それが日常   作:はなみつき

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なんとかここまでは書いておきたかったので頑張りました。

追記
13歳以上の露天風呂→全年齢対象の露天風呂
石鹸を投げ込む前に公輝が安全を確かめる描写を追加

##この話は修正されました##


風呂と帰省(後編)と60話

 ご馳走様でした!

 

 この場にいる全員の声を重ね、食事の終わりの挨拶をしっかりと済ませる。夕飯の後片付けをしながら、おれたちは次の予定について話し合う。

 

「さて、サーチャーの様子を監視しつつ、お風呂済ませとこか」

「「「「はい!」」」」

 

 はやてがそう言うと、ティアナさん達が元気に返事を返す。

 

「まあ、監視と言ってもデバイスを身に着けていれば、そのまま反応を確認できるし」

「最近は本当に便利だね」

「技術の進歩です!」

 

 そういえば、彼女たちは現在管理局の仕事で地球に来ているんだったな。アリサさんの所有地でバーベキューしたりとレジャー気分ですっかり忘れていたよ。そして、今のなのはさんの台詞。おれはどこか聞いたことがある。……ああ、そうだ、思い出した。おれのばあちゃんがパソコンを前にした時に発した「最近はなんでも便利になったねぇ」とほぼ同じなんだ。なのはさん……ババくさいぞ……

 

「あー、ただ、ここお風呂ないし、湖で水浴びって季節でもないし」

 

 美人ぞろいの機動六課と地球組が湖で水浴び……それはとても絵になりそうな情景ですねぇ。

 

「そうすると、やっぱり……あそこですかね」

「あそこでしょう」

「それでは六課一同着替えを準備して出発準備!」

 

 あー、あそこね、あそこ。なるほどなー……どこだろう……

 

「これより、市内のスーパー銭湯に向かいます」

 

 そういえば、そういう施設があった気がする。

 

「すーぱー……」

「銭湯?」

 

 スバルさん、ティアナさんの疑問を含む発言を聞きながら、おれたちはそのスーパー銭湯に移動した。

 

 

 

 

 

 

「はい、いらっしゃいませ! 海鳴スパラクーアへようこそ! 団体様ですか?」

 

 愛想のよさそうな受付のお姉さんが早口言葉のごとくテキスト通りの対応をする。

 

「えーと……大人13人と」

「子供4人です」

 

 はやてとフェイトさんが受付の人に人数を報告する。子供が4人? ああ、ヴィータは大人に含めているのか。

 

「エリオとキャロと……」

「あたしとアルフです!」

「おう!」

 

 スバルさんが子供4人と言うところに疑問を持ったようで人数を確認している。その確認にリインちゃんが答えている。

 

「えと……ヴィータ副隊長は?」

「あたしは大人だ」

 

 ヴィータは相変わらずこだわるなー。まあ、今回の料金ははやてのポケットマネーから出されるから何も言わないが、もし、おれが払うんだったら問答無用でヴィータは子供扱いである。お金はそこそこ稼いでいる自覚はあるが、無駄遣いはしないに越したことは無いのだ。

 

「あっ……はい! では、こちらへどうぞ!」

 

 ほらー、受付の人が一瞬「え? 大人? ああ(察し)そういう年か」って、感じの反応を示したぞ。

 

「お会計しとくから、先行っとっててな」

「はーい」

 

 はやて以外のみんながそれに返事をする。勿論、おれも返事をしている。

 

「はい、では、大人13人、子供4人で計8740円になります」

「はーい」

 

 後ろからはやてがお代を支払っているようだ。何となくおれは後ろを振り向く。

 

「ん!?!?!?」

 

 はやてがお金を出そうとしている財布、おれのじゃねーか! いつの間に抜き取ったんだ!

