「ヤンデレなんて無い」 作:マロニー
提督「ああ畜生!
いかん、執務の開始時刻に間に合わん!」
提督(今日の秘書艦はあの娘だったな…
…クソっ、色々と無事なら良いんだが)
ガチャ
提督「済まない、遅くなってしまっ…」
時雨「あ、おはよう提督。
清々しい朝だね」
提督「ん、ああ。おはよう、時雨。
遅れてしまって申し訳ない」
時雨「?何を言ってるの?
提督が遅れる訳が無いじゃないか?
ほら、時計を見ても、ぴったりさ」
提督「…済まん。本当に済まん。
大丈夫か?怪我はしていないか?」
時雨「え?ああ、これの事?執務室の時計を直してただけだし、大丈夫だよ。大袈裟だなぁ。…でも、心配してくれるのは嬉しいよ」
提督「…すまないな。今度何か埋め合わせをする。だから、どうか許してくれ」
時雨「??さっきから本当何を言っているの提督。提督は遅れてなんか無いし、謝る必要も、赦しを請う必要も無い。逆に謝られても困るよ」
提督「…取り敢えず、この部屋中の時計を片付けるよ。…全部、もう動きそうにないしな」
提督(…時計は全部スクラップになってる。…まあ、こうなるか)
時雨「あ…ごめんね。さっきから時計が狂ってて、それを直したら今度は動かなくなっちゃって…」
提督「…本当に手は怪我して無いか?」
時雨「うん、大丈夫さ。
…それにしても、また時計買わないとね」
提督「なあ、時雨。その…」
時雨「うん?なあに、提督」
提督「その…以前もだが…時雨は。どうして俺が時間に遅れたと思わないんだ?
何故、時計が壊れたとしか考えない?」
時雨「?…ふふっ、可笑しな事を言うね、提督は」
提督「そんなに変な事を聞いたか?」
時雨「うん。…だってあり得ないじゃないか」
提督「…そうか?」
時雨「うん。だって昨日。提督が、朝に集合するように、僕に向かって言ってくれたでしょ?
僕を見て、僕の為に、きちんと時間まで決めて言ってくれたじゃないか。僕が出来る事を、提督の為に出来る事を提督が僕の為だけに伝えてくれたじゃないか」
時雨「提督が僕に向かって嘘を吐く筈が無い。
提督が、僕に嘘を吐くなんて有り得ない。
ほら。提督が遅れたなんて有り得ないでしょ?
それなら時計が僕に嘘をついてるとしか考えられないじゃないか」
提督「…成る程。じゃあ、この部屋の全ての時計が壊れていたんだな。…不幸にも」
時雨「本当にね…前も一回、こんな事があったよね。案外、僕も運が悪いのかも」
提督「…『佐世保の時雨』が何を言う」
時雨「…ねえ、でも、そのさ。さっき、埋め合わせをしてくれるって言ってたよね」
提督「…ああ」
時雨「う、埋め合わせとかじゃないんだけどさ。もし良かったらなんだけど…今度、一緒に出掛けに行かないかい?」
提督「…」
時雨「……」///
提督「…ああ、勿論いいさ。
君が行きたい場所に付いて行こう」
時雨「ほ、本当!?
…ありがとう、嬉しいな…」
提督「さて、執務に取り掛かろう。
あまり時間が無いぞ」
時雨「あ、うん。
…ねえ提督」
提督「…何だ?」
時雨「…その日。楽しみにしてるね?」
提督「…ああ」
時雨「…ふふっ」
【時計の掃除の後、普通に執務を行った…】