「ヤンデレなんて無い」   作:マロニー

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昼、洗濯場にて

 

 

提督(卯月はまだ悪戯だけで済んでて、可愛いもんだな…ただ情緒が不安定気味なのが気になるが…是非あのままでいて欲しいものだ)

 

 

提督(さて、洗濯場に着いたか。

…できれば誰にも会いたく無いが…)

 

 

 

「あら、提督?どうしたんですか?」

 

 

 

提督「ッ!!」ゾクッ

 

 

 

提督「…やあ、こんにちは。扶桑。

今日はいい天気だな」

 

 

扶桑「ええ、本当に。

提督と会うのにはいい日です」

 

 

 

提督(…ああ、全く。ままならないな…)

 

 

提督「…どうしたんだ?何故洗濯場に?君もここに何か用事があるのか」

 

 

扶桑「ええ。今、出来ました」

 

提督「いや、そういう事じゃなくてだな…

…まあいい」

 

 

扶桑「提督はその軍服の汚れを落とす為でしょうか…血の様にも見えますが…」

 

 

提督「ああ、いやこれは…」

 

 

扶桑「でも提督の血では無いみたいですね。

提督に傷はありませんもの。

…血糊でしょうか?それとも、誰かの血?」

 

 

提督「…後者ではない事は言っておくぞ」

 

 

扶桑「もしそうだとしても、私は提督を拒絶したりはしませんよ?」

 

 

提督「…そんなに俺を犯罪者に仕立て上げたいか?」

 

 

扶桑「ふふ、冗談ですよ。

…失礼、髪にごみがついてますよ?」

 

 

スッ

 

 

提督「…ッ」

 

 

提督「…ああ、済まない。まあこの汚れについては気にしなくていい。ほら、君も用がないなら戻れ」

 

 

扶桑「…その軍服、よろしければ私が洗いましょうか」

 

 

提督「…わざわざ君に手を煩わすまでもない。いいから戻れ。君にも何か用事があるんじゃないか?」

 

 

扶桑「出撃は終えてきました。用事も、特にはありません。ですから、提督も気を使って下さらなくてもいいですよ?」

 

 

提督「…(どうせ、引くつもりは無いんだろうな)」

 

 

提督「…そこまで言うなら頼んでもいいか?」

 

 

扶桑「ええ、是非とも」

 

 

提督「…じゃあお願いしようか。

…それでは、俺は仕事に戻る」

 

 

扶桑「あら、もうですか?

もう少し、話していきませんか?」

 

 

提督「申し訳無いがそれはまた今度だ。

それではな」

 

 

扶桑「…随分と急ぐんですね」

 

 

提督「…まあな」

 

 

扶桑「…そんなに私の事がお嫌いですか?」

 

 

 

提督「……ッ」

 

 

提督「…嫌いな訳は無いさ」

 

 

扶桑「…『好きだ』とは言ってくれないのですね」

 

 

提督「…」

 

 

 

バタン

 

 

 

 

扶桑「…ふふ」

 

 

扶桑(提督は恥ずかしがり屋ですね。

それとも私達の仲を他の人達から隠しているのかしら?どちらにせよ、悲しいわ)

 

 

扶桑(でも、我慢します。

例え冷たく接されそうと…)

 

 

扶桑(例え私を邪険にしても、私を否定しても、私以外の娘と話しても、他の人と仲良くしてても、他の娘を甘やかしても。そして私に隠し事をしても。全て許します。最後に私の所に戻ってくるなら…)

 

 

扶桑(だって、それが『妻』たる者の役目ですものね。あなたの愛を最後まで受ける事こそ私の役割だもの…)

 

 

扶桑「…」バサッ

 

 

【扶桑は躊躇いなく軍服を羽織った】

 

 

 

扶桑「ああ…ふふ…

不幸…いいや、幸せだわ。なんて、幸せ…」

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

 

提督「…ふう、今日はついて来ないか。」

 

 

提督(彼女は、扶桑は…基本的に無害ではあるんだが…何処か怖いんだよな…俺と話してる時にも何か別の、自分の世界に浸ってるような…俺と別の認識を持っているような…)

 

 

提督(そして何より、俺からの好意の言葉をいつもいつも言わせようとしてくる上に…

…ああやっぱり。発信機がつけられてる。

恐らくはさっき髪に触れられた時だろう)

 

 

 

提督「…」←無言で胃薬を取り出し嚥下する

 

 

 

提督「…ああ、そうだ。

そういえば今日は遠征が完了する日だな」

 

 

提督「…秘書艦とあの娘は出来たら合わせたく無いな。仕方がない、俺が迎えに行くか…」

 

 

提督「…」

 

 

提督「胃が痛い…」

 

 

 

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