

 やっぱ幽霊は居ないのかなー。でも、伊達メガネならイメチェンに使えるな。買っておくか。

 

「ヤッサン、これ買い」

「まいどー、そいつは千だな」

 

 よしよし、じゃあ次は……ん? ……えっ

 

「ヤ、ヤッサン……これは?」

「んー? ああ、それは時のオカリナって物だ。ある国で大魔王が神の力を手に入れてしまい、その国は暗黒の時代に陥った……そこに、時を越えてやって来た時の勇者が大魔王を封印して、めでたしめでたし。で、その時の勇者が所持してたのがそのオカリナってことだ」

 

 おれの目の前にあるのは空色をした陶器製のオカリナ。空気を吹き込むところの根本には、正三角形が三つ集まって一つの正三角形を形作った金色の紋様が付いている。

 

「俺もそのオカリナ吹いてみたが別に勇者さんみたいに時は越えなかったがな。綺麗な音はでたがよ」

 

 ヤッサン吹いたのかよ! まあ、洗って、消毒して、洗って消毒すれば問題ないか。

 

「ヤッサン! これも買いだ! いくらだ? いくらでも出す!」

「お、なんだ、まっちゃんにしては珍しく食い付いたな。あ、分かるぜぇ、こいつに一目惚れしたんだな。ビビっ! と来たんだろ? 俺もこういう仕事してっからよくわかるぜ。特別に五千でいいぜ」

(ああ、またそんなものを買って……)

 

 よっしゃー! これでおれも時の勇者だぜー

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、そんなわけないよねー」

 

 海鳴に戻ってすぐ、おれは時の歌の楽譜をググって近くの河原で吹いてみたのだが、時のブロックが出てきたり、三日前に戻ったりすることはなかった。逆さ歌や重ね歌なども試してみたが特に変化はなかった。

 

「ま、いいさ。ちょうど何か楽器をやりたいと思ってたんだ。オカリナを吹けるようになってはやてに自慢でもするかね」

(お、そうだな)

 

 リインさん、一体どこでそんな言葉覚えてきたんです? あ、おれが見てる動画サイトか。

 

「あれ? マサキ?」

「ん?」

 

 声の主は思った通りフェイトさん。

 

「こんにちは、フェイトさん」

「こんにちは、マサキ。アインスもこんにちは」

(ああ、こんなところで会うとは奇遇だな)

 

 海鳴は結構大きな街のため、偶然に出会うというのはそうそうあることではないのだ。

 

「うん、なんだか綺麗な音が聞こえてきたからなんだろうって」

「あー、なるほどねその音はこれだな」

 

 そう言っておれはフェイトさんにオカリナを見せる。

 

「わー、綺麗なオカリナだね」

 

 そうだろう、そうだろう。これはいいものだろう?

 

(かつて勇者が持っていた物だそうだぞ)

「え……ああ、公輝も男の子だし、そういうの好きだよね?」

 

 だー!! リインさん、そういう言い方されると夢見る少年見たいで恥ずかしいだろ! フェイトさんの可愛いものを見るような目が突き刺さる!

 

「マサキメガネ掛けてたっけ?」

「これは伊達さ。似合う?」

「うん! 頭が良さそうに見えるよ」

 

 それは今までは頭悪そうに見えてたってこと? ん? ん? 今のは聞かなかったことにするよ。

 

(っ!? マサキ! オカリナからとてつもない魔力反応が!)

「え?」

「何!?」

 

 すると、突然時のオカリナが輝きだした。おれ達は時のオカリナが発する光に包まれる。

 その時、おれはオカリナにこう言われた気がした。

 

「いつから曲を吹けば効果が発動すると思っていた?」

 

 そうしておれ、リインさん、フェイトさんは新暦69年6月12日午後1時30分5秒の海鳴から喪失した。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

☆ ☆

 

 

 

 

「あ?」

 

 情けない声が出てしまったおれを誰が咎められるだろうか。咎める奴はおれが許さないが。

 

「ここ、どこ?」

 

 どうやらフェイトさんも一緒に来ていたようだ。たがなフェイトさん、その質問の答えはすぐそこにあるぜ?

 

「フェイトさん、あれ見てみ」

「あれは……翠屋! さっきまで河原にいたのに。転移したの?」

 

 あっているけど、たぶんそれだと足りないな。おれの予想が正しければ……

 

「いってきまーす!」

「う、嘘……」

(なん……だと……)

 

 翠屋の近くにあるなのはさんの家から出てきたのは今よりももっと小さいなのはさん。おれの記憶通りなら9歳のなのはさん、いや、なのはちゃんであっているだろう。

 

 どうやらおれはオカリナで曲を吹けることではなく、時の勇者であったことをはやてに自慢するべきなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロストロギア『時のオカリナ』。これに関する伝説は全て創作で、意匠は製作者が未来で手にいれたゲームに出てきたものを参考にしたものである。つまり、製作者の趣味。まあ、そこはどうでも良いだろう。

 

 マジックアイテム『時のオカリナ』は時空跳躍型の願望機。使用者が時を越え、空間を越え、使用者本人が望む結果を自身で作り出す。

 

 変えたい過去があるなら介入し、作りたい未来があるなら未来を参考にし、現在をより良くする。

 

 ただし、使用者にはある条件がある。それは、心の底から運命を変えたいと思うことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




意外!それは無印編の始まり!

そんなに続かない予定です。

追記

違和感があったので修正しました。ストーリーの流れは変わりません。

修正箇所
公輝がオカリナを吹いていた場所をミッドチルダの河原から海鳴の河原に変更しました。

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