それが日常   作:はなみつき

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すいません、どうしても先の話を書くにあたって旧74話の内容が邪魔をしてしまうので、無かったことにさせてもらいました。
自分で書いててひどいもんです。

なので、ティアには順調に行ってもらうことにしましょう。

##この話は修正されました##


アイスとシラミと65話

「お客さん、着きましたぜ」

「うむ、ご苦労や」

 

 おれは自転車を止めて、はやてに自転車から降りるように促す。はやてもその意をくみ取ったようで、自転車から降りる。

 

「それにしても乗り心地わっるいなー。これを機会に免許取って車でも買ったらどうや?」

「嫌だ! おれは前世で車の免許を取ろうとしたんだぞ」

「ほう?」

 

 はやてはおれの話を意外そうにしながら聞いている。

 

「そして、見事免許の試験に受かったおれは決めたんだ……」

「何をや?」

 

 何を? そんなの決まっている。

 

「もう絶対に車は運転しないというを事だ」

「……そうかい」

 

 何だその呆れたような顔は! 車の運転って怖いんだぞ! 周りの人は技能研修の中盤頃には運転に慣れて楽しくなるって言ってたけど、そんなこと全く無かったわ! 卒業試験のその日までビクビクしながら乗ってたわ!

 

「まあ、それは置いといて。はよ行こ」

「そうしよ」  

 

 ミッドの歩道は大きいため、自転車を押しながら歩くことが可能だ。ミッドチルダの街並みは現代日本の都会とそう変わることは無い。

 

「しかし、科学技術はこっちの方が発達してるだろうに、街並みってものは大して変わらないな」

「ん? なんや突然」

「ほら、100年後の未来とか想像しなかったか? 科学が今よりすごい発達して、空を飛んだりチューブの中を走る車とか、今の感覚で考えたら異様な服装とか。そういうのを想像してたんだが、期待外れだなーってさ」

 

 ミッドチルダの科学技術は地球のものを超えている。次元航行を行う技術がその最たる例だろう。つまり、ミッドは地球の未来の姿の様に考えていたのだ。しかし、ミッドの車は地上を走るし、街行く人々の服装はおれの感覚からして何の違和感もない。このあたりが人の到達できる限界なのだろうか? なんて考えてしまう。

 

「なんやのその昔の未来予想図。ハムテルくん年いくつやねん。おっさんかいな」

「誰がおっさんだ! 誰が!」

 

 バカな……おれの未来予想が古い……だと……おれってもうおっさんだたのか……

 あれ? じゃあそのイメージを知ってるはやては……

 

 ……

 

 そういう訳で、おれはブラックイーグル号をお供にしながらはやての付き添いをすることにする。

 

「で、どこ行くんだ? 服でも見るか? それとも映画? もしくはゲーセンで時間つぶすか」

「んーそうやなー……」

 

 おれが聞くとはやては考え込んでしまう。これはもしかすると……

 

「仕事のし過ぎで遊びを忘れたか?」

「んなアホな。なのはちゃんとフェイトちゃんやないんやで」

  

 今はやて、さらっとなのはさんとフェイトさんの事バカにしなかったか?

 

「きっと二人は二回くしゃみをしていることだろうな」

「ん? なんで二回なんや?」

 

 はやてがおれの言ったことに疑問を持ったようだ。では、お答えしようじゃないか。

 

「一褒め二腐し三惚れ四風邪って言って、くしゃみが一回なら誰かが自分を褒めて、二回なら悪口、三回なら恋バナの対象、四回ならただの風邪ってやつさ」

「へー、って私は別に悪口言ったわけやないで。あの二人は仕事熱心って遠まわしに褒めたんや」

 

 いやいやいや……直接褒めろよ。まあ、そんなことはどうでもいい。

 

「で、結局どこに行くんだ?」

 

 おれはこれからの目標の話に戻す。

 

「決まったで。ウインドウショッピングをしながら面白そうな店に入ることにしよか」

 

 結局決まらなかったようだ。はやてもあの二人のことをバカにできないな。

 

「くしゅん……へっくしょい!」

 

 おやおや。

 

 ていうか、はやてよ、くしゃみの仕方についてもう一度考えるべきだと思う。

 

「……ハムテルくんハムテルくん、そこにアイス屋があるで?」

「そうだな、あるな」

 

