それが日常   作:はなみつき

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⌒*(・∀・)*⌒


##この話は修正されました##


訓練とカードと69話

「よし、ヴィヴィオちゃん。何して遊ぶ?」

「うーんとねー、えーっと……」

 

 今、なのはさんとフェイトさんをはじめ、いつもヴィヴィオちゃんの面倒を見ているフォワード陣は訓練を行っている。そういうわけで、今は六課の寮母をしているアイナ・トライトンさん、ヴィヴィオちゃんの護衛のザフィーラさんと共にヴィヴィオちゃんの面倒を見ているのだ。

 

「私もママ達みたいに訓練したい!」

「えっ……訓練かー」

 

 ヴィヴィオちゃんの言うママ達と言うのはなのはさんとフェイトさんのことだ。なのはさんが保護責任者で、フェイトさんが後見人をしている。

 これは特に関係ない話だが、ヴィヴィオちゃんはなのはさんとフェイトさんと一緒に寝ている。つまり、なのはさんとフェイトさんは一緒に寝ている。

 

 ……

 

 まあそれはどうでもいいか。

 そういう関係となって、ヴィヴィオちゃんはあの二人をママと呼ぶようになった。こうなってくるとおれだけおじさんと呼ばれるのが解せない。お兄さんと呼んでくれないのなら、せめてパパと呼んでくれた方が嬉しい。

 ……いや、決して社会的になのはさん達そういう関係であるかのように見せかけるために、その呼称を望んでるわけじゃないぞ? おじさんとパパだったら、パパの方が若そうな感じがするからそう呼んでほしいだけだからな?

 

 それよりも訓練か。ヴィヴィオちゃんでもできる訓練って何があるだろうか。まだ彼女はなのはさん達の様に魔法を自在に行使することは出来ないから、みんなに混ざることも出来ない。そもそも幼女にやらせるようなものではない。

 ならば、体力づくりの基礎トレーニングでもやらせるかというと、ヴィヴィオちゃんが途中で飽きる未来しか見えない。

 どうしたものか……

 

「むむむ……あっ」

 

 ヴィヴィオちゃんでもできる訓練を考えていたおれはある技術を思い出した。この技術なら必要なものはただ一つだけでいいし、できた時の達成感はきっとヴィヴィオちゃんを満足させることが出来るだろう。何より、実用的だ。

 

「よし! ヴィヴィオちゃんにはおれの必殺技を伝授するための訓練を付けてあげよう!」

「本当!」

 

 ヴィヴィオちゃんのキラキラとした視線がおれを突き刺してくる。うむうむ、この期待に満ちた視線はなんともこそばゆいな。

 

「そういう訳でアイナさん、ちょっと外に出てきますね」

「はーい。御昼までには帰ってきてくださいね」

「わかりましたー」

 

 おれは自分の部屋に行き必要な物を取りに行く。

 

 

 無事、目的の物を確保したおれはヴィヴィオちゃんに向き直る。

 

「それじゃ、ヴィヴィオちゃん。訓練に行こう!」

「おー!」

 

 おれは40枚ほどの紙束を手に、外の訓練場へ向かう。

 その間、おれはザフィーラさんに胡散臭そうなものを見るような目で見続けられた。何故だ。

 

 

 

 

 

 

 ヴィヴィオちゃんにアレを教え始めて2時間ほど経った。ヴィヴィオちゃんは飽きることなくおれが要求したことをすべてこなしていった。 

 

「……やった……やったよー!」

「やったな、ヴィヴィオちゃん! この短時間でここまで習得できるとはおれの想定以上だ!」

 

 ヴィヴィオちゃんは今おれが教えることのできるすべてを習得したのだ。これ以上を教えるとなると、おれが知っている限りでははやてに教えを乞うしかない。

 正直、ヴィヴィオちゃんの呑み込みの速さには嫉妬してしまうほどである。しかし、教えている子が出来るようになったときのこの感覚は、何とも言い難い素晴らしいものなのだな。教職を目指す人の気持ちが少しだけわかった気がする。

 

「っと、そろそろみんな終わった頃かな。なのはさん達の所に行くか。そんでもって、ママたちにできるようになったこと見せてあげような」

「うん!」

 

 おれたちはなのはさん達が訓練を行っている場所へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 みんながいる場所へ向かうと、少し離れたところに女性二人がフォワード陣を見ていた。一人はフェイトさんの補佐のシャリオ・フィニーノさんだ。シャリオさんはみんなからはシャーリーと言う愛称で呼ばれている。おれもそう呼んでくれと言われたのだが、おれは人を、特に女性を愛称で呼ぶことに慣れておらず、呼ぶのが躊躇われてしまったのだ。それからずっとシャリオさんと呼んでいる。べ、別に女性経験が少ないから緊張してるわけじゃねーし!

