##この話は修正されました##
ヴィヴィオちゃんを保護した次の日。
六課に連れて行かれたヴィヴィオちゃんは色々あって聖王教会で引き取ることになった。と、思いきや、なのはさんに付いて再び六課に来ることになった。ヴィヴィオちゃんからすると迷惑極まりない。
そういう訳で、休憩時間に入ったおれはヴィヴィオちゃんと遊ぶべく、レクリエーションルームに向かっている。あのくらいの子と遊ぶのは大変ではあるが、独特のセンスと感覚で一緒に居るとおもしろいんだよな。
そんなことを考えながらおれは部屋の扉をくぐる。
「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁん!!!!やあああああだあああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
「おーっす……って、何事!?」
部屋に入って飛び込んできたのはヴィヴィオちゃんの泣き叫ぶ声だ。部屋の扉を開けるまで全く気が付かなかったぞ。うむ、六課の防音設備はすばらしいな。
六課の壁に感心しつつ、おれは状況を把握する作業に努める。
何やら困惑している様子のスターズとおろおろしているライトニングの面々。
ヴィヴィオちゃんをどうにかしようとしているなのはさん。
そして、泣き叫ぶヴィヴィオちゃん。
この状況から導き出される答えは……
「なのはさん! いくらなんでもこんな人目のある場所で幼女誘拐はマズいよ! みんなも、上官だろうと間違いは間違いとしっかり指摘しないと!」
「ちょっと待って、公輝くん! それはとてつもない誤解だよ!」
嘘だ! 犯罪者はみんなそう言うってはやてが言ってたぞ!
「なにやっとるんや」
そんな感じでグダグダしていると、おれの後ろからはやてとフェイトさんがやって来た。
なにやらフェイトさんとなのはさんが視線を交わしあったと思ったら、フェイトさんがヴィヴィオちゃんの方に向かってヴィヴィオちゃんをなだめ始めた。
「はやて、なのはさんがフェイトさんと協力してヴィヴィオちゃんを連れ去ろうとしてるけどいいのか?」
「はぁ?」
「誤解だって!」
「えっ」
はやてには「お前は何を言っているんだ」と言うような表情で見られ、なのはさんは無罪を主張し、フェイトさんは驚いている。
☆
「なんだ、そういうことか」
何があったか知らないが、ヴィヴィオちゃんはなのはさんにとても懐いている。そんななのはさんがこれから出かけなければいけないと知って、なのはさんと一緒に居たいヴィヴィオちゃんがぐずっていたそうだ。
「おれはてっきりなのはさんに誘拐されそうになってるヴィヴィオちゃんが必死に抵抗しているものかと」
「そんなわけないでしょ……」
なんだか疲れた様子で返事をするなのはさん。
「そんでな? 私たちもちょっと出なあかんから、ハムテルくんもみんなと一緒に留守番頼むわ」
「おっけー」
元々おれはヴィヴィオちゃんと遊んで和むためにここに来たので拒否する理由もない。
「じゃあヴィヴィオちゃん、お に い さ ん と遊ぼうか」
「うん! おじさん!」
ヴィヴィオちゃんの機嫌も良くなったようだし何よりだ。ただ、一つだけ解せないことがある。
「ヴィヴィオちゃん、おれのことはお兄さんって呼ぼうな? お兄さんとの約束だ!」
「約束? わかった! おじさん!」
うん、何も分かってないね。
この子、光の速さで約束を破っていくスタイルか。侮れん。
はやての笑いを押し殺しているように見せかけて、実はおれに聞こえるギリギリの大きさの声で笑っているはやての笑い声を聞きながらおれはヴィヴィオちゃんとの遊びとヴィヴィオちゃんにどうやってお兄さんと呼ばせるかという方法を考える。
☆
部屋のスライドドアが開く音が聞こえた。
「ただいま~」
「ヴィヴィオ、いい子にしてた?」
「帰ったでー」
なのはさん、フェイトさん、はやてが用事を済ませて帰ってきたようだ。
「あ! おかえりー!」
さっきまでおれと一緒に遊んでいたヴィヴィオちゃんだったが、なのはさん達の声を聴いた瞬間に飛び出していった。
じゃあおれは、仕事から帰った夫風に帰って来たはやてに対して返事をしてあげよう。
「おかえりなさい。シーツにする? 枕にする? それとも……ふ、と、ん?」
「取りあえず寝具単品やなくて、ベッド一式よこしーや」
うん、もっともな意見だと思う。
「ヴィヴィオは何して遊んでたの?」
「おべんきょー!」
なのはさんがヴィヴィオに今まで何をしていたのか聞いている。きっと用事を済ませている間も気になっていたに違いない。
「よし、ヴィヴィオちゃん。みんなに成果を見せてやるか!」
「おー!」
おれはヴィヴィオちゃんと勉強していた時に使っていたスケッチブックを取り出す。
「行くよ、ヴィヴィオちゃん」
「おっけー」
スケッチブックの1ページ目をめくり、ヴィヴィオちゃんとなのはさん達にも見せるように掲げる。
「これは?」
「モナー!」
「これは?」
「ギコ!」
「これは?」
「しぃ!」
「これは?」
「つー!」
「流石だよな?」
「俺ら!」
「ヴィヴィオちゃん! 完璧だぜ!」
「やったー!」
おれとヴィヴィオちゃんはハイタッチをして喜びを共有する。まさかしぃとつーをしっかり見分けることが出来るようになるとは……成長したな!
「……」
「……」
テンションアゲアゲのおれとヴィヴィオちゃんとは反対に、なのはさんとフェイトさんの反応は冷たい。
「……あの……何の勉強してたの?」
なのはさんがおれに聞いてくる。何の勉強って、そんなの決まってる。この情報社会で生き抜くために今やインターネットは必要不可欠。そのインターネットの中で広く使われている特殊記号を瞬時に理解することは、顔の見えない相手と意思疎通をする時に重要な役割を果たす。
なんの勉強かというと……
「アスキーアートの勉強」
「何教えてるのおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」
なのはさんの絶叫が部屋中を駆け巡る。でも、六課の壁は有能だから外に漏れることは無いだろう。
「流石やなハムテルくん」
だろ? やっぱりはやては分かってくれたか。
「けどな、そのAA最近はもう使われてへんで」
「えっ」
時の流れのなんと残酷なことか。
ちなみに、まだヴィヴィオちゃんにお兄さんと呼ばせることはできていない。
( ´∀`)←モナー
(,,゚Д゚)←ギコ
(*゚ー゚)←しぃ
(*゚∀゚)←つー
( ´_ゝ`)←兄者 と(´<_` )←弟者 二人合わせて流石兄弟