それが日常   作:はなみつき

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ティアのしゃべり方がいまいちよくわからんかった(´・ω・`)

##この話は修正されました##


アグスタとティアと62話

「やっと入場だー。とは言え、まだまだ開始までは時間がある。どうしたものか」

 

 あのたい焼き幼女と一緒にたい焼きを食べること十数分、どこからともなくフードをかぶったゴツイおっさんがやって来た。おっさんはおれと幼女を交互に見た後「世話になったようだな。ありがとう」と、言って幼女を連れてどこかへ行ってしまった。自然な流れで連れて行ったから保護者だと思うけど、あのおっさん誘拐犯とかじゃないよね? もしそうだったらあの幼女が大変なことになるんじゃ……気にしないようにしよう。そういえば、幼女幼女と呼んでいるが、名前を聞くのを忘れてしまった。まあ、いいか。

 紫幼女のことを考えるのをやめ、これからの時間をどのように過ごそうかと考えながらぼーっと過ごしていると、おれは見覚えのある姿を見つけた。向こうもこちらに気付いたようで、こちらに歩いてくる。

 

「やあ、ハムテルくん。こんなところで奇遇やな」

「……おお、はやて? 奇遇だな」

「なんで疑問形なんや」

 

 いや、決してドレスアップしたはやてが普段のイメージとかけ離れすぎていて誰か分からなかったわけじゃないぞ。「誰だこいつ」とか考えてなかったぞ!

 

「あ、もしかして私のこの格好に見惚れとったんやな? このこの」

 

 はやてはそんなことを言いながら肘でおれのことを小突いてくる。

 

「あ、あはは~実はそうなんだよ。ついつい見惚れちゃってさー。あはは……」

「なんやろな、そう言われるのは嬉しいはずなんやけど、全然嬉しい無いな」

 

 べべべ別に適当におだててはやてのことが誰か分からなかったことを誤魔化そうとしているわけじゃねーし!

 

「ところで、はやては何でここに? そんな恰好っていうことはプライベートか?」

「残念、どこかの不良査察官とかどこかの有給取りまくる二佐殿と違って私は仕事ですぅ」

 

 おやおや~それはおれに対する嫌味ですか~?流石にあの査察官と同列に語られるのは心外だぞ。

 ここで話題に上がった査察官とは、はやてやクロノさんの旧知の仲であるヴェロッサ・アコースさんである。彼はクロノさんもその腕を認めるほどのやり手の査察官である。しかし、決して良いとは言えない勤務態度に遅刻やサボリなど若干、いや、そこそこ問題があるのが玉に瑕なのだ。ちゃんと勤め先に許可をもらって休んでいるおれと一緒にしないでもらいたい。

 ちなみに、今日も有給取って遊びに来てます。

 

「ほんなら、そろそろ私は行くわ」

「うむ、お仕事頑張り給え」

「言われんでも」

 

 そう言ってはやては行ってしまう。

 

「また暇になってしまった」

 

 こんどこそおれはぼーっとして時間をつぶすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 機動六課に配属されてから最初の出動の時は敵が初めから動けなくなっていたこともあり、特に大きな問題も起こることなくこなすことが出来た。第97管理外世界への出張任務だって大丈夫だった。だけど、これまでの任務だけじゃ、自分がどれほど強くなれたのかわからなかったし、これまでやって来た訓練で強くなれた実感も特にない。

 あたしの周りには優秀すぎる相棒、将来有望すぎる後輩、強すぎる隊長達。そして、普段はどうしようもない人だけど、仕事になれば何だかんだとなんでもこなせるお兄ちゃん。

 そんな人たちと比べると私は見劣りしてしまうかもしれない。でも、あたしも同僚達や隊長達に後れを取らないように……いや、追いついて、追い越せるようにするんだ!

 

「遠隔召喚、来ます!」

「あれって、召喚魔方陣?」

「召喚ってこんなこともできるの?」

 

 キャロの言葉が合図となるように、目の前に紫色の魔法陣が浮かび上がる。突然現れた召喚魔方陣にエリオとスバルは驚いているようだ。もちろん、あたしも少し驚いている。

 

「優れた召喚師は、優れた転送魔法のエキスパートでもあるんです」

「なんでもいいわ。迎撃行くわよ!」

「「「おう!」」」

 

 あたしがみんなの会話を打ち切って、迎撃に集中するように促す。

 敵側の召喚魔導師が使った遠隔召喚によって多数のガジェットが目の前に現れる。

 現れたところを私のデバイス、クロスミラージュによる魔力弾をガジェットに撃ち込む。しかし、敵の動きが素早いため躱されてしまう。隊長達の話によると、有人操作に切り替わっているらしく、中々手ごわい。

 

「くっ……」

 

 あたしの弾を避けたうえにミサイルによる攻撃を仕掛けてくる。ミサイルは着弾させると爆風や地面の破片が飛び散り、完全に避けることが困難なので空中で迎撃する。

 

「ティアさん!」

 

 キャロの警告を聞き、自分が後ろから狙われていることに気付く。ミサイルの迎撃に集中していたところだったので危ない所だった。

 敵の攻撃を避けた後、あたしを撃って来たガジェットに攻撃を仕掛けるが、AMFによって魔力が減衰してしまい、有効なダメージを与えられない。やはり、今のあたしでは時間をかけて攻撃しないとだめなのだろう。

 

「防衛ライン、もう少し持ちこたえててね。ヴィータ副隊長がすぐに戻って来るから」

 

