それが日常   作:はなみつき

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自分の好きな作品の作者さんが拙作をお気に入り登録してくれているのを見ると、なんとも不思議な、うれしい気持ちになりますねぇ。

##この話は修正されました##


火事と空港と46話

「って感じな出会いがあったわけよ」

「ほーん、面白い人がおるんやな~」

 

 現在はミッドチルダで借りた家ではやてと歓談中である。はやての仕事が忙しくなり、もう中3と言うことでミッドにも家を借りてこっちで寝泊まりするようになった。いずれはこっちに住むようにするそうだ。

 

「でもあかんで? 知らん人に付いていったら」

「そうですね、私が一緒にいないときはあそこの道はあまり使わない方がいいでしょう」

 

 はやて、リインさんがそう言ってくる。 

 

「う、う~ん……あの道は便利なんだがなぁ。それにはやて、その言い方だとおれがお子ちゃまみたいじゃないか」

 

 まったく失礼な奴である。別にお菓子とかでつられたわけじゃないし。トーレさんに後ろから脅されたから付いて行っただけだし。……あれ? こっちもかなり問題なんじゃなかろうか? 一種の誘拐だよな。おー怖。

 

「ていうか、はやての方がお子ちゃまじゃないか! ずっとリインさんにくっついちゃってさ」

「お、なんやハムテルくん。羨ましいんかいな? へっへーん、ここは私の特等席やで」

 

 はやてはリインさんに抱き付きながら言ってくる。闇の書の修復が完了し、リインさんがおれとのユニゾンが解けてからはやてはずっとこの調子である。長い間直に会うことが出来なかった反動は大きかったようだ。あーうらやま。

 

「はやてちゃんはやてちゃん! 次は私です! そこ交代してくださいです!」

「あ、ツヴァイも来るか? ほらほらこっちおいで~」

「はいですぅ~」

 

 はやて達の方に飛んでいくとリインちゃんははやてとリインさんの間に挟まれるような体勢になる。リインちゃん、その場所いいな。ぜひとも代わってもらいたい。そういえば、おれも中三、つまり思春期の時期に入り大分生前のようにあーんなことや、こーんなことがしたいなーなんて気が湧くようになってきたのだ。いや、原因はそれだけではない! 問題ははやてだ! 一体いつから育て方を間違えたのか分からないが、はやては……はやては……おっぱい魔人なのだ! 大きなおぱーいを見つけたらもみしだき、形のいいおぱーいを見つけたらやさしい手つきでなで回す。そんなわけで、はやてがそんなことをするところを見せつけられるおれはしたくなくてもムラムラしてしまうのである。あ、ほら、今だってさりげなくリインさんのおぱーいを揉んでいるぞ。リインさんの顔が僅かに上気しながらも、声を出さないように耐えているよう様子がエロいのなんのって……ゴホン。まあそんなことはどうでもいい。

 

「何はともあれ、ハムテルくんは気をつけなあかんで?」

「はーい」

 

 今度からは最初から手をポケットに入れてノータイムで時計を使えるようにするとしよう。

 

「よーし、今日はゆっくり休むぞー」

 

 体力的な意味で疲れるということはないことはないが毎日仕事に行くというのはなかなか面倒なことなのだ。おれは世の中のお父さんを本当に尊敬する。

 

「そうやな、ゆっくりするんはええこと……」

 

 はやての発言の途中に遮るように鳴る通信機の着信音。

 

「ハムテルくん、どうやらゆっくりするんはもうちょっと後になりそうや。ミッドチルダ臨海第8空港で大規模火災が発生。今すぐ救援に行くで!」

「了解」

「承知しました、主」

「わかりました、はやてちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ、これはひどいな」

 

 おれはリインさんに抱かれて現場まで飛んできた。現場であるミッドチルダ臨海第8空港は全体が炎に包まれ、全焼は確実と言える程だ。

 

「なんやて!? まだ中に人がおるんか!」

「はい、まだ確認が取れていない人がいるという報告です」

 

 この中にまだ人がいる? 魔導士ではない普通の人ではこの炎の中での生存は絶望的だ。

 

「ハムテルくん、任せてええか?」

「できるだけのことはする。リインさん!」

「うむ」

 

 おれとリインさんは手のひらを合わせるようにする。

 

「「ユニゾン・イン!」」

 

 おれたちの周りを光が包み、光が収まると目が赤くなったおれが現れる。

 

「じゃあ行って来る。リインさん、温度調節お願いしますよ」

「頼んだで、ハムテルくん」

(任せておけ、公輝)

 

 ユニゾンしたリインさんによっておれの周りの温度を常温に保つようにすることを頼む。多少の火傷くらいなら問題はないだろうが、熱いものは熱いのだ。好き好んで炎の中に突っ込む趣味はない。リインさんとのユニゾン時代はこれで暑い夏は涼しく、寒い冬は暖かくとても過ごしやすくさせてもらったものだ。はやて達の羨ましがる顔は今でも鮮明に思い出せる。

 

「それじゃあ行きますか」

(ああ)

 

 おれたちは燃え盛る炎の中に突っ込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう大丈夫ですよ」

「た、助かった……」

 

