それが日常   作:はなみつき

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StSの終わりも近くなってきましたね。
終わりがあっけなくてもがっかりしないでくださいね(予防線)


##この話は修正されました##


キャラメルミルクとミルクティーと70話

 

 今日機動六課の主力は地上本部で行われる公開意見陳述会の護衛任務に当たっている。この陳述会は約半日をかけて行われる非常に大規模なものである。護衛であるフォワード陣も昨日の夜から現地入りしている。本当にお疲れさんですな。

 

「ま、まあまあ。そんな落ち込まないで。おじさんがあま~くて、おいし~いミルクティーをいれてあげよう」

「……キャラメルミルクが良い……」

「キャラメルミルクの作り方は知らないな……」

 

 だけどな、おれのこともお疲れさまと労ってほしい。具体的にどれくらい参っているかと言うと、自分で自分のことをおじさんと呼ぶくらいには参っている。

 

「あー、じゃあ! 特製ミルクティーに加えて、この間なのはママのママが送ってくれた美味しいケーキも付けちゃおう!」

「……じゅるり……」

 

 今ヴィヴィオちゃんにあげようとしているものは本当はおれが食べる予定だった物だが、この際仕方ない。

 

「うーん、困ったな……」

「……ママ……」

 

 もうヴィヴィオちゃんのテンションをあげる策が思いつかない。

 はい、もうわかっていると思うが、今おれは長い間ママと離れ離れになってしょぼんとしている女の子をどうにかして元気づけようとしている。

 

「仕方ない、アイナさんに救援を頼もう」

 

 おれはいつもヴィヴィオちゃんの面倒を見ている女性の事を思い出す。彼女を呼びに行くためにおれはヴィヴィオちゃんのいる部屋から出ようとするが、

 

「……」

「あ、あのー……ちょっと……」

 

 ヴィヴィオちゃんがおれの服の裾を掴んで離さない。決して力が強いわけではないが、小さい子供特有の謎の力の所為でおれはそこから動けなくなる。

 まあ、なのはさんとフェイトさんの次くらいには懐かれているってことかね?悪い気はしない。

 

「よし! 気分が落ち込んでるときは散歩して気分転換するのがいいんだぞ! おじさんと一緒にミッドの街に行こう!」

「……うん」

 

 どうやら外に出るという選択肢は間違いではなかったようだ。ヴィヴィオちゃんが肯定を示したのがその証拠。

 ちなみに、今日の仕事はきっちり終えているため、何事も無ければ自由にできるのだ。急患が来た場合もまだエナドリ残ってるから大丈夫。まあ、外に出ているという旨を知らせるためにはやての机の上に外出届を置いておく。

 そんなこんなあり、おれとヴィヴィオちゃんはミッドの街で遊ぶことにしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった? ちょっとは気分も紛れたんじゃない?」

「……うん」

 

 おれはヴィヴィオちゃんを肩車してミッドの遊べる施設を巡りまくった。ゲーセン、カフェ、図書館、水族館、動物園、etc……おかげで、周りは薄暗くなってきてしまった。早く帰らないとはやてに怒られるかも。まあ、遅くなるかもとはアイナさんに言ってあるから問題ないだろう。

 ヴィヴィオちゃんの口数は少しずつ増えてきたとはいえ、まだまだ最高のテンションとは言えない。精神的なものはおれの能力でも治してあげることは出来ない。せいぜい、ずっと触れていることで落ち着かせる程度だろう。

 他に面白い場所はあっただろうか……

 面白いか……

 面白い奴ならいるな。

 

「ヴィヴィオちゃん、これからおれの友達の所に行くか?」

「おじさんの友達?」

「ああ。変な人だけどきっと面白いと思うぞ」

 

 正直、あの人とヴィヴィオちゃんを合わせてしまって良いものか分からないが、あそこにはしっかりした娘たちが沢山いるから大丈夫だろう。

 

「……行く」

「よっしゃ。じゃあ行こうか」

 

 そうと決まったらまずは人目のつかない場所へ移動する。

 おれはスカさんの家の場所を知らない。行く時はいつもウーノさんが連れて行ってくれるからだ。しかし、もしおれが一人でスカさんの家に行く時のためにとスカさんがあるアイテムをくれた。

 それは、魔力池駆動簡易転送装置と言う。魔力池とは電池の魔力版と考えてもらっていい。魔力が絶望的に足りないおれが転移魔法を使うために、あらかじめ魔力が赤い宝石部分に貯められており、その魔力を使って転移が出来るという物だ。また、この中には転移魔法の式も込められている。転移先を限定することによって、本来は巨大な転移装置を携帯できる程に小型化できたらしい。

 さて、じゃあ何故転移するのに人目を避ける必要があるのか? それは、転移魔法はその性質上、基本的に管理局の許可なしに使ってはいけないのである。スカさんはこれを渡す時に許可は取ってあると言っていたが、同時に人目のつかない場所で使ってくれと言ったのだ。本当に許可取ってんのかよ。

 

「ヴィヴィオちゃん準備は良い? 転移するよ」

「うん」

 

 おれたちは次の遊び場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 クックック……とうとうこの日が来たのだ。

 この私が既存の世界秩序を破壊し、新しい世界が始まる第一歩の日だ!

 

「ドクター、ルーテシアお嬢様からの報告です。機動六課にて聖王の器を発見できなかったそうです」

「何? なかなか思い通りにはいかないものだね」

 

 ウーノの報告は私としては好ましくないものだった。が、これくらいでなければ面白くない。

 

「また、マサキ医師の姿も見えないことから、彼が聖王の器を連れ出した可能性があるそうです」

「ふむ」

 

 私の動きを予想していたのか? 彼も機動六課の一員。これまでに様々なヒントを与えてきたから、上司から聞くなりして私が一連の事件の首謀者であるという事に気が付いているだろう。

 ふふふ、やはり彼はいつも私の想像を超え、私のことを楽しませてくれる。

 

「なーに、やりようはいくらでもある。ならばプランBを発……」

「おーっす、スカさん。遊びに来たぜー」

「お、お邪魔します」

 

 高らかにプランBへの移行を宣言しようとしたその時、私の後ろから想定外の声が聞こえてきた。

 

「え?」

「え?」

 

 本当に……彼は私の想像をいつも超えてくれる。

 

 プランBを発動する必要がなくなった瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 




プランB…高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処する

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