ブラウンシュヴァイク公が転生したけど、転生先はフォーゲルだった件   作:ひいちゃ

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さぁ、いよいよ最終回ですぞ!

フォーゲルinブラ公は、果たして、「あの」悲劇を回避できるのか!?


第1期最終話『さらば、遥か遠き過去』

 ブラウンシュヴァイク星域の会戦で、貴族軍艦隊を討ち破った我が軍は、その勢いのまま、アルテナ星域へ侵攻した。

 

 そのまま奴らの拠点、ガイエスブルグ要塞の接収にかかるが、さしたる問題はなかった。貴族軍艦隊が破れ、リッテンハイム伯ら参加していた貴族や将校たちが戦死したことが伝えられると、要塞の守備隊はたちまち戦意を喪失し、武装解除に素直に応じたからだ。守備兵の中に、憑き物が落ちたような顔をしている者もいたことからすると、彼らも門閥貴族たちのやりたい放題に嫌気がさしていたのかもしれない。

 

 なお、貴族軍の盟主であるブラウンシュヴァイク公は、戦艦ベルリンに姿は確認できなかった、という。軍医の話では、ベルリン内の私室で服毒死したとのことなのだが、彼が席を外した間にその遺体が消えていた、というのだ。

 討伐軍総司令部は、兵士たちのだれかによって宇宙葬にされた、と判断しているようだが、わしはこの彼の最期に、何か不穏なものを感じたのだった。

 

 とはいえ、今はそれより他にするべきことがある。

 これから、このガイエスブルグ要塞で、捕虜の引見式が行われる。その準備をするのだ。

 

 わしはもちろん、ナイゼバッハをはじめとした、我が艦隊の幕僚たち。艦隊群所属の提督たちも、その準備に駆り出されている。

 何しろ、この引見式には、帝国軍の他の将校たち、さらにはあのミュッケンベルガー司令長官も来るのだ。その準備は並大抵のものではない。

 

 要塞のあちこちが、その準備でおおわらわだ。

 

 そしてわしもその準備をしている途中、バルトハウザーがわしのもとにやってきた。

 

「ん、なんだ?」

「はい。ミューゼル討伐司令官の幕僚である、オーベルシュタイン大佐が、提督と面会したいと……」

 

 あのオーベルシュタインが? 一体何の用だろう。

 

 オーベルシュタインは、義眼の両目が特徴的な、ゼークト提督の幕僚だった男だ。

 噂によれば、極めて冷徹で、感情を挟む余地がないほどの正論で事を進めるため、ゼークト提督からも煙たがられていたという。

 

 そんな冷徹さからついたあだ名が『絶対零度の剃刀』。まさに彼の人となりを言い表すのに、これ以上ないほどのあだ名だ。

 上層部に、彼の元からの転属願いが来ない日はないとか、全部署内で、彼の直属が一番胃潰瘍の発生率が高いとか、彼の直属に配属されることが決まったとたん、卒倒する士官が後を絶たないとか、そんなウソか本当か判断のつかない噂がたくさん飛び交っている。

 

 もちろん、わしも彼にはあまり良い感情は持っていない。

 

 そんな彼だったが、ミューゼルに何かを見たのか、突然、ゼークト提督配下から、ミューゼル配下に突然転属することになった。転属願を出されたゼークト提督は、それを喜んで受理し、自らそのために必要な手続きをこなしたという。

 

 そんな彼が一体何の用だろう? だが、無碍に断るわけにもいかないな。相手は、わしの上官、討伐総司令官のミューゼルの幕僚であることだし。

 

「わかった。日時と場所を指定するように伝えてくれ」

「わかりました」

 

 さて、準備を進めながら、心の準備をしておかないとな。……あと、胃薬の準備も。

 

* * * * *

 

 準備を終えたわしは、すぐに面会の場所に向かった。

 だが、準備に時間がかかったのと、脚がなかなか前に進まなかったことで、到着したころには、予定から10分も経ってしまっていたが。だがそれでも、オーベルシュタインは待っていた。

 

「済まない。待たれたか?」

「はい、待ちました。10分32秒ほど」

「……」

 

 なんともきっちりしていることで。

 

「それで、わしに面会したいとのことだが、何の用かな?」

「確認したいことがありましたので……ここからは、申し訳ないが、敬語を使わずに失礼する」

 

 そう言うと、オーベルシュタインは、背筋に寒気が走るほどの冷徹で鋭利な視線を向けてきた。

 

「卿のことは知っている。第四次ティアマト会戦以前とは思えないほどに変貌したとな。そう、まさに中身が別人に変わったかのように」

「……!」

 

 こいつ、詳しいことはともかく、わしがかつてのフォーゲルとは全く違う存在になってしまっていることに気づいている!?

