それが日常   作:はなみつき

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うおおおおおお!他の場所で連載なさっていた作者の大好きな小説がハーメルンに出てきてテンション上がってキタ━(゚∀゚)━!

追記 
アリシアの容姿の描写を修正しました。

##この話は修正されました##


過去と現在と43話

 

 

 

「つまり時間が止まってるってことか?」

(おそらくは。この時間停止が世界全体に影響を及ぼしているのか、はたまたこの時計を中心とした空間内に存在する人の時間を止めているのか、詳しい効果は分からないがそういうことだろう)

 

 時間が止まっている中、この時計は針を進め続けている。そうか、どうもこの時計は進みやすいと思っていたけど、壊れていたんじゃなくておれが知らず知らずのうちに時間を止めていたんだな。誰も話相手がいなくて暇しているときに無意識のうちに時計のボタンの部分をカチカチしてたから時間が止まっているということに気づかなかったんだ。それにしても危なかった。魔力弾がもう目の前まで迫ってきていたギリギリの所で止めることができたようだ。

 

「……」

 

 カチッ

 

 

 

「まs」

「おに」

「ふん」

 

 カチッ

 

 

 カチッ

 

 

「輝!」

「いさ」

「死n」

 

 カチッ

 

 

(公輝、遊ぶんじゃない)

「いやぁ、これはおもしろいな」

 

 本当に時が止まってるのかな? これで自分の心臓も一緒に止めてしまうなんてことがあれば大変だぞ。

 

 カチッ

 

 

「公輝いいいぃぃぃ!!」

「-ん!!」

「んだわね」

 

 うわぁ。なんか完全におれ死んだことになってませんか? どんな顔して出ればいいんだろう。ヌルっと出て行っていいものなのだろうか。

 

(笑えばいいと思うぞ)

 

 いや、それはおかしいだろ。想像してみろよ、今さっき攻撃を受けたやつが笑いながら平然としていたら、そいつは戦闘凶かただのよく訓練されたMだぞ。とりあえず、この時計を使って予定通りプレシアさんにメガネをかけてしまうとしよう。

 

 カチッ

 

 

 プレシアさんに近づいてメガネをかけようとしてプレシアさんに触れる。

 

「ん? なっ!? あなたっ!」

「えっ」

 

 びっくりしたおれはとっさにプレシアさんから離れる。そうするとプレシアさんはそのままの姿で固まってします。これは……

 

(どうやら時計の所持者に触れている人物は動けるようになるようだな)

「まじかー。じゃあなんとか触れないようにメガネを掛けさせてみよう。」

 

 と、いうわけでメガネのつるの端を持つようにして掛けることを試みる。

 

「生きt」

 

 やっぱり、だめだったよ。おそらく、使用者が触れているものに触れても動けるようになるのだろう。

 

「とりあえずフェイトさんに触れて状況を話し合おう」

 

 フェイトさんの腕を掴む。

 

「え? 公輝!? 大丈夫!?」

「おう、傷一つないぞ。心配かけて悪かったな」

「それに、これは一体?」

 

 フェイトさんが止まってしまったプレシアさんを見ておれに問いかけてくる。おれは懐中時計によって時間が止まっていることと、時間が止まっている間にプレシアさんにメガネを掛けさせる作戦は難しいことを話す。

 

「うーん……どうしたらいいんだろう」

「アリシアちゃんがプレシアさんにも見えるようになればいいんだけどな」

 

 話しながら止まっているアリシアちゃんの方に向かってアリシアちゃんに触れる。

 

「あ! お兄さん! 大丈夫だったの!?」

「うむ、大丈夫だ」

 

 アリシアちゃんに触れた感触は無かったけれど、どうやらアリシアちゃんも動けるようになったようだ。

 

「そうだ! 公輝、姉さんを生き返らせたりとか!……できないよね……」

「ちょっとフェイトー、お姉ちゃんは死んでないよ!」

 

 確かにアリシアちゃんが生き返れば万事解決だな。でも死んだ生き物は生き返らない。これはわかっていてもやったことがある。しかし、幽霊であるアリシアちゃんもおれの能力の影響を受けているようだった。もしかしたら、もしかするかもしれない。

 

「一応試してみよう。アリシアちゃんの体はどこにあるんだ?」

「あっちの部屋だよ」

 

 アリシアちゃんとフェイトさんの先導に従ってこの部屋の唯一の家具であるイスの向こう側に向かう。こんなところに部屋があったのか。

 

「ここだよ」

(どうやら肉体の損傷などはないようだ。プレシア女史は相当気を使っているようだな)

 

 そこにいたのは大きなポッドに満たされた溶液の中で浮かんでいるアリシアちゃんだった。で、これはどうやったらアリシアちゃんの体を外に出せるんだ? さすがにガラスの部分を割るのは少々躊躇われる。

 

「ちょと待って、ここで操作できるみたいだから」

「頼みますぜ」

 

 

 未だにミッドチルダ語はリインさん翻訳に頼っているおれでは機械の操作に時間がかかってしまう。そもそもこの機械を扱えるかもわからないしな。しばらくするとアリシアちゃんを包んでいた溶液が排出されて行き、ガラスの部分が開きアリシアちゃんの体にさわれるようになる。これでアリシアちゃんが元気にならなければプレシアさんに殺されるのは確定的に明らかだな。おー怖。もう後戻りはできない!