 ここにいたのは3人。中に魔導士がいたらしく、シールドを張って凌いでいたようだ。だが、魔力量が少なくちょっとした時間稼ぎしかできなかったのだろう。

 

「外の仮設救護施設に転送します。そこで受付をしてください」

「分かりました」

 

 生存者の足元にベルカ式の転移魔法の魔法陣が浮かぶ。

 

(転移)

 

 リインさんの掛け声とともに生存者3名は外に転移される。ここで一つ補足しよう。おれの総魔力量は魔力弾(小)10発分しかないが、おれの能力によって魔力弾(小)を1発撃つとすぐさまその分の魔力は回復する。それによってマシンガンのように魔力弾を運用することが出来るのだ。しかし、魔力弾(小)20発分の魔力を使って魔力弾(大)1発を作るということはできないのだ。なので、おれの魔力量では転移魔法なんて使うことは夢のまた夢だ。ここで、ユニゾンしたリインさんの魔力を使うことによっておれは大掛かりな魔法を使うことが出来るようになるのだ。ちなみに、使ったリインさんの魔力はおれの能力ですぐさま回復する。

 

「よーし、次だ!」

(200mほど先に生命反応を感知した)

「分かった」

 

 炎の中を走り抜けるとそこには青い髪の少女がいる。だが、そばの石像が傾いて今にも少女の方に倒れそうになっている。

 

「させない!」

 

 おれはさっきからずっとポケットの中に入れていた右手で懐中時計のボタンを押す。

 

 カチッ

 

 

 

 

 

 

「想定とは違うけど、時計にあらかじめ手を掛けといてよかったぜ」

(あそこまで走るのでは間に合わなかっただろうな)

 

 傾いていた石像は台座の辺りが崩れて少女の方へ落ちている最中だ。本当にギリギリだったようだ。とりあえず、あの少女をあそこから避難させよう。おれは少女に触れる。

 

「お嬢さん、大丈夫?」

「え……私……生きてる?」

「ああ、君は生きてるよ」

 

 あれだけ大きな石像が倒れかけていたのだ、相当怖かったのだろう。これくらいの少女が自分が生きていることを噛み締めるように言うことなど、そうそうあることではないだろう。

 

「ふぇ……」

「ん?」

「ふええええええぇぇぇぇぇぇん!!!!」

「お、おう? よしよし? もう大丈夫だぞ」

 

 突然がっしりと抱き付かれて泣き出してしまった。ていうか、この子力強くね? おれの腰の辺りがギシギシ言っているんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 その後ガッシリホールドされて動けないこと約5分。少女も落ち着いてきたので転送する準備に移る。

 

「じゃあ行くよ?」

「は、はい」

 

 魔力を集中させて転移の式を立ち上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あっ……時計の効果切れた。さっさと転移させちゃおう。

 

「な、なんだ!?」

「な、何!?」

(……この魔法は……)

 

 時が動き出してすぐに轟音と呼べるような音がする。後ろを向くと先ほど崩れていた石像が上から降って来たゴン太ビームによって消し飛ばされてしまった。

 

「大丈夫ですか! ってあれ? いつの間にそっちに? それに公輝君!?」

「なのはさんか」

 

 空からゴン太ビームと共に降りてきたのは白いバリアジャケットに身を包んだなのはさんだ。……初めて見たけど、なのはさんの魔法ってあんな感じなんだな。余り怒らせないようにしよう。

 

「なのはさん、この子お願いします。おれはまだ先にも行ってみるので」

「うん、任せて!」

 

 青い髪の少女はなのはさんに抱かれて飛んでいく。飛んでいく前にまたなのはさんがビームを打って天井をぶち壊していったのだが、もうちょっと穏便にはできないのだろうか……別にもうこの建物は諦めるしかないからいいけどな。

 

(まだ生命反応がある。ん? こっちに近づいてきているな)

「まだ残っているのか。とりあえずその人も転送で送ってしまおう」

 

 おれたちも走ってその反応の方へ走っていく。

 

「え? 公輝?」

「フェイトさんも来ていたのか。その子が取り残された子だね」

「うん、この子で全員が避難したことになるよ」

 

 フェイトさんに抱かれていたのはまたもや青い髪の少女だ。

 

「じゃあお二人とも転移魔法で送ります」

 

 おれたちはその後転移魔法で空港の中から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、空港の火災ははやてとリインちゃんの合わせ技による氷魔法ですべての炎を凍らせて消してしまった。後で聞いた話だが、今回救出した青い髪の少女たちははやての師匠的な存在であるゲンヤ・ナカジマさんの娘さんだったらしい。まあ、だからと言って何かあるわけではないのだが世間は狭いなってことだ。

 

「ってことがあったんだよスカさん」

「そ、そそそそそれは大変だったね公輝君。ハハ、ハハハ」

 

 なんでスカさんは汗だらだらなんだろうか?

 

 




時のオカリナによる最小限のバタフライエフェクトによってスカさんは性格が変わってしまいました。どんな性格になったのかは後々。

ちなみに、平衡世界のワンクッションを挟まずに直接過去を変えていた場合、ハムテルくんがヒロイン達にモテモテとなる世界線になっていたことでしょう。

ね?時のオカリナの配慮は大切でしょ?

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