 さすがは『絶対零度の剃刀』というべきか……。わしの背中に寒気だけではなく、冷や汗まで流れ出してきた。

 

「だがしかし、卿の素性などはどうでもいいこと。私が知りたいのは、卿の思惑、目的についてだ」

「……それを知ってどうしようというのだ、オーベルシュタイン大佐」

「もし、それがミューゼル伯の目的を阻むものであるなら……排除する」

 

 そう言いながら、彼は鋭利な視線を緩めようとしない。これは、下手な嘘はつけないな。わしがつける嘘など、簡単に見抜いてしまいそうだ。

 ここは、自分の本音や考えていることを、正直にぶちまけるしかあるまい。それが、彼の『排除基準』に触れないことを祈ろう。

 

「わしはただ、門閥貴族が牛耳っていた今までの帝国を終わらせたい。誰も門閥貴族に苦しめられることのない帝国にしたいと思うだけだ」

「……」

「わしはそのために、討伐軍に身を投じた。無論、仮にミューゼル伯が帝国を奪った後、人々を苦しめる暴君になった時は、わしは再び彼に牙を剥くかもしれん。だが、果たしてミューゼル伯がそのような人かどうか、卿にはわかっているのではないか?」

「……」

 

 言うべきことは言った。その答えを受けて、オーベルシュタインの視線の鋭さがわずかに緩んだ。わしが、少なくとも今はミューゼルの敵ではないことをわかってくれたようだ。

 

「……」

「待て、オーベルシュタイン大佐」

 

 オーベルシュタインは聞くことを聞いて、話を終わらせようとしたが、わしは話すべきことを思い出した。彼とミューゼルについて、一つ気になる噂を耳にしたのだ。

 

「何か?」

「わしも、卿についての気になる噂を聞いたことがある。ミューゼル伯が、キルヒアイス少将を重用していることに、卿が反対している、とな」

「……」

 

 そう。気になる噂とはこのことだ。ミューゼルは、親友のキルヒアイスを重用し、一時は討伐軍の副司令官にしようともしていた、という。だが、オーベルシュタインの反対により、それは取りやめた、という。

 それからも、オーベルシュタインは、ミューゼルに、キルヒアイスを特別扱いせず、他の提督と同じように扱うべきだと直言し続け、それがミューゼルとキルヒアイス、そしてオーベルシュタインとの関係に、ちょっとしたひびを入れているという。

 わしにはそれが、ミューゼルとキルヒアイスにとって、大変な事態を招きそうな予感がするのだ。ミューゼルには何の思い入れもなければ、助ける義理もないが、それでも、自分と関わりがある者が、不和から不幸な目にあうのは見たくない。

 

「組織にナンバー2は不要。それに何の問題がある」

「そうではない。そうではないのだ。それとは関係なく、人は孤独になるべきではないのだ、オーベルシュタイン大佐」

「……なに?」

 

 オーベルシュタインは怪訝な表情を向けた。『絶対零度の剃刀』でも、こんなことはあるらしい。

 

「卿は孤独でいいのかもしれん。卿は孤独だからこそ、私を持たず公に生きられる。その在り方を否定するつもりはない。だが、それはあくまで卿だけの資質であり、万人が持つべきものではないはずだ」

「……」

「この戦い、私が勝ち残ってこれたのも、ナイゼバッハやバルトハウザー、ヒルデスハイム。我が艦隊群の提督たち……彼らの力があったればこそだ。それだけではない。友からの手紙に心安らぐこともあれば、町の人々や散歩中に出会う小動物との出会いに癒されることもある……」

「……」

「とにかく私が言いたいのは、卿の主君を不幸にしたくなければ、彼を孤独にするな、ということだ。卿のようなものはあくまで例外。本来は人間には、つながりのある存在が必要なのだ」

「戯言を……」

「いずれわかる。論ではなく、感覚でな」

 

 そう言って、わしは立ち去った。オーベルシュタインはいまだ、その場に立ち続けている。

 