 

「公輝お願い」

「頼むよお兄さん!」

「まっかせとき」

 

 ここでおれの能力をつかって治療する時のことを話そう。今までの患者さんは全員5分以内に完治させることができた。すり傷や切り傷などの軽い怪我は1分もかからない。病気全般は1~2分ほど。部位の欠損はその度合いによって3~5分ほどだ。

 さらにここである漫画に載っていたことを話そう。人間は肉体、精神、魂の三つの要素から成り立っている。精神は肉体と魂を結びつける紐のようなもの。

 おれの能力はおれの認識によって大きく左右されるということはわかっている。アリシアちゃんの肉体はプレシアさんの処置によっておそらく何の問題も無いだろう。アリシアちゃんの魂(?)もここにいる。なら足りないものは精神。肉体と魂が分離してしまっていることからもそのことは正しいだろう。ならば、精神を人間の部位と認識して、部位の欠損を治療するようにすれば治るのではないだろうか、というのがおれの考察だ。

 とにかくやってみないことにはわからない。

 

「じゃあアリシアちゃん、自分の体に重なるようにしてくれる?」

「いいけど、それは何回もやったよ? ゆーたいりだつーってやつみたいに」

 

 そういいながらアリシアちゃんは体に重なる。おれはアリシアちゃんの体に触れる。

 

「どんな感じだい?」

「うーん、やっぱりお兄さんに触れられると気持ちいいね。あ! なんだか引っ張られるような感じがするよ!」

 

 キター。これはおれの想定通りに事が運んでいるな!

 

「よし、じゃあそのままでいくよ」

「わかった!」

 

 

 

 

 

 

 その状態のまま約2分ほど経っただろう。おれの経験上部位の欠損ならそろそろ完治するころだろう。もう少しだ。

 

「アリシアッ!!」

「なっ!」

「母さん!?」

 

 そんな! なんでプレシアさん動いてるんだ!? もう少しだって言うのに。

 

「貴様、アリシアからその手を放しなさい!」

 

 再びプレシアさんの魔力弾が迫ってくる。右手はアリシアちゃんから放すわけにはいかない。左手はフェイトさんを掴んだままなので一瞬で時計を掴みボタンを押すには間に合わない。

 

「そうはさせない!」

 

 おれの腕を振り払ってフェイトさんがおれの前に出てくる。魔力弾はフェイトさんに直撃するがなんとか防ぎ切ったようだ。

 

「大丈夫フェイトさん?」

「うん、なんとか。流石は母さんだ」

 

 殺傷設定の魔力弾を受けて辛そうにしている表情のなかに少しだけ誇らしげなように見える。それだけ母親のことを思っているのだろう。おれは放された手をもう一度フェイトさんに当てて傷を治す。

 

「マ……マ……」

 

 やった! アリシアちゃんの魂が肉体に定着したんだ!

 

「え……アリ……シア……?」

 

 まだしゃべり辛そうだがアリシアちゃんは完治したようだ。

 

(流石だな公輝)

「公輝、やった、やったよ!」

「どんなもんだい」

 

 二人にブイサインをしながら答える。失敗したとき、プレシアさんにどんなふうに殺されるのかが脳裏をよぎり続けてガクブルしてたのは隠しておこう。

 

「ああ……アリシア、もっと私に語り掛けて頂戴……」

「マ……マ……そこに座りなさい!」

 

 え?

 

「アリシア?」

「私全部見てたよ! 私のために色々してたことはとってもうれしかった、うれしかったよ。でも、妹のフェイトにあんな酷いことをしてたのはぜーったいに許さないよ! 絶許だよ!」

「アリシア……」

 

 いわばずっと意識を失って寝たきりだったようなものなのにアリシアちゃんは何事もなかったかのようにプレシアさんに説教を始める。

 

 とりあえずアリシアちゃんは何か着てくれると助かるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、フェイト。今更私が何を言ったってあなたは許してはくれないだろうけど……本当にごめんなさい」

「そんなことないよ。母さんはちょっと一生懸命すぎただけだから。私が母さんを許さないなんてことはないよ」

 

