それが日常   作:はなみつき

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!ごめんなさい!修正中に間違って消してしまった話を何も考えずに再投稿したら上がってしまいました!紛らわしいことしてごめんなさい!




StS編しゅーりょー!!

なんかスカさんが一番ヒロインしてるかも……
wiki引用あります。

##この話は修正されました##

補足

この物語ではドゥーエ姉さまも生きて捕まっています。


落着と友人と73話 ←修正前最新話

 

 

 

 

 

 夢を見ている。

 何故夢と分かるのか? その説明はなんだか前もしたような気がする。それじゃあ今回の夢だとわかった理由は何か。それは自分の体が女であるからだ。いくら夢の中のぼんやりとした意識であっても、今年で30年近く付き合ってきた自分の体を間違えるわけがない。

 ところで今日の夢は、ある日平和なオークの村へオークを討伐しに行った女騎士になった夢だ。しかし、圧倒的数になすすべもなく、女騎士おれの奮闘むなしくオークに捕まってしまう。そして今は両手を荒縄で縛られてオークたちの前に転がされている。

 

「ぐへへ……エロ同人みたいに乱暴してやる……」

「クッ……殺せ!」

 

 

 

 

 

 

 

「……ハッ! なんだかとても危ない所だった気がする」

 

 さっきまで見ていた夢を詳しくは思い出せないが、なんだか縛られていたような気がする。寝起きだというのになぜか高鳴っている心臓が夢の中で危ない所だったという事を証明している。

 

「ふぅ……って……なんじゃこりゃ」

 

 落ち着くために顔に滲んだ汗を手でふき取ろうとしたのだが、両腕がバインドによって縛られているため汗を拭くことが出来なかったのだ。

 

「ま、まさか、正夢……だと……!?」

 

 そういえば今おれがいる場所も身に覚えがない場所である。おれが寝ているベッドは清潔感溢れる白いシーツに白い布団でふかふかベッド。床や壁は金属質でアブナイ連中の住処って感じではなさそうだ。アブナイ研究室って可能性は捨てきれないが。

 

「……逃げるか」

「何逃げようとしてんねん」

「クッ……殺せ!」

「とりあえず話を聞いてから考えよか」

 

 部屋にあったドアから入って来た人物ははやてだ。ていうか、今のはやて言い方からすると話の内容次第ではおれは殺されるのか! どうしてこうなった……

 

 

 

 

 

 

「と言う訳でして」

「ふむふむなるほどな。まあ、そういうことにしといたるわ」

 

 おれははやてがする質問に答える形でこれまでの話をした。はやての話によると、ミッドで起こっていたテロはジェイル・スカリエッティことスカさんを主犯として、スカさんの娘たちが起こしていたのだ。そのテロの中で六課は壊滅し、ミッドの街中をとても危険でとても巨大な艦の形をしたロストロギア『聖王のゆりかご』が飛び回っていたらしい。果てしなく覚えがあるのは気のせいではない。

 だが、六課の施設が破壊された程度では諦めなかったはやて率いる機動六課が管理局から次元航行艦を一隻借り、それを仮の本部として事件に対処したと言う訳だ。

 はやての話を聞いて、スカさんがテロリストだったという事実は驚きを隠せない事であるが、それ以上に驚きを隠せない事実がある。それは……

 

「つまりなんだ……世間一般から見たおれは、史上最悪のテロリスト『ジェイル・スカリエッティ』に様々な協力をしたうえ、事件収拾に努める管理局員のはやてを足止めした管理局の裏切者……とな?」

「まあ、そうなるな」

 

 なん……だと……

 まさかおれの知らない間に社会的に死ぬことになろうとは……

 

「まあ、一般人どころか一般の局員にすらハムテルくんのことは知らされてへんけどな。知っとるのは管理局の上層部の一部だけや」

「ん? それって人知れず消されるという意味なのでは?」

 

 果たして社会的に死ぬのと人知れずひっそりと死ぬのとどちらがマシなのか……

 

「そうはならんと思うで」

「えっ?」

「なんやハムテルくんが今まで元気にしてきたお偉いさん達が「あの優秀な人物を管理局から失くすわけにはいかない」とか何とか言うて、ハムテルくんのことを擁護しとるからな」