 それからである。オーベルシュタインがキルヒアイスの重用に反対しているという噂はぴたりと止んだ。

 そして代わりに、ミューゼルとキルヒアイスの関係が元に戻ったようだという噂が再び広まり始めた。

 

* * * * *

 

 そしてその時はやってきた。捕虜の引見式の始まりだ。

 

 その前に、昇進式がまず始まった。

 

 ミュッケンベルガー司令長官が壇上に上がり、ある提督の名を呼ぶ。

 

「ラインハルト・フォン・ミューゼル上級大将」

「はっ」

 

 名を呼ばれ、ミューゼルが立ち上がり、壇上に登る。その姿はやはり、凛として、とても美しかった。さすが、『金髪の貴公子』と呼ばれただけのことはあるな。

 

「ミューゼル上級大将。貴族軍の討伐、見事であった」

「ありがとうございます」

「その功績を称え、その位階を元帥とするとともに、新しい宇宙艦隊司令長官に任命する。これからも、帝国の栄誉のために粉骨砕身してもらいたい」

「御意!」

 

 うーん、やはり思っていた通り、宇宙艦隊司令長官になったかー。しかも元帥にまでなられて、顎で使える存在ではなくなってしまったな。だが不思議なことに、残念だとは思うが、悔しいとは思わなかった。彼ならその役職について当然とまで思っていた。わしも丸くなってきたのだろうか?

 

 その後も、たくさんの提督が呼ばれた。そして。

 

「フォーゲル中将!」

「は、はいっ」

 

 突然名前を呼ばれて、わしは思わずびっくりして立ち上がり、椅子の足にすねをぶつけて悶絶した。周囲から、くすくすと笑い声が上がる。ミューゼルの奴も、意地悪な笑みを浮かべてるし。

 何はともあれ、わしは慌てて壇上に上がる。

 

「フォーゲル中将。卿も、この戦役での活躍、見事であった。その功績を称え、卿を大将に昇進させる」

「ははっ、感謝感激雨霰時々雪崩でございます!」

 

 頭がテンパって変なことを言ってしまい、また周囲から笑い声が上がる。

 

 ともあれ、これで昇進式は終わった。

 

* * * * *

 

 そして休憩の後、いよいよ捕虜引見式となる。

 

 次々と捕虜が呼び出され、処分が言い渡されるのだ。

 

 まず最初の捕虜が現れた。

 

 やってきた捕虜に対し、オーベルシュタイン大佐がその罪状を告発する。

 

「ケストナー男爵です。エルラッハ艦隊の分艦隊司令として、フレイア星域会戦に参加していましたが、艦隊が不利になってきたことに恐れをなし、その分艦隊ごと逃走しております」

「い、命ばかりは、命ばかりは!」

 

 そしてその捕虜に、討伐総司令官にして新宇宙艦隊総司令官となったミューゼルが処分を下す。

 

「次」

 

 この式においての「次」とは、基本的には収容所に収監することを指す。そこで罪を償わせた後、社会に解放する。他方、重要な罪があった場合は、この場で処分が言い渡されることになるのだ。

 

「ブーゲンハーゲン伯爵です。特にありません」

「次」

「う、嘘じゃ、これは夢じゃ……」

 

「ライゼアルト子爵です。ガイエスブルグ要塞の病院責任者です。法務部よりの報告ですが、病院の女性看護兵が相当数、暴行被害を訴えております」

 

 告発された小太りの貴族が愕然とした表情を浮かべる。

 

「そ、それは……」

 

 そして、そんな彼に下された罰は……

 

「事実関係を調査のうえ、極刑に処せ!」

「御意」

 

 そして引っ立てられる貴族。彼は去り際に

 

「平民の女を食った所で何の罪があるか。私は選ばれし者だぞ! 帝国万歳! 孺子に死を!」

 

 と捨て台詞を吐いた。それを見て、わしは改めて思った。わしも前世でアンスバッハに殺されてなければ、こんな末路を迎えていたかもしれないんだなぁ、と。本当に今世では貴族ではなくてよかった。

 

 そしてそれからも引見式は続き。そして……。

 

「……」

「……!」

 

 アンスバッハが引っ立てられてきた。予想できたこととはいえ、かつての忠臣がこうして捕虜として現れたのを見ると、胸が詰まる気分だ。

 さて、アンスバッハは棺桶を引きずってやってきた。なぜかは知らんが、わしはそれを見て嫌な予感がした。

 

