それが日常   作:はなみつき

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注目!

66話にて、気を失ったヴィヴィオを治した描写がありましたが、今回の話の都合上その描写を修正しました。
ヴィヴィオは意識を失う寸前ということに変更されました。


インテリジェンス・コーンとおいしい棒と79話

「そこや! そこそこ! そこで相手をタコ殴りや!」

「うおー! やるなこいつ!」

 

 今日は珍しくみんなの休みが重なり、八神家は休日を堪能している。それで、今何を堪能しているかと言うと、この間行われたインターミドル・チャンピオンシップ、その世界代表戦の録画放送を一日かけて見ている。ちなみに、今は決勝戦の試合である。

 

「よーし、流れ来てるで! そこで相手のみぞおちに全力の一撃や!」

「同志マサキ、私と一緒にインテリジェンス・コーンについて話し合いませんか?」

「おれはコーンだ。インテリジェンス・コーンだ」

 

 何気に恐ろしいことを言っているはやての言を無視しつつ、ドゥーエさんの訳の分からない会話を適当に流す。

 

「流石は同志マサキです! つまり、マサキ自身が宇宙の根源たるインテリジェンス・コーンになることによって、この世界の知性を統制し、世界を観測し続ける存在へと昇華するというのですね!」

「お、そうだな」

 

 どういうことなの。ドゥーエさんのことがどんどん分からくなって来た今日この頃。

 

「ふいー、ずっと興奮しっぱなしやったなー」

「そりゃあんだけはしゃいでたら疲れるだろうな」

 

 どうやら試合の決着が付いたようだ。優勝したのは黒い髪のツインテールの可愛い女の子だ。名前はジークリンデさんと言うらしい。

 ……可愛い女の子であるのだが、その……ちょとバリアジェケットエロ過ぎじゃないかな? 全体としての露出はそう多くはない。しかし、露出している部分が胸元とお腹に集中していて……すごく……良いとおもう!

 

「結構大声出したから喉乾いてもたなー。な! ハムテルくん」

「熱々のミルクティーでも入れてやろうか?」

 

 はやては日頃溜まった鬱憤を全て吐き出すがごとくテレビに映る選手たちをすごいテンションで応援していた。それが決勝戦ともなるとすごい騒ぎようだった。

 ちなみに、今家に冷たいジュースの類は無い。

 はやてがおれにさせたいことは分かるが、絶対に素直に従ってやるものか。頼みがあるならちゃんと言うべし。

 

「うーん、それはとても魅力的な提案やけど、私としては冷たいのがええねん」

「蛇口を捻ればミッドの美味しい水が出るし、冷蔵庫の中にはミッドの美味しい水から作られた氷があるだろ。それで美味しい冷水が飲めるぞ」

 

 これはおれが論破したに違いない!

 

「余ったお金で好きなもん買って来てええで」

「ふぅ……ちょっくらコンビニ行ってくるわ」

「カルピスで頼むわ」

 

 流石ははやてだ。管理局のお偉いさん達と舌戦を日夜繰り広げている二佐どのに口論で勝つのは難しかったよ。

 

「……安い男だな……」

 

 うるさいよヴィータ! ていうか、その言い方外で絶対にするなよ!

 おれははやての依頼をこなすべく、夕暮れ時のミッドチルダに繰り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

「ううむ……今回もはやてにうまいこと乗せられてしまった」

 

 はやての望み通りカルピスを購入し、どうせ外に出るなら私たちの分も買って来いという意思を込めた視線をヴォルケンズとドゥーエさんから受けたおれは彼女たちの分の飲み物も買って来た。こうなると、はやてに貰う報酬はほとんどなくなるのは言うまでもないだろう。

 

「まったく……困った奴等だ。仕方がないのでヴィータにもおれと同じように安い女になってもらうことにしよう」

 

 多少多めに貰っていたとはいえ、元ははやての分のお金だったので、八神家全員分の飲み物を買うほどのお金はない。であるから、さっきおれにとんでもないことを言い放ったヴィータには我慢してもらうことした。

 おれとヴィータの分を買うとなると、安いものしか買えない。そこでおれが選んだものは子供でも買えるくらい安い駄菓子の『おいしい棒』。

 

「うまい棒じゃなくておいしい棒って言うとなんだか卑猥に……聞こえないか」

 

 一瞬「これなんか卑猥じゃね?」って思ったおれは随分汚れてしまったなぁ……

 何気ない所で自身の怪我れ具合を認識させられ、落ち込みながら家への近道の裏通りを通る。

 

「ん? あれは……」

 

 暗い道と言うこともあって、近づくまで気が付かなかったがおれの前方数メートルの所に人が倒れている。

 

「おい! あんた、大丈夫か!」

 

 倒れて居る人がいたら、むやみに動かさず、声を掛けて反応を見る。これは基本だ。

 

「お腹……すいた……」

 

 なんだかすごいデジャヴが……シチュエーションは少し違うが。今のおれの視点は嘗てのはやて視点って、そんなことはどうでもいい!

 

「あっ、おい!」

 

 すると、倒れていた人は少し反応を示したと思うと、一言呟いて気を失ってしまった。

 黒いジャージのフードをすっぽりとかぶっているため、性別が分からなかったが、声から察するにどうやらこの人は女の子のようだ。

 

「困ったな」

 

 おいしい棒が2本あるにはあるが、気を失った娘の口においしい棒をねじ込むというのはちょっと……

 まあ、仮に彼女の意識があったとして、近場の店で何か食べ物を買って来てやりたいところだが、はやてからもらったお金は全て使ってしまったので食料を買うことは出来ない。こんな時に限って自分の財布は持ってきていない。

 一度家に帰って財布を持ってくるか? その間に彼女の意識が戻ってるかもしれないし。しかし、その間この娘をここに置いたままにするというのは問題があるだろう。

 気を失っている相手におれの能力は効かない。なので、この娘が意識を戻るのを待ってから容赦なく治してあげようか? いや、さっき彼女は空腹を訴えていた。おれの能力で必要分の栄養を補給することは可能かもしれないが、胃の中に何もない事は変わらない。おれが彼女から手を離した瞬間に彼女はとてつもない空腹感に襲われることになる。それに、ここで時間を食ってしまうと後ではやてに何を言われるかわかったものではない。

 そうなるとおれの取るべき手段は……

 

「……だが……しかしッ!」

 

 これらすべての問題をクリアできる方法が一つある。しかし、この手を使って良いものなのか……

 

「……」

 

 おれは意識を失った娘の方を見る。

 

「はぁ……」

 

 おれはこの場に彼女を放置することなく、お金も必要とせず、また、おいしい棒を彼女の口にねじ込む必要がない方法を選ぶことにした。

 

「よっこいしょ」

 

 空腹少女をお姫さま抱っこし、出来れば人目につきませんようにと祈りながら八神ハウスに向かうのだった。

 

 空腹少女一名お持ち帰り。




┗(^o^ )┓≡インテリジェンス・コーンだ≡┏( ^o^)┛

ジークがチャンピョンになったのってvividの2年前であってますよね?

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