 

 ああ、あのおっちゃん達……ありがてーなぁ……

 

「まあ、それ以上にジェイル・スカリエッティ自身がマサキ・サカウエを利用したのは自分で、彼は何も知らなかったと供述したからってのが大きいな」

「スカさん……」

 

 一度スカさんとは話さないといけないな。

 

「ほんでも、組織としての体裁を保つために一応ハムテルくんに罰を与えることになったんよ。少しだけとはいえハムテルくんにええ感情もっとらん人もおるからな」

「罰ねー」

 

 おれに悪感情を抱いてるっぽい人がいるというのは知ってた。どうも彼らにとっては都合の悪い人を沢山治してきたらしいからな。まったく、難儀なことだ。

 

「具体的には二等陸佐相当から一等陸尉相当への降格やな。二階級降格とかやるやん」

「これ、おれが局の本当の士官だったら士官人生終わりだな」

 

 左遷コースまっしぐらである。

 尤も、お飾りの階級であることに加えて、おれは階級に興味はないから実質御咎めなしだな。給料も三尉の時ので十分だったし。

 

「スカリエッティと繋がっとったレジアス中将も逮捕されて、ハムテルくんの後見人がおらんようになってもたし、まあしゃーないっちゃしゃーないな」

「え? ゲイズ氏捕まったの?」

「どうも中将はスカリエッティに戦闘機人の技術を貰うつもりやったみたいや。地上の平和を守るためにな……」

 

 戦闘機人。

 人体に身体能力を強化するための機械部品をインプラントし、人の身体と機械を融合させ、常人を超える能力を得たサイボーグの総称。ただ、この技術は倫理的に問題が大ありのため、禁止されている技術なのである。そんな技術を使ってでもゲイズ氏はミッドの平和を守ろうとしたのだ。

 

「そうか……ゲイズ氏捕まっちゃったのか……おれは嫌いじゃなかったけどな、あの人の事」

 

 何が何でも自分の故郷の平和を守ろうとしていた(おとこ)のことをどうして嫌いになることが出来ようか。やり過ぎちゃったことは否定できないけど。

 

「そうなん? それはそうとして、スカリエッティもナンバーズも全員捕まえて今回の地上本部襲撃を始めとした一連の事件は終わりを迎えたっちゅうわけや。誰も大きな怪我もせんかったし、一件落着やわ」

 

 一件落着……か。

 いや、まだだ。まだ、おれには一つやらなきゃいけないことがある。

 

「はやて。おれちょっと出かけるところがある」

「……そうか。なんか手伝えることあるか?」

 

 はやてはおれがどこに行きたいのか分かってくれたようだ。なら、早速はやてに手伝ってもらうことにしてもらおう。

 

「とりあえず、このバインドを解いて自由にしてくれ」

「あ、それは無理や。ハムテルくんまだ一応参考人だから」

「クッ……殺せ!」

 

 拘束が解かれたのは数時間後の事だった。

 

 

 

 

 

 

 おれが今日訪れたのは管理局の施設の一つである軌道拘置所。ここにはスカさんを含め、ウーノさん・トーレさん・クアットロさん・セッテさんの5人が収監されている。

 

 

「やあ。久しぶりだねマサキくん」

「ああ、久しぶりだな」

 

 今日ここへ来た理由はスカさんと面会するためだ。軌道拘置所とは世界規模のテロリストや次元犯罪者の中でも「危険人物」とされた重犯罪者を収容する施設である。そんな場所に収監されている人物と面会は基本的に許されないのだが、今までおれが作って来たコネを駆使して面会の許可を得た。だが、面会はアクリル板越しにすら直接顔を合わせることが出来ず、モニター越しの通信で行われる。警戒の仕方が尋常ではない。

 

「そちら側にいるという事は無事だったようだね」

「ああ、スカさんのおかげ……っていうのも変な話か?」

 

 そもそもがスカさんの所為だしな。

 

「それで、私に何か用かい?」

「ああ。ヤンチャやらかして捕まった友人と話をしにな」

 