 おれは堪らず、はやての所へ駆けつける。

 

「ちょっ、はやて! それおれの財布じゃねーか!」

「ん? これは私のやで?」

 

 まさか、お前のものはおれの物、おれの物はおれの物ってやつか。

 

「何言ってるんだ、だって……うん?」

 

 おれは財布があるべき場所に無いことを示すために鞄の中を見せつけようとしたら、そこにはちゃんとおれの財布があった。

 

「……ある……」

「へっへっへー、引っかかったー! これは私がハムテルくんにドッキリを仕掛けるために新しく買ったもんやで」

 

 ……ドッキリ……見事に引っかかったよ……

 

「ほらほら、ハムテルくんとおそろいやで?」

「ああ、そうだな」

 

 おれはドッキリでどっきりさせられた衝撃で生返事することしかできない。いずれこの借りは返してやるぞ、はやて!

 

 覚えてろよー。

 

 

 

 

 

 

「よかったぁ。ちゃんと男女別だ」

 

 おれとはやてが前の集団に追いついた時、エリオくんがとても興味深い発言をしていた。混浴を経験したことがあるというのか! 羨ましい……

 

「広いお風呂なんだって。楽しみだね、エリオくん」

「あ、うん。そうだね。スバルさん達といっしょに楽しんできて」

「え? エリオくんは?」

 

 んんん??? キャロちゃんよ、それは一体、どういう意味で……

 

「ぼ、ぼくはほら、一応男の子だし」

「でも、ほら。あれ」

「注意書き? えーと……女湯への男児入浴は11歳以下のお子様のみでお願い……します?」

「折角だから一緒に入ろう?」

 

 なんと! 現在エリオくんは10歳。つまり、エリオくんは合法的に女湯に入ることが出来るという事じゃないか! これはうらやまけしからん。キャロちゃんとフェイトさんに一緒に女風呂に入ることを誘われるエリオくんはもて男だなぁ。

 

「え!? あー……ほら! 公輝先生が一人になっちゃうじゃないですか!」

 

 エリオくんがそう言いながらおれの方を見てくる。そのエリオくんの視線は何かを語っているようだ。なになに? 「助けてください」かな? そうか、エリオくんもいくら子供って言ったって女性の裸を見るのは恥ずかしいお年頃か。これがさらに歳を重ねると女性の裸が見たくなるんだから不思議である。まあ、そんなことはどうでもいいか。では、エリオくんに助け舟を出すことにするか。

 

「キャロちゃん、フェイトさん、今日はエリオくんを貸してくれないか? 男同士、裸の付き合いってやったことないからな」

「そ、そうなんですよ! ですから、キャロ、フェイトさん、すみません」

 

 おれの助け舟にここぞとばかり乗っかってくるエリオくん。そんなに女風呂が嫌なのか。

 

「でも、女風呂に入れるのは今だけやで? きっとあの時入っておけば良かったって後悔する時が来るで」

 

 そんなことをはやてが言う。

 

「そうだな、確かにそうかもしれない。エリオくん、この機会を逃せばもうこんな経験はできなくなるぞ」

「え!?」

 

 よく考えれば、おれも転生した当初は9歳児相当だったから女風呂に合法的に入ることが出来たんだな。クソッ! おれは何というミスを犯してしまったんだ!

 

「エリオくん! 後悔先に立たずだぞ!」

「い、いいいや、あ、あのですね、それはやっぱり……スバルさんとか、隊長達とか、アリサさん達もいますし!」

「別に私は構わないけど?」

「ていうか、前から頭洗ってあげようか? とか、言ってるじゃない」

「う、え……」

 

 外堀を埋められていくエリオくん。そんな捨てられた犬のような目で見ないでくれ。キャロちゃんに上げた犬耳をエリオくんにもつけたくなっちゃうじゃないか。

 

「うん、いいんじゃない? 仲良く入れば」

「そうだよ。エリオと一緒にお風呂は久しぶりだし」

「あっ……」

「入りたいなぁ」

 

 フェイトさんのダメ押しがエリオくんを襲う!