 ヴィータ副隊長が戻ってくるまで耐える? それではだめだ。もし、副隊長が来るのが遅れたら? ヴィータさんの実力を疑っているわけではないが、今回の敵は今までとは違う。いつもより手間取っているはずだ。もし、敵の増援が現れたら? 相手には召喚師がいるため、こっちに増援をよこすことは容易い。どちらにしても私たちの防衛ラインをすり抜ける敵が出てきてもおかしくない。ここは敵を全機落として次の攻撃までに余裕を持たせるべきだ。

 

「守ってばっかじゃ行き詰まります! ちゃんと全機落とします」

「え、ティアナ大丈夫? 無茶はしないで」

「大丈夫です」

 

 大丈夫、できる。いつも練習して来たんだから。

 

「エリオ、センターに下がって。あたしとスバルのツートップで行く」

「は、はい!」

「スバル! クロスシフトA。行くわよ!」

 

 エリオとスバルに素早く指示をだし、敵の殲滅に掛かる。クロスシフトAはスバルが敵の注意を引きつけて時間を稼ぎ、その隙にあたしが確実に仕留める。単純、それ故どんな時でも有効な陣形だ。

 

「おう!」

 

 スバルはあたしの指示に気持ちよく返事をしてくれる。

 現状で敵の増援が来るかもしれないという可能性を排除できない限り、単体での攻撃力が高いスバルとエリオの体力と魔力は温存しておくべき。あたしの普通の攻撃ではだめだったが、やりようはいくらでもある。

 

 カシュッ カシュッ

 

 両手に持ったクロスミラージュからそんな音がする。カートリッジ2発×2丁、計4発のカートリッジをロードする。

 

「ティアナ! 4発ロードなんて無茶だよ! それじゃ、ティアナもクロスミラージュも!」

「撃てます!」

「Yes」

 

 4発のカートリッジロードを注意されるが、こうするしかあたしの弾丸はガジェットには届かない。クロスミラージュもあたしに同意してくれる。できないわけがない!

 

「クロスファイヤー……」

 

 スバルはこちらの様子を伺ってあたしの射線上から退避する。撃つタイミングはここだ!

 

「シュート!」

 

 あたしの撃ちだす魔力弾が次々とガジェットに命中し、破壊していく。

 

「うわあああああああ!!」

 

 今扱っている魔力量は正直に言って自分の身の丈に合ったものではないが、これくらいできなければ仲間たちを追い越すなんてことは出来ない!

 

「!!」

 

 最後の一発がガジェットに避けられてしまう。だが、あたしの行動は早かった。

 

「てええぇい!!」

 

 さっきスバルが外したガジェットのいる方向に退避していたことは見ていた。つまり、このままではあたしの外れ弾がスバルに当たってしまう。そんなことをさせるわけにはいかないので、魔力弾が外れたと思った瞬間にその弾丸の魔力を解除し、消滅させる。すかさず、改めてもう一発魔力弾を撃ちガジェットに命中させ、破壊した。これで全機のガジェットを破壊したことになる。

 

「やったね! ティア!」

「ええ」

「お前達、やれたのか?」

 

 どうやら今ヴィータ副隊長が到着したようだ。

 

「はい! ティアがほとんどやっつけちゃったんですよ!」

「へー、ティアナやるじゃん」

「あ、ありがとうございます!」

 

 ヴィータ副隊長に褒められた……なんだか不思議な気分だ。

 

「でも、まだ油断するんじゃねーぞ。これで敵が来ないかどうかはわかんねーからな」

「「「「はい!」」」」

 

 あたしを含めて全員が返事をし、再びオークション会場の警備の任務に戻る。

 

 

 

 

 

 

 あの後もちょくちょく現れたガジェットを撃墜していき、オークション会場の警備任務は無事に終わった。今回の任務はあたしにとって大きな収穫があった。それはこれまでの訓練の成果とこれからの課題。まず、成果の確認として、今までのあたしなら4発のカートリッジロードによる魔力弾など扱えなかっただろう。しかし、今日はそれで敵を撃墜し、ミスショットにも冷静に対応することが出来た。だが、本来ならミスショットなどあってはならない。それも、その射線上に味方がいたというのは大問題だ。もしあのミスショットに対処できていなかったら……想像もしたくない。だから、こんなことをなくすこと。他にも、敵の攻撃の迎撃に気を取られて危ない時があったことなどがこれからの課題。

 

 今回の出動を通して、あたしは少しの自信とまだまだ強くなることが出来るという確信を持つことになった。

 

 

 

 

 

 

「くっそおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 おれは、慟哭した。

 

「若返リングを落とせなかったああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 若返リング

 

 金色の金属でできた腕輪状のロストロギアだ。効果は文字通り使用者を若返らせること。

 どれくらい若返らせるのかって?

 

 

 

 

 

 

 使用者の5~9歳児相当の頃まで。

 

 あとはもうわかるな? これを使えば変身魔法を覚えることなくスーパー銭湯の女湯に入れたというわけだ!

 

「お~いおいおいおいおい……」

「公輝、どういう泣き方だい、それ。でもまあ、あんな話を聞いた後だと君が落とせなくて安心してるよ」

 

 ユーノさんの無情な一言はおれの耳に入ることなく、消えていく。

 

 




撃った後の魔力弾を消せるのかどうかという疑問は投げ捨ててください。

追記
ティア編は無かったことになりました

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