それが日常   作:はなみつき

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修正終わりました。
ちゃちゃっと終わると思っていたのですが、想像以上に大変でした。
後半の話は見直しが大分雑になっているので誤字脱字がそのままかもです……


空白期3
近況説明と臨時講師と74話と日常


 

 スカさんが起こしたテロの後、全壊した機動六課を修復し、通常業務をこなして行く内に約半年が経った頃。辺りでは桜が咲き乱れ(まあ、ミッドに桜はないのだが)、出会いと別れの四月。機動六課の試験運用期間はこの四月で終わり、隊長達、フォワードメンバー、ロングアーチメンバー、事務員は元の所属部隊へと戻ったり、新しい部隊へ配属されたりしていった。戦う人たちは試験運用終了のその日に最後の模擬戦をするという少年漫画バリの別れを果たし、みんな笑顔で機動六課は解散した。

 おれの処遇も予定通り二階級降格で一尉相当医務官としてジャンジャンバリバリ人や動物の怪我や病気を治している。階級が低かろうが高かろうがおれがやることは変わらないのである。

 処遇と言えば、ヴィヴィオちゃんのことなのだが、事件後なのはさんが正式にヴィヴィオちゃんを引き取りヴィヴィオちゃんの母親となった。これで晴れてヴィヴィオちゃんは高町ヴィヴィオちゃんへとなったのだ。二人とも幸せそうで何よりである。ただし、おれが未だにおじさん呼ばわりなことに関してはおれは幸せではない! ……もうほとんど諦めてるけどな……

 

「それじゃあ、今日は特別講師のマサキ先生をお呼びしています。みんな先生のいう事を聞く様に」

「はーい」

 

 さらにさらに処遇と言えばの続きなのだが、事件の犯人であるスカさんと娘たちは管理局のお縄についた。スカさんは事件の首謀者という事で、一部の娘たちは事件捜査に協力する気がないと言う訳で重犯罪者が入れられる軌道拘置所へ収監されている。

 一方、他の娘たちは事件捜査に積極的に協力するということで海上隔離施設に入れられている。この海上隔離施設は牢獄と言うよりは更生施設と言った方が良いだろう。灰色の壁に灰色の床、灰色の天井と言った悪い感じではなく、ガラスから入る日光で部屋の中は大変明るく、地面は芝生で良い感じの雰囲気である。

 

「やあ、みんな。お久しブリーフ」

 

 時が凍った。

 

「コホン。ウィットに富んだ冗談は置いといて、みんな知ってる人がほとんどだと思うがマサキ・サカウエだ。今日はおれが特別講師としてみんなにお話しまーす」

 

 この隔離施設に収監された娘たちはドゥーエさん・チンクさん・セインさん・オットーさん・ノーヴェさん・ディエチさん・ウェンディさん・ディードさん・ルーテシアちゃん・アギトちゃんだ。また、この子たちの更生の担当はスバルさんの父のナカジマ氏ことゲンヤさん、姉のギンガさんである。

 今回、「いつも同じ人に教えられてもつまらねーだろ」というゲンヤさんのお考えにより、仕事がなくて地上本部をぷらぷらしていたおれに声を掛け、臨時講師として呼んだと言う訳だ。

 

「といっても今日は堅苦しい講義ではなく、息抜きとでも考えて貰ってもいい」

 

 臨時講師と言う訳で、おれはここでどのようなことを教えているのかはよくわからない。そう言う訳で好きなことをなんでもいいから話してやってくれと言うのが今回のゲンヤさんの依頼である。

 

「じゃあここで質問! 息抜きをするときは何をしますか? はい! いつだったかおれを追っかけまわして来たウィンディさん!」

「ウェンディッス」

 

 あれ? 間違えた。あの伝説ポケモンの名前とごっちゃになってしまったか。

 後で判明した事なのだが、ヴィヴィオちゃんを保護した日、自転車に乗ったおれを追っかけまわしていた少女はウェンディさんだったらしい。いや、もう本当にびっくりだ。

 