 

「あ、あっ……あの……お気持ちは非常に……なんですけど……すいません!遠慮させていただきます!」

「えー」

 

 女性人の残念がる声が上がる。エリオくんは本当に愛されてると思う。

 

「先に上がって、この辺で待ってますので。すみません! 失礼しまーす!」

「あー行っちゃった」

 

 そう言い残してエリオくんは男風呂の暖簾が掛かっている方へ走って行ってしまった。

 

「あーあ、もったいない。じゃあ、みんな、また後で」

 

 おれもエリオくんの後を追って男風呂に入ることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷いですよ先生、ぼくが助け求めてたの分かってたじゃないですか……」

「いやー、はやての意見も一理あるなーってな」

 

 おれが更衣室に入るとエリオくんの抗議の声が聞こえてきた。おれも今後悔してるから、エリオくんに後悔してもらいたくなかっただけなんだがなぁ。とりあえず謝っとくか。

 

「ごめんな、エリオくん」

「もう、いいですけど」

「はっはっは、風呂に入ってさっぱりしようじゃないか」

 

 露骨な話題逸らし。

 では、参る! いざ、風呂へ!

 

「エリオくん!」

「キャ、キャ、キャ、キャロ!? ふ、ふ、ふ、服!」

「うん、女性用更衣室で脱いできたよ」

「え!? あ、ほら! 先生もいるし……って、もう居ない!」

 

 おれが風呂場の扉を閉めようとした時、後ろからそんな声が聞こえてきたような来なかったような気がした。

 

 

 

 

 

 

「ふいー……極楽、極楽」

 

 体を念入りかつ速やかに洗った後、室内の浴場には目もくれず露天風呂に来ている。

 ここのスーパー銭湯には2種類の露天風呂がある。一つは11歳以下の男児は入ることができ、女湯とも繋がっている所謂家族風呂。もう一つは男性全員が入ることが出来る露天風呂。もちろん、おれが今入っている露天風呂は全年齢対象男専用露天風呂である。ここで間違えて混浴の方に入ってしまうようなうっかりはしないさ。

 

「エリオくん来ないなー。室内でゆっくりしてるのかな?」

 

 まあ、風呂の楽しみ方は人それぞれだしな。おれは露天風呂を堪能してから室内風呂を満喫し、最後の締めにまた露天風呂に入るのだ。

 

「おーい、ハムテルくーん。どうせ露天風呂におるんやろ?」

 

 露天風呂でまったりしていたところ、隣の女性用露天風呂と思われるところからはやての声が聞こえてくる。

 

「なんでわかんだよ」

「ハムテルくんのことやからさっさと体洗って露天風呂に来とると思ってな」

 

 行動が……読まれている!?

 

「まあ、それはええんや。石鹸貸してくれへん?」

「ここの備え付けのやつじゃダメなのか?」

「うーん、やっぱりいつものやないと、なんかあかんのや。シャンプー、リンス、ボディーソープは持って来たんやけど石鹸は忘れてもてな」

 

 その気持ちはよくわかるが、なんでおれが石鹸持ってるって思ったんだ?

 

「ハムテルくん洗顔石鹸には謎のこだわりがあるやろ? やから、今日も持っとるやろなーって」

 

 好みが……ばれている!

 ついでに、心も読まれている!

 

「……まあ、いいけどな。んじゃ、投げるぞ。ああ、そっちに石鹸投げ込んで危なくないか?」

「大丈夫や、女湯には私しかおらへんから。ばっちこいや!」

 

 おれは声がする場所からはやての位置を予測しておれ御用達の石鹸を女湯の方へ投げ込む。

 

「おお! これやこれ。サンキューなー」

「どういたしまして」

 

 そう言ってはやては露天風呂から出て行ったようだ。

 

「……行ったか」

「いやー、若いっていいねー」

 

 おれにそう声を掛けてきたのは見知らぬおじいさん。そう、この露天風呂はおれ一人と言う訳でなく、他の客もいたのである。つまり、さっきのやり取りめっちゃ恥ずかしかった。

 

「ははは、そうっすかねー」

 

 こんな感じでじいちゃんの話を適当に流しながらおれは風呂を満喫したのだった。

 特に関係ない話であるが、おじいさんに「彼女?」って聞かれた時は、「姉で妹で母で娘みたいな存在です」って返しておいた

 

 

 

 

 

あ、問題のロストロギアは六課メンバーが危なげなく確保していました。




小説を書く上で一番書きたかった出張編終わりました。

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