 アリシアちゃんの説教によってプレシアさんはフェイトさんに謝罪をしている。だが、これは決してアリシアちゃんから説教を受けたからいやいややっているわけではないよう。フェイトさんの話によるとプレシアさんは死に至る病を患っていたそうだ。それをおれがちょちょいと完治させたらプレシアさんは落ち着いた様子だった。みんなも経験したことはないだろうか? 病気や不安の時、特に意味もなくイライラしたことはないだろうか。プレシアさんはそれのちょっと極まっちゃった奴だったのだろう。それに加えてアリシアちゃんが元気になったこともあり、プレシアさんの精神は正常なものとなりフェイトさんへの罪悪感が湧き上がってきたようだ。

 

「まあ、何はともあれ、一件落着だな」

「公輝、何かが光ってるよ?」

 

 うん? あ、時のオカリナが光ってるな。これは元の時代に帰れるかもしれない。今まで元の時代に帰ることなんてすっかり忘れてたけど。

 

「フェイトさん、そろそろお別れのようだよ」

「うん……姉さん、母さん元気でね。こっちの私にもよろしくね」

「ええ、もうあんなことはしないわ。アリシアもフェイトも私の大事な娘……」

「もっちろーん! なんて言ったってフェイトは私の妹だからね!」

 

 テスタロッサ家のお別れは済んだようだし、おれも挨拶するかな。

 

「それでは二人とも、またk」

 

 おれとフェイトは過去の時間から元の時間へ戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ただいま……母さん」

 

 ジュエルシードはまだ3つしか集まっていない。こんなことじゃ母さんの役に立つことなんてできないよ……

 

「おかえり! フェイト!」

「お帰りなさい、フェイト」

「え? え? え?」

 

 目の前にいるのは母さんと私? それに母さんの雰囲気がいつもより柔らかい、いや、前みたいに柔らかい。何かいいことでもあったのかな?

 

「フェイト、ちょっとお話ししましょう」

「は、はい!」

 

 

 

 

 そのあとは衝撃の連続だった。私に似ている人は私の姉さんだったり母さんがしてきたことを私に謝ってきたり、ジュエルシード集めはもう必要なくなったけどけじめとして回収して持ち主に返すのを協力してってお願いされたり。

 

 驚きの連続だったけど、それはわるいことではなかった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

☆☆

 

 

 新暦69年6月12日午後1時30分6秒

 

「戻って来たか」

 

 目の前にあるのは海鳴に流れる川。つまり、おれが過去に飛ばされる前にいた場所ということだ。

 

「もう一度母さんに会って話すことができて嬉しかった。ありがとう公輝」

「いえいえ、どういたしまして」

 

 おれが意図してやったことではないんだけどね。戻ったらオカリナを叩き割ってやろうかと思ったけど、思わぬ言葉をもらったから叩き割るのはよしてやろう。

 

「じゃあ帰りますか」

「そうだね」

 

 色々あって疲れたのもあって二人で帰ろうとした時、

 

「おーい! フェーイトー! あ! お兄さんもいるじゃん! やっほー」

 

「え」

「えっ!」

 

 帰ろうとしていた反対の方からやってきたのはさっきまで一緒にいたアリシアちゃん。しかし、その姿はちっちゃい幼女のものではなく小学生くらいの幼女のものだ。そして、その横にはプレシアさんがいる。

 

「姉さん……母さん……?」

「こんにちは公輝君」

「こ、こんにちは」

 

 さっきまで鬼みたいな顔で殺傷設定の魔力弾を放ってきたい人と同一人物とは思えないな。

 

「どうしたのフェイト、そんな驚いたような顔して」

「え? い、いや、なんでもないよ」

「そう? 暗くならないうちに帰ってくるのよ」

「じゃっ、後でねーフェイトー」

 

 そう言って二人はフェイトさんの家の方へ帰って行った。まあ、なんだ、

 

「よかったね、フェイトさん」

「うん……うん……っ!」

 

 色々あったけど、終わりよければ全て良しっと。

 

 

 どうでもいいけど、お姫様(アリシアちゃん)と協力して大魔王(プレシアさん)封印したら(なだめたら)帰れるというのはあながち間違っていなかったな。

 とりあえず、はやてとヴォルケンズにおれが時の勇者であることを自慢しなければいけないな。

 

 

 




本文に書くと違和感しか出なかったのでここに書きます。別に読まなくても大丈夫。

時のオカリナによって過去を変えると現在は変えた過去と同じような経緯を辿るわけではなく、望んだ現在へとなります。

公輝君たちの世界ではフェイトはプレシアにいじめられることはなく、ジュエルシードによってアリシアの蘇生も成功したという経緯を辿っています。しかし、ロストロギアの無断使用でプレシアは管理局に捕まってしまう。プレシアの立場を少しでも良くするために管理局で働くことを決意する。その後ろ盾となるためにリンディはフェイトにハラオウンの名を貸す。今はプレシアもほぼ自由の身でリンディが住むマンションと同じマンションに住んでいる。

という経緯を辿っています。このことを本編で絡める予定はないですが、世界は矛盾の無いように修正されましたということです。


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