それが日常   作:はなみつき

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前回の作者の素朴な疑問に答えていただきありがとうござます。
答えが二通り出たということは、ティーダの設定は特にないんですかね。
と、言うことで、この小説ではティーダは空戦適性がありバリバリ空を飛べることとします。

##この話は修正されました##


緊張と社会の窓と54話

 

「機動六課課長、そしてこの本部隊舎の総部隊長、八神はやてです」

 

 壇上に立っているはやてが挨拶をすると、ここに集まっている人が拍手で返す。もちろん、おれもその中の一人だ。

 周りを見渡すと知った顔がかなりいる。Bランク試験の時に勧誘されていたスバルさんとティアナさんは勿論、執務官としてのフェイトさんの補佐官であるシャリオ・フィニーノさん、シスコン同盟の一人のヴァイスさん。少し外れたところに立っているのは、フェイトさんが保護した子供のキャロ・ル・ルシエちゃんとエリオ・モンディアルくんだ。以前写真を見せてもらったからわかる。

 

「平和と法の守護者、時空管理局の部隊として事件に立ち向かい、人々を守っていくことが私たちの使命であり、成すべきことです」

 

 壇上に立っているのははやて以外に、なのはさん、フェイトさん、グリフィスさんだ。六課が有する戦闘部隊の隊長であるなのはさんとフェイトさん。そして、部隊長の補佐をし、部隊長が不在の時は代わりに指揮を執るなど、実質的に機動六課ナンバー2のグリフィスさんだ。

 グリフィスさんはリンディさんの友人であるレティ・ロウラン提督の息子さんだ。はやて達とは結構交流があったそうなのだが、残念ながらおれは彼と話したことはない。これからの1年で仲良くなることにしよう。

 

「実績と実力に溢れた指揮官陣。若く可能性にあふれたフォワード陣。それぞれ、優れた専門技術の持ち主のメカニックやバックヤードスタッフ。全員が一丸となって事件に立ち向かっていけると信じています」

 

 壇上には立っていないものの、隊長陣の横に立ち、一般隊員の前に立っているのはヴォルケンズとリインさん。シグナムさんはフェイトさんの隊の副隊長、ヴィータはなのはさんの隊の副隊長を務める。シャマルさんは六課の医務室の主で、リインさんはグリフィスさんとは違った方面ではやてをフォローするそうだ。

 ここにいないザフィーラさんは六課の隊員と言うよりも、はやての個人的なボディーガードとなる。

 これは関係ない話だが、おれがあの場所に呼ばれなくてちょっと仲間はずれにされた気分だ。まあ、人の前に立つの苦手だから良い事にしよう。それに、おれは所謂客将みたいなもんだし。全然気になんかしてないし!

 

「ま、長い挨拶は嫌われるんで、以上ここまで。機動六課課長および部隊長、八神はやてでした」

 

 はやてが手を上げて挨拶を締める。再びこの場に拍手の音が満ちる。

 

 そういえば、まだこの状況を説明していなかった。現在行われているのは、機動六課が始動するために一番最初にやらなければいけないこと。つまり、部隊長の挨拶から始まる設立式だ。お偉いさんの長話はたいくつだということをよくわかっているはやては流石である。まあ、大して長くない話だったにもかかわらず、おれは話を右の耳から左の耳に受け流していたがな。

 

「と、本当はここで終わりなんですが、一人みなさんに紹介しておきたい人がおります。機動六課の運用期間である1年間、この隊舎にいることが多くなるマサキ・サカウエ二佐相当医務官です。どうぞこちらに来て一言お願いします」

 

 ああ、そうだ! まだ今年一年間の目標を決めていなかった。そうだな……よし、今年の目標はシャマルさんの仕事をなくすことにしよう。何やら六課の設備に感動していたようだが、おれがそんなものは使わせないぜ。きっとシャマルさん泣いて喜ぶことだろう。

 

「サカウエ二佐~? どうしましたか~?」

 

 ん? おかしいな、さっきはやては話を終わらせていたはずなのに何でまだ話しているんだ? それに、なんだか皆さんの視線がこちらを突き刺しているのは何故だろうか?

 

(ハムテルくん、話聞いてなかったやろ。なんでもええから前来てしゃべってや)

 

 はやてから念話が飛んでくる。おれがスピーチだと? そんな話は事前の打ち合わせで言っていなかったじゃないか! 

 視線をはやてからずらしてヴォルケンズに向ける。

 

「……」

「ニヤニヤ」

「……」

「……」

 

 くっそ、あいつら知ってやがったな! ヴィータなんかあからさまにニヤニヤしやがって。残りの3人も内心で笑ってることはおれにはわかるんだからな! 笑うことを隠そうとする時、シグナムさんは口をいつも以上に引き締めて、シャマルさんは目を細めて、リインさんはちょっと口が開くこと知ってるんだからな!

 10年も一緒にいたらこういうことは好きじゃないってわかるだろうに。はやてなんかはおれが学級委員長に推薦された時全力で拒否したこと知ってるはずだ。わかってるからこそか……

 10年……こっちの世界に来てもう10年か……つまり、精神年齢は30歳。もちろんDT。とうとう魔法使いになっちゃうのか……あ、もう魔法使いだった。

 

「坂上二佐、はよ」

 

 いけないいけない、ついどうでもいいことを考えて現実逃避してしまった。やらなければいけないのだから仕方ない。やってやろう。

 おれは決意を胸に込め、はやて達が立つ壇上に上がる。

 

「ご紹介に預かりましたマサキ・サカウエ医務官です。先に言っておきますが、私の階級は飾りなのでみなさん気兼ねなく私の所に来てください。シャマル先生と同じ医務室にいると思います。死人以外なら全員元気にさせてみせます。どうぞ、よろしくお願いします」

 

 お辞儀をしておれのスピーチを終わらせる。拍手もなり、なんとか終わらせることが出来た。

 決まった……緊張しているかと思ったが、すべて噛まずに言うことが出来たようだ。よかったよかった。

 

 

 

 

 

 はやてに社会の窓が全開だったということを指摘されるまでは。

 やっぱり緊張してたようだ。

 

 

 




ヲー

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