「ヤンデレなんて無い」   作:マロニー

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正午、昼下がり

 

 

 

提督(ふう、何とか事なきを得たかな…

以前私が遅れてしまった事を納得させようとした時は精神を崩壊しそうになってしまっていたからな…)

 

 

提督(しかし…あの娘には困ったものだ。

あの娘の行動さえ無ければ今日遅れる事なぞあり得なかったのだが…)

 

 

 

「あーっ!司令官!」

 

 

 

提督「ッ!!」ビクッ

 

提督(…噂をすれば…か)

 

 

 

提督「……やあ。元気そうで何よりだ、雷」

 

 

雷「司令官も元気そうね!

…でも駄目よ、まだ休んでなきゃ!」

 

 

提督「…はは、さっきも言ったろう?そんなに休む必要なんて無いさ。だからーー」

 

 

雷「嘘!」

 

 

提督「…!」

 

 

雷「だって昨日夜遅くまでお酒を飲んでたじゃない。しかもかなり深酒してた」

 

雷「それだけじゃないわ。一昨日からあまりお腹の調子が良くないし、寝不足で隈も出来てるし、頭痛薬を飲んでるから頭も痛いみたいだし、それに……」

 

 

提督「…もういい。…なあ、雷よ」

 

 

提督(…愚問だと言うのは解ってる。だが…)

 

 

提督「…何故そこまで知っているんだ?酒は一人で飲んでいた。頭痛薬のゴミも一人で処理をしたし、腹の調子に至っては口外すらして無い。どれも知るはずが無いのに…」

 

提督(…やはり、聞かずにはいられん)

 

 

雷「なんで、って…もう、そんなの決まっているじゃない!」

 

 

 

雷 「『愛の力』よ!」

提督「『愛の力』…か?」

 

 

 

雷「…って、司令官ったら!解ってるのに言わせたの?全くもう、いじわるなんだから!」プンスカ!

 

 

提督「…ハハハ、すまんすまん。だが毎回そう言われてれば嫌でも解ってしまうよ」

 

 

提督「…そうだな。俺は確かに疲れてるかもしれない。だが、それは俺が休んでいい理由では無い。やらねばならない事もあるしな」

 

 

 

提督「…だからな。俺が疲れてるのは、寝ている間に寝床に入り込んで手錠で拘束し、朝から自室に監禁しようとする行動の理由にはならないんだ」

 

 

雷「むむっ!監禁なんかじゃないわよ!あれは司令官のお世話をしようとしてたの!」

 

 

提督「…本人が望まぬ介抱は介抱じゃない」

 

 

雷「いいや、違うわ!司令官は自分に厳しいから、心は大丈夫でも体はいっつもボロボロじゃない!」

 

雷「病気を治すためなら相手が嫌がっても薬を飲ませる必要があるみたいに、お世話の必要があるなら、相手がなんて言おうと世話するべきなの!」

 

 

提督「…成る程。一理あるかもな。

だが残念、俺には仕事をする義務がある。

どうしても俺がやらなきゃならない物がな」

 

 

雷「…もう、司令官たら。

私がいるじゃない!」

 

雷「司令官がやってる仕事も全部、なにもかもこの雷様がやるわ。だから私に頼って、司令官はゆっくりと休んでいいのよ!」

 

 

提督「もう十二分に頼ってるとも」

 

 

雷「もっと、もっと頼ってってば!」

 

雷「…私、司令官の仕事も、周りの世話も、全部司令官の代わりにやるわ!あなたの好きな事なら何でもするし、あなたが嫌いな物はぜんぶ排除してあげるわ。…だから、ね?」

 

 

提督「…まあ、いつかはその誘いに乗るかもしれんから、待っててくれ」

 

 

雷「むー!司令官たらそればっかりなんだから!」

 

 

提督「…悪い。そして重ねて済まんが、用事があるんだ。という事で、じゃあな」

 

 

雷「あっ、司令か…!」

 

 

 

 

【提督は歩き去っていった…】

 

 

 

 

雷「…」

 

 

雷「…今度は何がいけなかったのかしら」

 

 

 

 

雷「……」ガリッ

 

 

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