ブラウンシュヴァイク公が転生したけど、転生先はフォーゲルだった件   作:ひいちゃ

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現在、主な戦いが行われている、イゼルローン周辺の星図を公開しておきます。
参考にしてくださると幸い。

【挿絵表示】

アスターテの先は、シヴァ星域を超えて、さらにいくつかの星域を超えて、ハイネセンのあるバーラトに続きます


第5話『プチ死線』

 我がフォーゲル艦隊の横腹に攻撃してきたウランフ提督の艦隊。

 だが、相手は一個艦隊。しかも、残りのビュコック提督の艦隊と、ボロディン提督の艦隊はもはや死に体だ。主力がこの両艦隊を片付けてくれれば、あとはウランフ艦隊を包囲殲滅して終わり。

 そう思っていたことが、わしにもありました。

 ともあれわしは艦隊に指示を出す。

 

「よし、この場に踏みとどまる。主力が死に体の敵艦隊を片付けるまで持ちこたえるぞ」

「はっ!」

 

 だが、その見通しは甘かった! 敵が後続を呼び出さないわけがないのだ!

 

「提督! さらに二個艦隊が出現! それぞれに、戦艦パラミデュースと、戦艦パトロクロスを確認! 増援の艦隊は、アル・サレム提督の艦隊と、パエッタ提督の艦隊と思われます!」

 

 その報告に、わしは思わず歯噛みする。

 

「しまった! 読み損ねたか。主力がその増援を片付けるまで持ちこたえられるか……」

 

 結論から言おう。無理だった。

 ついに、その時が来てしまったのだ!

 

「提督、士気が尽きてしまいました。戦闘続行不可能です……」

 

 バルトハウザーが無念そうに報告してくる。く、なんてこった……!

 ここは一時撤退して、再編してから出直してくるしかないか……。ただ、わしが抜けた後をどうするかという問題がある。……そういえば、となりのイゼルローンにはゼークト提督の艦隊がいたな。彼と入れ替わることにしよう。

 そう決めたわしは、さっそく指示を飛ばす。

 

「仕方あるまい。一時星域から離脱し、艦隊を立て直す。我が艦隊は、反時計回りに通常移動しつつ、前面のウランフ提督の艦隊を主力まで誘導する。そして、ワープ可能ポイントまで到達後、急いでここから離脱するぞ。急げ!」

「はっ!」

 

 かくして、後退していく我が艦隊。その我らに、ウランフ艦隊は、こちらが反撃できないのをいいことにビシバシと砲火を浴びせてきた。先ほどまでとは逆に、我が艦隊の艦が次々と、火球となっていく。

 わしはその光景に歯噛みしながら、必死に撤退戦を行っていく。そして、ワープ可能ポイントまで到達したところで、一気にワープ! ティアマトから離脱したのだった。

 

* * * * *

 

 一方、同盟軍艦隊。フォーゲル艦隊がウランフ艦隊に追撃され、かろうじて戦域を離脱した様子は、ビュコック提督の旗艦・リオ・グランデからも見えていた。

 

「あの憎らしい艦隊は、一時撤退したか。少しばかり溜飲が下がった気分じゃわい。さて、ゆっくりしてもおれんな。わしらも、ウランフ提督が敵に攻勢をかけている間に、この宙域を離脱するぞ。再編成が済み次第、戦線に復帰する」

「ははっ」

 

 かくして、ビュコック艦隊とボロディン艦隊は、ウランフ艦隊が帝国軍主力に猛攻を仕掛けたその絶妙なタイミングで反転。一気にその場を離脱。ティアマトの隣にあるダゴン星域まで撤退したのであった。

 その後、帝国軍主力に包囲殲滅される愚を避けるため、ウランフ艦隊も惑星ラームまで後退したのは言うまでもない。

 

* * * * *

 

 そして、イゼルローン要塞。

 

「ナイゼバッハ少将、再編成のほうはどうか?」

「はっ。予備艦の編成は完了しました。兵たちにも、休息をとらせ、士気も万全です」

「よし。ティアマトのほうはどうだ?」

 

 わしがバルトハウザーに聞くと、彼は手元のレポートを読みながら返答してきた。

 

「はい。再編成した叛乱軍が再び進出してきて、激戦になっているようです。今のところ、エルラッハ艦隊がかなり消耗しているようですね」

 

 その報告を聞くと、わしはうなずくと、目の前のスクリーンを見据え、指示を出した。

 

「よし、エルラッハ艦隊と入れ替わる形で戦線に復帰する。この出撃で勝利をもぎとるつもりでいくぞ!」

「ははっ!」

 

 さぁ、第二ラウンドの開始だ!

 

* * * * *

 

 ティアマト星域に到達すると、前方には既に戦いが始まっていることを示す閃光がいくつも瞬いていた。

 

「まだ絶賛戦闘中のようだな。戦況のほうはどうなってる?」

「はい。数に勝るこちらのほうがかなり押していますが、叛乱軍のほうもうまくこちらの攻勢を受け流していて、攻めあぐねているようです」

「よし。では、我らも参戦するぞ。戦っている艦隊の6時方向を通り、叛乱軍の横から一撃を加える」

「了解!」

 

 かくして我がフォーゲル艦隊は戦場に急行した。敵艦隊に気づかれぬよう気を配りながら、奴らの真横まで到達すると、奴らの方向に向きなおる。さぁ、見ておれよ!

 

「よし、総攻撃開始!」

 

 艦隊が怒涛の勢いでビームやミサイルを発射していく。横からの攻撃を受けたことで、叛乱軍の艦隊は少しずつではあるが崩れていく。

 

 一方、戦艦リオ・グランデ。

 

「おのれ、またしてもあの艦隊にしてやられるとは。悔しい限りじゃわい」

「ビュコック提督、奇襲してきた艦隊だけではありません。正面の敵艦隊も攻勢を強化してきて、今まで持ちこたえていたものが、少しずつ崩れてきつつあります。このままでは……」

「一気に崩壊してしまう、か」

「はい……」

 

 そうとわかれば、さすがは老将ビュコックである。

 

「仕方あるまい。今回は負けを認めよう。全艦撤退。ティアマトから離脱する!」

 

 ビュコック提督の号令一下、敵艦隊は急速に後退し、ワープでティアマトから離脱していく。

 その様子を、わしは得意げに、旗艦シェルフスタットから見ていた。

 

「やったぞ、どうだ叛乱軍どもめ! この」

「優良種たる門閥貴族に敵はなし! ふはははは!!」

 

 あ、ヒルデスハイム伯、目を覚ましたのね。

 

 ともあれ、第五次ティアマト会戦は、際どいところもあったが、帝国軍の勝利に終わったのだった。

 




第五次ティアマト会戦、これにて終結です!
次回は、閑話として、ブラ公inフォーゲルの日常話をやらせていただきます!
その後はいよいよ、あの戦いが……?

お楽しみに!
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