 もう一人は見たことのない人だ。

 

「おっす」

「おはようございます」

「ああ、えっと、おはようございます」

「おはよう、ヴィヴィオ」

 

 ヴィヴィオちゃんはしかっかり挨拶のできるいい子である。それに答える様に白衣を着た女性とシャリオさんも挨拶を交わす。

 

「うん。失礼します」

「ああ、どうもご丁寧に」

「転んじゃだめだよー」

 

 ヴィヴィオちゃんの丁寧過ぎるあいさつに白衣の人は戸惑っているようだ。うん、おれもびっくりしている。これじゃあおれがちゃんと挨拶できない人みたいじゃないか。

 ヴィヴィオちゃんは走ってなのはさん達が集まっている所へ行ってしまった。

 

「ところで、あなたは? おれはマサキ・サカウエと言います。医務室の(ぬし)をやっています」

 

 おれは見たことのない女性に自己紹介しつつ、名前を尋ねる。最近ようやっとミッド式の名前の言い方に慣れてきたところだ。

 

「失礼しました。今回、本局の方から機動六課へ出向となりましたマリエル・アテンザです。よろしくお願いします」

「よろしく、アテンザさん」

「どうぞ、私のことはマリーと呼んでください」

「えっ……あ、はい。マ、マリー…………エルさん」

「ん?」

 

 マリエルさんが不思議そうな顔をする。やめて、見ないで、恥ずかしいから。

 

「あはは、だめだよマリー。マサキ先生女の子に不慣れだから恥ずかしがって愛称じゃ呼んでくれないの。私も」

 

 やめて! おれも頑張ってるんだから!

 もう10何年も前の、それも前世の頃の男子校生活の弊害がこんなところまで……

 はやて達と会った時はまだみんな幼かったから何とも思わなくて、今もその流れで緊張するということは無い。しかし、新しく知り合う大人の女性相手だとどうにも緊張してしまう。

 

「おっと、ヴィヴィオちゃんのことを忘れてた。それじゃ、おれはこれで」

 

 おれはヴィヴィオちゃんを追いかける。

 

「あ、先生逃げた」

 

 シャリオさんがなんか言ってるけど何も聞こえないから。

 

「おーっす、みんなお疲れー」

「あ、お疲れ様です。マサキ先生」

「もしかして、マサキ・サカウエ二佐ですか?」

「ん? そうだけど。君は?」

 

 スバルさんと同じような髪の色をしている女性が話かけてきた。

 

「陸士108部隊より出向してまいりましたギンガ・ナカジマです」

 

 ナカジマ? スバルさんと同じ苗字だ。そういえば、スバルさんにはお姉さんがいた気がする。

 

「空港火災の件では、本当にありがとうございました!」

「ああ! あの時の! いえいえ、どういたしまして」

 

 スバルさんを発見した後、フェイトさんに抱かれた少女が彼女だ。そうか、大きくなったなぁ。こんなに大人の女性に囲まれるとおれの精神が削られるなぁ。

 

「ヴィヴィオと公輝くんはどうしてここに?」

「おお、そうだ。みんなにヴィヴィオちゃんの訓練の成果を見せてあげようと思ってな」

 

 ここに来た目的を忘れていた。なのはさんが聞いてくれたおかげで思い出すことが出来たよ。

 

「えー……もしかして公輝くんが?」

「もちろん、そうだが?」

 

 なのはさんとフェイトさんがおれをジト目で見つめてくる。

 な、なんだよ……そんな目で見つめられたら新しい扉を開いちゃうぞ!

 

「変なこと教えてないよね?」

「失礼な。ヴィヴィオちゃんは微妙な状況だろ? それで、何かあった時のために護身術を教えていたのさ。もちろん、ヴィヴィオちゃんでもできるものをな」

「へー、意外とちゃんとしたものだね」

 

 意外ってなんだよ。

 

「ヴィヴィオちゃん、ママたちに訓練の成果を見せつけてやるんだ」

「うん!」

 

 そう言ってフェイトさんに抱かれていたヴィヴィオちゃんはそこから飛び降りる。

 おれは目標となる木に目印となる的を設置していく。数は三だ。

 

「いいぞ、ヴィヴィオちゃん」

「うん! いくよー……えい!」

 

 ヴィヴィオちゃんが掛け声の後に的に何かが突き刺さる音がこの場に響き渡る。

 

「うーん、惚れ惚れするほど完璧だ」

「ほんと? やったー!」

 

 本当にすごい。全部的の真ん中を射抜いている。

 

「どや? なのはさん、フェイトさん。ヴィヴィオちゃんすごくね?」

「……」

「……」

 

 二人とも固まってしまった。確かに、これは固まっても仕方のないほどすごいものだ。

 

「あの……これは?」

 

 なのはさんが聞いてくる。

 

「うむ、これは極めれば時に曲がり角で潜む敵を撃退し、時に拳銃の発砲を阻止し、時に鉄の鎖すらも切り裂くことが出来る技術。カードを信じる心さえあれば扱えるからヴィヴィオちゃんの護身術にはぴったりだと思ったんだ」

「えっと……つまり?」

 

 フェイトさんが聞いてくる。

 

決闘者(デュエリスト)の基本スキル、カード手裏剣だ」

「「だから何教えてるのおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 ピッタリだと思ったんだけどなー。

 

 ちなみに、はやてはカードで鉄を切ることが出来る領域にいる。

 

 

 

 

 




早朝訓練ですが、午前の訓練という事で。

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