 そのアンスバッハの罪状を、オーベルシュタインが読み上げる。

 

「アンスバッハ准将です。ブラウンシュヴァイク公の参謀であり、貴族軍参謀部の実質的責任者でした」

 

 そして当然、ミューゼルが彼の後ろの棺桶に注意を向ける。

 

「その棺桶は?」

「アンスバッハ准将の話によれば、ブラウンシュヴァイク公の遺体だそうです」

「ふむ……確認してみよ」

 

 ミューゼルの命を受け、兵士二人が棺桶の蓋を開ける。その中に入っていたのは、やはり前世でのわしの姿……すなわち、今世でのブラウンシュヴァイク公だった。

 

 だが次の瞬間!

 

 アンスバッハは兵士たちを突き飛ばし、棺の中に手を伸ばした。そして取り出したのは……!

 

「ハンドキャノン!?」

 

 アンスバッハの奴は、ブラウンシュヴァイク公の遺体の内臓を取り出し、その中にハンドキャノンを隠していたのだ!

 奴め、ブラウンシュヴァイク公の遺命があったのかどうか知らんが、ミューゼルの命を狙うのを諦めてはいなかったのか!

 わしは思わず、彼を止めようと走り出す。みんなそのアンスバッハの所業に驚愕し、わしに目を止めるものはいない。わしが動けたのはきっと、アンスバッハとミューゼル、両方の関係者であり、また、かつて彼に殺され、その彼にミューゼルの命を狙うことを命じた者だからなのかもしれない。

 

「ミューゼル伯! 我が主の遺命により、その命、もらい受ける!」

 

 だが、彼がハンドキャノンのトリガーを引こうとしたその時!

 一条のレーザーが放たれ、彼の手からハンドキャノンを弾き飛ばした!

 

 そのレーザーを撃ったのは……!

 

「アンスバッハ准将!」

 

 そう、キルヒアイス少将だった。ミューゼルと絆の深い彼は、特別に銃の所持を許可されていたのだろう。

 アンスバッハの敵意のこもった視線がキルヒアイスに向けられた。奴は、ミューゼルが討てぬならばと、キルヒアイスのほうを殺す気だ!

 

「無駄です。もうおやめなさい!」

「問答無用!」

 

 キルヒアイスが銃を。アンスバッハがはめていた指輪……おそらく、指輪に偽装した光線銃を構える。だが、わずかにキルヒアイスのほうが遅い!

 そこからは考える暇もなかった。全速力で走り、アンスバッハにとびかかる。

 キルヒアイスを死なせたくないだけではない。アンスバッハに、これ以上罪を重ねてほしくない。ただそれだけだ。

 その次の瞬間、わしの右胸に激痛が走り、わしは気を失った。

 

* * * * *

 

 夢を見ていた。

 前世での姿……ブラウンシュヴァイク公の姿をしたわしは、シュザンナと共にボートに揺られていた。微笑むわしに、シュザンナも優しい笑顔を向ける。

 わしの横のフレーゲルも、優し気に微笑みながら、わしらと談笑する。

 

 その横にはアンスバッハもいれば、わしの艦隊の幕僚たち、それに我が艦隊群の提督たちもいて、皆笑いながら、幸せそうに過ごしている。

 

 本当に幸せそうだった。いや、本当に幸せだった。

 

 涙が出るほどに……。

 

* * * * *

 

「う……」

「気が付かれましたか、フォーゲル上級大将」

 

 気が付くと、目に飛び込んできたのは、医務室らしき白い天井。

 そして周囲には、ナイゼバッハをはじめとする、我が艦隊の幕僚たち。ヒルデスハイム伯などは、何が嬉しいのか男泣きしておるな。そして、ファーレンハイト提督、アイゼナッハ提督、ミュラー提督の、我が艦隊群の提督たち。そしてキルヒアイス少将の姿があった。

 

「私は一体……」

「無事でよかった。医務室に運ぶのがもう少し遅かったら、助からなかったかもしれないと、医者が申しておりました」

 

 そうか……わしは……。

 

「アンスバッハを止めようとして、彼に撃たれたのか……そのアンスバッハは?」

「その後の私の銃撃を受け、そのまま命を落としました」

「そうか……彼は死ぬ間際に何か言っていたか?」

「はい。『申し訳ありません』と、『この体たらく、天上でお詫び致します』と。おそらく、既にこの世の人ではない主君に詫びていたのでしょう」

「そうか……」

 