「息抜きッスか……息抜き……息抜き? 楽しいことを……楽しいこと? うーん……」

「うん、時間切れね。じゃあ次はチンクさん」

 

 息抜きで何をするのかウェンディさんが答えられなかったので次はチンクさんに振ってみる。

 

「ふむ、そうだな……やはり、私なんかはナイフの手入れをしていると気が休まるな」

「うん、それは一般的な息抜き方法ではないね。まあ、息抜きの仕方は人それぞれだから、チンクさんがそれでいいなら良いのかもしれないが」

 

 そんな感じでみんなに質問をしたら答えられないか、一般的な答えとかけ離れたものばかりだった。

 

「というわけで、君たちは一般的な息抜きの仕方を知らないようなので、おれ流の息抜きを一つ伝授しよう」

「えー、先生の息抜きかー。変なことじゃないよね?」

「地面の中で泳ぎまくるセインさんより変ではないと思う」

 

 スカさんはもっと娘に常識を教えるべきだったな。

 

「それじゃあ、おれと一緒に紅茶を入れてみましょう」

「紅茶?」

 

 おれの言葉に疑問を呈するのはディエチちゃん。これまたヴィヴィオちゃんを保護した日に見たゴン太ビームを放った張本人である。

 

「紅茶には色々な効能があります。栄養補給からダイエット、疲労回復ストレス解消まで様々。そんな紅茶を飲むのは息抜きにするのに最適と言えよう」

 

 スカさんの娘たちに話をしようとなって、何を話そうか考えたおれは紅茶を入れることを話そうと決めた。おれには自慢できる特技がいくつかあるが、その中で紅茶を入れることはあの素直じゃないヴィータが認めるほどなのでかなり自信がある。

 

「とりあえず、有名どころの茶葉を三つほど用意したので好きなのを選んでください」

 

 おれは持ってきたカバンの中から三つの袋を取り出す。おれはその袋を一つずつみんなによく見える様に掲げ、種類ごとの特徴を説明していく。

 

「一つ目はダージリン。紅茶の王様なんて呼ぶ人がいるほど人気な茶葉で、とても繊細で香り高い紅茶だ。オススメはストレートで飲んでその香りを楽しむ飲み方だな」

「へー、なかなかよさそうですわね」

 

 今話した人はドゥーエさん。彼女はずっと管理局に潜入していたそうで、スカさんの家で会ったことは無い。なので、彼女とは今日が初対面だ。

 

「二つ目はアッサム。濃い味わいで甘みがあり、ミルクティーにするのに向いている。ちなみに、おれはミルクティーが大好きなので、アッサムを愛飲している」

「……そんな情報いらねーよ」

 

 ちょっと反抗的な態度を取った彼女はノーヴェさん。気のせいかもしれないが、彼女はスバルさんと容姿がとてもよく似ている。声もそっくりだしな。まあ、彼女がそんな態度を取れるのは今の内だけさ。あのヴィータさえも唸らせたおれのミルクティーを飲んでもそんな態度でいられるかな!

 

「最後はアールグレイ。これはベルガモットの香料を付けた紅茶だ。アイスティーにするのに向いている。まだ四月とはいえ、今日は結構暖かいからアイスティーを飲むのもいいかもな」

「……じゃあ、私はそれにしようかな」

「私もルールーと同じのにするぜ」

 

 最初に声を挙げた子はルールーことルーテシア・アルピーノちゃん。おれが食べていた鯛焼きを無言の圧力で獲得したあの子だ。彼女もスカさんの協力者だったらしく、ここに収監されている。そして、もう一人はアギトちゃん。なんとアギトちゃんはリイン姉妹と同じユニゾンデバイスなのだ。

