ブラウンシュヴァイク公が転生したけど、転生先はフォーゲルだった件 作:ひいちゃ
アニヲタ腐女子が転生したフレデリカさんが、ヤン・ウェンリーの副官になるまでの物語です。
プレストーリー1『転生者です。転生者ですわ閣下。えぇ、喜んで(練習中)』
私はフレデリカ・グリーンヒル。だけど、中身は原作のフレデリカさんとは違う、アニヲタ腐女子である。そう、私は転生者なのだ。
前世の私は今言った通り、アニヲタ腐女子である。
宇宙進出の技術がほとんどない世界に生まれた私は、幼少のころからアニメなどのサブカルチャーに親しんできた。
そして、高校のころになると本格的なアニヲタ腐女子として目覚めて、大学になって銀英伝にはまった。ちなみに推しはヤン提督だ。あぁ、ヤン提督素敵。抱かれてもいい。でも優しくしてね?
……こほん。
さて。そんな私だが、前世での最期は、あまりにあっけないものだった。
陸上部だった私は、炎天下というのも生ぬるい猛暑の中、『平気平気』と水も飲まずに練習に励んでいるうち、体に異常が出始め、視界が暗くなって意識が途切れたのだ。おそらく熱中症だったんだと思う。
そして次に目を覚ました時、目に映ってきたのは、私を必死に呼ぶお父様……ドワイト・グリーンヒルの姿だった。
私の名でない私の名を呼ぶ、お父さんでもないお父様の姿。そのお父様の姿をもうろうとした意識の中で見ていると、前世の私の意識と記憶が覚醒したのだ。
なお、今世で私が倒れていたのは、おてんばな私がジャングルジムに登って、それで落ちたかららしい。もちろんその後は、お父様にしこたま叱られた。
* * * * *
さて、そんなわけで転生してきた私だが、そのうちにここがどこかが漠然とわかるようになった。そしてそれを確かめるため、色々な文献を読みあさった。
それを見たお父様やお母様は、不思議そうな顔をしながらも、『子供は不思議なことをするものだ』と温かく見守ってくれてたっけ。
まぁ、そんなわけで読み漁り、私の考えが正しかったこと……この世界が『銀河英雄伝説』の世界であることを確認したのだった。
それから私は、お父様たちを心配させないように、原作でのフレデリカさんを演じながら日々を過ごしていった。なんたって、覚醒するまではフレデリカさんとして生きてきたのだ。それが突然変わっちゃったら、お父様たちはすごく驚くし心配するだろう。
エル・ファシルの奇跡の時にも私は居合わせた。その時に、まだ中尉のヤン様を見た時には、もう胸が高鳴って破裂してしまうかと思った。破裂しても悔いなしだったけど……いやいやいや、ヤン様の副官になるまでは死ねませんって!
そして成長し、高校を卒業すると、即、士官学校に入学した。
勉強は大変だったけど、でも頑張った。なぜなら軍に入り、原作通りに進めば、あの! あの!! ヤン提督の副官になれるからだ。しかもついには彼の奥さんに……あぁ、幸せすぎる。ヤン提督の奥さん……もとい、副官になれるなら、難しすぎる勉強もどうってことなかった。
そして卒業の時には、私は卒業生の中でトップの成績を収め、答辞を任されるほどにまでなった。みたか愛の力!
それからは軍の事務方で仕事に頑張った。いつか、ヤン提督の艦隊に配属されることを夢見て。
そんな私に一大転機が訪れたのは、私が23才の時だった。お父様……ドワイト・グリーンヒルがクーデターを起こしたのだ。原作を知っている私は、お父様が近いうちにクーデターを起こすことを知っていたので大して驚かなかった。だが、お父様がそんなことをしたことが悲しかったしつらかった。原作通りなら、お父様はその末に、射殺されてしまうし。
そのクーデターも、ヤン提督の尽力であっという間に終結し、お父様は地下アジトに隠れていたところを正規軍に見つかって逮捕された。今は、軍刑務所で懲役刑を受けているという。銃殺されて非業の死を遂げる原作に比べれば、ずっとよかったと思う。
でも私はそれとは別に不安だった。このままでは、私は犯罪者の娘。軍を解雇されてしまうのではないかと。そうなったら、ヤン提督の副官になるという私の夢が終わってしまうぅぅぅぅ!!
でも幸いにして、その心配はなかった。クーデター発生前、お父様は、ビュコック提督に、私の将来のことを頼んでいたらしい。
そしてそんなビュコック提督のはからいで、私は軍に残ることができた。しかも! 今度新設される、ヤン提督が指揮する独立軍に、ヤン提督の副官として配属されることが決まったのだ!
ヤッホー! ありがとうビュコック提督! ありがとうお父様!! 愛してる!!
そして今、ヤン提督の旗艦、ヒューペリオンの中、ヤン提督の私室の前にいる。
あぁ、このドアの向こうにヤン様が……! そう思うだけで、心臓が破裂してしまいそう。
いやいやいや、頑張って私の心臓! ヤン様と幸せな結末を迎えるまでは倒れるわけにはいかないのよ!
息を一回、二回。そして気を落ち着けた私は、意を決してドアをノックする。
そして―――
フレデリカさんが大爆発してますが、いかがでしたでしょうか?
あっ、本編中では、ちゃんと原作フレデリカさん準拠の話し方で話しますのでご安心を。
ヤンと二人っきりの時とか、気がゆるんだりすると、また腐女子の素が出るかもしれませんがw