 盛大にくしゃみをした拍子に少し出た鼻水を誤魔化しながらはやてが言ってくる。

 

「今日は暑いし、食べたら美味しいやろな」

「……何味がいい?」

「抹茶で頼むわ」

 

 はやての無言の圧力(何も言わないとは言っていない)によって、おれははやてにアイスを買わざるを得なくなってしまった。まあ、ここでおれが甲斐性無しではないことを見せつけようじゃないか。

 

「抹茶アイス二つください」

「ありがとうございます!」

 

 アイス屋の兄ちゃんにおれとはやての分のアイスを注文する。

 

「お兄さんお兄さん」

「はい?」

 

 注文したアイスを待っていると、アイスを作りながら店員の兄ちゃんが話しかけて来た。

 

「お兄さんの彼女、管理局の八神はやてさんじゃないですか?」

 

 どうやら店員ははやての事を知っているようだ。

 管理局は言ってしまえば公務員であり、非常に安定した収入を得られる素晴らしい職場である。しかし、広い管理世界全体に対応するためにはどうしても人手が足りない。また、武装局員となるとさらに話は難しくなる。武装局員になるにはまず魔法が使えると言う適性が必要。そして、怪我をする可能性がある非常に危険な仕事である。そういった理由で武装局員の志望者は大変少ない。そういうわけで、管理局は事務員から武装局員まで募集をかけっぱなしだ。

 人々が管理局という職に興味を持ってもらうために、イメージ戦略としてやり手で美人の女性局員や頑強でイケメンな男性局員をメディアや雑誌で積極的に露出しているのである。

 

「ほ、本物なら是非サインをお願いしたいんですが?」

 

 そして、最近人気を博しているやり手で美人な女性局員と言うのが、なのはさん、フェイトさん、はやての三人娘なのである。非常に驚きである。非常に驚きである。

 つまり、彼女達はある種の有名人なのである。そんな人が街中を歩いており、アイドル視している人が見るとどうなるか?

 

「お願いします!」

 

 当然こうなる。

 

「よく似てるでしょ? 残念ながらあいつはアイスをおれに買わせるただのたぬきですよ」

「そうですか……本当によく似てますね」

 

 可哀想ではあるが、店員さんには我慢してもらおう。こういうことは一度やってしまうと俺も俺も! となってしまうからな。はやての休暇もぱあになってしまう。

 

「はい、抹茶アイス二つ」

「どうも」

 

 おれは店員からアイスを受け取りはやての方へ戻ることにする。

 

「なんや、さっきすごい失礼なこと言ってへんかったか?」

「気のせいさ。はい、アイス」

 

 そう、全ては気のせいなのさ。

 おれははやてにアイスを渡し、おれ自身もアイスを食べ始める。

 

「うーん、やっぱり買い食いは特別な美味しさがあるなぁ」

「小中学生が禁止されるくらいには禁断の味なんだろうな」

 

 バニラ、チョコ、ストロベリー……アイスの味は沢山あるが、やはり抹茶が一番美味い。異論は認める。それを分かってるはやては流石だ。

 

「で、何か買いたいものとか思いついたか?」

「無いな」

 

 この調子である。ここに来るまで、服屋、ジュエリーショップ、鞄屋、帽子屋と、様々な店の前を通り、それぞれの店が客を引き込むためのサンプルの前を通ったわけだ。しかし、はやてはそれらに興味は示すものの、買おうとすることは一度もなかった。

 この娘、本当に大丈夫だろうか……

 

「欲しいもんも特にないし、ゲーセンでも行こか」

「ん、了解。……あ、そうだ」

 

 おれは自分がかぶっている麦わら帽子をはやてにかぶせる。

 

「これで面倒な事にはならないだろ」

 

 変装と言うわけではないが、麦わら帽子だけで印象は大分変るはずだ。人と言うのは特定の人物をある特徴から判断することが多い。その特徴を隠してしまえばその人だと認識することが難しくなる。

 

「ん? まあええけど。シラミが移るやん」

 

 そう言うこと言うなよ。いねーよ、シラミ。清潔だよ。

 

 ……たぶん

 

 

 

 

 

 おれ達はミッドの街を周り、色々な店をひやかしていった。

 

 そんな時、エリオ君から全体通信が来た。

 

 

 


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