 スカさんは手を組む所謂ゲンドウポーズでおれの言葉を聞いている。相変わらずのようだ。

 

「ふぅん、私は君の友人なのかい?」

「え、もしかしておれが一方的に思ってただけなのか? それはとても恥ずかしいぞ」

 

 うん、すごい恥ずかしいぞ。

 

「私は君を利用したのだぞ? 下手をすれば君は稀代の凶悪犯罪者の協力者だ」

「まあ確かに、犯罪者にされるのは流石に勘弁だ。だけどそのことはスカさんが否定してくれたじゃないか。だから、おれはそのことに関してスカさんを許す」

 

 友人のためとはいえ流石に犯罪者にされるのは堪ったものではない。だけど……

 

「友人なんてもんは利用してなんぼさ。おれだってスカさんに色々なもの作ってもらうように頼んだしな。おれだってスカさんを利用してる」

「それはそうかもしれないが」

「おれが思うに友人関係ってのはな、友人に利用されて、そのことを気持ちよく受け入れることが出来る関係だと思うんだよ。そんで、利用されたことに対して怒りやなんやらの負の感情が浮かぶなら、その人とは友人ではないってことさ。もちろん、利用されるのにも限界はあるけどな」

 

 おれは肩をすくめながら言う。

 

「おれはスカさんに利用されても何とも思わない……いや、違うな。友人の助けになれるならおれは嬉しい」

「……君はまだ……私の事を友人だと思ってくれるのかい?」

 

 いつも自信満々に振る舞うスカさんとは思えないほど弱々し気だ。こんなスカさんをおれは見たことが無い。

 

「もちろんだとも。ところで、おれは一方的にスカさんの事を友人と思っていたのだろうか?」

 

 おれはさっき判明したかもしれない驚愕の事実を確かめることにした。これで一方的な感情だったとしたら……

 

 とても……恥ずかしいです……

 

「……いいや、私は……君のことを友人だと思っている」

 

 よかったぁ。これで「え? 友達な訳ないじゃん」とか言われたら泣く自信がある。

 

「ふふ……じゃあスカさん! おれは今からスカさんを利用する!」

 

 持ってきた鞄の中から一枚の紙を取り出し、スカさんに見える様にカメラに写す。

 

「次はこいつを作ってくれ! 期限はいつまででもいいぞ。出来ればおれが元気な内に完成させてもらえると助かる」

 

 おれがスカさんに見せた紙は『Dホイール』の仕様書。いや、設定資料とも言っていいかもしれない。つまり、おれがスカさんに依頼したのは『Dホイール』の作成である。

 

「! ふっ……良いだろう……私は喜んで君に利用されよう!」

 

 スカさんはそういうとフゥーハハハハ!! といつものように笑う。

 おれに友人が一人増えたことが確定した瞬間である。

 

 

 取りあえず、バイクの免許を取ることにしよう。

 

 

 




 みなさん、ここまでお読みいただいてありがとうございました!
 書き始めた当初の目標のStS編完結までなんとかこぎ着けることが出来ました。約17か月間、約20万文字。よく書いて来たなと思います。(約10か月間の放置期間から目をそらしながら)

 さて、目標のStSまでやって来ましたが、もちろんこのままこの物語はvividもやるつもりです。しかし、作者はvividのアニメを見て小説を書く気でいたのですが、アニメは「私たちの戦いはこれからだ!」エンドでvividの小説を書くにはちょっと情報が足りません(適当に書いて矛盾が出てもいやですし)。
 そこで、vividの原作を手に入れようと思うのですが、イゴース=ド=イカーナに住んでいる私は本を手に入れるためには少し時間が掛かります。資金が潤沢と言う訳でもありませんし。ちょっと待っていてください。その間空白期でお茶をにご……物語を紡いでいく予定です。

 ただ、直近の予定としては序盤の話をいくつか統合し、1話当たりの文字数を増やしたり、誤字脱字を減らしたり、細々修正したりする予定です。

 これからも拙作『それが日常』をよろしくお願いいたします。
 もちろん、外伝『こんなの非日常』もね!

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