それが日常   作:はなみつき

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ちょっとへこんでました


##この話は修正されました##


約束と徹夜と5話

 

 

 

 はやての家に居候するのにも慣れてきた(?)今日この頃。おれは特に意味もなくカレンダーをめくっていたら丸が付いている日を見つけた。気になったおれははやてに聞いてみることにする。

 

「なーなー」

「はーち」

 

違うそうじゃない

 

「この丸ついてる日って何の日?」

「ん? ああ、その日は私の誕生日やねん」

「ほう、誕生日とな」

 

 どうやらこの丸が付いている日―6月4日ははやての誕生日らしい。ふむ、これは日ごろの恩返しをするのにうってつけではなかろうか?

 

「じゃあプレゼント用意しなきゃな!」

「え? 別にええで、そんなん気にせんでも」

 

 はやてはそう言っているが知ってしまったからには無視するという手はないだろう。

 

「まあまあ、いつもお世話になってるんだからこういう時くらい返させてくれや」

「うーん」

「代わりに美味い誕生日ケーキを分けてくれ」

「それが目的やなー」

 

 あら? ばれてしまった。うむむ。

 

 はやてはソファーに座っているおれの弁慶の泣き所を車椅子の車輪でこすってくる。え、ちょ、やめれ。痛い痛い痛い。

 

「ケーキが美味しければ美味しいほどいいものになるかもなー」

「えーそれでええんか居候」

 

 くっ……言ってくれるな。

 

「じゃ、おいしいケーキは翠屋で予約しよか」

 

 キターキター翠屋これでかつる!

 それは置いておいて、はやてへのプレゼントに思考を戻す。

 

「と、言っても自由に使えるお金もないし、何かアクセサリでも自作しようにもこれはこれで材料費がかかってしまう……やはりお金は必要だなー」

 

 どうも計画段階から頓挫してしまいそうだ。

 

「ほんま、そんな気にせんでもええで? でも、なんかくれるんやったらうれしいな」

 

 そんなこと言われたら是が非でも誕生日プレゼントあげたくなるじゃないか。

 

 うーん料理を作るか? いやはやてよりおいしくてくれる自信はない。なら絵でも描くか? おれの美術の成績はおれが一番よく知っているだろ! 馬鹿野郎!

 うーんうーん……あ

 

「なあ、編み物道具一式ってある?」

「うん、あるで。でもどうするん?」

 

 はやてが聞いてくる。まあ当然の反応だな。男が編み物なんて普通はしないだろう。だが! おれの特技の一つ「編み物」の腕を見せるときが来たようだ。もうこの際毛糸代は目をつむるとしよう。

 

「それでプレゼントを作ることにした」

「ホンマに? まあ、期待せんとまっとくわ」

 

 はやてはあまり期待してなさそうに言うが顔を見るだけでとてもうれしそうにしていることがよくわかる。

 

「ふん! 男子校家庭科実技筆記ともに学年1位のおれの力見せてやる!」

「えー、男子校かいな」

 

 男子高校生をなめてはいけない。やつらの一般科目以外の科目(体育、家庭科、美術、etc……)に対する情熱は半端ないのだ。そして、そういうある程度技能が必要な物には得意な奴が2,3人はいるもので、そんな奴らは女子より女子らしい。そいつらを倒して学年1位の座に上り詰めたおれの実力は言うまでもないだろう。

 

「ま、期待しとけ。いいもの作ってやるさ、約束な」

「せやな、じゃあ約束や」

 

 

 

 

 

 

 針と糸を使って縫物をするとき、人はそれを音で例えるとチクチクというだろう。じゃあ編み物のときは?サクサク?いやあみあみ?なんだろうね。まあ、そんなことはどうでもいいんだ。おれは2本の棒と一本の毛糸を使いあるものを構成していく。

 

「ぬいぬいぬいぬいぬいぬい」

 

 チュンチュンチュン

 

 どうやら夜が明けてしまったようだ。

 

「でも全く眠たくないぜ!」

 

 深夜テンションだとかではない。これこそがおれの特殊能力! 「体調の維持」なのだ!

 体調の維持って病気にならないだとか、無駄にテンションが低くならないとかって思うじゃん? でも実際のところは「自分が考える体調に維持する」ということのだ。

 

 え?違いがわからないって?

 

 つまりだ、体調の好調不調は人によって違うわけなのである。いつも眠いのが普通な人はそれで好調だし、なぜかある日だけすっごい眠たいのだとしたらその人にとってそれは不調なのである。

 何が言いたいのかというと、たとえ徹夜をしようと眠たくない自分を想像したらおれは眠くないのだ。

 

「ふひーやっと終わったなー」

 

 文字通り三日三晩寝ずに活動している。何をしてるのかって? それは勿論はやてへの誕生日プレゼントの作成だ。時間がなかったからこれしか作れなかったが、妥協するしかないか。時間的な意味で。クオリテイ的な意味で妥協は全くしていない。

 

「さて、朝ごはんだ」

 

 ヒモニート生活の1日の始まりである。

 

 

 

 

 

「誕生日明日ですなー」

 

 はやてが作ってくれた朝ごはんをしっかりと味わい、口の中のものを飲みこんでから話しかける。

 

「あははーせやなー。ケーキも頼んだし、後は時間が過ぎるだけやなー。あ、そうそう今日は石田先生が1日早いけど私のために来てくれるんや」

「石田先生とは?」

「私の足の先生や」

 

 なるほど、主治医というやつですな。しかし、誕生日に来てくれるほど先生と仲がいいとは……それだけ付き合いが長いということか。

 

「ってその先生におれのこと話してんの?」

「んーや今日話す予定や」

 

 えーえーそういうのは早く言ってほしかったなー。いろいろ考えることがあるじゃん設定とか。

 

「なんて説明するんだ? まさか物干しざおに引っ掛かってたなんて言っても信じてもらえないだろ。いや、信じてもらっても怪しさ満点すぎておれめっちゃ怪しまれるよ」

「大丈夫やて」

 

 ちょっと回想

 

……

 

「この人は家の物干しざおに引っ掛かっとって、行くあてがないそうやから家で保護しとるんです」

「」←石田先生

 

……

 

 ありえないだろ。ないないない。ああ、でも今のおれって子どもだから男女の同棲という意味で反対はされないかもな。子供だけで生活ってところがあれだけど。ん? そうやって考えるとはやてっておれが来るまで一人暮らしだったんだよな?

 

 ……やばくね?

 

「ま、私から言うとくから安心しときーや」

 

 8歳児の一人暮らしについての考察をしていたが中断させられる。

 

「うーん、そう?」

 

 本当は自分で何とかしたいがいい案が思い浮かばん!

 

「ま!なるようになるて!」

 

 ちょ何も考えてないんかい!

 

 

 それは特別な日の前日の朝に交わされた特にの意味もなく、特に面白味もなく、いつも通りの会話。

 

 

 




がんばるよだからがんばれ

追記
ものすごい矛盾を発見、修正

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