 ルーテシちゃんの話をするのなら、あの時ルーテシアちゃんと一緒に居たフードを被ったゴツイおっさんの話もしなければいけないだろう。

 彼の名はゼスト・グランガイツ。かつては時空管理局の首都防衛隊に所属するストライカー級の魔導師だったのだ。だが、数年前スカさんが絡んだ事件に携わっていた時、スカさん達の隠れ家を突き止めたグランガイツ氏はチンクさんと戦闘になった。だが、隠れ家の老朽化によって起きた岩崩れに巻き込まれ重体となってしまう。この時、当時グランガイツ氏の部下だったスバルさんの母親、クイント・ナカジマさんは残念ながら亡くなってしまい、もう一人の部下だったルーテシアちゃんの母親、メガーヌ・アルピーノさんも重体に陥ってしまったそうだ。

 流石に命までは取ろうと思っていなかったスカさんはまだ生きてた二人の命を救おうとした。その時スカさんが使った物は機動六課が探していたロストロギア、レリックである。レリックによって、グランガイツ氏は長くは生きられないにしても一命をとりとめたそうだ。

 しかし、メガーヌさんはレリックに適合できず、意識を取り戻すことは無かった。いずれ何とかしようと思い、スカさんはメガーヌさんの肉体を今まで保存していたのだ。ちなみに、メガーヌさんはおれが治しておきました。

 

 メガーヌさんの話はそこまでとして、グランガイツ氏の話に戻ろう。

 自分の命が長くないと知ったグランガイツ氏は友人であり、上司であるゲイズ氏の正義の在り方に疑問を持ち、もう一度話をしようと思ったそうだ。

 そして、JS事件が解決したその日、グランガイツ氏とゲイズ氏は再開した。いったい二人の間でどのような会話がなされたのかは知らないが、その場にいたアギトちゃんやシグナムさんの話によると、グランガイツ氏もゲイズ氏も互いに納得した様子だったそうだ。

 ゲイズ氏やシグナムさんはグランガイツ氏がおれに治療してもらうことを勧めたそうだが、彼もおれのことはスカさんから聞いて知っていたそうだ。だが、グランガイツ氏はすでに自分は死んだものと納得してしまっているから、おれの能力では治すことは出来ないだろうと思ったそうだ。その後、グランガイツ氏は静かに息を引き取ったらしい。

 おれも出来ることならグランガイツ氏を助けたかった。ストライカーと言うのは少年達のヒーローみたいなもので、おれも名前は聞いたことがある。だから、とても残念だと思うと同時に、これからのミッドの平和を見ていてほしいものだ。

 

「じゃあ各自、自分の飲みたい紅茶を選んで作ってみよう。作り方はおれがみっちり教え込んやるぜ」

 

 

 

 

 

 

「う~ん……これは落ち着きますね~」

「僕も好きかも」

 

 ダージリンの香りを楽しみながら美味しそうに飲んでいるオットーさんとディードさん。スカさんの娘たちは特徴もバラバラで姉妹とは思えないのだが、オットーさんとディードさんを比べたら確かに姉妹に見える。

 

「……はぁ……うめぇ……」

 

 バッ!

 

 おれが声がした方に勢いよく顔を向けると仏頂面をしたノーヴェさんがいる。

 

「ふん……」

 

 彼女が言っていたような気がしたのだが、気のせいだったようだ。おれはワイワイしながらアイスティーを飲んでいるウェンディさん達の方に目を向ける。

 

「ほへ~……」

 

 バッ!

 

「なんだよ、こっち見んなよ」

 

 なんかノーヴェさんに怒られた。やっぱり気のせいだったのか。おれはチンクさんと一緒にチンクさんがいれた紅茶を飲んでいるゲンヤさんとギンガさんの方を向く。

 

「あまぁ~い……うまぁ~い……」

 

 バッ!

 

「これは落ち着くぅ……ハッ!」

 

 どうやらノーヴェさんもミルクティーの虜になったようだ。満足満足。

 

 おれの紅茶の授業は彼女たちにもそこそこ評判だたようで、この後も何回か彼女たちの臨時講師として呼ばれたのだった。

 

 

 




ドゥーエさんは事件捜査に協力的ということで。
ていうか、ドゥーエさんの話し方分からねえ……

後、ゼスト隊壊滅の話とかゼストとレジアスの再会とかオリジナル設定多数。

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