 キルヒアイス少将はそう受け取ったようだが、わしは違うことを感じた。

 その最期の言葉は、今世でのブラウンシュヴァイク公にではない。わしに向けられたものだったのだろう。「主君や忠義や、遺命に縛られず、開明的な方向にその才を向けよ」というわしの言葉を胸に刻みながらも、結局、『ブラウンシュヴァイク家の家臣』としての自分から逃れることができなかったことに対しての謝罪だったのではないか。

 

 ……馬鹿者めが……。

 

 心の中でそうつぶやきながらも、わしの目から涙が一筋零れ落ちた。

 

「それとフォーゲル上級大将。ミューゼル元帥からの言伝です。『我が友、キルヒアイスを身を挺して守ってくれたこと、深く感謝する。この恩はいつか必ず、何らかの形で返す』と」

 

 ミューゼルの奴めに借りを作れたのは、とても大きいな。少しは留飲が下がった気がするわい。

 ……って、え? 上級大将?

 

「え、上級大将?」

「はい。ミューゼル元帥が、私を守ってくれた功績に報いて、卿を大将から上級大将にさらに昇格させると」

 

 それはなんともまぁ……。

 

「そ、そういわれるなら、その昇格、ありがたくいただいておこう、うむ。それと、ミューゼル元帥に万の感謝を、と伝えておいてくれ」

「わかりました。それでは、ガイエスブルグから撤収するまで、しばし療養してください」

 

 そして、キルヒアイスたちは立ち去った。

 わしは、病室の窓を見て、ふと思う。

 

 前世では、部下に毒殺されるといったあんまりな最期を迎えたわしが、今世では上級大将にまでなることができた。しかも、家柄に頼らず自分の力で。

 そればかりではない。

 アンスバッハは命を失ってしまったものの、前世で非業な最期を遂げたシュザンナはささやかな幸せを手に入れ、わしのほうはというと、ヒルデスハイム伯をはじめとした、かけがえのない部下たちを得るができ、さらに前世、門閥貴族だったころには得られなかった、多くの大切なものを得ることができた。

 

 ……あれ? なぜに先にヒルデスハイム伯の名が出るのだ? まぁいい。

 

 そして、それらが積み重なって、わしはこのリップシュタット戦役を生き残ることができた。つくづく思う。わしは前世とはくらべものにならないほどの幸せ者だと。

 

 まだ敵である叛乱軍は健在だ。戦いはまだ続く。

 だがわしは思う。先に何が待っていようと、さらにその先にあるのは明るい未来だと―――。

 

 窓の外から見える星々が輝く暗闇に……

 

 

 

 ヒルデスハイム伯の笑顔が浮かんで見えた。

 

 

 

 浮かばんでいいわっっ!!

 

 

 

第1期・完

 




『ブラウンシュヴァイク公が転生したけど、転生先はフォーゲルだった件』、これにて完結です! 愛読していただき、ありがとうございます!

前にも書きましたが、筆者のこれまでの作品はどれも泣かず飛ばず、むしろ地面に落ちて死にかけているような有様だったのですが、この転フォーは、たくさんUAやら感想とかもらえて、とても嬉しかったです!

これの続きは、要望(と作者のやる気)があれば、第2期として、タイトルを変えて開始しようと思っています!

とりあえずこの後は……ラブライブのショートを書いて、自作の異能バトルゲーのノベライズを書こうかなぁ、と。

ちなみに転フォー、第2期のタイトルは既に決まっています。

『ブラウンシュヴァイクからフォーゲルに転生したけど、立ちはだかったのはヤン・ウェンリー(原作読破済み転生者)だった』

です!(笑

ではでは、改めて。ありがとうございました!

=追記=
第2期を読んでみたいかどうかのアンケートを始めてみました。
ぜひ投票してくれたら(できれば『読んでみたい』に)嬉しいです!
『読んでみたい』の票がかなり多くなったら、第2期をやるかも!?

=追記2=
既にご存じかもしれませんが、続編にあたる外伝『銀英伝好きのサラリーマンが転生したら、運よくヤン・ウェンリーだった! 』を短編として投稿しました! こちらも読んでくださると嬉しいです!
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